「──ですからね、パワーにはパワーが向かってくるって、わたし学習したんですよぉ」
未来における意思決定議会“エルドラド”、その刺客であるプロトコル・オメガ2.0のリーダーのベータは、チームメイトであり相棒のオルカの褐色の太ももに頭を預け、薄桃色の髪に手を伸ばしながら言う。
どこぞの邪悪の化身な吸血鬼めいたことを言うベータに、オルカは割と突飛な発言には慣れているので「ふぅん?」とだけ返す。
水色の髪を太腿に擦り付けるように頬ずりしながら、ベータは何が面白いのかクスクス笑った。単にオルカの反応が気安くて、心地よいだけかも知れない。
「そもそもサッカーを消し去るために、サッカーする必要はないと思いません? 疲れるし、男臭いし、評議会はぎゃんぎゃん文句言うしぃ」
「身も蓋もないこと言いだすね。なに、他の手段ってのを思いついたってこと」
「そうなんです! オルカのお陰もあるんで、上手くいったら手柄は山分けということでぇ」
ぴょこんと体を起こしたベータは、まるでコンビニに出かけるくらいの気安さで「それじゃ、ちょちょいっと歴史を変えてきますね」と、発生したゲートに飛び込んでいく。
一瞬オルカは付いていくべきかと思ったが、自分たちをのリーダーを信じようと決めたらしく、ベータの散らかった部屋を片付け始めた。
「……それにしても、アタシのお陰もあるって、どういう意味だ?」
※
──目の前に差し出された足を、勝手に目が追ってしまう。
黒いタイツに覆われたそれが左右に揺れる度に自然と視線が追いかけて、その様をくすくすと笑われているのがひどく屈辱的だ。
「こ、こんなこと、許されないわよ……理事長の娘である私に、こんなことをして……んぁっ♥」
ちょんと唇の先にタイツ越しの指が触れて、それだけで反抗の言葉が全て封じられてしまった。
蹲踞の姿勢で丸出しになった下着の中心が、じんわりと色を濃くしていく。腰が勝手にヘコつき、いやらしい動きと興奮が止められないことに戸惑う。
雷門夏未は……ゆっくりと土踏まずに自分の鼻先が埋められていくのを止められず、ふわっ……と香る女の子特有の甘い香りに「ふ、あぁぁ……♥」と喘いでしまった。
「くすくすくす……夏未さん、うっとりし過ぎですよぉ♥ そんなにわたしの足が好きなんですか? 変態さんですねぇ♥」
「そ、そんな訳が、ないでしょう!? こ、これは何かの間違い……んあぁっ……♥ すんすん……ふ、ほぉぉっ……♥」
「そうですよねぇ♥ わたしも夏未さんに好いて貰ってるだなんて、そんな恐れ多いこと思ってませんよ♥ 夏未さんは単に──女の子が好きなだぁけ♥」
ぐりぐりと鼻先を踏まれて、鼻腔に甘い匂いを擦り付けられながら、懸命に反論しようとするが……夏未は咄嗟に、自分の顔を足蹴にしている少女の名前が思い出せなくなる。
もう何度も……最初に空き教室に引きずり込まれ、無理やり抱かれてから幾度も関係を持ち、こんな恥ずかしい性癖まで仕込まれてしまったのに、ふっと相手の識別記号を忘れてしまうのだ。
「(この、人は……そう、ベータさん……留学生の、ベータ・紅菊さんよ……どうして、毎回忘れてしまうのかしら……ふぅ、んっ……♥ こんなに素敵な臭いをかがせてくれるのに……♥ はっ……!? い、今の思考は一体……!)」
「ふふーっ、そんなに切ない顔をされてしまったら、もっとサービスしたくなるじゃないですかぁ♥ 夏未さんが好きなの、やっちゃいましょうね♥」
「きゃあっ♥」
頬を優しく蹴られて……というよりも足裏でぐいと押されて、夏未は床に倒れ込んでしまう。少し乱暴に扱われることを、気持ちよく感じ始めているのに驚愕するが、すぐに眼前を真っ白な輝きが埋め尽くした。
純白の、布地。足裏の“一日”を感じさせる匂いとはまた異なる、むわっ……♥ と熟成されている、女の子の秘密の匂いが奥から漂ってくる。
「夏未さん、自分で『女の子が大好きです』って言えたら、いつものしてあげますよぉ♥ 夏未さんが毎回、お潮噴いちゃうやぁつ♥」
「い、いや……ダメ……わ、私は、円堂くんが好きで……」
「女の子なんて、好きじゃない? じゃあ、ここはしまっちゃいましょうねぇ」
蹲踞の姿勢から立ち上がろうとするベータ。夏未は拒否した立場なのだから、ホッと胸を撫で下ろせばいいのに……彼女は咄嗟に、ベータのスカートを掴んでしまう。いかないで、と言わんばかりに。
「あっ……♥」
「なんですか、ノンケの夏未さん? 女の子が嫌いな相手にサービスするほど、わたしは酔狂じゃないんですよ。手、離してもらいます? ノンケが感染るんでぇ」
「ま、待って……お願い、しまうのは待ってほしいの……お願いよ」
「はぁぁ……がたがたうるせぇよ! 女は好きじゃない、男が好きって言いながら下着見せろだぁ? どんだけ都合のいい頭してんだ、ええっ!?」
「ひぃっ!?」
突然のベータの豹変に、夏未は情けない悲鳴をあげる。ベータとの行為の最中、こんな風にいやいやするのはしょっちゅうのことであり、その度にベータの激昂を受けているのに学習する様子はない。
ただ怒鳴られた後の対応に関しては、流石は理事長の娘といったところで、カタカタ震えながらもベータの求める答を提示してくる。
「お、お願い……お願いします……嗅がせて……ベータさんの、下着……♥ わ、私は……女の子が、好きなのぉ♥」
「はい、よくできました♥」
「んほぉぉぉぉぉぉぉっ♥」
ベータがとすんと腰を落とし、夏未の顔がその下着に埋める。下着越しに割れ目が夏未の鼻先を受け止め、へこ♥ へこ♥ と激しく腰を前後させながら潮を吹く。
忽ちに夏未の下着はダメになり、どこからどう見ても……少女の匂いで興奮する、変態JCの姿がそこにはあった。
「んっ……鼻息が荒すぎですよぉ♥ 次にする時は、最初から素直に甘えて媚びてくださいね♥ なぁんていっても、次もまた『私は女の子なんて好きじゃない』から始まるんでしょうけど……ねえ、レズの夏未さん?」
「んへぁぁ……?」
下着が顔から離された時、完全の夏未はアヘッてしまっており、ベータの言葉を理解できているようには見えなかった。
もっとも、ベータとしてはそこはどうでもいいのだ。ただ女の子の匂いでしか興奮できない、変態レズにさえ変貌してくれれば……。
※
「んぁっ……あっ……あむっ……んちゅっ……♥」
「はっ……んはぁぁ……ダメ、久遠さんっ……落ち着いて……あうぅっ♥」
「落ち着く必要なんて何にもないんですよぉ♥ ほら、三人でキスするの気持ちいでしょお♥」
木野秋と久遠冬花は、頬を擦り付けるほどに近づけた状態で、ベータの突き出す舌を夢中でぴちゃぴちゃと舐めていた。
二人も夏未と同じく、ふとした拍子にベータによって空き教室や保健室、時には多目的トイレに連れ込まれ、レズの快楽を覚え込まされてしまったのである。
特に秋はアメリカからの帰国子女であり、日本よりもレズビアン女性の主張が激しい環境で暮らしていた時期があったことで、割とあっさりとこの快楽を受け止めてしまっていた。今はベータと共に、冬花を調教しているような状況だ。
「はぁ……はぁ……女の子同士のキス……気持ち、良すぎるぅ……♥」
「久遠さん、途中から夢中になっちゃうもんねぇ♥ 正直、スキンシップくらいなら男の子とキスしたこともあったけど……もう、ダメ♥ 女の子の甘くて酸っぱい唾液の味おぼえちゃったら♥ 男の子相手にサカるとか無理っ♥」
「秋さんは素直で、とっても良いと思いますよぉ♥ 久遠さんはもっと、積極的になれば更に気持ちいいのにもったいなぁい♥」
「も、もっと……? こ、これよりも、激しく……わ、私、また記憶喪失になっちゃうかも……」
まだ“怖さ”の方が先に立つ冬花であるが、その言葉の端々に“興味”が滲んでいるのを、ベータは見逃さない。そして、その恐怖の本質が「無理やりされたのが契機なのに、受け入れてしまっていいのか」という部分にあると既にベータは看破しており……だからこそ、こうして秋と一緒に調教を続けてきたのだ。
「それじゃあ、冬花さん♥ 次は、二人でキスしてみましょう♥ 秋さんと、二人で……♥」
「き、木野さんと……♥」
「ごくっ……な、なに、その顔……♥ い、いいってこと? あたしと、キス出来ちゃうって、ことだよね……♥」
既に二人とも、同性とのキスが中毒になっているのは明らかだ。
秋は元より冬花を攻めることに前向きだったし、冬花は秋に対しては恐怖感が無い。
二人はまるで、互いの息の匂いをかがせ合うように息を荒く向かい合って、軽く抱きしめた姿勢のまま、しばらくを動きを止める。
「(木野さんと、キス……しちゃったら……♥ 私、もう絶対に戻れない気がする……♥ 女の子しか、好きになれなくなっちゃう♥ ううん、きっと木野さん……秋さんにしか、恋できなくなっちゃう……♥ そ、それっていいのかな? 私、それで……)」
「(うぅ……やばい、かも……♥ さっきはノリよく返事したけど、これって絶対にドハマりしちゃうよ……♥ 久遠さん……冬花さんを、誰にも渡したくなくなっちゃう♥ いいの? 本当にレズになっちゃうけど、いの? あ、あたしが、好きなのは……)」
「めんどくせぇなぁ♥ おらっ、さっさとキスしろ、レズども♥」
「んむぅぅぅぅぅぅっ♥」
「あふぅぅぅぅぅぅっ♥」
二人の唇が重なり、快楽の信号が全身を駆け巡る。目前のいい匂いがする柔らかい対象を、全力で愛でたいという欲求が芽生えて、止まらなくなる……二人はきつく抱きしめあい、呼吸すら奪い合うような深いキスを始める。
「ふあぁぁっ……♥ 秋さんの、顔……正面から、まっすぐ見るの初めて、です……♥ こ、こんなに素敵な表情で、キスしてたなんて……♥ もっと早く知ってれば、自分から告白したのにっ♥ んんっ♥ 好きっ♥ じゅるるっ♥ じゅぞぞぞぞっ♥」
「はぁー……♥ はぁー♥ すごっ……すごひぃっ……♥ 女の子との、本気キス……♥ 愛情交換キス、こんなに気持ちいいんだ……♥ もっと、しよ♥ もっと、もっとぉぉ……♥ 冬花さんと、キスしたいっ♥ キスしていい、関係になりたいよぉ……♥」
二人がひたすらにキスを交わして、互いの好意を語り合っている間、ベータはその全身を弄り回し、キスと愛撫の快感を結び付けていく。
秋の乳首をきゅっ♥ と指で潰して「んぉっ♥」と喘がせたり、冬花の耳に舌を挿入して「あっ……ひっ♥」と軽く潮を吹かせたり。互いの秘所を弄って、下着がダメになるほど愛液を零させたり、お尻にさえも指をぐりぐりと押し付ける。
そのすべてが、キスとつながってしまう。他の誰かと、ましてや男とするキスは、ただのキスだ。けれど、互いに交わす時だけは……全部の快感がつながる。
「秋さんっ……♥ んんっ、秋さんっ……好きぃぃぃっ♥」
「んおっ……ふあぁぁっ♥ 冬花さぁんっ……おふぅっ♥」
互いの腰に回っていた手は、今や尻をがっちりとホールドしており、キスが性的なニュアンスを怯えているのは明らかだった。
ベータは既に二人から離れており、ちゅばっ♥ ちゅずずっ♥ とキスを繰り返す二人へ「それでは、未来永劫ごゆっくりぃ♥」と告げると、空き教室から出て……直後にゲートへ飛び込んで、この時代から姿を消すのだった。
※
「──そもそものサッカー文化の隆盛は、円堂守選手から始まっている訳じゃないですか。だから彼が結婚せず……出来ず……子孫が産まれなければ、サッカーの繁栄は無いってことです♥」
「それで、わざわざ円堂守の嫁候補三人を、真正レズに堕としてきたって? 随分と手間な計画に思えるけど」
「サッカーの試合と比べれば、全然らくちんでしたよ♥ ほぉら、さっそく結果を見ましょう」
そう言ってオルカの膝に再び収まると、ベータは眼前のモニターの映像を映し出す。
そこには雷門夏未の未来……円堂夏未にならなかった世界が描き出されていた。
「れりゅっ♥ れちゅっ……こぉら、腰を引かないの♥ せっかくのおあぱんちゅが、顔から離れてしまうでしょ♥ ふんほぉぉっ……JCのマン臭さいこほぉぉぉ……♥ もっと舐めさせて♥ ぺろっ……じゅるるるっ♥」
「あっ、あっ……理事長せんせぇ……♥」
「わ、私たち、サッカーができるって聞いて……こ、ここに来たのにぃ……♥」
「弱小サッカー部なんて、女の子がやってどうするの♥ こうやっておマ〇コくんくんされて……んはっ♥ 女の子同士でエッチする方が、何十倍も気持ちよいわよぉ……♥ ほら、次は踏んで♥ 一日学校生活送って、匂いが籠っちゃった足でふみふみしてぇ♥ 私のこと、ブチ輪姦してぇ♥」
散々に下着を嗅ぎまわられ、秘所を舐められたせいで発情状態のJCたちに、セクシーな大人に成長した夏未が下着姿で床に寝そべる姿は、あまりにも刺激が強すぎる。
少女たちは先まではただただ混乱していたのに、次々と狂暴な性衝動に駆られ、夏未の全身を踏みつけていく。
「このっ、このぉぉっ♥ 女の子でもサッカーできる場所があるって聞いてきたのに♥ 騙されたじゃない♥ この淫乱ババア♥ 罰として、この立派な胸蹴らせなさいっ♥」
「子宮踏んづけてあげるっ♥ こんなレズおばさんに妊娠機能なんていらないよね♥ 私たちに踏まれて無駄発情すればいいんだあぁっ♥ くぅっ♥ 理事長、エロ過ぎぃっ♥」
「んへぇぇぇっ♥ もっと、もっとぉぉっ♥ 甘くてくさぁい足で全身踏みにじって♥ 胸もお腹もどんどん踏んでぇ♥ 蹴り飛ばしてぇ♥ マン的♥ マン的してほしいのぉぉっ♥ んひぃぃぃぃぃぃーっ♥ エースストライカー決定よぉぉぉっ♥ 私のカノジョにしてあげるっ♥ お小遣い幾らでもあげるからもっと蹴ってぇ♥」
完全に頭のおかしい援交マゾレズおばさんと化した夏未をケラケラと笑って流すと、今度は映像が秋と冬花に変わった。
何処かのアパートの一室らしき部屋で、看護師の服をセクシーに改造したようなものを、冬花が纏って秋を誘惑している。
「はぁー……♥ 冬花ぁ♥ 看護師さんがそんなエッチな格好して♥ あたしのお嫁さんは淫乱だよ♥ 今夜は夜勤とか言ってたけど知らない♥ このまま朝までハメ潰すからぁっ♥」
「あぁんっ♥ 秋さん、ダメですぅ♥ “また”病院、首になっちゃいますからぁ♥ んあっ♥ んんっ♥ しゅきっ♥ こんな濃厚なキスハメされたら♥ またお仕事さぼっちゃうぅぅっ♥」
どうやら結婚しているらしい二人は、本来の業務を放り出すようにしてセックス三昧らしい。
生活費については、記憶が戻った時に手元に入ってきた冬花の両親の保険金があるので、特に困っていないらしい。
「冬花ぁ♥ 冬花ぁ♥ 誰にも渡さないっ♥ 冬花はあたしだけのものっ♥ 職場で他の看護師や女医と浮気するんでしょ? 患者さんに手マンとかクンニとかしてあげるに決まってる♥ 冬花は浮気者だもんっ♥ 手元でアヘらせておかないと、安心できないぃっ♥」
「おへっ♥ んへぇぇぇっ♥ 浮気なんて、しませんんっ♥ 秋さんとのセックスより気持ちいいの、ないからぁ♥ 男も女も秋さんの相手にならないのっ♥ 秋さんだけでいいからぁぁっ♥ もっと独占して♥ 支配して♥ 私のことを所有してください、秋さんっ♥」
……とんでもないヤンデレカップルになっているようだが、幸せそうでもあるし、問題ないのだろう。
「あー、でも、疲れはしなかったけれど、ちょっと他の女の子の匂いが染みつきすぎましたかねぇ? これは、嫉妬深いミッドフィルダーにメチャクチャにされてしまうかもぉ♥」
「そんなことしないよ。アンタのやったことに文句つけたりは……いや、ごめん。嘘吐いたわ。今日で全部、上書きするから」
「ふふっ……それでいいんですよ、もう♥」
そう言って変わりゆく歴史を横目にしながら、正妻のキスでゆっくりと上書きをしていくベータなのだった……。
屋根が高い
2023-10-17 09:12:43 +0000 UTCまりね
2023-10-17 08:55:36 +0000 UTC