「──士くん、帰ってきませんねぇ」
祖父の淹れてくれたコーヒーを口に運びながら、光夏海は実家である写真館に住み着いた青年・仮面ライダーディケイドこと門矢士のことを想う。
『世界の破壊、そして再生』を担う役割を果たした“世界の破壊者”ディケイドだったが、その後も士は旅を続けており、最近はこの写真館を使わなくても世界を渡る力を手に入れたこともあって、写真館へ戻って来ることも減っていた。
それでもふらりと戻ってきては、夏海や祖父の栄次郎とじゃれあっていたのだが、こんなに長く帰ってこないのは初めてのことだ。
『フラれちゃったのかしらねぇ。一度あなたに負けてるから、意地になってるのかも』
「やめてください、士くんとはそういうのじゃありません」
白いメタリックな蝙蝠……キバット族のキバーラに言われて、夏海は不機嫌そうに唇を尖らせた。言及されたのが、あまり思い出したくない記憶なのもある。
妹さんの元にでも帰ってしまったのか、海東大樹と追いかけっこをしているのか、クウガの世界に帰った小野寺ユウスケを訪ねているのか……あるいは、あれからも何度も復活を遂げている悪の秘密結社・ショッカーを追っているのかもしれない。
少しだけ怖い想像もしてしまうけれど、士──ディケイドがとても強い仮面ライダーであることを夏海は信じている為、ここで待つのが彼と再会するなら一番だと考えていた。
「最後に帰ってきた時は、なんて言ってたんですっけ。ジオウ? とかなんとか……」
そう呟いた瞬間、いきなり写真館内部の背景ロールが変化し、夏海はぎょっとした顔をする。それは、世界を光写真館が移動する時のサインだったからだ。
今は栄次郎が買い物に出かけているタイミングであり、なんだかんだと住人が全員そろっている状態で切り替わることが多かったので、夏海は「お、おじいちゃん!」と慌てながら、背景ロールもよく見ずに飛び出してしまう。
「えぇっ……な、なんです、ここ!?」
そこは全ての建物が薄くクリーム色に発光し、街のあちこちに差している時間がまるで違っている時計が設置されている、なんとも奇態な場所であった。
歩いている人たちは皆、男性は紫を基調にしたジャケット姿で、女性は純白のガウンの下にボディスーツのような衣装という、夏海が浮いてしまいそうな格好をしている。
もっとも夏海は周囲から注目を受けることはなかった……その姿が、街の女性たちと同じ白を基調にしたものに変わっていたからだ。
「な、なんです、これ? 士君でもないのに、どうして私の格好まで変わって……いえ、そう言えば鎧武の世界に行った時、私の姿も変わったことがありましたね」
その時は仮面ライダー鎧武ナツミカンアームズに変身し、巨大ロボットを相手に大立ち回りを演じたのだった……あの時は囚われていた海東を救う使命があったが、この世界にも夏海が果たさなければいけない役割があるということか。
「う~ん……他の街の人たちと区別がつかなくて、何をすればいいのかさっぱり……それに、おじいちゃんはどうなっちゃったんでしょうか」
『栄次郎ちゃんのことはわからないけれど、使命の方はヒントがきたみたいよ』
キバーラに言われて見上げると、そこには白のベースカラーに金色のラインが入った装甲、黒のぴったりと張り付くボディスーツ、どこか神聖な空気をまとい、複眼部分が三日月のような形状になっている……見たことも無い女性ライダーが浮かんでいた。
謎のライダーが手をかざすと、滅茶苦茶に狂っていた時計が一斉に同じ時間を示し、どこかくすんでいた建物のクリーム色の輝きが本来の光を取り戻していく。
「──民たちよ。この国が崩壊を迎えることは、永遠にこない。このわたし、女王アルピナが……仮面ライダーツクヨミがいる限り」
決して力強い宣誓ではないが、それでもどっしりと響くような涼しい声音に、民たちが一斉に歓声をあげる。
「仮面ライダーツクヨミの世界……」
夏海はその艶やかな姿に、目を奪われながら小さく呟いた。
……ツクヨミの複眼が、既に夏海を捉えていることに気付かないまま。
※
「あのアルピナという女王様が、この世界を治めてるんですかね……」
「そうなるわね。代々の宿命なの」
「わぁっ!?」
一旦写真館に戻り、思考をまとめようとした夏海だったが、独り言に応答があって大げさに飛び上がる。
恐る恐るといった感じで振り向くと、そこにはまるで和人形を思わせるような、高貴で美しい乙女が立っていた。
夏海もなかなかの美女……もう二十歳を超えているのに、いつまでも“美少女”という印象の方が強いが……なのだが、流石に相手が悪いと思ってしまうほどに整った容姿である。
「お、お客様ですか? すいません、私はただの受付で……撮影はおじいちゃんが戻ってからでお願いしたいんですが」
「撮影……変わった趣味があるのね。いいわ、受け入れてあげる」
「え? え? え?」
「わたしは構わないけれど、女王を玄関に立たせたままにするのは、我が国民への心象が悪いと思うわよ……“世界の破壊者”ディケイドの抑止力・光夏海さん」
「……!」
夏海はディケイドの名前が出たことと、少女の声が女王アルピナ……仮面ライダーツクヨミと同じであることに気付き、慌てて建物の中へと案内する……のだが。
「な、なんですか、これぇっ!?」
「そんなに驚くような内装? 寝屋としては普通だと思うけれど」
世界を移動した後、一度外に出て戻ってくると、内装が変化していることがあったが……どうも光写真館自体が、世界によって役割を変えることがあるようだ……今回の変化は飛びきりだった。
何しろ光り輝く都市を照らす三日月のように、可憐に舞う仮面ライダーツクヨミの背景ロールの前には、ドン! と大き目なベッドが設置されていたのだから。
二人分の枕がそこには設置されていて、布団は少し大きめだがハートの形を象っている。経験こそ無いが、夏海であっても“その手のホテル”であると一発分かる内装に変わってしまっていた。
「す、すいません、いつもはこんなのじゃないんです! い、今、椅子を用意しますから!」
「構わない。ここでいいわ」
「えっ、ちょっ……」
「あなたも。隣に来なさい、話を聞きたいんでしょう?」
アルピナは何でもないようにベッドの上に腰かけてしまい、内装も気になって夏海は勝手に意識してしまう。
耳元で『女の子同士だし、気にし過ぎよぉ』とキバーラが話しかけてきて、思わず手を振り回して追い払った。流石に素早く『笑いのツボ』のように簡単には捉えられない。
「えっと、それじゃあ失礼します……あの、もしかして鳴滝さんから聞いたんですか? 士くんが“世界の破壊者”だって」
謎の男・鳴滝は、何故か士のことを敵視しており、渡る世界に先回りしては彼の悪評をバラまいていることが多い。夏海としては、最初に大ショッカーと戦った時に助けてもらったこともあるので悪い人とも思えないのだが、その後は逆に大ショッカーに協力したりと、よく分からない相手だ。
「彼が噂を広めなくても、今やディケイドの評判はあちこちに響いているわ。あなたが、その破壊者を一度止めてみせたこともね」
「あれは……あれはその、いろいろと已む無くですね……」
「破壊者を破壊した乙女……わたしの伴侶に相応しい」
なんだか変な単語が聞こえた気がして、固まった夏海の手がそっと握られる。
柔らかな掌の感触に拘束されながら、すんすんと髪に埋められた鼻を鳴らす音が聞こえた。
「ちょっ、な、なにを……アルピナ女王!?」
「わたしはかつて、愚かな兄によって王座を奪うべく殺されかけた……崩壊を続けるこの国を調律する力──時間を操作する力に目覚めて返り討ちにすることはできたけれど、あれ以来わたしは男を一切信用していない。けれど、わたしの伴侶を務めこの国の崩壊の運命へと立ち向かうとなれば、仮面ライダーのような勇士以外は考えられない。あなたは、理想的な存在」
アルピナはその美しい顔に何処か苛烈な笑みを浮かべ「あなたも期待してたんでしょう?」と囁きかける。
その時になって、夏海はようやくアルピナとのやり取りの齟齬に気付いた。今の光写真館は、この通りブティックホテルのような内装になっている……そして、夏海はこの国の住人の格好に変わっている。
つまりアルピナからすれば、夏海が自分の伴侶としての役割を果たすことが「この世界での夏海の使命」なのだ。
「(私、撮影とかとんでもないこと言っちゃってるぅーっ!?)」
「さあ、ここがあなたの旅の終着点。光夏海の物語は、女王アルピナの伴侶として愛されて終わる──己の物語を受け入れなさい」
「か、勝手なことばかり言って! 私の物語は、私が自分で決めます! キバーラ!」
『はいはーい、久しぶりねー♥ ちゅっ♥』
キバーラがキスをするような音を立てるのと同時、額と中心に無数のハートが展開する。
夏海とキバーラが同時に「『変身ッ!』」と叫んだ次の瞬間には、女性にしては相当に力が強いアルピナを簡単に振り払えるほどの力を秘めた、紫と白の装甲女性騎士の姿がそこにはあった。
「仮面ライダー、キバーラ!」
「ふふっ……仮面ライダーともあれば、簡単に組み伏せられてくれる訳もないか。ならばライダーバトルと行きましょう」
キバーラの姿に恍惚とした頬当てポーズを取って見せたアルピナだが、世界の破壊者ディケイドをも突破して見せた女ライダーへ怖気る様子は微塵もない。
アルピナの手の中には己の変身の為の道具……ジクウドライバーとライドウォッチが現れ、カチリとスイッチが押された。
【ツクヨミ!】
「変身……!」
【ライダータイム! 仮面ライダーツクヨミ♪ ツ・ク・ヨ・ミ!】
ここに二人の女性ライダー……異形の女騎士ライダーであるキバーラと、神聖な天使を思わせるライダー・ツクヨミが相対したのである。
「例え女王様が相手でも、ここで待たなきゃいけない相手がいるんです! 覚悟ッ!」
キバーラはその背に紫色の翼のオーラを発現させると、ツクヨミに向かって突進を開始した。
エネルギーの余波で破れたシーツの中身の羽毛が、まるで宗教画のように舞い散っている……。
※
「ふふっ……こんなにも扇情的で、同性を誘うような意匠をして襲い掛かるなど、これがあなたの嫁入り装束ということでいいのかしら? この装甲の大本であるファンガイアにとって、婚姻は特別な意味を持つそうだし」
突進した姿勢のままで、まるで蝋人形にでもされてしまったように動かなくなっているキバーラ。
これこそが、恐るべきツクヨミ……いや、アルピナ本人のもつ時間操作能力である。
複数の世界とそこから流れ込む時間との交差によって、常に滅びに晒されている国を支え、調律する為の力……仮面ライダーにも時間の操作を可能とする者は幾らか存在するが、アルピナの場合は「ライダーの力として時間操作を行える」のではなく「時間操作を行えるアルピナが強大なライダーに変身している」というパターンだ。
ディケイドの操るクロックアップすら正面から破ったキバーラだが、これには対応すらも出来ずに意識を保ったまま静止させられてしまっていた。
「(うぅぅ……ま、まさか、こんなものすごい力があるなんて……時間の操作が出来るのは分かってましたけど、ここまで自由自在に……!?)」
「この大きな胸を、わたしに捧げてくれるのでしょう? なんてよく出来た花嫁……一生傍に置いてかわいがってあげる」
「(んあぁぁぁっ♥ ど、どうしてぇぇ……♥ き、キバーラの鎧を纏っている状態なのに、んぁっ♥ こ、こんな……♥)」
停止した時間の中で、キバーラの姿のままで胸を揉みしだかれ、夏海は装甲が何の意味もなしていないことに驚愕しながら、頭の中で喘ぐ。
仮面ライダーを表面上のスペックで語るのは愚か極まりないことだが、キバーラの腕力は3tに匹敵するとされている。
これは逆に言うと、硬く強固になりすぎて3tの力で自壊しないように、弾性や可塑性をキバーラの鎧に持たせているということであり、3t以上の衝撃は魔皇力で防ぐなどの対策が必要になるということだ。
これに対して、ツクヨミの腕力は実に27t越え……しかも時間停止した状態では回避も魔皇力の防御も叶わず、装甲はただの扇情的なボディスーツのような扱いになってしまうのだ。
散々に胸を揉みしだから、乳首をきゅっ♥ きゅっ♥ と絶妙な力で刺激されて、自慰も知らない夏海の感覚は膨大な快感を受け取る。
しかもこれは、肉体が感じている快楽ではなく、精神が感じているもの……体の方は、延々と快感が蓄積された状態になっているのだ。
どうやっているのかは謎だが、首筋にちゅっ……♥ と仮面があるはずなのに唇の感覚を感じ、夏海はゾクゾクと背中を震わせる。
「(あぁぁっ……♥ だめ、だめぇぇ……そんな優しくキスしないでください……わ、私、優しくされるとダメなんですぅ……♥)」
「ここも綺麗に保たれている。わたしの為に純潔を守ってきたのでしょう? ほら、中はどうなの……もう感じている♥」
キバーラの武器であるキバーラサーベルを奪い取ったツクヨミは、すぅー……と秘所に滑らすように刃を当て、くぱぁ……と中の夏海の秘所を露にしてしまう。自身の武器でスーツを破壊された上、秘所を晒されてひたすらに夏海は羞恥と快感と戦う羽目になる。
「(やっ、やぁぁっ……♥ 指、気持ちいいっ……♥ この人、こんなに無理やりしてきてるのに、私のこと気遣って、優しくてしてぇ……す、すごく上手なんですぅ……♥ メチャクチャに穢されたら、憎むことだってできるのに……あぅ……♥ やっ、好きになっちゃダメ……♥ あぁぁっ……アルピナさん……アルピナ、様ぁぁぁ……♥)」
ぷしゅっ……と潮を吹いてしまうほどに秘所を掻き混ぜられたキバーラ。中の夏海はもう、この異常な状態で自分を優しく包んでくれるアルピナを崇拝し始める、典型的なストックホルム症候群に陥ってしまい、動くならばアルピナに縋り付いてしまいそうだ。
「全身がほぐれて、わたしに娶られたい、嫁ぎたいと甘えているようね……♥ いいわ、仮面ライダーキバーラ、そして光夏海……♥ 時間が動き出すと同時に、あなたの処女を奪う……蓄積された快感で壊れてしまわないように気を付けなさい? 壊れてしまっても……飼ってあげるけれどね♥」
「(あっ、あっ、あっ……♥ おじいちゃん……ユウスケ……士く──)」
次の瞬間、体の感覚が正常に戻り、一斉に時間停止中の快感が肉体反応としてフィードバックされた。
同時にツクヨミの弓がぶちぶちと夏海の処女を貫き……破瓜と流れ込む快楽の波がイコールになってしまう。
「あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♥ ひっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁーっ♥ 気持ちいいぃぃぃぃぃぃぃぃっ♥ おかひっ、おかひくなっ……ひゃうぅぅぅぅぅぅぅぅっ♥ アルピナしゃまっ♥ アルピナしゃまぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♥ おんほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ♥」
派手に潮を吹きながら変身解除し、キバーラはアルピナ……変身を解除したツクヨミにすがりつき「しゅきぃぃ……♥」と時間停止中に植え付けられた行為を囁く。
アルピナは微笑みながら背中を撫で、第一婦人を優しく迎え入れるのだった。
※
「──なるほど、この寝屋……本来は写真館の力を使えば、様々な仮面ライダーの世界を渡ることができる……お前のような妻を幾らでも迎えられるということね、夏海?」
「は、はい、アルピナ様っ……♥ はぁー……はぁー……お預け、もう、無理ですぅ……♥ おマ〇コ舐めさせてくださいぃ……♥」
完全にマゾ奴隷に躾けられた夏海は、アルピナの股間で延々をマン臭を嗅がされて我慢汁を垂らしており、まるでおもらしをしてしまったようだ。
忠誠の証なのだろう、アルピナの手にはキバーラを象ったライドウォッチが握られており、恐らくアーマータイムも可能であるはずだ。
「そうやってハーレムを築きあげれば、この国の崩壊を防ぐ手段も見つかるかも知れない……夏海、共をしなさい? あなたの仲間を集めにいくわ」
「は、はひぃぃっ……すべては、アルピナ様のために♥ ちゅっ♥」
夏海がアルピナにマンキスした瞬間、シャッターが切られて二人の記録として残される。
背景ロールが再び下がり始め、新たなヒロイン、新たな女性ライダーのいる世界が指し示されていた……。
屋根が高い
2023-12-21 09:46:51 +0000 UTCソウシップ
2023-12-21 09:37:37 +0000 UTC屋根が高い
2023-12-21 08:15:30 +0000 UTCとろがけ
2023-12-21 08:08:30 +0000 UTC屋根が高い
2023-12-21 08:05:25 +0000 UTC邪バレンスタイン
2023-12-21 08:03:17 +0000 UTC