──その悪魔は、元よりメレオレオナ・ヴァーミリオンの知る常識から、何処か外れた存在だった。
人間が暮らす空間とは異なる世界“冥府”の住人、悪魔……その多くが人間の持ちえない魔法を行使し、悍ましい外見にふさわしい凶暴な精神の下、人間を弄ぶことを好む。
その出現にはイレギュラーが関わっている場合が多く、顕現した際には大きな被害がもたらされる……それを防ぐべき、魔法騎士団“紅蓮の獅子王”に所属するメレオレオナも、幾度か激しい交戦を行ってきた。
そんな経験則の中の狂猛な異種族たちと、目前の悪魔はどうにも合致しない。
確かに肌の色は紫がかった青色であり、人間でないことは一目でわかる。
しかし、胸も尻も太腿も肉付きが良く、ぱっと見たところの外観に異形性は感じられない。肌色の悪さを除けば、まるきり美しい年ごろの娘なのだ。
加えてこの女悪魔は、攻撃性も低かった。これまで多くの騎士団が、周辺の住民に乞われて討伐にかかったが、襲撃を受けるとさっさと逃げ出してしまい、しばらくするとまた戻ってくる。
周辺の村々に何かをするとか、人を攫うなどということもなく、世捨て人のように淡々と暮らしているばかり……だからといって、放置する理由にはならないのだが。
様々な議論が交わされた末、相手に動きを察知されやすい騎士団単位で動くことは避け、強力な短期戦力で以て討伐を行うことが決定され、こうして突起戦力の持ち主であるメレオレオナが討伐へと向かうことになったのだった。
「──貴様はどれだけ争いを厭い隠遁を望もうとも! 生まれは付いて回り、存在は常に周囲を試す! 私は貴様にとっての“運命”だ! いたずらに人心を乱して生き続けるか、己の存在に向き合い趨勢を決めるか、好きに選ぶがいい!」
見事に女悪魔との会敵に成功したメレオレオナは、朗々と青肌の美女に向かって語って見せる。
女悪魔も、何故かこれまでと違いメレオレオナから逃げ出す様子はなく、それどころか軽く半身を引いて、戦の準備を整えているようにすら見えた。
「意気や良し!」
クローバー王国の魔道士たちは様々な魔法を行使するが、基本的には身体強化は魔法に頼る場合が多い為、万が一のダメージを避けるべく中距離~遠距離戦を好む者が多い。
しかし、メレオレオナを始めとした“紅蓮の獅子王”の面々は……というか、所属している王族たるヴァーミリオン家の血統は、その体躯に関しても屈強に鍛え上げていることが多く、メレオレオナもまた逞しい筋肉の上に、すらりと女らしさを感じさせる脂肪を鎧のように纏う、背筋が痺れそうなほどの女傑であった。
その外見通り、近距離戦闘を好むメレオレオナは、己の属性である“炎”の魔法を用いた加速と連撃を放つべく、女悪魔へと雄々しく突進していった。
豪快で過激苛烈を極めるメレオレオナだが、猪武者の類とはまるで異なる歴戦の戦姫でもある為、当然ながら突進時も女悪魔の様子はしっかりと捉えている。
女悪魔は──笑っていた。
その身にぴったりとフィットしていた、防具どころか防寒具としての役割すら果たさない、下父とヘソを露わにしたそれの股間が、ビキビキと逆立った何かに押し上げられて膨らんでいく。
メレオレオナを見て、その言葉を聞いて……恐らく観測以来、初めてその攻撃性を発揮したのだと認識した次の瞬間──女悪魔はメレオレオナを超える速度で正面から突っ込んできた。
※
「むっ、ぐぅぅぅっ♥ んおっ、ふぉぉっ……む、ぐぅぅっ……んおぉおっ♥ ふおぉっ……♥」
「んっ……♥ もっとすんすんして♥ あなただったら、舌でぴちゃぴちゃ舐めてもいいのよ……♥ 私の汗、女の子からは病みつきになるって評判なんだから……♥」
たった一度の交錯で完膚なきまでに叩きのめされ、素っ裸に剥かれたメレオレオナは、女悪魔の腋の下へその整った顔を挟み込まれ、むわぁ……むおぉ……と籠っている甘い匂いで鼻腔を犯されながら、ムチムキに逞しくかつ柔軟に鍛えられた太腿へと、女悪魔の股間の肉棒を擦り付けられていた。
女悪魔の肉竿からとろとろと零れる白濁した先走りと、腋固めによる窒息も手伝っての発汗によって、メレオレオナの太腿はぬるぬるに濡れそぼっており、ぐじゅっ……じゅぽっ……ずりゅぅぅっ……と、まるで実際にセックスを行っているような卑猥な音を立てている。
「メレオレオナ・ヴァーミリオン……だったわよね? あなたみたいな素敵な女性が居るのなら、さっさと国に攻め込んで、女の子たちをみんなお嫁さんにしてしまえばよかったわ……♥ 私ね、可愛い系の子も綺麗系の子もイケるけど……一番好みなのは、あなたみたいに鍛え上げた人なの♥ そそるの、すごく……♥」
「むごぉぉっ……♥ き、貴様……獅子たる私のことを、愚弄して……ほぉぉぉっ♥ ふあぁぁっ♥」
「獅子である前に、雌でしょ……♥ 最高……その喘ぎ声、堪らないわ……♥ 屈強かつ精強な女傑が“雌”に堕ちる瞬間以上に、心を潤すものってある? こうやって、子宮の上を撫でてあげるだけで……腋の下の顔がどんどん女の子になっていくじゃない♥ 可愛い、ああ、可愛いわぁ……絶対の私のモノにする……♥」
女悪魔は、自身の名を“マイノグーラ”と名乗った。
操る魔法属性は“陰陽”。この世の全ての正負を逆転させ、流転させる力。
その強大な魔法に関係してのことかは分からないが、屈強で美しく心も優れた女性を虜にすることを好み、好みの相手が現れなければ何百年も何もせず茫洋と過ごすが、一たび性欲に火が付けば周辺国を滅ぼし尽くすほどの色狂いと化す、最上位の悪魔たちですら「異様」「別格」と扱う闇の女神である。
メレオレオナが現れた上に、自分のことを……当然、色恋の意味合いではないのだが……マイノグーラの“運命”などと名乗ってしまった瞬間、数百年ぶりの恋に落ちた女悪魔は、クローバー王国を巻き込んでメレオレオナを陥落させ、雌に堕として生涯娶ると決めてしまっていた。
「(こ、この私が……んおぉぉっ♥ ただ腹を撫でられ、腋臭を嗅がされるだけで……んんっ♥ このような、そこらの小娘と変わらぬような反応を……く、屈辱だ……何とか、反撃の機会を見つけ……んほぉぉぉっ♥ お、おマ〇コに、チ〇ポ擦れたぁぁっ……♥)」
「んんっ……ふふっ、ごめんなさい♥ あなたがあんまりにも魅力的だから、素股で終わらせるはずがちょっとだけマ〇コ撫でちゃった♥ 私のカリでマ〇コかすめられて、くちゅってされるのすごかったでしょお……♥ これ、挿入したらもっと凄いのよ♥ 頭おかしくなって、私のこと大好きになっちゃうんだから……♥」
「(うぐぅぅぅっ♥ や、やめろぉっ……女悪魔の虜になるなどという辱め、看過できようはずもない……! なんとしてでも、脱出を……!)」
しかし、マイノグーラの操る“陰陽”の力は、腋臭を嗅がされながらの太腿コキ状態でもきっちり働いており、メレオレオナが炎を発生させようとしても、それは魔力になって彼女の中を循環するばかりだ。これまでの人生で最大級の魔力の高まりを覚えるのに、その行使ができないのである。
メレオレオナの魔法属性は炎……これは炎がもたらす“燃焼”の反対にあたる“還元”現象が引き起こされているせいであり、メレオレオナは魔法を使おうとすればするほど、魔法は使えないが魔力は高まっていくという、奇妙な体質に反転させられてしまっているのだった。
ならば、鍛えられた肉体で以て身体を貫き……腋固めの姿勢で手足がまともに動かせない中、無理やり腕を引こうとするメレオレオナだが、その動きはマイノグーラに把握されていた。
先まで腹筋を優しく撫でていた指先が、つぷりと割れた腹の合間に刺さる。
次の瞬間には、メレオレオナの鍛え上げられた筋肉、そのすべてがムチムチの脂肪に変わっていた。
「はっ……えっ、あっ……♥」
「んんっ……♥ 贅肉ぽよぽよの太腿コキ、最高ぅ……♥ 愚かな人間たちが“デブ”とか罵倒するくらいに肉付きの良い女性も、私の好みのど真ん中よぉ……♥ ちょうどそう、今のあなたみたいな……♥」
腋汗の糸を引きながら腋が離され、久しぶりに自由になって懸命に呼吸をするメレオレオナの前に、ふぅー……と甘い吐息を吐きかけながら、マイノグーラが美しい顔を寄せる。
マイノグーラの真紅の瞳の中で……ぶよぶよの贅肉塗れになった、ぽっちゃり熟女が映っていた。紛れもなく、それはメレオレオナの姿……筋肉を贅肉へと反転させられてしまったのだと、悟らざるを得ない。
「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~っ!? い、いやだ、いやぁぁぁぁぁぁぁっ! こ、こんなの、耐えられない! わ、私の体がぁぁぁぁっ……これまでの、積み上げてきた日々がぁぁぁっ……!」
「くす、くす、くす……私は今のメレオレオナちゃんも、とっても可愛いと思うけどなぁ……♥ ねえ、戻してほしい?」
「あぁぁっ……戻して、戻してくれぇぇ……! こ、こんなのおかしくなるっ……! 頭が、焼けてしまうぅぅぅっ……! お願いだから、戻してくれぇぇぇぇっ! なんでも、何でもするぅっ!」
「なんでも、ね……♥ 嘘吐いたら、ここに加えてしわしわのお婆ちゃんにしちゃうから……♥」
「んむぅぅぅぅぅっ♥」
マイノグーラからの濃厚なキス。後ろを無理やり向かせるような口づけで、ただでさえ体勢の関係で苦しいのに、激しい靴付けによる酸欠まで襲ってくる。
全身のたるんでいた肉がムキッ、ガチッ、ムチッと本来の逞しさと強度を取り戻していき、元の屈強なメレオレオナに戻った時には……もう既に心の方は、グチャグチャに砕けて修復不可能になっていた。
「おちんちん、挿入してもいいわよね♥ メレオレオナちゃんを、数百年ぶりの私の“正妻”にしてあげる……♥」
その囁きに打ち勝つ意思は最早なく、怯えたように……あるいは期待するように首を縦に振るメレオレオナの顔は、彼女がよく語る獅子のそれでは到底なく、蕩け切った情婦のものであった……。
※
「あ゛ぁぁぁぁぁっ♥ んっ♥ んんっ♥ ん゛あぁぁぁぁぁ~っ♥ ほぉぉぉぉぉっ♥」
「あぁっ♥ んっ、あぁぁんっ♥ すごいっ♥ 最高よ、メレオレオナちゃんの中ぁっ♥ こんなに気持ちよくて♥ 締まりもキツくて♥ 中が温かいおマ〇コは久しぶりだわ♥ あなた、魔導士や戦士としてだけでなく、雌としても優れてるのね♥」
「あぁぁっ……ふ、あぁっ♥ そ、そんな言葉で、喜びたくないのにぃぃっ……♥ わ、私の体は♥ 甘い囁きで子宮を下げてしまっているぅぅぅぅっ……♥ 貴様に♥ マイノグーラに雌褒めされて♥ んおぉぉっ♥ 潮噴くっ♥ 体が喜んでしまっているぅぅぅぅっ♥」
それこそ獅子の交尾のように、四つん這いになったメレオレオナの上にのしかかり、その首筋をかりっ……と甘噛みして排卵を促す女悪魔に、かつての烈女は媚びが混じり始めた声で訴える。
その言葉はもう、女悪魔に堕とされた性の奴隷が放つ色合いであり、マイノグーラは嬉しそうに耳元で囁く。
「好きよ、メレオレオナ……♥ 私は人間たちを見下し、その美しさやもたらしてくれる快楽を見過ごす、愚かな連中とは違う……♥ 人間が好きで好きで、股間の異形をブチ込みたくて仕方ないの……♥ その中でも、特別あなたが好き……♥ わかってくれるわよね、この気持ち……くすっ♥」
「んはぁぁぁっ♥ あっ、あぁぁぁっ♥ 胸、揉むなぁぁぁっ♥ ひうぅぅぅぅっ♥ 乳首、乳首ぃぃぃっ♥ んぎゅっ♥ 指先でつぶされてるぅぅぅぅっ♥ んごっ♥ ふごぉぉぉぉっ♥ 挿入しながら子宮撫でられるのヤバいぃぃぃぃっ♥」
「ねえ、好きって言って? 私のことを愛してるって言ってよぉ、メレオレオナぁ♥ ──今から私は、あなたの国を滅ぼしちゃうの♥」
前後の繋がっていないように聞こえる、唐突な惨劇の宣告。
しかし、マイノグーラはそれを気にする様子もなく、淡々と言葉を繋げていく。
「女の子たちはみんな性奴隷兼お嫁さん、男は一人の例外もなく殺すわ♥ あなたの大事な人たちも不幸になるわねぇ……それでも私を愛してるって言いなさい♥ クローバー王国なんかより、マイノグーラだけを愛してるって宣言するの♥ 私の為なら、国なんて平気で差し出すって言って♥ 言え♥」
「そ、んなっ……ことがぁぁ……い、言えっ……言えっ……!」
「はい、クリちゃんのこと、こしゅこしゅしてあげるぅ♥」
「んへぇぇぇぇぇっ♥ 言えるっ♥ 言えるぅぅっ♥ く、国なんてもうどうでもいい♥ マイノグーラに気持ちよくしてもらえるなら、クローバー王国なんていらないっ♥ 必要ない、からぁぁぁ♥ あい、じて……愛してるぞ、マイノグーラぁっ♥ だ、だから……イカせてくれぇぇぇぇぇぇぇっ♥」
堕落の宣言と共に、大量の精液が流し込まれ、仰け反りながらメレオレオナはイキ狂う。
そしてそれは、恐るべき女悪魔の手によって、すべてが蹂躙されることが確定した瞬間だった。
※
──かつてクローバー王国があった存在した場所には、恐るべき女悪魔が君臨している宮殿が立っている。
彼女は元クローバー王国の魔法騎士団に所属する女魔導士だけでなく、同胞であるはずの女悪魔たちですらも堕として屈服させて回り、今や実質的な世界の王の立場にありながら、統治も支配もする気が無い。
まるで見せつけるように、宮殿のバルコニーで正妻を抱き、人間たちに自分たちの立場を、悪魔たちに自分たちの愚かさを見せつける魔王・マイノグーラ。
「あへぇぇぇっ……♥ もっと強く、突いてくれぇ♥ このくらいでは、獅子は満足しないぞ♥」
「わかってる♥ 私のチ〇ポの形が浮き出るほど、本気ファックしてあげるからね、私のメレオレオナ……♥」
魔王の腕の中には、堕落しきった元魔法騎士団の女傑が、雌の顔でいつも甘えているということだ。
──ところで、ネコ科の生物は自然界の中でも、同性愛の傾向を見せることが多い種であるというデータがある。当然、獅子もだ。
だからどうなんだと言われても、困ってしまうのだが。
今回の攻め役
マイノグーラ(まいのぐーら)
・最上位の女悪魔……らしいのだが、どうも出自というか、経歴がハッキリしない。“冥府”にもいつの間にか表れていたらしく、他の実力者たちもほとんど放置を徹底している。
・肌の色合い以外は豊満な美女にしか見えないが、股間に男性器を抱えるという異形要素を持つ。デカチンかつカリ高。羽やしっぽが生えている姿のこともあり、どちらが完全に顕現した姿なのかは謎である。
・魔法属性は“陰陽”。すべての物事に存在する“正極”と“負極”の双方をコントロールするという魔法であり、実質的に森羅万象全てを操ることができる。
・ただし、あくまでも“正負の間”で起こりえる操作しか行うことができない為、例えばメレオレオナとの戦いでも炎を氷や水に変えることは出来ず、“燃焼”を“還元”に変えるという形で防いでいた。これらを理解していないと、とんでもない事故が引き起こされる可能性がある。
・ところで、マイノグーラというのは『クトゥルフ神話』の邪神の名であり、しかも“無貌の神”の縁者とされることが多い。もしや……?