人生初の漫画持ち込みに行ってきました
Added 2025-09-30 12:58:17 +0000 UTC9月7日に東京ビックサイトでコミティアが開催されました。
コミティアとは一次創作、つまり作家の完全オリジナルの作品のみを取り扱う即売会です。自分の中にゼロから湧き出た作品を自費で世に出すという、正しく意識の高いイベントなので、漫画に興味がある方は一見の価値ありです。
コミティアには即売会とは別に、出張編集部という催しがあります。それは文字通り漫画雑誌の編集者さんがビックサイトまで出張をしてくださって、漫画の持ち込みをその場で受け付けてくれるというものです。
出張に来てくださる雑誌は数十あり、みんなご存知週刊少年ジャンプから、ちゃおにアフタヌーン等、少年少女青年成年問わずあらゆるジャンルの雑誌が名を連ねています。
本来ならそれぞれの会社に電話をして約束を取り付けて会社に足を運ぶという手順を踏まなければいけません。それが会場に行ってその場で見てくださいとお願いするだけで持ち込みができるというのは、漫画家志望者にとってどれだけ素晴らしいイベントかわかるでしょう。
今回はそんな出張編集部に飛び込んだ話です。
会場は誰でも出入り自由になっていて、入口に各雑誌に対応した受付券が並んでいました。それぞれの券に番号が振ってあって、それがそのまま順番待ちの番号になるというシステムです。役所や病院と同じですね。
会場内にいるのは多分ほとんどが漫画家志望者で、お祭り状態のコミティア本会場とは全く違う空気でした。静かな熱気に満ちているというか、なんとも言えない空間です。
持ち込みに用意した漫画は、今回のために描き下ろした21ページの日常恋愛コメディです。このたった21ページが納得行く内容になるまで5ヶ月程かかりました・・・これがダメだったら次の新作にまた数ヶ月かかるかもとか、そもそも自分の年齢的に一般誌で挑戦できるチャンスなんてもうないのかもなんていう絶望感もあって、イベントが始まる前からちょっと泣きそうでした。
そんなこんなで始まったコミティア出張編集部。今回は4誌に持ち込みをしました。本当はもう何社か行くつもりだったのですが、色々あって4つまでしか回りませんでした。持ち込みをお願いした雑誌名は一応伏せておきます。
まず1誌目は非常に好感触をいただけました。名刺もいただけて、もしこのまま連載したいなら何話分かネームを作って持ってきてくれと言ってもらえました。とはいえすぐ一緒にやろうとまでは誘っていただけなかったので、不可よりはマシといったところでしょう。それでももしかしたら自分はまだ作家としてやっていけるんじゃないかと希望を持てるスタートでした。
2誌目は一転、読んでもらった時点で編集さんの心のシャッターが降りたのを感じました。なんなら鍵までかかっていた気がします。褒められることもダメ出しすらされることもなく、ああ、1つ目の雑誌で褒められたのは気を使われただけなんだなと、急に現実に殴り倒された気分でした・・・
とはいえこのまま泣いて帰るわけにはいかないので、せめて最初に予定していた雑誌を回るだけでもしようと自分を奮い立たせて3誌目に向かいます。
3誌目の編集さんとはなんだかすごく話が弾みました。内容をざっくり言うと、「この漫画は面白い。じゃあこれをどうやって売っていくか」というお話をしていただきました。
よく言われる「キャラを立てる」とはどういうことなのか、一線で戦っている編集さんからかなり具体的なアドバイスをいただけて、夢のような時間でした。おかげさまで、商品としての漫画を作るということが少しリアルに実感できました。
実感するのが10年遅いですが、人生はいつだって今が一番若いので今知れてラッキーだとポジティブに捉えます。
でも、自分がもっと若い時に積極的に挑戦をしてこういう編集さんに出会えていたら、今と全く違う人生になっていたかもなんてことも思ってしまいました。まあ、若い頃の自分は今より遥かにバカだったので、今回の話が理解できていなかったような気もします。
若者ってみんなバカなはずなのに、どうして若いうちから素晴らしい漫画を描く作家さんがこの世には沢山いらっしゃるんでしょうね。
ここでも、今回話したことをうまく調整できたら自分のところに持ってきて欲しいと言っていただけました。おかげさまで、一度地面にめり込んだ自尊心が少しだけ這い出てきました。
たくさん褒めてもらえていい気分になれたので、この時点で引き上げようかとも考えました。もし予定していた残り3誌全てで酷評されたら立ち直れないでしょうし・・・
ただ、4つ目に持ち込みを予定していた雑誌は、他と違ってある目的がありました。その雑誌には僕が今ドハマリしている漫画が連載されていて、あわよくばその担当編集さんとお話できたらいいなというものです。
というわけで4誌目に突撃をしました。
ここで対応してくれた編集さんもすごく褒めてくださって、3誌目とはまた違った角度で、いかにしてこの漫画を売るかという話で盛り上がりました。ちょっと飛躍しすぎですが、半分打ち合わせをしている気分でした。
一通り話し終えたのでそろそろ切り上げようとした所、お話していた編集さんがおもむろに「ウチで今やってる賞に出してみないか」と提案してくださりました。
いや、自分如きの漫画が誰かと競って評価されることなんてあるわけないだろうというのが正直な想いでした。それだけ自分の漫画家生活には手応えがなかったわけです・・・
けれども、向こうからチャンスを与えられて断ってたら何をしにこの場に来たんだと目的を思い出し、ありがたく申し出を受けることにしました。
更に、後日編集部で掲載に向けて打ち合わせをしないかとお誘いもいただけてしまいました。
もしかして本当に自分に期待してくれているのか?と半ば混乱しながら是非と返事をしてブースを後にしました。
賞に出すために原稿を提出してしまったので、ここで持ち込み行脚は終了しました。
家に帰って余韻に浸っていると、コミティアで賞に出した雑誌の編集さんから早速電話があり、賞が取れたとご報告をいただきました。なんと賞金もいただけるそうです。
自分の描いた漫画がただ編集さんの気遣いで褒められただけじゃなく、ちゃんとお金を出してもいいと思える価値があったんだと、なんだか感動してしまいました。
朝起きてコミティアに向かう間はこの世の終わりのような気持ちで、今回の持ち込みでなんの手応えもなかったら諦めて大人しくエロ漫画一本で食べていこうと決めていました。この年齢で半年練って描いたものが通用しないなら、もう一般誌でやっていく実力はないんだと。
実際、今まで結果が出ていないのにまだやれるかもとあがいてる自分みたいなのが近くにいたら「いい加減目を覚ませ」と言ってやりたくなりそうです。
もうコミティアが開催された9月7日からだいぶ時間が経ってしまったので言ってしまいますが、今回持ち込んだ漫画は、となりのヤングジャンプで現在公開されている「高峰くんの妹」で、持ち込んだ編集部はヤングジャンプさんです。
そして僕が今ドハマリしているという漫画はヤングジャンプで連載中の「のあ先輩は友達」です。
「高峰くんの妹」はありがたいことにすごく好評をいただいています。今まで描く漫画がことごとく「面白くないね」と評価されてきた身としては夢のような状況で、毎日感想を見返して元気をもらっています。
今は次回作を作っている状況で、もしかしたらまた何かお見せできるかも知れません。
とはいえ、これまで一緒に描きませんかと声をかけられて打ち合わせを重ねた結果、何も生み出せないまま空中分解をした経験は数知れずあるので、期待してくださいとは口が裂けても言えません。
過去のいろんなことを思い出して、喜びと同時にそれ以上の不安が押し寄せていますが、今回は初めて自分から動いて手にした話です。つまり、今までのように「さあ、何を描きましょうか?」という段階はもうクリアしています。
それだけでも希望の大きさがこれまでとは全く違います。これからどうなるのか、どうにもならないのか。本気のガチのマジで最後の機会だと肝に銘じて作業中ですので、どこかで新作を見かけることがあったら「ああ、頑張ったんだな」とこっそり褒めてやってください。
余談ですが、出張編集部の1誌目で順番待ちをしている時に、隣りで同じく順番待ちをしていた方が話しかけてきました。お互いまだ挑戦者というデリケートな立場なのであまり突っ込んだ話はできませんでしたが、ほんの短い間漫画談義に花を咲かせました。
自分と全く違う生活をしながら漫画に取り組んでいる人の話を聞けたのはとても楽しかったです。
僕はそういう話をする相手が全くいないので、出張編集部で持ち込みをしたことと同じくらい良い思い出になりました。
あの張り詰めた空間で見ず知らずの人に話しかける勇気があるのはそれだけで一つの才能だと思うので、今日お話したあの人がうまく行けばいいなあと陰ながら応援しています。
Comments
高峰くんの妹 読ませていただきました いち漫画好きとして見るとやはりまだまだ物足りないモノを感じますが物足りなさは伸びしろだと思える期待感は感じます。完全オリジナルだとキャラの個性出すの大変だろうなと思いますが今回の作品のキャラは個人的には好きです ラブコメの王道にして唯一無二を今後期待しております
宮崎の蜂サポ
2025-10-01 15:56:47 +0000 UTC柴崎先生こんにちは、読み切り楽しく読ませていただきました。また先生の作品を読めた事が感情深く、すぐに感想を送らせてていただきました📨読み切りだけに留めておくのがもったいない完成度で続きや、そうでなくてもまた他の作品を読める日を楽しみにしております🥰
りべり
2025-09-30 13:27:34 +0000 UTC