──すべての始まりは、群堂みすずの閃きからであった。
「トモ、あなた……キャロルと抱き合った時、明らかに動揺していたわね」
「え!? あ、う……た、確かに。あんな小さくて、女の子らしくて、もっちもちのふわふわの生き物、触れあうのが初めてだったから、すごい意識しちゃって……みすず? なんでくっついてくるの?」
「べ・つ・に?」
相沢智、八重歯・ショートヘア・高身長、子供っぽくて男勝り。ハッキリ言って、全ての女子にとって彼女になりたい女の子No.1。
しかし、これまでは智が幼馴染の久保田淳一郎に対して恋愛感情を抱いており、みすずだと距離が近すぎて“そういう目”で見てもらえないという経緯があり、みすずがこれまでひっそりと進めていた、智をレズビアンに目覚めさせるという計画は、悉く失敗を繰り返してきた。
特に中学生の頃、あまりにも智が淳一郎に取られることが嫌で、ついつい真正レズにも関わらず彼と付き合ってしまった為、手ひどくフラれた上に智はみすずを異性愛者だと信じ込んでいて、まるで幼馴染として醸造してきた熱い想いに気付かない。
そんな不毛な努力を繰り返す日々に、差し込んだ一筋の光……それが智と抱き合った時、彼女を動揺させるに至った転校生、キャロル・オールストンであった。
「(これは最後のチャンスだわ。幸いにも、キャロルも男の情欲を嫌い、女からは嫌われる性格……トモの恋人にした後、私が仲間外れは嫌だと泣き付けば、なし崩しにカノジョに収まれる可能性は高い。やってみる価値はあるわね)」
みすずはこの日から、徹底して智に同性愛についての知識を埋め込んでいった。
例えば、空手少女が出てくる漫画を「面白いわよ」と言って進めてみるが、実際にはその漫画は後半から主人公とは真逆のタイプのふわふわ女子との恋人関係が始まる内容の百合漫画である。
しかも、淳一郎が智を普段男性扱いして、“気軽なスキンシップ”として行っている数々のセクハラ紛い所業に近いこと、後半でヒロインが男子生徒たちに行われて主人公に制裁されるシーンがある為、ヒロインの視点でどれだけ恐ろしく、普通の女性にとって避けがたいことかも刷り込んでいく。
「よう、トモ! おはよう!」
「……ジュン、お前、そういうのマジでやめた方がいいよ」
「な、なんでマジトーンになってんの? 心配すんなって! お前以外の女の子には、こんなことしないからさ」
「──お前、マジで最低だな」
「え、トモ? おい、どうしたんだよ! おかしいだろ、急に!」
……みすずのたくらみ通り、智と淳一郎の関係は、あっという間に悪化していった。
かつての淳一郎は、智にとって絶対不変、天に輝く太陽のような存在であったが、今は何しろキャロルという存在がいるのだ。
疑似的とは言え、並び立ちえる相手が二人いて、片方が片方を攻撃している構図になって、好感度がいつまでも並び立つはずがない。
そもそも淳一郎は、男性としてはかなりモラハラ気質で、智以外への人当たりはかなり悪い。それが“クールだ”みたいな馬鹿っぽい評価をしている女の子たちも居るが、その人当たり自体を智が嫌がる様になれば、加速度的に絆は崩壊する。
「これで、あの男とトモが付き合う可能性は地に落ちたわね。しかも、あいつは無自覚男性権威主義者だから、トモに他の男が近づくと牙を剥きだすけど、女の子はノーガード。多様性の時代に取り残された化石であること、思い知るがいいわ」
みすずはこの間も、せっせと智とキャロルの関係が上手くいくように立ち回っており、自分は接触を嫌うフリをして、智にキャロルがくっついていくように誘導した。
「トモちゃん、あったかーい♥」
「お、おぅ……キャロルも、えぇと……いい匂いがすると思うぞ?」
「ほんと? えへへ、うれしー♥」
もはや付き合っている距離感だが、油断はできない。何しろ、智はどんどんキャロルへの好感度を高め、今や告白されたら即付き合うレベルにまでなっている……みすずの細やかな“性教育”の成果もある……が、キャロルの方が異性愛者だという問題が残っているからだ。
みすずはここで一計を案じ、キャロルへの想いを相談しに来る智に対して、一服を盛る。
これは後々、自分も智のハーレムへと入り込む為の布石である。
「はぁー♥ はぁー♥ ごめん、ごめん、みすずぅっ♥ アタシ、体が止まらないんだっ♥ んっ♥ はぁっ、はぁっ♥ みすずっ♥ みすずっ♥ 柔らかいっ♥ んっ、気持ちいいっ♥ これが、女の子の体っ♥ はっ、はっ♥」
「んっ……トモ、激しいっ……♥ ゆっくりでいいから、ね……♥ んっ、あぁっ……あはぁっ……♥ はぁー……はぁー……♥ ん、そうよ……こうやって、おっぱいをくっつけたり……あそこを、擦り合わせると♥ 気持ちいいの……あぁっ……♥」
ただでさえ女性の体に興味津々となり、性の対称が“女の子”に変わり始めていた智に、女体の味を覚えさせる……媚薬を思いっきり盛り、みすずは親友と一線を越えた。
もう、死んでもいいと思えるくらい最高だったが、ここで彼女に収まるようなことはしない。それだと、智が罪悪感でずっと自分に付き合ってくる可能性があるからだ。それはみすずの希望する未来ではない。
「うぅ……ごめん、みすず。アタシ、最低だ! 力ずくで、みすずのこと組み伏せて……でも、我慢できなくてぇ……」
「トモ、泣かなくていい。トモはこれまで、女の子が好きだって意識してなかったんだから、健全な距離感が分からなくて当然よ。でも、こうやって無理やりされたのに、私、トモのこと前よりも好きかも……♥」
許して、受け入れて、当たり前だと嘯いて。
そうして、智の中に“レズレイプ”という選択肢を埋め込んで。
キャロルとの絆が深まっていく中で、智の眼が怪しい光を放つ瞬間を、みすずは楽し気に見つめていた。
勿論、本当に実行しそうになったら、自然に仲裁に入って止める……最高のタイミングで、智がもう二度と後戻りできなくなる状態で、キャロルをレズ堕ちさせないと意味がない。
チャンスは、すぐに訪れた。キャロルが、従兄弟の御崎光助を意識し始めたのだ。
「ど、どうしよう、みすず。光助はイイ奴過ぎて、ジュンみたいな屑と違うから、キャロルとすぐに両思いになるかも……!」
「そうかもね。でも、そうじゃないかも知れない。今は、見守る方がいいかもね」
淳一郎を自然に“屑”と呼ぶ智にゾクゾクとした興奮を覚えながら、みすずは敢えて行動しないように智へ言及した。
相手は大体予想できていたとは言え、智を尊敬している光助というのも最高の人選だ。どれだけ恋に狂っても、生来的な善性を失わない限り、智が暴力で排除することが出来ない相手である。
そんな“最後の関門”が現れたことで、智はどんどんと追い詰められていく。キャロルと自分は結ばれないんじゃないかと、そんな風に焦り始める。
焦り始めると言えば、この辺りから淳一郎が何時もの喧嘩と雰囲気が違うと気付き、ようやく智の周りをウロチョロし始めたが、この男はそもそも照れ隠しで女だと既に分かっていた智に「スカートは狙いすぎwww」とか言ってしまうようなMR.モラハラである。
智は完全に淳一郎を敵視しているため、キャロルを狙っているとさえ考えて牙を剥き出し、みすずに泣きついてきた。
「トモがなんか、おかしいんだよ! どうなってるんだ、あれ!?」
「そりゃあ、目が覚めたんでしょ。あんた、冷静になったらトモから好かれる要素、一つもないじゃん」
ばっさりと切り捨てられた淳一郎の、餌をお預けされた犬のような顔など、今更どうでもいい。
そして遂に、智とキャロルのステージは、最終段階に至る。
※
「あっ♥ あっ♥ あぁぁっ♥ と、トモちゃっ……やめっ♥ んんっ♥ あっ、あぁっ……んむぅぅぅぅ~っ♥」
「ふぅー……♥ ふぅー……♥ きゃ、キャロル♥ 男の子だったらなんて、言う必要ないんだ♥ あ、アタシ、キャロルのこと好きなんだよっ♥ だから♥ 付き合お♥ このまま、付き合おうぜ♥ 愛してる、キャロル♥」
……二人がデートをすることになった、その顛末。
キャロルは、多分これまで一番可愛くて、ふわふわして、女の子らしい笑みを浮かべて、こう言った。
「トモちゃんが男の子だったら、もっと大好きになっちゃってたかも!」
その言葉は智にとっては福音であり、死刑宣告でもあり、そして、彼女の最後の自制心の失わせる一手であった。
「キャロルっ♥ キャロルぅっ♥ ホント、キャロルは全身からお菓子みたいな甘い匂いするな♥ すぅぅ、はぁぁっ……♥ んはっ♥ たまんないっ♥」
「やっ、あぁっ♥ か、嗅がないでぇ~♥ トモちゃんにすんすんされるの、恥ずかしいよぉ♥」
「だ、だったら、アタシの匂いも嗅いでいいからさ♥ ああっ……キャロルのこと、アタシのおっぱいに閉じ込めちゃってる♥」
キャロルもふわふわとした美少女だが、智もまた女性としてのスペックが純粋に高い。
その鍛えられた体、うっすらと乗った脂肪の鎧……ふくよかな胸に閉じ込められながら、智の逞しい腹筋を感じつつ、鼻腔の中へと張り付いてくる甘い匂い。
キャロルはそもそも、智のことが大好きである為、この甘い匂いと柔らかな胸に耐えられる訳がない。
「あふぅぅ……♥ と、トモちゃぁん……♥ 頭、ボーッとしてきちゃうよぉ……♥ トモちゃんの甘い匂い、すんすんするの止まらないのぉ……♥ は、ふぅぅっ……♥ 光助からは、こんな匂いしない……♥ トモちゃんの方が、ずっといい匂いして……あっ♥ あっ♥ お股触るのダメぇぇ……♥」
「気持ちいいだろ、キャロル……♥ アタシ、結構上手いんだよ……♥ いっぱい気持ちよくするから♥ どんな悲しいことからも、アタシがキャロルを守るから♥ だから♥ だから、アタシのカノジョになって♥ アタシと同じ、レズになってぇっ♥ ほら、ほら♥ 指で大事なところ解されて、とろとろの愛液出ちゃってる♥ キャロルは、もうとっくにレズなんだよっ♥」
「んにゃぁぁぁ~っ……♥ だめぇ……頭の中、トモちゃんのあまぁい匂いでいっぱいになってぇ……♥ あふっ、おほぉっ……♥ か、勝手に腰、ヘコヘコしちゃう♥ トモちゃんにもっと気持ちよくしてほしいって、甘えちゃってるぅっ♥ 好き、好きぃぃっ♥ 私も、私もトモちゃん、好きなのぉっ♥」
古の言葉に曰く、女は同程度の格好良さならば、男よりも女を選ぶ。
完全にトモの魅力にノックアウトされたキャロルは、手マンで何度もイカされて、とろとろに濡れてしまった足を開かれて、まるで男が女に挿入するときのように、智に逞しく腰を打ちつけられ、野外で貝合わせをキメてしまう。
「んぁぁぁっ♥ キャロルのここ、すごいぃぃぃっ♥ これからは、絶対他の男になんて近付かせないからっ♥ アタシの、アタシだけの恋人だぞぉっ♥ あっ、あっ……イクっ♥ イッちゃうっ♥ 中に出すよ、キャロル♥」
「えぇ~♥ あっ、あひんっ♥ トモちゃん、中に出すってなにぃ~っ♥ あぁぁぁぁっ♥ んっ、はぁぁぁぁぁっ♥」
ぴったりとお大事同士をこすりあわせて、とくとくと愛液を膣の中に注ぎ込む智。
キャロルは、射精にも似た温かい快楽に完全に堕とされ、力強く抱き着いて智に甘える。
ここに、遂に百合カップルが誕生したのである。
勿論、この後みすずも感謝と友情を以て二人に快く受け入れられ、智は二人のカノジョを抱えて幸せな学園生活を送るのだった。
淳一郎は途中から不登校になったが、割とどうでもいいので割愛する。
LW
2024-02-25 09:06:26 +0000 UTC