※この記事には「横行する饅頭、独白する人鳥。」のネタバレを含みます!
今回はティラノゲームフェス2019で佳作賞を頂いた「横行する饅頭、独白する人鳥。」
の制作裏話的なことをしたいと思います。
せっかくの機会ですからね。
話しずらい話や非公開画像などは有料記事の方で行います、恥ずかしいので。
◆何故作ろうと思ったのか
・趣味です。
いやこれが本当に趣味全開の作品作りてぇ~って思ったからなんですよ……。
サークル名にある通り、アングラな作品ばかり出しているのですが、
この作品を出すまでは「いまいちパンチが足りないなぁ」って思ってたんです。
初作品の「Circus Show of Fancy Dolls ~Your Desire~ 」は初作品ということもありまだまだ未熟な出来、
ふりーむで公開した「Nairy Daydream」は自分でも直したい要素沢山あるしリメイク予定あり、
短編ゲーム「Valentine's・Overdose」は短編なのであんまり言うこと無いけどやっぱりパンチが足りない。
そんな中、「やっぱり自分の中でビビってる部分があるんじゃないのか」と思ったのです。
やっぱり世の中に出す以上、どんなことが言われるか分からないじゃないですか。
中にはいちゃもんじみた物もありますが、そういった理由で筆を折る方は沢山見てきました。
心のどこかで、「酷評受けたらどうしよう」と思っていたんでしょうね。
そりゃあ倫理観0に限り無く近い作品ばかりですが、頑張って作った作品ですから、
酷評受けたら落ち込みますよ。
そこで私は考えました。
「逆に酷評受けても文句言えないレベルの私が楽しいだけの倫理観0の作品作れば酷評も全然平気なのでは?」
当時の私は頭が鶏以下でした 鶏の方が賢いもんね。
でもやっぱり作ってる側が好みでもない作品を評価の為に嫌々作るより、
評価も社会的立場も金繰り捨てて最高に楽しんで作った作品の方が受け取る側も楽しんでくれると思っています。
それに私が作るのは全て「フリーゲーム」なので、
商業作品の様に表現の規制が掛かりにくいのです(煙草を吸うのダメとかそういうの)
フリーゲームとして出し、自分が最高に楽しめたのなら、それはもう完全無敵に私の大勝利である。
何に勝ったのかはさておき、それを完成させれば私は酷評も低評価も恐れることがないと悟りました。
酷評受けたらむしろ「わかりみが深ぇ~!!!」って笑顔でコメント返信したかったんです。
安心してください、キメてませんよ。
そんな流れで、私は倫理観0の作品をティラノゲームフェスに出すことを決意しました。
◆作る流れ
・兎にも角にも自分が好きな要素を入れようと考え、私は自分の気に入ってる作品を並べました。
子宮に沈める
Mother!
マザー
隣の家の少女
少女椿
サウスパーク
ガロ作品
無垢の祈り
園子温監督作品
レクイエム・フォー・ドリーム
ウィッカーマン
etc...
この並びで察した人は多分映画マニアとかヴィレヴァンに頻繁に行くタイプの人です(偏見)
この並びから私は自分の好きな要素を纏めました。
・主人公がロクな目に会わない
・新興宗教
・薬物(薬物ダメ、ゼッタイ。やるならアメリカまで行こうね)
・登場人物が大方クズ
・アングラ要素
・ハッピーエンドが見えない
・人間の闇
・ペンギン
なぁにこの要素ぉ。
自分で書いといてアレですが引いてます 怖、近寄らんとこ……。
まぁそれはそれとして、この要素を織り交ぜたシナリオを組み立てることになり、
「新聞を届ける主人公とイヌ」という話を書きました。
最初は新聞記事を届けに行く話だったんですけど、
途中から「饅頭(隠語)」の要素を入れるために、主人公を「運び屋」に設定しました。
運び屋が会う人なんて大抵ロクな奴じゃないので、クズも出せるに主人公をいじめ通すに最適。
そしてペンギン描きたいから主人公の相方をペンギンにしました。
イヌという要素は結果的にアルビフロラに行きましたね。
シナリオの全体の流れはすぐに出来ましたが、
キャラクターをどうするか非常に悩みました。
過去にハロウィンで出した下々屋は出すのは確定しましたが、
どういった職業のキャラを出すか小一時間悩みました。
・質屋
・落語家
・麻雀喫茶
・ヤクザor半グレ
・芸術家
・花屋
etc...
ここから、出来る限りネタにしやすいものを選びました。
主人公との絡めやすさとかも考え、現在に至ります。
本当は質屋も出したかったんですけどね。
そういった経緯も含め、現在のシナリオに至りました。
シナリオ自体はすぐに出来ましたが、一部は長いなと感じ削ったシーンもあります。
それは「曼殊沙華とアルビフロラが恋人の様な関係になる」といったシーンです。
曼殊沙華の身を守る為に恋人という関係を築くという流れでした。
実はその要素は全章を通して描いていくつもりでしたが、
流石に長いし描くのも少し難しいなぁとなってその部分は次回作に回すことになりました。
描きたかったね、朝チュン。
準備自体はするする出来たので、8月頃には出せましたね。
まぁスマホでOP流れないことを知ったのは出したあとなんですけどね!
◆拘った点
作品をプレイした方なら分かると思いますが、メッセージウィンドウが画面を分断する形です。
これは単純に「上手(かみて)と下手(しもて)」を分かりやすくするためです。
舞台などで使われる手法で、分かりやすく言うとマリオの初期地点が下手、進む方向が上手です。
またこの手法は「こちら側にいる奴はこう」といった印象を与えることも出来ます。
「上手=強者、安定、希望等プラスなイメージ」「下手=弱者、不安、虐げ等マイナスなイメージ」
今作の場合、主人公である曼殊沙華は基本的に下手に居て、下手側を見るようにしています。
立ち絵の表示でも常時下手しか出ないのはそれが理由です。
他のキャラクターもそれに沿って表示しています。
この表現かなり便利と言うか助かりましたね……。
それと、このメッセージウィンドウにはもう一つ理由があります。
それは至ってシンプルな理由で「曼殊沙華が感じている他人との壁」です。
曼殊沙華は運び屋になるまで母親と義父、そしてペンギン以外の関りを持っていない、
且つ自身を卑下し、他人との距離感を何処かで感じている。
どんな場面でも、どんな瞬間も、どんな相手でも。
そういった部分を表現する為、この手法を取りました。
文章自体は見にくいでしょうがどうしても外せない点でした。
逆になんでここで拘ったのだ過去の私や……。
あと「ゲスキャラであっても下衆顔は基本的にさせない」という拘りもあります
簡単に言うと「キャラ本人が「下衆い子としてる」と思ってないなら下衆顔はさせない」ということです。
顔芸枠が居ないぞこのゲーム。
ただ作品の視点によってはそういった顔を書くことも時たまありますね。
そういう時は基本オリジナル笑顔ですね、駆け抜けたいよね。
◆世界観について
・多くのプレイヤーは私の作品を初めて触れることになるだろうと考え、
出来る限り世界観は分かりやすくしようと考えました。
他の作品と世界観は共有していますが、出す情報を絞ることでどうにかしました。
・主人公である曼殊沙華は「生命町」という死ぬほど治安の悪い町に住んでる。
・町には多くの差別被害者等が住んでいる。
・曼殊沙華やアルビフロラは「無陰陽者」という性別の無い性を持っている。
等々
その他世界観の補足は「アルビフロラのメモ」という形で出しました。
アルビフロラは知りたがりの好奇心と研究心の塊みたいな奴なのはここから来ています。
ゲーム内で出てくる一部を除くメモは全てアルビフロラのものです。
因みに黒塗り部分は明暗をいじることで見れちゃったりします。
この手法は完全にFNaFが元です、あれ凄いよね……。
どうでも良いですが、饅頭ペンギンの時代設定は2061年です。
続編はそこから2年後……くらいを想定しています。
◆キャラクターについて
曼殊沙華
・かなり気に入っております。
自分が好きな「ロクな目に会わない主人公」という要素と、
「ねじ曲がった性格」の両方持ってます。
ただ曼殊沙華の性格はねじ曲がっている以上、虐げられる者的な性格は出しにくなと。
その結果ゲームの視点はペンギンになりました。
母親が新興宗教にドハマりしておりますが、
曼殊沙華自身もやや宗教的、と言うか仏教的な考え方をしています。
これは名前に由来していますね。
そういった部分もあり、「全ての事柄には理由がある」と考えています。
ここら辺作中でちゃんとお話していなかったので引っかかった人もいくらか居たかと思います。
申し訳ないです。
また曼殊沙華の名前は「曼珠沙華」とも表記できますしどちらでも構いませんが、
作中では基本的に「曼殊沙華」の方で表記しています。
他が基本的に曼珠沙華表記であるのと、漢字の意味でこちらにしました。
「殊」には異なる、普通と違う、死刑、死ぬ、殺すといった意味があります。
物騒。
そういったこともあり曼殊沙華と表記しています。
作中では言及はしていませんが、2061年の時点ではアルビフロラより一回り年齢が大きいです。
ペンギン/アイ
・作中の語り手です。
全エンディングを見た方は何となく分かっていると思いますが、
ペンギンの台詞は全て曼殊沙華の独り言です。
人格分裂、というより魂そのものが違うと思って貰えると分かりやすいです。
曼殊沙華の独り言と思えばペンギンの人格は「曼殊沙華の魂」になりますが、
ペンギンの人格をあくまで一人(一匹)の者として思うことで「曼殊沙華の魂ではない存在」になる。
……という物です(?)
作中で言うと、アルビフロラは最初ペンギンのことを曼殊沙華の独り言と認識していましたが、
途中からペンギンとも会話するようなシーンが出てきます。
曼殊沙華だけど曼殊沙華ではない、そんな存在です。
アルビフロラ
・お前が今作のMVP。
初期案では「待雪草」という名前でしが、
曼殊沙華と隣り合わせになる存在と言うことで「アルビフロ」になりました。
アルビフロラの動向って作中では完全にやべーストーカーなんですけど、
「私の理想のヤンデレキャラ」でもあります。
ヤンデレってどうしても好きな相手を傷付けるパターンが多いので、
そうじゃないタイプを見たいなぁという思いがありました。
惚れた相手の幸せを願い、相手が誰かに恋をすれば自分は身を引き恋の成熟を願う。
そんな存在がアルビフロラです 独占欲強めだけどね。
作中では後半になるにつれどんどんやべー奴になっていきますが、
皆様の感想を見る限り「そうだと思った」と「と"う"し"て"」って感想が分かれてましたね。
作中でアルビフロが使っている銃は世界観に合わせて特殊な武器という存在に設定していますが、
モデルはグロッグ17辺りです ぽくないけど。
体幹も頭もそれなりに優れているのでそのうち戦闘系のゲームにも出そうですね。
因みに2061年の時点では16歳です。
先生&ロア
・先生については皆勤賞ですね。
この二人はアングラゴア・ワールドシリーズのメイン人物なので、
多分今後も出てきます。
因みにロアは今回の衣装は「翼猫」というUMAをモチーフにしてます。
フランツィスカ
・薬中シャブ野郎。
フルネーム「フランツィスカ・ヴィルヘルム・フリーデリーケ・リヌス・フォン・シュミット
(Franziska Wilhelm Friederike Linus Von Schmidt)。」
ドイツ人ってべらぼうに長い名前の人居るよね。
治安の悪い町の住人であり、手始めにシャブ野郎を出して「こんなんばっかりだよ」
と伝えるために1章に持ってきました。
モチーフはエニシダです。
年齢は本人自体も忘れてますが、薬物を始めたのは16歳辺りです。
あと実はこの人後天性の無陰陽者なのですが薬買うために色々売ったからです。
鹿柳亭燕左衛門
・吃音持ちの落語家です。
鹿柳亭86代目であり、本名は「松本 安次楼(まつもと あんじろう)」です。
私自身もあがり症でどもりが酷いのですが、
歌う時はどもることが無いんですよね(何年か前にそういうドラマありましたね)。
燕左衛門自身も演目中は「歌っている」という考え方で克服した経緯があります。
また燕左衛門が車いすに乗っている理由は公害による遺伝病ですが、
作中では公害等を扱う予定は無かったので言及していませんでした。
今後公害をテーマにした作品を作る際には出るでしょう。
もっとも本人はそれらも全て自分の武器として利用していくでしょうが この29歳児め。
モチーフは柳です。
御典琴
・ロクな目に会わない部下でしたね。
とある組織の雇われ兵でしたが、
負傷に伴い捨てられたところを燕左衛門に拾われました。
本名は「川口 菊隠(かわぐち きくよ)」です。
本当は大正琴の演奏シーンも入れたかったんですけど
諸事情によりお蔵入りになりました。(作者の作曲技術不足)
元々居た組織が新興宗教関連のものであり、
それをこじつ 裏付ける為に中指に「髪」をまとわせています。
ここギャグポイントです 笑って。
34歳くらいを想定して描いていましたが、結構童顔ぽいキャラになりましたね。
モチーフは菊です。
如月 菟葵
・作中で1、2を争うレベルのやべー奴。
最初は暴力団「花卉(かき)組」でクーデターを起こす奴として書いていたんですが、
途中から芸術家という要素を足したので「組織に離反して逃げて来た奴」になりました。
ダメ人間と言うかクズというかなんと言うかこいつ要素ありすぎじゃない? 他の奴もか、ごめん。
今までサイコパスじみたキャラは沢山出してきましたが、
こいつに限っては間違いなく胸を張ってサイコパスと言えます。
片目は重瞳は舎弟である薫莉を助けた際に出来たものです。
皆も怪我には気を付けようね。
年齢は24歳くらいを想定しています。
モチーフは節分草です。
富良野・S・薫莉
・名前は「ふらの・サシェ・かおり」です。
サシェは匂い袋のことですね。
こちらもロクな目に会わない部下です、いや現状まともかな。
菟葵を作った時ストッパー的存在が欲しいなぁと考え作りました。
まぁこっちも半グレなんですけどね 上司のせいでまともな人間に見える。
名前の通りフランス人と日本人のハーフです。
菟葵より2つほど年下です 同じ高校に通ってたしね。
モチーフは言わずもがなラベンダーです。
下々屋(龍道院三人組)
・上から「雅彩摩(あさま)」「霧志摩(むしま)」「深耶摩(みやま)」です。
下の双子は以前ハロウィンの時に出した小説に登場しているので、
今度は三人ともども出そうかなと考え出しました。
本来は「下げ屋」という死体を処理してくれる業者さんが居るのですが、
そちらとは似て異なる存在です。
今まで「自分勝手なクズ」を出してきたので
「仕事の為にクズになれる」奴を出したいなと思いここに持ってきました。
三人が保護している子供もそのうち作品に出したいですね 死にそうだけど。
モチーフは三人とも竜胆です。
因みに余談ですが、部下キャラは全員煙草を吸い、上司キャラは酒を飲みます。
部下が煙草を吸うのは上に上がる為、
上司が酒を飲むのは上がってくる奴を流し落とすためです。
先生はどっちもやってます。
◆音楽について
・作中では基本的に環境音等しか使っていません。
唯一流れるのはリストの「愛の夢 第3番」です。
良いよね、愛の夢……。
この曲を選んだのは自分が好きと言うのもあるのですが、
曼殊沙華が唯一知っている曲をこれにしたかったというのもあります。
愛を知らない曼殊沙華が愛の夢を見るって変な話ですけど、
それでも徐々に愛を知ることで夢見ることが出来るわけですから。
もしかしたら、心のどこかで愛を夢見ていたのかなとも。
◆作った感想について
・色んな意味でギリギリのゲームですが、
作った私としてはべらぼうに楽しかったです。
もうこれ以上の作品を作れるのかすら怪しいんですけど、
「こういう作風」を極めたとしたら、次は別の作風のゲームを作りたいなと思っています。
続編は曼殊沙華とアルビフロラの関係をニマニマしながら見守るゲームだと良いですね(他人事)
何より嬉しかったのは、多くの方にプレイして頂いたということです。
こういうイベントでも無い限り、こういうタイプのフリゲーってプレイしようとはなりにくいと思っているので、
こうして多くの方に生き地獄を見て貰えたのは嬉しいですね。
何より最初の注意書きで帰らなかった人が多いのが分かったので、
もうちょっと下衆い話書いてもセーフなことが分かりました!
ゲームフェスの最中も僭越ながら皆様のゲームを少しですがプレイしまくりました。
楽しかったし推し作家と再び巡り合えたし推し作家増えたり最高か?
改めて皆様にお礼をしたいと思います、本当にありがとうございました。
◆振り返り
・直すべき点は多いけど、それ以上によくこれを世の中に出そうと決めたな過去の私。
下手したらこれが原因で何か事件起きても可笑しくない内容なんですけど、
でもやっぱり自分の好きには正直に生きていたい。
そう思うと、自分も良くやったもんだと褒めてやりたい気持ちです 褒めないけど。
あとやっぱり自分、相当曼殊沙華とアルビフロラが気に入ったんだなぁと思います。
どうして今私の手元には二人のアクリルスタンドの原案があるのかな。
今後もこの二人を暖かく生き地獄の中見守っていきたいですね。
◆最後に
・「横行する饅頭、独白する人鳥。」がティラノゲームフェス2019で佳作賞を頂けたのは、
間違いなく皆様のおかげだと思っています。
プレイしてくれた方、感想を残してくれた方、拍手をしてくれた方、
ファンアートを描いてくださった方、宣伝してくれた方等々……。
この場を借りてお礼を申し上げます。
中には注意書きで諦めた方も居ると思いますが、賢明な判断だと思います。
続編では今作をプレイしてくださった皆さんも、
続編から入る方も楽しめるような作品を作れるよう頑張りたいと思います。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!
佳作記念にも絵描きました
背景素材は黒獅さんからお借りしました(pixivID:1099599)