──審査員の札は、全員が同じ名前を挙げていた。
『来栖空木』
自分を誰一人指示していないという、これまでの料理人生でも未体験の状況に、五番町霧子は崩れ落ちそうになった。
「そ、そんな……あたしの“心の料理”が……」
「悪くなかったと思いますよ、あなたの料理も」
料理人の癖に腰まで伸びた長い黒髪という、衛生観念の怪しい格好をしている相手に敗北した上に煽られたことで、キリコは思わず食って掛かる。料理における心情が他者に寄り添うものなので勘違いされがちだが、キリコは本来血の気が多いほうであった。
「お前、審査員に何かしたんじゃないだろうな!? そもそも、本当にこれは公平な料理対決で……!」
「それは、わたくしではなく審査委員の方々に聞けばよろしいでしょう?」
二人の料理対決の審査を行ったのは、全日本中華料理連盟会長の崔信典のように高名な者や、“神の舌”大谷日堂のような癖のある審査員は居ないが、不正をするような人物も混ざっていない。彼らは口々に二人の料理の批評を語り始める。
「いや、五番町選手の料理は素晴らしかったですよ。流石は第一回中華料理人選手権の優勝者だけはある」
「ただ……来栖選手の料理は、五番町選手の料理に比べて全ての味が鮮烈だった」
「そうです、私も思いました。あんなにも濃厚な味を感じ取れるなんて、今回の趣旨から想像もしていなかった」
「そ、そんな……味が濃厚? だって、この勝負は……」
そう、今回の料理対決はテーマが設けられており、それは『使える調味料の量が決まっている』というものだった。
中華料理は香辛料や油を大量に使うことから、女性や老人に向かない調理法である。特に健康志向が叫ばれる昨今、新しい中華のスタイルにおいて「減塩・薄味」は必須とも言えた。
キリコはかつて中華料理人選手権の決勝で出した『野菜スープで食べるつけ麺』のアレンジメニューを出したのだが、野菜のコクや甘味を限界まで引き出した自分の料理よりも、味が濃いとなると不正しか考えられない。
「さては見ていないところで塩や調味料を足したのか!? それとも、秋山みたいに審査員の舌を壊しにかかって……!」
「そんなこと致しませんことよ。お義母様の会社に迷惑がかかってしまいますもの」
ウツギは創建フーズコーポレーションの女社長、来栖カオリの養子であり、その行動は一料理人であるキリコよりも遥かに大きな責任を背負ったものだ。目立った不正を行うはずがないのは、キリコも内心分かっている。
「じゃ、じゃあ、あんたはどうやってあたしの料理よりも濃い味を……!」
「別に、材料にも調理法にも、そして調味料にも魔法はございませんわ。ただ……少し“器を重く、大きくしただけ”です」
「は……?」
あまりにも予想外の言葉に、キリコは呆気に取られる。これまでも様々な細工を行ってくる料理人は居たが、自分の料理の容器を重くしたというのはどういう意味だ?
「スペインのベニータ・ピケーラス・フィズマン、米国のチャールズ・スペンス両博士は、ヨーグルトの容器を用いて25gと75gのボウルを用いて実験を行いました。その結果『容器の重さは期待される満腹感、知覚される濃さ、そして後の満足感に影響する』という研究データが出たと発表しています……もっとも、その根拠や原因についてはまだハッキリと明言されていませんが」
「そんな……」
確かに見てみれば、ウツギの用意した料理はいずれも一人前にしては容器が大きく、負担にならない程度に重さを感じるものとなっている。
心の料理を旨とする自分が、人の心情を理解しきれなかった……二重の敗北感で崩れ落ちそうになるキリコに、しかしウツギは内側に籠ることすら許さない。
「それでは、五番町キリコさん……あなたもセレーヌ楊さんと同じように、わたくしの店にスカウトさせて頂きます。そういう約束でしたものね?」
「うぐっ……くそっ、好きにしなよ!」
そう、本来は他人と料理を競い合うことを……秋山ジャンに挑発されて乗ることは多いが……好まないキリコが、わざわざ料理対決などしていたのは、神戸“シードラゴン”から修行に来ていたセレーヌ楊がこの女に負けて、強制的に引き抜かれたのを取り戻しに来たからだ。
まさかの敗北で、五番町飯店の跡取りである自分が他店に引き抜かれる羽目になってしまったが、キリコはまだ諦めていない。
相手の店に飛び込んだ上で、今度こそ完膚なきまでに勝利して、ヤンを連れて戻る……この時はまだ、キリコはそう思っていた。
※
── 普段は創建フーズコーポレーションの開発部に所属しているウツギは、特定の店を経営している訳ではない。
しかし、キリコが“店員”として連れてこられた“黒い豆腐”のような長方形の建物の中には……胸と秘所が露になるように、コックコートを切り裂かれた女料理人たちの姿があった。
「あはぁぁぁ……♥ チ〇ポぉっ……♥ ウツギ様の雌チ〇ポ最高やぁぁっ……♥」
「んほっ♥ くさっ♥ くさぁぁっ……♥ 頭の中、ウツギお姉様のチン臭で一杯になるぅぅ……♥」
「なっ……ヤ、ヤンだけじゃなくて、あんたまで……!?」
「あ~、キリコお姉様やぁ♥ どうも、大谷水月チャンです♥」
そこには大谷日堂の義娘・極東中華厨房の大谷水月の姿があった。
“料理はパワー”という価値観の元、圧倒的な腕力で食材どころか、まな板すらも両断するほどの怪力少女は、今は卑猥なコックコートに身を包んだヤンと二人で、ウツギの股間に顔を埋めて腰をヘコつかせてみせている。
ヤンも水月も幸福に満ちた表情であり、てっきり無理やり働かされていると思い込んでいたキリコは、目前の光景のあまりの淫靡さもあって、ただ呆気に取られる。
「あんた、一体……こ、ここで何をやってるのよ!? あ、あたしをどうするつもりだ?」
「勿論、この“店”の料理人に相応しい人材になってもらいますわ。こちらのお二人のように、あるいはあちらのお方のように」
「あ、あれは!?」
そこには乳房と秘所だけでなく、腋も切り開かれた特注ドスケベコックコートで、自分の腋をなめながら蹲踞している見覚えのある料理人の姿があった。
「久しぶりね、五番町キリコ♥ これからは同僚としてよろしく頼むわ……これからお姉様のモノにあなたもなるけれど、私の“傾向と対策”、聞いていく?」
「陸麗花……陸一族まで……」
第二回中華料理人選手権で、キリコと死闘を繰り広げた陸麗花……代々アジアの料理界を表・裏から牛耳る、百蘭王に連なる一族の出身であった彼女が、今はプライドなどみじんも感じられない腰ヘコ蹲踞でサカッて見せている。
ここまでくると、キリコも自分の体が目当てでここに連れ込まれたことに気づいており、背後からウツギを殴りつけて逃げ出そうとするが、ヤンに「お姉様ぁ♥ 後ろが危ないでぇ♥」と裏切り警告をされてしまい、あっさりと目論見は潰える。
「苛烈な方ですわね、キリコさん」
「く、くそっ……ヤン、なんであんたがこんな……!」
「ごめんなぁ♥ でも、キリコちゃんもお姉様の“料理”を味わったら、もう帰れなくなるでぇ……♥」
ちー……とヤンがウツギの着ていたスーツの金具を口で下ろし、水月が社会の窓に顔を突っ込んで、“それ”を引きずり出してくる。
そこにそびえていたのは、女性に本来ならば備わっていないはずの肉竿……男性器であった。
「あ、あんた、男だったの!?」
「いいえ、両性具有……両方ついていますわ。性自認としては、女性の方が強いのですが……こと性欲は、雄としての方が強いんですの♥」
「きゃぁぁぁっ!?」
飛びかかってきたウツギに対応できず、キリコはそのまま押し倒されてしまい、そのたわらな両胸を服を裂いて露にされると、ぱんっ♥ ぱんっ♥ と挟んだ状態でチ〇ポを突き付けられる。
「おほぉぉっ♥ ほぉぉっ♥ す、すごい、匂いぃぃっ♥ あひっ、ひぃぃんっ♥」
「おっぱいを犯されただけで、すごい声が出ていますわ、キリコさん……♥ ふふ……味を確かめてみてはどうですか、料理人として♥」
「やっ……い、いやっ……んむぅぅぅぅぅっ♥」
ちゅっ♥ とチン先を唇に押し付けられてしまい、これまで料理一辺倒でキスすらも経験の無いキリコは、己の唇が肉竿に穢されたことで、あまりにもあっさりと気丈な態度が崩れ去ってしまう。
言われるがままに先端をちろちろと舌で舐め、その濃厚かつ味わったことのない風味に気づけば夢中になり、尿道に舌先を潜り込ませるほどに気づけば奉仕をしていた上、胸すらも自分で腕を拘束して突き上げる締まりを生み出してしまっている。
「(う、あぁっ……♥ あ、あたし、どうしてこんなことを……んおぉぉっ……♥ 苦いのに、味見が止まらない……あたし、こいつのチ〇ポの味が、好……ぷあぁぁぁっ♥)」
びちびちと顔にぶち当てるように射精がなされ、キリコの勝気な表情が精液に塗れる。
荒い息を吐きながら、ぺろぺろと舌が届く範囲のザーメンを舐め取ってしまうキリコだったが、今度はその太ももがしっかりとホールドされ、秘所に肉竿が擦り付けられた。
「あぁぁっ♥ そ、それは、ダメ……あはぁぁぁぁぁぁぁっ♥」
「ふふふ、五番町飯店の跡取りを仕込んで差し上げますわ♥ わたくしとキリコさんの子供で、日本の中華を牛耳ってしまいましょう♥」
「あっ、うぁぁぁっ♥ い、いやだぁぁ……あ、あんたみたいな、心を蔑ろにする奴なんてぇぇぇ……ほぉぉぉっ♥」
「キリコちゃん、そんな我儘言うたらアカンよ♥ ウツギ様に迷惑かけるようなら、ウチらが強制するからな♥」
「お姉様ぁ♥ こうやって耳を舐められながら、乳首こりこりされるのどうですかぁ♥」
「あなたみたいな堅物女の腋、舐めてあげるのは私くらいよ♥ マン舐めされたみたいにアヘりなさい♥」
「あぁぁーっ♥ あーっ♥ あひぃぃぃぃぃぃぃぃっ♥」
激しくウツギに突き上げられつつ、ヤンと水月に耳を舐められながら乳首をカリカリされ、麗花に腋を軽く噛みつつ舐められる。
少女たちによるフルコースの快楽は、キリコの強靭な心であろうと、ヒビさえ入っていれば打ち砕くのは容易く、ぼこぉっ♥ と腹に貫かれた支給が浮かぶころには、完全にその顔は快楽にふけり切っていた。
「キリコさん、このお店で働いてください……♥ わたくしの料理の心情に、したがってもらいますわ……♥」
「あっ……あっ……やめっ……キスはぁぁ……んむぅぅぅっ♥ あふっ……んはぁぁっ……キス、おいしっ……んおぉぉぉぉーっ♥」
激しいピストンからの濃厚膣内射精にキスハメが加わり、キリコはそれこそ調理を施されて料理として加工されるが如く、おのれの信念を捨て去って、快楽に染め上げられてしまった。
デカ乳を快楽で揺らし、精液をびゅくびゅくと逆流させるキリコに、ウツギが頬を何度もキスしながら囁く。
「そういえば、わたくしの料理の心情を語っておりませんでしたね……料理は“お姉様”ですわ♥」
「は、ひぃぃ……♥」
その難解な心得の意味が分かるのは……この“店”に唯一の“客”がやってくる日だった。
※
──皿一杯の料理をザラザラと口の中に放り込み、バリバリとかみ砕いて飲み込んでしまう。
それをウツギそっくりの美女が、和服に染みさえ付けずにやっているのだから、驚くべき光景だと言えた。
「おいし~っ♥ 量も味も申し分ない~っ♥ やっぱりウツギに頼ってよかったぁ♥」
「お姉様の為ならば、ウツギはなんでも致します……二人きりの姉妹ですもの♥」
一流の料理人たちを集め、ふたなりメスチ〇ポに腰ヘコチン媚びするほどに信念をへし折って協力させて、作り上げる大量の料理の数々。それが魔法の様に消えていく。
ここまでしなければ飢えを満たせない客……一見すれば日本人形のように愛らしい彼女の名は、英泉碧子。英泉流華道の家元であり、その清楚な外見がひとたび崩れれば、人間とは思えない巨大な口の持ち主である。
ウツギは本来は碧子にとって双子の妹なのだが、諸所の理由から来栖家に容姿に出されていた。ウツギにとっての料理とは、愛しいお姉様を満たすこと……その一点のみである。
「はぁ……はぁ……♥ お腹も“七分目”くらいになってきて、おちんちん勃起しちゃった♥ ねえウツギ、おちんちん相撲しよお♥」
「あんっ♥ お姉様、兜合わせも夢の様に心地よいですが……今日は新入りが待機しておりますわ♥ キリコさん♥」
「はひぃっ♥ おほぉぉぉっ♥」
ヤンや水月と同じ、ドスケベコックコートで腰ヘコ蹲踞を決めて見せるキリコ。彼女にとっては、ウツギが喜ぶことが全て……心の料理の為に磨いてきた技法も、その過程で実った体も、もはや捧げることに何の迷いもない。
「ひゃぁ~♥ ビッグ大谷日堂杯で観客席に見かけた時から♥ おっぱいメチャクチャにしてあげたいと思ってたんだよね♥ おらぁっ♥ 姉妹チ〇ポしゃぶれぇっ♥」
「ふふふ、オラつくお姉様も可愛い♥ さあ、キリコさん……今夜は狂うまで二輪挿しにしてあげますわぁ♥」
「はひぃぃぃっ♥ デカチンが二本もぉ……♥ し、幸せでひゅぅぅぅっ♥」
……こうして、キリコはたった二人の心を満たすための“食い物”に、幸福の中で堕ちていくのだった……。
今回の攻め役
※来栖空木(くるす うつぎ)
・創建フーズコーポレーションの女社長、来栖カオリの養子。色々面倒くさい手続きなどが背景であった為、母娘というよりかは姉妹のような年齢差である。黒スーツに身を包んだワンレングスヘアの美少女といった外見で、英泉流華道家元の栄泉碧子と瓜二つの容姿の持ち主。
・実は碧子の双子の妹であり、母親に伝説的な怪異『口裂け女』を持つ半妖怪。本作の『鉄鍋のジャン』は『キガタガキタ-恐怖新聞新章-』と同一世界という設定である為、怪異がひっそりと存在している。多分、睦十と階一郎もそのうち墓から復活してくる。
・幼少期から姉の食欲を満たしたいと願っており、来栖家との養子縁組も姉の為。碧子に対しては徹底的に甘やかすスタイルであり、碧子の食欲(と性欲)を満たす為ならば女料理人の信念をへし折って“店員”として囲うことも厭わない。碧子が量と質を兼ねていないと満足できない体質にしてしまった主犯でもある。
・その為、精神的には料理人とは程遠く『料理はお姉様』という端から聞くとよく分からない信念の持ち主。碧子の健康にも配慮しているため、本編中で見られたような知識も幾つか持ち合わせる。湯水グループとも繋がりがあるため、刈衣花梨から聞いたものも多いらしい(割とウツギの好みである花梨が囚われていなかったのはこの為)。
・ちなみに、本命は碧子だが“店員”にした少女たちへの愛情自体は存在しており、碧子を満たす“来店時”以外はきちんとキリコたちを養っていくつもりでいる。