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柴崎しょうじ
柴崎しょうじ

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レトロポケモン冒険記③前編

だいぶ間が空いてしまいました。

三本目は「ホワイト」「ホワイト2」です。

それぞれ別のタイトルですが、世界観が地続きなのでまとめることにしました。

ホワイトは書きたいことが多すぎて長くなったので、前編・後編に分かれます。


早速ですがこの「ホワイト」はポケモンという作品の完成形の一つだと思いました。


ホワイトの何がよかったといえば、まずストーリーです。

今回僕が感じたストーリーの良さとは、漫画を描く人間の視点になるので少し特殊かもしれません。

ストーリーがよかったと言っても、ホワイトがなにか特別ひねった展開があったわけではあありません。大筋はいつもの「主人公が悪の組織を潰す」というテンプレをなぞったものです。

ではホワイトは他のポケモンタイトルと何が違ったのかというと、キャラクターの変化を丁寧に描いていたということです。

キャラクターの変化とは、そのキャラが物語開始時にある主張を持っていて、そこから様々な経験を通して悩み考え、最終的にどういう想いに行き着くかということです。これに関してホワイトは別格でした。


ホワイトでは、主人公と同時に旅を始める幼馴染の「ベル」「チェレン」。敵のボスである「N」の3人が三者三様に変化をしていきます。

まずチェレンですが、旅のスタートは「とにかく強くなりたい」という動機を持っていました。チェレンにとっての強くなるというのはポケモンリーグを制覇してチャンピオンになることです。しかし旅を続けジムリーダーや悪者と触れ合っていくにつれて、ポケモン勝負でいくら勝っても強くなっているのは自分ではなくポケモンの方じゃないかと思うようになります。では、強くなるとはどういうことなのかと悩み始めます。

最終的にはポケモンと協力し合い、人とポケモンが暮らす世界を守れることがチェレンにとっての強さだという答えを得ました。


長くなってしまうので残り二人については割愛しますが、ベルとNもそれぞれの旅路を経て変化をします。僕が敢えて「成長」ではなく「変化」というのは、ベルに関しては旅をすることで何か大きな目標ができたり、最初と最後で人生観がアップデートされるわけではないからです。

この点でもホワイトは巧みだと思いました。

余談になりますが、日本には経験は成長の糧にならないといけないという宗教があります。「あんなことがあったけど、あんなことがあったから、おかげで今の自分があります」というやつです。全てにおいて無意味であることを許さないというのはポジティブに見えてかなり強迫観念にとらわれています。

対して、ベルは純粋にただ旅を楽しんでいました。旅から教訓を得る者もいれば、そうでない者もいる。ホワイトはその2つの立場を描いています。

ベルが旅から何も得なかったというわけではなく、彼女も彼女で多くの人と出会い知見を広めました。チェレンと違って人生観が変わったわけではないので、あくまで変化と表現しました。


僕は今回ホワイトを遊んで、あらゆる作品において「ストーリーとは何か?」という問いに対する答えの一つを得た気がしました。


つまり、創作におけるストーリーとはイベントの羅列ではなくキャラクターがいかに変化したかを順序立てて描写するということなんだと思います。

これは、ほぼ誰ともかかわらず無口な主人公が淡々と悪者を倒していく赤~金銀と今回のホワイトを比べると明らかです。どちらも似たような悪の組織を倒す話ですが、赤のストーリーが良かったと思う人はいないでしょう。赤~金銀にはキャラクターがいないからです。


創作でキャラクターが大事と散々言われ続けるのはこういうことなのかと、心の奥で理解できました。


というわけで後編に続きます。


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