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壊れた時計は逆巻かない~見世物として愛に辿り着く女たち、ルイスとネーナ

 ──若い理想は常に裏切られるものだと、当に分かっていたはずだった。

 それでもルイス・ハレヴィは、終戦まで戦い抜き勝利した側の勢力にいたにも関わらず、下卑た熱狂渦巻く舞台の上にあげられている現状を、未だに信じられないでいた。

 イノベイドと呼ばれる存在が現行人類を見下しており、どれだけ戦果をあげようが資金を流そうが、ルイスが最終的に切り捨てられるのは自明の理だったというのに。

 まるで一度爆撃されたクレーターには、二度とミサイルが降ってくることはないという、ジンクスにすがっているかのような時間を過ごした果て、ルイスは無理やりに同性と口づけを交わさせられた。


「んぐぅぅぅっ……!」


 金色の目と真っ赤な目、怒りと憎悪の色が表情から透けて見える女には、それを浮かべる権利があるのは自分だと、ルイスは叫びだしたくなる。

 ネーナ・トリニティ……ルイスが撃墜して捕えて、長く苦しめぬいてやるつもりだった家族の仇。

 ドブのような腐臭を感じてくれと祈る舌には、甘くて蕩けるような唾液の味が広がるだけ……憎しみを抱く相手とのキスで気持ちよくなってしまい、ルイスの目に涙が溜まっていく。

 ネーナの方は、その涙を別の性質のそれだと理解したようだったが。


「泣きたいのは、こっちだよ……! なんで、こんな下らないショーなんかに……!」


 ペッと唾液を吐き捨ててやりたい気分のネーナだが、彼女たちの立場はこのステージ上では最底辺である為、周囲でニヤニヤと下卑た笑みを浮かべている女たちに鞭で打たれるのを恐れて実行できない。徹底的に彼女の自由は奪われ、ルイスと並べての“運用”がお約束になりつつある。

 そもそもネーナは、囚われた際にルイスからの恨み言を聞かされているが、それでも彼女の家族を奪ったのが何時だったか思い出せずにおり、それがルイスに加虐的な欲求を抱かせたのだが……少なくともネーナの側からすれば、イチャもんをつけられて見世物にされている地獄のような状況であった。

 ルイスとネーナの関係性については、ネーナ以上に舞台上の女たちや、観客席のイノベイドたちに周知されており、憎しみに囚われた者同士を強制的に絡ませるという見世物は、出演者たちの苦悶を他所に好評を得ている。二人は既に何度もレズセックスを交わしており、感情と裏腹に股間がしっとり濡れ始めている。


「(お父様、お母様……ごめんなさい。復讐対象をいつでも殺せたはずなのに、弄るために生かしたばかりに性交を強要される日々……顔合わせが、できないわ。せめて、この女に少しでも屈辱を味わわせないと、本当に存在した意味がなくなってしまう……!)」

「(最悪、最悪、最悪っ! けれど、従わないと始末されちゃうっ! い、今はとにかく従うしかない……飽きられる前に、何か対策が思いつくはず……それまでは、この頭がおかしい女の相手をするしかない……なんでそんな憎々し気な顔してんのよ……!)」


 これまで嫌々性交されてきた日々も重なり、二人の憎悪とそれに反する開発の度合いは増している。

 今日も憎しみと共にイカせあうのかと二人は考えていたのだが、鞭を手にしている女の一人が、観客席に向かって見せているアンプルの説明を聞いた瞬間、二人の表情は凍り付いた。


「(ちょっ、ちょっと待ちなさいよ……今、なんて言った? 妊娠? 妊娠って言ったの?)」

「(女性同士で妊娠可能な、媚薬……? わ、私に、仇の子供を産めって!?)」


 あまりにも衝撃的なアナウンスだったが、二人に抵抗の術は無い。

 初日にネーナが電撃の流れる鞭で散々に痛めつけられ、それを見せつけられて失禁したルイスは、泡を吹いてホカホカと湯気を立てているネーナを抱いて折檻を免れたのだ。

 二人が強く出れる対象は、互いだけ。わなわなと震えて、元凶である女たちではなく、互いを睨みつけ合って威嚇しあう。その姿が闘犬か何かのように思われるのだろう、観客席から失笑があがった。

 二人の手に素早くアンプルが注射され、忽ちに体が発情し始める。大嫌いな相手を、肉欲が渇望しているという状況。

 しかも手を出せば、相手の子を妊娠することになる……二人の理不尽な怒りは快楽の熱で加速し、普段のようににらみ合うだけではなく、遂に言葉の刃になって向けあうに至る。


「こっ、の……あなた、この場で自決しなさいよ……! 私の子供なんて、産みたくないでしょ……! 私と家族詫びながら、ここで死ねっ! そうしたら死体を使って、存分に私がこの疼きを……うぅん、発散できるんだからぁっ!」

「気持ち悪っ! ネクロフィリアかよ、あんたっ……! あんたこそ、未だによく思い出せないけど、仇の子なんて孕みたくないでしょ! 親のところにとっとと行けよ! 何が楽しくて生きるのにしがみついてるんだよっ!」


 とっくに正常な心が壊れてしまっている二人は、倫理にもとるようなおぞましい言葉を投げかけ合い、相手の死を願って罵り合う。

 実際のところ、イノベイドが勝利したこの世界において、ネーナは勿論ルイスにも帰る場所は無い。

 ルイスの恋人である沙慈・クロスロードは、ミスター・ブシドー……グラハム・エーカーに破れた刹那・F・セイエイと共々ケツ穴奴隷に堕ちており、菊門から得る快楽でルイスのことなど当に忘れ去っているからだ。

 ネーナと無理やり絡まされる日々の中で、ルイスも拒否する理由に決別したままの彼を挙げることは無い為、お互い様といったところだが。


「私は生きるんだ! あんたより一日でも長く生きて、その死を嘲笑ってやるんだ! 死ね、サイコ女っ!」

「あんたの方がサイコでしょおっ! イノベイダーに魂売って、やることがパパとママの敵討ち! 矛盾してんのよ、根本的に……えひぃぃぃぃぃぃっ!?」


 ネーナに向かって電撃鞭が振り下ろされる。互いを罵り合うことは自由だが、イノベイドに言及することは厳禁だ。わっと観客席が湧き、笑い声が上がる。


「ほぉぉぉっ!? ほひぃぃぃぃっ!」

「きゃぁぁぁぁぁっ!?」


 電撃の衝撃で猿のように跳ね回るネーナは、ルイスの体に衝突して乳房同士が激しくぶつかり合う。

 偶然か、それともこんな状況でも快楽を求めてしまったのか、乳首同士がこりっ……と擦れ合い──二人の体は、完全にスイッチが入ってしまった。


「ひぃぃぃぃぃっ!? いや、いやぁぁぁぁぁっ! ヤりたくないっ! ヤりたくないのにぃぃぃっ……! うぐっ、いぎぃぃぃっ……! どうしてぇぇ……どうして、こんなにムチムチのエロい体してるのよおぉぉっ! 私を、これ以上くるわせるなぁぁぁぁっ!」

「ひぐぅぅぅぅぅっ!? お゛ぉぉぉっ……の、罵りながら手マンとかするか、普通ぅぅ……! このぉぉぉっ……! こ、こうなったらあんたが孕め! あたしはお前の子供なんてごめんなんだっ! 産めっ! あたしの子供産めぇぇぇっ!」


 二人はキャットファイトを思わせるような激しさで、本格的なレズセックスをはじめる。互いの乳房をぴったりと合わせて熱と快楽を貪り、相互に秘所を弄り合って「ほぉぉっ!」「きひぃぃぃっ!」と猿叫を挙げながら乱れ合う。

 手マンでイクのはほぼ同時。別に何も言われていないのに、より多く相手をイカせた方が妊娠させられると思い込んだルイスとネーナは、速やかに69の姿勢に移行すると、互いの秘所をぴちゃぴちゃと舐めまくった。もう二人は互いの愛液の味になじみ切っており、舐めているだけで子宮が熱くなっていく。


「(最低女なのに、どうしてここはほこほこあったかくて……! 舌をきゅうきゅう締め付けてきて気持ちがいいよっ! こいつが妊娠しても、マ〇コは毎日舐めさせてもらわないと……妊娠させたなら、私の言うこと聞くわよね? 私、奥さんみたいなものになるんだから……んぁっ、んんっ)」

「(マ〇コ、マ〇コぉぉぉっ! 王瑠美の性奴隷にされてた頃は、クンニなんて臭くて苦くて嫌なだけだったのに! こいつのマ〇コはなんでこんなおいしいのよぉぉ……! ムカつく! マ〇コうまい癖にあたしに冷たく当たってくるの腹立つ! 子供産んで、少しは従順になればいいっ!)」


 女同士で妊娠するという異常な状況が、二人の心を更に暴走させて支配欲と独占欲を生み出していく。

 じゅぞぞぞぞぞっ! じゅるるるるるるっ! という互いの秘所を啜り合う音が爆音で響き、イノベイドたちは軽く顔を覆って苦笑している。完全に野良犬の交尾を見る時の反応だ。


「んむぅぅぅぅっ!」

「ぷあぁぁぁぁっ!」


 互いの口内に酸っぱい愛液が流れ込むのも同時、ますます二人の行動は過激になっていき、ぶぢゅぅぅぅぅぅっ! と唇を重ね合わせながら、互いの秘所を力一杯に叩きつけ合うという、男女のセックスにおける“種付けプレス”の真似事を実行し始めた。

 一応、下はルイスなのだが、こちらも腰をヘコつかせて打ち上げのは一切容赦なく、ぱぁんっ! ぱぁんっ! と乾いた肉同士がぶつかりあう音が鳴り渡る。

 二人の頭の中には、もう憎しみや怒りすらも無い。ただただ、自分の側が相手を孕ませる……そんな目的があるだけだ。

 そんな風に純化した心の動きの中で、ルイスとネーナは愛し合う者同士が行う営みに耽っている。快楽に流され、溺れながら、二人は互いの心の動きが異様であることを意識する……それは逃避か、それとも人の心の在り方のあるべき形か。


「(そうか……愛せば、楽になるんだ)」

「(どうせ、ここからは逃げられない……ずっと見世物にされて、嘲笑される……こいつが死んだら、もっとひどい環境になるかも知れない……)」

「(過去なんて、私たちにはもう何も関係ないんだ……誰も助けてくれないし、思い出すらも支えてくれない……だったら、だったら──)」

「──ルイス、ぅ……」

「──ネーナ、ぁっ……」


 互いの名前を呼んだのが、トドメだった。

 媚薬の効果が劇的過ぎたのか、二人の頭の中からまともな思考が根こそぎ排斥され、絶頂の快楽と共に諦めと絶望……それに裏打ちされた“負け犬の愛情”が流れ込む。

 二人は夢中になって唇を重ね合わせ、荒い息すら飲み干そうと、情熱的にセックスを続ける。

 ……二人が互い以外のすべてを捨て、完全にイノベイドの玩具に堕ち、代わりに安寧を手に入れた瞬間だった。



「う、あぁぁ……気持ち、いいよぉ……ネーナ……んっ、ネーナぁ……これは、ネーナの体よね……? ネーナぁ……」

「こんなに、あんたを気持ちよくする……女が、他にいるもんか……ルイスぅ……」


 二人の体は今、機械によって拘束され、強制的に濃厚なキスと貝合わせを続行させられていた。

 あまいの疲弊ぶりにまともに目を開くこともできず、快楽に蕩けた顔のままで、押し付けられ合う乙女の肢体。二人を拘束してプレスしている機械が、実に悪趣味なことにガンダムを象っていることを、目で見ずに済むのは福音なのかも知れない。


「ネーナ……ごめんね……ああ、私、何を謝ってるんだろう……おもい、だせないよぉ……お゛っ……おマ〇コ、気持ちいい……キス、好き……子供、産んであげるから……ネーナの、子供ぉ……」

「あたしも、産むんだよぉ……んあっ……気持ちいい……ルイスの体、お風呂に入ってるみたいに、ぽかぽかするぅ……ん、へぇぇ……いい匂い、するぅ……もっと早く、ルイスを好きになれば、よかったぁ……」


 壊れてしまった愛情を囁き合う二人。

 そんな廃人同然の姿を他所に、機械で計測されている二人の身体状況が大型モニターに映し出され、少女たちが仇の子を妊娠しあったことが大々的にアナウンスされる。

 熱狂、爆笑、嘲笑、喧騒。

 すべては、ルイスとネーナにとっては無意味なものだ。

 相手の体の柔らかさと、与えられる快楽が全て……二人は同時に失禁し、そのぬくもりで追いイキした。

 恐らくは今後、出産ショーも組まれることだろうが、二人はもう無駄に恥じることは無いだろう。互いだけで、その曇った視界は満たされているのだから……。

壊れた時計は逆巻かない~見世物として愛に辿り着く女たち、ルイスとネーナ

Comments

リクエストありがとうございました! 殺伐百合…それは沼!

屋根が高い

ありがとうございます。 この組み合わせ、関係性が 病みつきになるんです。

奇跡剣@夢想ノ筆

憎しみを越えて、人を繋ぐのがレズセの力! ブシドーなら、まあ安心!

屋根が高い

やはりネーナ×ルイスは王道。憎しみを性欲が上回ってしまうのがレズセの魅力。 刹那も生きててくれたらそれでいい…

まりね


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