──無数の木の葉が、少女の周囲に散っていた。
くるくると風で回転し、中には角度の関係なのか、すいと地面に直角に落ちていくものもある。
そんな気まぐれな落葉の中心で、少女はひたすらに精神を集中し、己の中に宿る力を“練っていた”。
少女の胸にあるのは、ただ一つの情念……愛情を起因とする、強き覚悟。
歴史を紐解けば、この世のあらゆる善きものは、人が強き覚悟を決めることで作り上げてきた。
千年の栄華を支えたものこそ、意思の力……その力が溢れるままに、カッと少女が目を広げる。
次の瞬間、周囲に散っていた無数も落ち葉は、一枚たりとて例外なく、少女の手の中に納まっていた。
中には手の届かぬ位置まで既に落下していたもの、跳ね飛ばねば手の届かぬものも、あったというのに。
まるで札束で扇を作るような手つきで以て、少女はばさりと拾った木の葉を広げ、軽く火照った己の頬を仰いで見せる。
高揚は試練を成し遂げた故か、それともその先、愛の行く先を期待しての赤面か。
「待っててね、祭里……!」
凛とした……しかし、その奥にどろついた性欲の炎を灯した目で以て、今代の妖巫女・花奏すずは、愛しい者の名を呼んだ。
※
──それを“よくあること”と称することは、何かがおかしいというのは分かっているのだが、それでも風巻祭里にとって、守るべき妖巫女であり幼馴染、そして密かに恋ゆる相手……すずに押し倒されるのは、今や日常茶飯事であった。
「すず……慣れてきた自分がなんだか嫌だけど、今度は何なんだ?」
「今日はね、祭里に修練の成果を見てもらおうかなって……♥」
ふぅー♥ ふぅー♥ と甘い吐息を荒くつきながら、祭里の上に跨るようにして、すずが唇をぺろりと舐めた。
高校生の生娘としては、明らかに異様な妖艶さであるが、これは決して、すずがえっちな女の子だという“だけ”ではなく、妖巫女という存在自体に秘密がある。
妖巫女は、その力と記憶を携えて輪廻転生を繰り返すという性質があり、多くの場合は記憶に関しては朧になっていくのだが、すずにはある事情から記憶を封印するまで、これまでの十二代の妖巫女の記憶がすべて備わっていた。
これは即ち……すず以外の妖巫女たちが、その使命にかまける中で秘めて隠していた性欲も全て蓄積されているということであり、妖巫女としての力を高める中で、段階的にその記憶を開放すれば、すずは自然と淫乱女子になっていくのである。
妖巫女の力の修練自体は、一部の妖怪から狙われる体質を憂い、守られるばかりでは嫌だと行っているもので下心ゼロなのが、また性質が悪い。
「修練って、それだったら口頭で説明してもらった方が早いんじゃ?」
「まあまあ、そう言わずに……腕を見てみて?」
言われるがままに、祭里は視線をおのれの頭の上、何かで結わえられている両腕へと向かう。そういえば、仮にも対魔の忍である祓忍たる祭里が、不意を突かれたのは相手がすずなので仕方ないとしても、こんなに素早く拘束などできるものだろうか……。
「なっ……!? こ、これって……!?」
てっきり何かが縛っているものかと思ったのだが、祭里の両手首をまとめて拘束しているのは、女の子の“掌”であった。温もり、柔らかさ、指の白さと長さ……いずれも見まごうはずがない、花奏すずのものである。
しかし、当のすずは祭里の上に跨った姿勢のまま、ぺろりと自分の手首を舐めてみせている……要するに、掌だけが数を増やし、祭里の腕を拘束していたのだ。
「これ、まさかオモカゲなのか? そういえば、手だけ沢山増やしたことがあったような……?」
「そう! あれから修行して、もーれつに手を出せるようになったんだよ♥ だから……これを使って、祭里に手を出そうかなーって♥」
「誰が上手いこと言えと!?」
そんな冗談みたいな理由で貞操を奪われては堪らない。すずのことは祭里も憎からず想っているが、だからこそ決して一線を越えようとしない理由があるのだ。
「落ち着いて、祭里……それだけの理由で、こんなことしないよ?」
「え。あ、ああ、うん……俺の感覚も、なんか最近毒されてたかも知れないな」
「今の祭里は仮の姿……性醒流転の呪術で性転換してる。だから私は、何とか元の姿に戻そうと努力したり、逆にずっと祭里が女の子になっちゃっても大丈夫なように、女の子の祭里も好きになる努力をした……」
そう、これこそが祭里がほぼ両想いでありながら、すずと一線を越えることができない理由。今の銀髪美少女の祭里は、呪術による性転換の結果なのである。
ちなみに元の姿に戻そうとする努力の方も、すずは色々と明後日へと労力を注いでおり、これまでもTo LOVEるならぬトラブルの元になってきたりしたのだが、今は指摘するのが怖い。刃物を前にしても勇猛果敢に立ち向かえる祭里だが、発情すずを挑発するのは流石に無理だった。
「そうやって、女の子の祭里と仲良くしてる内に、私は気付いたの……あ、これ、女の子の祭里の方が僅差で好きだなって」
「その告白を、俺はどういう気持ちで受け止めればいいんだ!?」
「だから、祭里は自分できっと決断できないから……私が、女の子にしてあげる♥ 心から、祭のことを雌にしてあげるね……♥」
「ものすごいこといってる!? すず!? すずさーん!? ちょ、ちょっと落ち着いて、十秒! 十秒深呼吸しよう!」
「大丈夫、累積で一時間くらいは深呼吸した上で、辿り着いた結論だから♥」
千年分の性欲の蓄積などと言われることもある、すずの情欲が暴走を始めたら、妖たちですらも恐れ戦くほどである。
すずが迷いなくヤると決めたなら、もう止まることはない──本来は優しく気遣いのできる彼女を、唯一狂わせるのが恋情であり性欲なのだから。
「(こ、こうなったら、すずが正気に戻るまで、俺が耐えきってみせるしかない!)」
「時間をかけたら、私が冷静になるかも……とか思ってない? ふふふ……その為に、短期決戦を見越してこの技を身に着けて来たんだよ♥」
まるで祭里の心を見透かしたかのように、すずの周囲にぽん、ぽん、ぽんと無数の掌が姿を現す。
その数、祭里の腕を拘束しているものも含めて、実に十二対。部位だけとは言え、これほどの分身を可能とするとは、すずの修練はほんものであるのは間違いなかった。やはり方向は間違えているが。
「それじゃあ、ずっとえっちに見せつけて♥ 誘惑してくるわる~いここから、可愛がってあげるね……♥」
「な、なに言って……あはははっ! ちょっ、ちょっと、やめっ……あはぁぁっ! く、くすぐった……!」
鈴が一対の腕を動かし、祭里に振れたのは腋だった。
毛の一本も生えていない、つるつるで美しい、汗で少しだけ輝く腋……そこをわしゃわしゃとまさぐられ、最初の内は祭里も笑い声をあげて身悶えしていた……本当に、最初の内だけは。
「んっ……あっ♥ あ、はぁぁっ……♥ ちょっ、これ……おか、おかしいっ……♥ ああっ♥ な、なんで、腋を触られてるのに……こ、こんな……んひっ♥」
「知ってる? ここで感じられる女の子って、才能があるんだよ……♥ 祭里は、えっちな女の子の適性があるってこと♥」
腋に集中している神経をなぞるような、繊細な指使い。ぷっくらと膨れて見える腋肉を挟み込んで“じゅっ……♥”と汗を噴き出させ、逆に“くぱぁっ……♥”と二本指で開いて見せる、猥雑な手つき。
まるで腋が性器であるかのような扱いをされて、祭里は羞恥心以外の感情……胸の高鳴りや、下腹部の熱さが襲ってくることに気付いてしまう。
「はっ……はっ……♥ こ、こんなことで……んあっ……♥ く、くすぐったいだけだと、思ったのにぃ……♥ くぅぅっ……♥ こ、こんな感覚、知らない……んあっ♥」
「すん、すん……♥ くすっ……甘い匂いがしてきたよ、祭里♥ 女の子のフェロモン出ちゃってるね♥ 祭里の体の方が、心より先に女の子になりたがってるみたい……♥」
「う、わぁぁっ♥ そ、そんなところ、嗅いじゃダメだ……あはぁっ♥ くすぐった……♥」
「ほら、まだまだこんなの序の口だよ? どんどん祭里のこと、開発しちゃうからね? “みんな”で……祭里を女の子にしてあげる……私のお嫁さんにしてあげる……♥」
新たな掌が二対、祭里の胸へと飛ぶ。腋を愛撫されるのも続行しながらと考えると、すずは本当に努力をしてこの技を身に着けたのだろう。腋を愛撫されて、腋マ〇コの才能を開発される前の祭里ならば、感心しつつも呆れただろうが、今の熱に浮かされた祭里の頭は、自分の為に積まれた努力を“嬉しい”と感じ始めている。
そんな胸の高鳴りを、まるで指先で感じたいというように、左右の豊かなふくらみを包み込むようにして、掌が柔らかな双丘を揉み上げ始める。
腋の時と違い、いきなりの愛撫……それも、両手で捏ね上げるような愛撫を左右同時に受けるという、輪姦でもされない限りは経験しない胸弄りに、祭里の喉からは思わず「おっ、ほぉぉぉぉ……♥」と甘ったるい声が出てしまう。
「な、なんだ、今のぉ……♥ お、俺の声、なのか? あんな、恥じらいの欠片も無い……♥ ひあぁぁっ♥ おんっ♥ おんほぉぉぉっ……♥ や、やめてくれ、すずぅ……♥ こ、これ、本当にやばっ……ひあぁぁぁっ♥」
「右手が“ぎゅーっ♥”で♪ 左手がパーで♪ ヘリコプター♥ ヘリコプター♥」
懐かしの手遊び歌を諳んじながら、オモカゲ分身の右手はむぎゅぅぅぅっ♥ と胸を強く揉み上げて乳首を屹立させ、左手の掌は開いた状態で乳首を押し潰し、ぐりゅぐりゅと回転させて刺激を続ける。
未曽有の快楽に腰が思わずヘコつき、その動きを感じ取ったのだろう、すずは本当に幸せそうに……これほどに、この少女は魅力的に笑うのかと思わせる笑みを浮かべた。
「ふふふっ♥ 祭里は気持ちよすぎて、どこかに飛んで行っちゃいそう……♥ 絶対に、逃がさないけど♥ ああ、もう、段階踏むのが我慢できなくなってきた♥ “みんな”……一斉にやっちゃって♥」
「わ、あぁぁぁぁっ!? す、すず、やめっ……あひぃぃぃぃぃぃぃぃっ♥」
祭里の喉から迸ったのは、紛れもなく雌の嬌声。胸と腋を弄られて、女の性感を目覚めさせられたところに、更に八人がかりで犯されたのも同然だ。まともな神経では、恐らく発狂は不可避だろう。
祭里は祓忍としての厳しい鍛錬によって、精神的にも肉体的にも頑健であり、それは女体化しても変わっていない。
つまり……すずからの猛攻に下手に耐えてしまったために、無数のオモカゲ分身した掌がもたらす快楽を、一挙に受け止めてしまったのだ。
尻へと飛来した一対の掌が、その柔肉をもみほぐし、くぱぁぁ……♥ と左右に菊門を開く。
別の一対がそこへ飛びつき、かりかりと菊門の入り口を指で爪弾き、時おり中に少しだけつぷ……と沈む。
これもまた別の一対は腹をぷにぷにと揉み上げ、下腹がどうの大根足がどうのと言われた復讐のように腹肉を揉み上げ、別の一対がその中で形を見定めた子宮をぐり♥ ぐり♥ と体の外から撫でまわす。
別の掌は耳たぶをや首筋を重点的に刺激し、別の掌は太ももを撫で回して敏感にして、また別の掌は足裏をこちょこちょとくすぐりつつも指を撫で回す。
複数の感覚が襲いかかり、喘げばいいのか、嗤えばいいのか、叫べばいいのか、泣けばいいのか……わからなくなった祭里の喉は「おへぇぇぇぇぇっ♥」と感情の判別がつかない喘ぎ声をひり出すばかり。
そんな祭里の顔に、ぱさりと湿った下着が被せられ、最後の一対の掌が思い切り引っ張って、匂いの濃い部分を鼻へと押し当てる。
「んむぅぅぅぅぅっ♥ んおぉぉぉぉぉぉぉぉっ♥」
「恥ずかしい……それ、さっきまで私の履いてたパンツなんだよ♥ もーれつにエッチな匂いがするでしょ……ちょっと、濡れちゃったし♥ 体の中まで、私の匂いを感じてね……♥ あっ……♥ 私のパンツのことすんすんして♥ とろって愛液出ちゃってる♥ エッチだね♥ 可愛いね、祭里♥」
ありとあらゆる性感帯をまさぐられ、弄り回され、当のすずは祭里の股間へと移動すると、指一本で下着をズラし、露わになった女性器を眺めたり、指の腹だけでなぞったり、ふうー……と息をふきかけたりする。
全身を襲う快楽で、すっかりイキやすくなっている祭里は、その度に“ぷしゅっ♥”“ぴしゅっ♥”と愛液を噴き出し、すずの目の輝きが増していく。
「ねえ、気付いているでしょ♥ ここだけは、分身に触らせてないの……♥ 今の状態で、ここを触られたら……祭里の初めてを奪っちゃったら♥ もう、帰って来られないよね……♥ 悲しい? うん、私も寂しくはあるよ、男の祭里も大好きだから……♥ 二人で、その気持ちを……乗り越えていこうね♥」
ぐじゅんっ♥ と本物の指が、すずの掌が秘所の中へと捻じ込まれ、男性ならば生涯体験することのないはずの感触が、破瓜の熱さと痛みがじんわりと下腹部に広がっていく。
この瞬間、快楽で蕩けて壊れかけていた祭里の中で、静かに「終わった」という感覚が広がり、ぽろりと零れた涙と共に……明確に、意識が切り替わった。
「んっ……♥ 祭里のここ、指先きゅうきゅう締め付けてくるのぉ……♥ 痛かったら、言ってね♥ 優しくするから♥」
「あへっ……♥ 優しくとか、いいからぁ……もっと、して♥ すずのものに、してぇぇぇ……♥ あぁぁっ♥ 全身気持ちいいよぉぉぉっ♥ これが、女の悦びぃぃっ♥」
「目覚めちゃったね、祭里♥ これからも、ずっとずっとよろしくね……♥」
下着が取り払われ、二人の“少女”は濃厚な口づけを交わす。
祭里の顔は、だらしなく蕩けた笑みであり……恐らくもう二度と、男の己を思い出すことはないだろう。
「お゛ぉぉっ♥ キスで、イクっ……イグぅぅっ♥ お、女の子同士、さいこほぉぉぉっ……♥ キス、気持ちいいよぉぉっ……♥」