「色でデザインをする技術」について!
Added 2020-04-27 22:36:37 +0000 UTC「このキャラ、目を惹くなあ!」
「このキャラ、あのキャラにも似てるなあ。」
SNSの隆盛に市場の拡大、多国籍化でまさに今はキャラクターデザイン大合戦時代!
そこで今回は2010年代後半から2020年現在にかけての「目を惹くキャラクターデザイン」のムーブメントとその手法について、それを人間の視覚や意識の法則から紐解きつつ、概論を5つのカラムに分けてお話していきましょう!
■1:エントリーポイントからの段階的理解============
「エントリーポイント」は主に工業デザインや建築で使用される用語で、そのデザインに対して最初に注意をひく点の事です。建物ならば外観、エントランスをエントリーポイントに、通路やフロアの設計・・という流れで段階的にそのデザインについての理解が進んでいきます。
それらの流れがうまく設計できる事、そして違和感なく利用、使用できる事が、一般的にはよりデザインとして理想的であると考えられます。
キャラクターデザインにおいてもこれは一定適用でき、特に2020年現在の「目を惹くキャラクターデザイン」のエントリーポイントは、「使用している色彩の構成と配置」が「どのような衣装、装備を持っているか」等よりも上位にある傾向が特筆すべきポイントと言えるでしょう。
この理由はおそらく、
「キャラクターコンテンツの多様化、供給過多からくる差別化戦略」
ではないか、と深井は考えています。
■2:「属性」でキャラを作る時代の限界が到来?============
2000年初頭に「萌え」という言葉が広まって以後、例えば「ツインテール」「ニーソックス」「銀髪」・・などの「属性」が多数"発見"され(2000年代中盤からは「ツンデレ」などの内面属性も発掘されていく)、いわばそれらの組み合わせによるキャラクターデザインが2010年代前半までは続きました。
ある意味その手法による究極形態のキャラだったのが、
「ウサ耳カチューシャ」
「金髪」
「ジト目」
「丈の短いセーラー服」
「縞ニーソックス」
「V字のきわどいショーツ」
という属性てんこ盛りに構成された「艦これの島風」(2013年)だったかもしれませんね。
『艦これ』ムーブメントに前後して、スマートフォンとSNSの普及も相まってキャラクターものコンテンツは爆発的に多様化、ファン層は拡大し、さらに多国籍化も成されました。
更に『月曜日のたわわ』等を皮切りに、深井の『ARMSNOTE』も含めたような、SNSを発祥とする個人オリジナルコンテンツの市場展開もなされる時代も2016年以後ごろからやって来ています。
もはや「属性」を組み合わせ、キャラの内面等を磨いただけでは、もしくはちょっと格好いい装備を持たせた程度では、twitterのように次々と高クオリティなものが激流にのって流れゆく時代において、瞬時に視覚の印象に残るキャラクターを作る事はかなり難しくなってきたのです。
■3:色でデザインする時代の到来!============
そんな「次々と新キャラクターが激流のようにリリースされていく」時代。
キャラクターの属性やシルエットすらじっくり見てもらう事が難しいこの時勢で生まれたのが、たとえ適当に画面をスクロールしていても
「ん!?今のは何だ?他と違うぞ??」
と一瞬でも人を引き留められるような色彩を使う技術を用いた、
見たものに印象を強く与えるカラー設計のキャラクターデザイン術です。
現在この技術を駆使するクリエイターとして名高いのは
MikaPikazoさん【https://twitter.com/MikaPikaZo?s=20】や、
LAMさん【https://twitter.com/ramdayo1122?s=20】でしょうか。
ご両名はともに、鮮烈な印象の色を用い、全体のシルエット、そして顔、特に目元に注目を集めるための色彩設計をふんだんに取り入れたアート、デザインに定評があります。
ではこの、ご両名にも見られるような「印象の強いカラー設計によるキャラクターデザイン術」の基礎理論を次から簡単に説明してみましょう!
■4:色彩は属性に勝る事が多い============
自由に色を使用できる二次元において「色彩の印象」は三次元のリアル世界以上に強烈です。
たとえば「エメラルドグリーン・カラーのツインテールに、モノトーンめの衣装、マゼンタの差し色を用いた美少女キャラクター」は初音ミクを誰もが思い浮かべるでしょう。
その印象があまりに大きいがために、彼女が登場して13年が経過しようとする今でもなお、その組み合わせのキャラクターは登場していませんし、むしろ「エメラルドグリーンのツインテール」の段階でほぼほぼ存在していません。
しかし・・
(センスがいいかどうかは置いておいて)「初音ミク」のシルエットと基本設計・・すなわち「属性」の多くが完全にそのままでも、色を別の強い印象のものへと換える事で、右のイメージはエントリーポイントの段階ではおそらく多くの人にとって、一瞬ミクとは異なるキャラクターに見えるはずです。
ここに「心地よい色を上手く工夫して配置できる技術」の可能性があります。
たとえシルエットや線画の段階で何かに似ていたとしても、「色でデザイン」が出来れば差別化戦略において大きなアドバンテージを得る事ができ、同時に注視性も高まるのです。
■応用編!============
カラム4の画像ではあまりに強い初音ミクのイメージを一瞬でもずらすためにかなり奇抜な色を使いまくりましたが、もちろんむやみにカラフルにすれば良いというものでもありません。(奇抜な色使いまくってデザインをまとめ上げられるMikaさんLAMさんすごすぎる…)
深井がこの4月の頭、『pixivファンタジア』へ投稿した「鬼の医術士」キャラクターのデザインから「色でデザイン」する術の応用編を説明してみましょう!
左:線画とシルエット
中:ありがちな和風カラーで構成したもの
右:投稿作
見比べれば、左のイメージのように線画とシルエットの段階ではまだ魅力がよくわからず、
赤が差し色の中央イメージは、和風としては正統派ながらエントリーポイントのインパクトに欠け、
そして右イメージを見れば「ん?一見和風なのに妙な色を使っているな・・」
という「色彩のエントリーポイント」があるのがわかるはずです。
カラム1の「エントリーポイントからの段階的理解」に当てはめるならば、
右イメージは・・
1:和風でありながらスポーティな蛍光色を用いている、という印象を入口に
2:シルエットの強い傘や多数携えた荷物に目が行き、その機能を想像させ
3:「医術士」というキャプションからキャラ性を想像する
という、一連の流れが想起されるような設計で造られています。
つまり「色でデザインする」上での「目を惹く色」とは、全体が派手とか、もしくは色彩の情報量が多いかどうか等というより、
「ん??」と見た人の脳裏に一瞬のクエスチョンが浮かぶ要素として配置される色という方が適切でしょう。
コンテンツによっては中央のイメージでももちろんOKですし、もしくはこれが「デザイン」でなく「イラスト」であれば、巧みな塗りで強い印象の作品とする事は可能です。
しかし、「デザイン」として考えた場合、右イメージの方が中央イメージよりも印象と注視性がより強く在り、それが「多数のキャラクターが激流に乗って流れていく」中でも目に留まる効果を生んでいるというアドバンテージを持っています。
■まとめ:もちろんデザインは色ばかりではない!============
概論は以上です!
今回は「色でデザインする」という事を主題にしましたが、しかし、キャラクターデザインは色を鮮烈にすればよいというわけでもありません。
最近だと『アークナイツ』等がそうですが、あまり鮮烈な色を使わずとも、アイテムの配置や服装のコーディネートで大きな差別化をする事も出来ます。ある意味アークナイツは色彩の代わりに「着込む、装備するものの情報量」を工夫して他と差別化しているとも言えるでしょう。(この手法は別にアークナイツ発祥ではないですけど)
また、『アズールレーン』は衣装の奇抜さをふくめ「肌色でデザインしている」とも言えるケースが多いですよね。プリンツ・オイゲンの「胸にホクロがある」は最低限の付加で最大限の注視力を産む発明だったと思います。
おそらくこのような、視覚的な情報を駆使し注視させるキャラクターデザイン・ムーブメントはかなり長い間・・10年近くは続くのではないでしょうか。
そうして情報量過多、それらによる差別化も困難となった後、最終的に再びシンプルなものに還っていくと深井は考えています。(宇宙世紀ガンダムでいえばZガンダム、ZZガンダムの時代からνガンダムの時代が来たような変化。)
あまりに多くの作品、あまりに多くの作家がひしめく今、どういったデザインが見てもらえるか、知ってもらえるかは、むやみやたらに好きなものを好きな通りに描くだけでない創意工夫に懸かっているので、僕もどんどん新しい技を身につけたいですね!