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天空の花嫁のレズ嫁~ビアンカとフローラ、不貞の同性交情に溺れ恋に沈む

 ──こんな美しい人には、きっと自分は敵わない。

 そんな風にかつて感じた青い髪が、目前で揺れていた。

 途切れていた意識が、不自然な形で覚醒した酩酊感と共に、思わず美しい人の名前を口にする。


「あなたは……フローラ、さん?」

「ビアンカさん! も、元に戻ったのですね?」

「戻った?」


 その言葉で、途切れる直前の記憶が蘇る。

 馬のような姿をした魔物ジャミが今際の際に放ったガスのようなもの。

 それを浴びたビアンカと、愛しい彼は見る見るうちに石化していき……。

 慌てて周囲を見回すが、そこには自分の伴侶の形をした石像は確認できない。

 そのことには何処かで安堵したが、周囲を確認したことについては、深い後悔が胸の内から沸き上がった。

 ビアンカとフローラの周囲には、大勢のぼろぼろの服を纏った女性たちが、息をすることすら控えるようにして控えていたからだ。その眼には活力のようなものがまるで感じられないのに、異様な程の“圧”が宿っていて、思わず悲鳴を上げそうになる。


「こ、この人たちは一体……?」

「わからないんです、私もアンディと一緒にいたところを急に襲われて……気づいたら、ビアンカさんの石像と向かい合うようにここにいて……」

「石像……やっぱり私は、石像に変えられてしまった後、誰かにここまで運ばれたのね。一体、誰が……?」


 周囲に目を向けるのは気が進まないので、自然とフローラと向かいあうことになる。

 今は伴侶となった彼に嫁ぐ妻の座を競うことになった、心も清く見目も美しいサラエボの令嬢。

 異様な緊張感があるせいだろうか、見つめていると妙な高揚感が湧いてきて、どうにも戸惑ってしまう。

 向こうもどうやら似たような心地らしく、二人は気まずげにしばらくの間みつめあっていた。


「くす、くす……天空人の血を引く者が、まさか二人も見つかるなんてね。実に僥倖だわ」

「誰!?」


 ビアンカが鋭い声を放つと、それに応えるようにわざとらしく靴音を立て、紫がかった紅い髪の女が姿を現した。養子は整って美しいものなのだが、人でないことは一目で分かる。その足は昔聞いたおとぎ話の悪魔のように、馬のひづめになっていたからだ。


「ま、魔物なの……?」

「その通り。私は偉大なる魔王の使徒・ゲマ様にお仕えする魔獣ジャミーラ。兄がお世話になったわね」

「兄──あなた、ジャミの!?」


 蹄の女──ジャミーラは「復讐など考えていないから、安心しなさい」と怪しい笑みを浮かべて語る。

 そんな言葉で安心できるはずもないが、武器の類は取り上げられているし、呪文を唱えようにも不思議な力で掻き消されてしまうので、黙って話を聞く以外の術がない。


「あなたたちはこの“光の教団”に囚われたのよ。周りの女性は、この教団に救いを求める信徒たち……あなたたちには、これから信徒たちの為に教えを実践してもらうわ」

「ふざけないで! 私は、魔物たちに屈したりしないわ!」

「私もです、夫の元へ返してください!」

「ふふふっ……抵抗するつもり? だとしたら……周りの信徒たちにはもう、救いは無いということになるわね──」


 ジャミーラの言葉が響いた瞬間、女たちは一斉に胸元に閉まっていた短刀を持ち出し、自分の首に突き刺そうとする。

 ショッキングな光景にビアンカは目を丸くし、フローラは「きゃっ!」と叫んで顔を覆ってしまった。


「ちなみに、この信徒たちは地上で……ああ、明かしてしまうと、ここは通常の手段では立ち入れない高所にあるのだけれど……伴侶や恋人から暴力を振るわれ、追い詰められてきた女性ばかりよ。自分たちは幸せな夫婦関係を紡げているから、こんな負け犬たちの命なんて顧みる気もない……かしら?」

「くぅっ……どこまで卑劣なの……!」

「や、やめて、やめてください! 刃物を引かせてください!」


 フローラの叫びに、女たちがすっと刃を下す。だがそれはフローラの“願い”を聞いたということであり、その代償を要求されることを意味していた。


「いいでしょう、そこらの愚か人間ならまだしも、私だって信徒を無駄に殺す気はないわ。イブールの奴を、もうしばらくは調子づかせておく必要があるしね……けれど、わざわざ捕虜の申し出を聞いてあげたのだから、あなたたちだってこちらに誠意を見せる必要はあると思わない?」

「……何をしろというの」

「び、ビアンカさん、ごめんなさい……」


 フローラが悪いのではない、卑劣な魔物の策略だ。そう伝えてやるために掌を重ね、キッとジャミーラを睨みつけるビアンカ。

 フローラと比べれば、彼と共に冒険した経験がビアンカにはある。出産で弱き命への慈しみが増したのだろうか、この令嬢を守らなければという想いが、ビアンカの中では生まれていた。


「簡単よ──キスをしなさい」

「え?」

「あなたと、そちらのお嬢さんで、口づけを交わしなさいと言ったのよ。天空の花嫁同士でキスだなんて、ロマンチックだと思わない?」

「天空の……?」


 確かにフローラは、伝説の勇者が装備できるという、天空の盾を伝えている家系の生まれだが、ビアンカはただの宿屋の跡取り娘だ。天空の花嫁という言葉には、まるで心当たりがない。

 しかし、ジャミーラが軽く手を挙げると、再び女たちは自分の喉へと刃を押し付ける。どうやら抵抗どころか、疑問を挟むことすら許されないらしい。


「くっ、魔物と言うのは悪趣味なのね……ごめんなさい、フローラさん。伴侶もいる人に、こんな……」

「お、お気になさらないでください、ビアンカさん。それに、旦那様がいるのは貴女も同じではありませんか……無事に帰りましょう、愛する人の元へ」

「ごめんなさい、そして、ありがとう……」


 ……フローラと花嫁候補として並び立った時、こんなにも美しい人がこの世には居るのかと震えた。

 山奥の村に移ってからは、単純に若い女性が少ないという事情でちやほやされることもあり、それに再会した時の彼も憎からぬものを返してくれたので、少しだけ自分の容姿にビアンカは自信を持っていたのに、それが根底から覆された気がした。

 顔の配列も纏う雰囲気の淑やかさも本当に同じ人間か怪しんでしまうほど、周囲の空気すら甘やかになっていると感じた。こんな人と並べられたら、自分は絶対に選ばれないと思っていた。

 今でも彼がビアンカの方を選んでくれたのは、幼い頃のほんの短い経験の差があったからであり、そこが埋まっていれば勝ち目はなかったと本気でビアンカは思っている。

 そんなフローラの顔が、触れ合いそうになるほど近くにある。いや、これから実際に触れあうのだ。

 花のようないい匂いが鼻腔に届き、自分の体臭が急に気になってくる。彼女も婚姻を交わしている人妻のはずなのだが、ビアンカの顔が迫るとぷるぷると震えて目を閉じて見せ、その仕草が堪らなく庇護欲を誘った。


「フローラさん……フローラ、私がリードするから……」

「あっ……あっ……ビアンカ、さっ……んんっ……♥」


 ──もしかしたら、自分たちは本当の口づけを知らなかったのだろうか。

 そう思ってしまう程に、乙女同士で口づけすることは快く、背筋に背徳的な快感が走り抜けた。

 触れ合った瞬間から鼻に抜けていく甘い香り、とろっ……と口内に流れ込んでくる唾液の味。

 彼との口づけは、確かに胸を温かく満たすものがあったはずなのに、フローラとの口づけを知ってしまうと、急に色が褪せてしまったようにすら感じる。

 フローラの方もどうやら憎からずは思ってくれているようで、その喉からは「ふっ……あっ……♥」と耳障りのいい吐息が漏れる。


「んっ……んあっ……♥ あっ、ご、ごめんなさいっ! こんな、本格的にしなくても……!」

「いいえ、もっとよ。そんな触れ合うくらいのキスで許されると思っているの? もっと舌を絡めて、互いの口内を嘗め回し、唾液を飲みかわす口づけをなさい。周りを血の海に変えたいの?」

「あっ……ま、待って、待ってください……! ビアンカさん……」


 潤んだ目でフローラに見上げられると、断るという選択肢は消えていた。

 この美しい女性に頼みごとをされれば、どんなことでも叶えてあげたくなる……彼女を伴侶に選んだ男性は、きわめて聡明だと言えるだろう。

 ビアンカは周囲の信徒たち、そして何よりもフローラの心を守るために、そっと彼女の髪に指を差し入れた。


「あっ……♥」

「ごめんなさい、驚いた?」

「い、いえ……その、気持ちよかったので。髪を触られるの、好きかも……知れません♥」

「あなた……可愛い人ね♥ んっ……んっ、むっ……じゅるっ……れちゅっ♥ れるっ、じゅるるっ……♥」

「ふ、あぁっ……♥ ビアンカ、さ……んむぅぅっ♥ ふっ、ふぅぅっ……♥ くちっ……ちゅくっ……♥」


 フローラの髪を優しく梳きながら、舌を絡めてキスを交わす。とろとろと甘い唾液が互いの腑の底へと滑り落ち、あるいは行為……男女のセックスよりも激しい快楽が、唇を通して体の中で暴れまわる。


「(こ、これが、同性同士のキス……♥ 知らない、こんなに素敵なこと、知らないわ……♥ 誰としても、こんなに気持ちいいの……? それとも、相手がフローラだから……?)」

「(んっ、あぁっ……♥ ビアンカさんとのキス……ふ、あぁっ……溶けてしまいそう……♥ こ、こんなに気持ちの良いキスが、この世にはあるの……? んっ、はぁぁっ……♥)」


 唇がふれあい、舌が絡み合う程に、二人の距離は近づいていく。

 ビアンカはもう、梳いているというよりフローラの髪を掻きまわしており、フローラも気づけばビアンカの背中に手を回し、ひっしと抱きしめていた。

 愛する者と引き離され、理不尽に命の責任を負わされた極限状態……まして、ビアンカは出産を終えたばかりで体にダメージが残っている状態だ。そんな時に、確実に信用のできる美しい同性との行為を強制されれば……どんな猛女烈女であろうと、絆されて惹かれ求めあう。

 ジャミーラはその様子をニタニタといやらしく笑いながら見つめ、背後から空気の刃を飛ばす。

 その柔肌が斬りつけられる……ということはなく、ビアンカとフローラの服の胸元が裂かれ、胸が露わになった。


「くっ、ふぅぅっ♥ な、なに、これぇぇ……♥ んあっ♥ あぁっ♥ ふ、フローラ、待って……少し、まっ……あぁっ♥ ふあぁっ♥」

「あっ、あっ、あぁ~っ♥ ビアンカさっ……んんっ♥ あぁっ……これ、すごっ……男の人と、抱き合うのと……まるで、違って……♥」


 あらわになった胸同士がふれあい、擦れ合って快楽を生む。乳首同士がこりゅこりゅと触れ合えば、互いに体を軽くのけぞらせるほどに快楽に震え、それでいて被害の距離など零になれとばかりに抱きしめあう力は強くなる。

 どちらもスタイルは抜群だが、特にビアンカは出産仕立ての体なのもあって、乳首の先からはびゅるるっ♥ びゅくっ♥ と母乳が漏れ落ちてしまい、その温かさを感じてフローラはますますビアンカに溺れていく。

 戦う力はビアンカに劣っても、人の資質を見抜き心を配れる、フローラはそういう賢い女性だ。

 だからこそ、この場面で女同士で絡み合う中で、ビアンカが己を守ろうとしてくれていることを読み取り、その感謝と快楽が生む好意が混ざり合い……フローラは心の中で「ごめんなさい、アンディ……」と伴侶に謝りながら、同性の人妻に恋をしてしまっているのを感じていた。

 思えばフローラは、恋をした経験が無い。アンディは幼馴染でこちらを想ってくれる優しさに絆されてのことだし、ビアンカと結婚した彼とは婚約相手として申し分が無いという敬愛の気持ちの方が強かった。

 謂わば初恋……人妻になって始めて覚えた初恋に促されるまま、フローラはしっとりと湿ってしまっている秘所を、ビアンカの足の間に押し付けようとする。


「だ、ダメっ♥ それはダメよ、フローラ♥ そこまでしろなんて言われてないわ、落ち着いてぇ♥」

「そこまでって、何ですか……私、ここから先が分からないんです……教えてください、ビアンカさん♥」

「教えてあげないさいよ。殺すわよ?」


 脅しが大分と雑になっていることにも気づかず、ビアンカは母乳を吹き出しながら下着をわずかにズラし、フローラの股間に足を差し入れる。ビアンカとて、知識としてだけ知っている行為……女同士の交情における挿入にあたる行い、貝合わせ。

 それが本当に気持ちよいのか、挿入以上の快楽が得られるのかは、どうでも良いことだった。

 キスと乳合わせでとうに盛り上がり切っており、フローラにいたっては初恋に溺れている今、どんな接触であろうと達するには十分な快楽を得られる。恐らく、手を触れ合わせるだけでも十分だろう。

 そんな状態で、秘所同士がこりゅっ……と擦れあえば、二人の体を襲う衝撃はすさまじいものだった。


「あぁぁっ♥ こ、こんなっ……んっ、くあぁぁぁっ♥ こんなに、気持ちいい……なんてぇぇっ♥ あぁぁっ♥ ごめんなさいっ、フローラ♥ ごめんなさいぃぃっ♥ こ、腰が止まらないのっ♥ わ、私は人妻なのにっ♥ グランバニアの王妃なのにぃぃっ♥ おひぃぃっ♥ しゅごっ、いぃぃっ♥」

「あはっ……♥ いいんです、ビアンカさんっ……♥ う、あぁっ♥ 今だけは、ビアンカとフローラで……ただの二人に、戻りましょうっ……♥ あ、はぁっ……ビクッてしますぅ……♥ こ、これ、イク……っていうんですよね♥ あっ、あぁぁっ♥ イクっ♥ イクぅぅぅっ♥ ビアンカさん、イクぅーっ♥-」


 夢中になるビアンカとフローラ。

 快楽に溺れていく二人を、ジャミーラとそして信徒たちが見ている。信徒たちは、気づけば涙を流して二人の行為を見つめていた。まるで、神聖な行為を見ているとでもいうように。


「はぁ……はぁ……♥ フローラぁ……♥ こんなの、初めてぇぇ……♥」

「ビアンカ、さん……♥ わ、私……あなたのこと、が……♥」


 だが、ビアンカへの告白は途中で遮られた、触れ合っている二人の個所から広がるように石化が進み、二人は貝合わせを終えてぐったりと脱力している姿勢のままで石化してしまったからだ。

 互いへの想いもそのままに……愛する伴侶のことも、頭から零れ落ちてしまった状態で。


「このまま、行為の時だけ元に戻して、見世物にしてあげるわ……♥ そのうち、あなたたちは互いの本気になる。天空人の血を引く者同士なのだから、当然よね。そうして、同性同士の関係に溺れ、愛する人が塗り替わった頃に……乗り込んでくるだろう勇者たちに、その痴態を見せつけてあげなさい♥」


 同性同士で紡がれる、道ならぬ愛こそが世界に闇を呼ぶ。

 ジャミーラは石像の前で哄笑を上げるが……ビアンカとフローラの満たされたようなけだるげな表情が変化することは、当然なかった。




今回の攻め役(?)

※ジャミーラ

・赤毛のナイスバディな美女だが、両足が逆関節の蹄になっているという獣人型の魔物。ゲマの側近、ジャミの妹であり、兄に負けず劣らず謀略や策を使いこなす。こんな名前だが水には強い。

・魔法が封じられた空間内で真空の刃を巻き起こしたり、信徒の女性たちを操って見せたりと、超常的な力を持ち合わせており、単純な戦闘も非常に強い。ジャミの張っていたバリアも、理論はジャミーラが組み立てたもののようだ。

・人型なのは人間とのハーフだからであり、ジャミとは母親が異なる。実はこの世界(リメイク前の世界観に近い)でルドマンに引き取られなかったデボラが母胎となっており、容姿に面影がある。魔物に孕まされたことから精神崩壊してしまった母を、父の死後は愛妾として抱き続けている同性愛者。

・ゲマやその主であるミルドラースに対しては忠誠心が厚いが、イブールに対しては冷笑的であったり、兄の復讐も考えていなかったりと、仲間意識はあまり強くない。その割に、光の教団の信徒を一応は慮る節があったりと、独特の死生観を持つ。

天空の花嫁のレズ嫁~ビアンカとフローラ、不貞の同性交情に溺れ恋に沈む

Comments

リクエストありがとうございました。 お気に召したようなら、よござんした!

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リクエストしたものです。 応じていただき、ありがとうございます。 👍

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