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柴崎しょうじ
柴崎しょうじ

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「そうはならんやろ」を恐れない

先日ネットフリックスで配信開始された『セーヌ川の水面の下で』という映画が信じられないくらい面白かったです。


これほど「衝撃のラスト」という言葉が合う映画も中々お目にかかれないので、情報を入れずにまず自分の目で観てもらいたいです。100分の短い映画なので観やすいのもグッド。


物語全編を通して語りたいことはたくさんありますが、僕が最も前のめりになったラスト数分だけを話します。


ここからネタバレです。


まずこの映画では、メスのサメがなぜか巨大化し、なぜか淡水に適応し、なぜか海からセーヌ川を遡上して、単一生殖で短期間に大繁殖します。

そして、この映画の舞台であるセーヌ川には大戦中に放棄されたらしい不発弾が無数に沈んでいます。

この時点で「そうはならんやろ」が満載ですが、サメ映画におけるサメが非科学的な存在なことはそもそもパイオニアのジョーズからしてそうなので、今更突っ込むのは逆に恥ずかしいことですね。


その前提で物語のラストでは、サメを駆除するために派遣された軍人が水中のサメを撃ちまくったところ、川底に沈んでいた大量の不発弾が一斉に起爆して大洪水が起きます。その場にいた人間は全員洪水に巻き込まれ、主人公が目を覚ますとパリ全体が水に沈んでいました。

そんな水没したパリの街中をサメ達が優雅に泳いでいるカットで映画が終わります。

エンドロールではサメがものすごい勢いで世界中に広がっていく様子が描かれ、地球がサメに飲まれます。


問題、というか本題は「川に沈んだ不発弾が爆発して大洪水が起き、パリが川に沈む」という点です。こんなもの1万人が見たら1万人が「そうはならんやろ!」と突っ込みますが、監督はそうしました。


普通、アイデアの時点でこんな事はありえないだろうと自分で突っ込んでボツにしそうなものです。僕なら荒唐無稽過ぎてなんとなく恥ずかしくなってボツにします。しかし、この監督はアイデアを貫き通しました。突っ込まれることなんか当然分かっているはずです。


常識とか周りの目よりも自分の描きたい画を貫き通した監督をクリエイターとして心の底から尊敬しました。

創作をするなら恥を捨てろとよく言いますが、まさにこういう姿勢のことを言うんだと。


とんでも映画ではありますが、サメのパニック物としてしっかり緊張感と恐怖感があるよく出来た映画です。描写自体はふざけてるのかと思わず言ってしまいそうになるのに、映画自体は至って真面目に作られているというのも大事なポイントです。

ただ悪ノリしてクオリティの低いものを作ったのではなく、自分で良いと信じたものを真剣に作ったことが伝わりました。


自分がこれから「このアイデアはないな」と思った時、この映画を思い出そうと思います。


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