短編1
Added 2020-02-12 15:06:25 +0000 UTC「マグさん。 ボスがお呼びです」 俺は”ボス”とやらに呼び出され、要塞を歩いていた。 ここはアッセンジオ公国。 そして、俺を呼び出したのはアッセンジオ公国を事実上支配しているマフィアのボス…… といっても、マフィアらしさのかけらもない、俺よりも幼い子供だ。 俺は12歳だけれども、そいつは11歳。 年下だ。 なんでみんな頭を下げて敬うのか。 俺には理解出来ない。 俺は普通の子供だし、政治とか経済とか、そんな難しい事なんて分からないから。 「ボスのお部屋です」 「よお、ポリン! 俺に用ってなんだ?」 「こらマグ! ボスに向かってなんて口聞くんだ!」 ちっこいボスの隣に立っている巨漢は俺を睨みつけてきた。 230cmはあろうかという巨漢に睨みつけられるとちょっとビビる。 「良いんだよドリュー。 僕とマグくんは友達なのだから」 「いやしかし…」 「それよりもマグくん。 今日呼び出したのはね。 隣国、クルスス王国についてなんだ。 クルスス王国は今、戦争を引き起こそうとしているのは知っているよね?」 クルスス王国、なんとなく聞いたことがあるようなないような。 「話し合いでの解決をと思って、僕らはほかの隣国と共に動いていたのだけれど…」 「うん、それで?」 ポリンは少し下を向くと、何かをコソッと取り出してきた。 「これは新しく開発した薬さ。 これを飲むと神にも匹敵する力が手に入る。 マグくんにはこれを飲んで、クルスス王国との問題を解決してきて欲しいんだ」 スッと手渡されたそれは、白い小さな錠剤だった。 「これからすぐ動いて欲しいんだけれど、色々と注意して欲しい事があるんだ。 まずは、この力は見せつけて来るだけで良いんだよ。 決して攻撃してはいけない。 僕らもクルスス王国の国民を危険にさらすことは望んではいないからね。 それともう一つ。 この薬はここでは飲まず… パクッ 「え?」 「今薬飲んだ!?」 ポリンの慌てよう。 こんなに慌てるポリンは久々に見る。 けれど、強くなる薬、飲めと言ったから飲んだだけなのに。 「ひ、人の話は最後まで聞いて!!」 「うん、分かったよ。 んで? 続きは?」 「も、もう遅いよ!!」 ん? なんだかカラダがムズムズする。 あれ? 苦しい…… 洋服がキツく…… ポリンが小さくなっていく?…… いや違う! 俺が大きくなっているんだ!! 着ていた服がはち切れてビリビリと破けていく。 履いていたサンダルも千切れ落ちてしまった。 それでも巨大化はおさまらない。 巨漢のドリューも今では胸辺りまでしかない。 みんなが俺を見上げてる。 それでも巨大化はおさまらない。 ゴツンと天井に頭をぶつけて思わず床へと手をついた。四つん這いになってもなお、俺を見下ろす者は居ない。腕の間から見上げる人々が見えた。 それでも巨大化はおさまらない。 床がメキメキとひしゃげ始めた。 俺の身体はこんな部屋では窮屈になってくる。 部屋にいた人たちは外に出ようと右往左往としているけれど、俺の足で出られなくなってしまっていた。 それでも巨大化はおさまらない。 とうとうズドーンという爆音と共に床が砕け散り、俺は真っ逆さまに要塞を落ちていった。 が、想像よりも早く地面に着き、その次の瞬間。 俺は要塞を内側から粉砕していた。 太陽の光が眩しい。 石で建てられた巨大で堅牢な要塞は今では俺の尻の下。 今まで暮らしてきたこのアッセンジオ公国の街並みが彼方まで見渡せる。 こんなに広く美しい街だったのかと改めて感じさせてくれた。 とか思ってる暇ではなかった。 「ポリン! ドリュー! 大丈夫か!?」 俺は腰を上げて立ち上がり、足元を見渡した。 米粒のような人たちが足元、崩れた要塞を右往左往としている。 要塞の壁や天井に潰されて苦しんでいる人も沢山見えた。 やっちまった。ひたすらに焦る気持ちを抑えつつ、ズシンズシンと歩きながら小さなポリンの姿を探した。 「マグ!」 ポリンの声。 どこから聞こえる? 「マグ!!」 足元? いや違う。 「ここだよ! マグ!」 俺は俺の股間に視線を落とした。 そこから声が聞こえた気がしたから。 するとどうだろうか、アリンコ程の大きさの人が1人、俺のキンタマのシワに必死にしがみついているではないか。 これがポリンであると、すぐに直感で分かった。 俺は急いで片手で股間の下に手を添えて、もう片方の手で、ポリンを優しく落とすように指でキンタマをスッとすり撫でた。 ポトンと手のひらに落ちるポリンは、アリなんかよりもずっと弱く、可愛らしかった。 手のひらに乗った事を理解したポリンが何かを叫ぶ。 しかし、声は風に流されてよく聞こえやしない。 俺は手を顔の高さまで持ってくると、ようやくポリンの顔がなんとなく見えてきた。 「マグくん! 君はどうして話を聞かずに勝手に行動してしまうのさ!!」 「ご、ごめん」 「これはね、巨大化する薬なの。 200倍くらいにね! 神にも匹敵するほどの力さ! でもね……ここで飲んだら大変な事になっちゃうでしょ!!」 「ご、ごめん」 「……それよりも、すぐに行動に移そう。効果は1日しか持たないんだよ。 それに、これを1錠作るのに数ヶ月はかかってしまうんだ」 「で、でも、足元の人たちは…」 「それは僕らでなんとかするから! ここから南にでて、国のはずれにね、君が巨大化した時のために用意した着物が置いてあるんだよ。 今の君は全裸だからね。 それであちこち行くわけにはいかないだろ?」 あっと思って俺は思わず股間を手で覆い被せた。 見れば街中の人が俺のことを見上げている。 何千人もの人の前で全裸で仁王立ちしていたと思ったら恥ずかしくて顔から火が出そうになってきた。 しかし、それとは別に、心臓を奮い立たせるような高揚感を感じずにはいられなかった。 「分かった! じゃあ俺行ってくる!」 ちょっと待ってと叫ぶ声も聞こえず、俺はポリンを足元に下ろして、南の方向を眺めてみた。 「ちょっと待って! この薬を飲むと、副作用で興奮してしまうんだよ! 落ち着いて行動するんだよ!! ねえ!! 聞いてる!!??」 全力で声を張ったけれど、聞こえていないだろう。 嫌な予感しかしてこない。 さて、この大通りを歩いていけば良いんだな。 俺は一歩、足を踏み出してみた。 あれ? この国の人の行き来を支える大動脈であるこの道よりも、俺の足の方がでっかいや。 「ごめんよ。 通るよ。 今日中にやらなきゃいけない仕事があるからさ」 俺はそのまま道路に隣接する家々を巻き添いにして地に足をつけた。 今まで俺たちを支えていた大地がまるで霜柱のようにサクッと陥没する。 足裏の感触がたまらなく気持ちいい。 もう片方の足を持ち上げて、再び家々をもろとも踏みつけた。 「俺の足デカいからさ。 踏み付けちゃうけど許してよ。 俺は戦争を止めるっていう重要な仕事があるからさ」 ぺろっと舌を出して、謝ってみたものの、優越感とか刺激に心が不安定にならざるを得なかった。 俺は足を止める事なく大通りを歩き続けた。 そこには沢山の人たちもいただろう。 その証拠に、足裏でプチプチと潰れていく感触が、何十、何百とあったから。 俺自身なのに俺じゃないみたいな。 罪悪感よりも高揚感。 理性で身体を止める事が出来なくなっていた。 どのくらいの人を踏み潰してしまったのだろう。 そんな事をまじまじと考える余裕すら俺にはなかった。 国のはずれに到着すると、確かに俺の服を模した物が置いてあった。 サンダルにパンツとズボン、そして上着。 俺はパンツとズボンを履いて、上着を羽織った。 最後にサンダルを履いて、立ち上がろうとした。 が、ここで問題が生じてしまった。 立ち上がろうと足に体重をかけた瞬間に、サンダルが体重に耐えきれずに潰れてしまったのだ。 なんの素材を使ったのか。 サンダルは足の下で潰れ、一部が指の間に侵入してきて、見事に足型が完成してしまった。 「こんなんじゃ歩けないよ」 俺はすぐにサンダルを脱ぎ捨てて、再び歩き始めた。 ここまで来ると、人も家も少ない。 畑が多くて土が柔らかい。 デカくなった俺の足の感覚だとあまり違いは分からないけどね。 この国を囲う大きな長城を軽く跨げば国外だ。 草むらも今じゃ苔みたい。 木もブロッコリーにしか見えない。 カリフラワーではないようだ。 一歩一歩、豪快に足跡を付けながら歩いていく。 普通なら数日はかかる道のりだろう。 隣国、クルスス王国にまで、あっという間にたどり着いてしまった。 ______________________________ その頃クルスス王国では、大パニックが起きていた。 ズシーンズシーンと経験したことのない地震が起き始めていたからである。 こんな地震は記録上にない。 しかも段々と大きくなっていくのだ。 世界の終わりか、終焉か。 原因も分からず、国中が慌ただしかった。 そんな時に見えてきた、あまりにも巨大な少年の姿。 破壊神。 破壊神が来たのだ。 巨人の伝説は国の中にいくつも存在する。 破壊神の伝説もそのうちの一つだ。 しかし、こんな少年の姿をしているだなんて聞いたこともない。 ズンズンと歩いてくるその巨大少年はまっすぐこちらを見ている。確実にこちらに来ている。 王宮でもパニックが起きていた。 国王が大臣を招集し、会議が始まろうとしていた。 が、会議を始められる前に事は進んでしまった。 巨人が到着してしまったのである。 ドーンと特大の地震で家の中の物を散乱させて、ようやく止まった。 国中が静まり返る。 破壊神の様子を伺っているのだ。 「なぁ、お前たち。 お前たちは戦争をしようとしてるんだよな?」 一瞬の間があって、国が騒ついた。 戦争を仕掛けようとしていたのは事実である。しかし、それが理由で破壊神が来たんだとは思わなかったためである。 クルスス王国の国民は慌てて否定をし始めた。 皆が声を上げて、必死に。 だが、その必死な思いは彼に伝わる事はなかった。 それぞれの声はそれぞれの声にかき消され、集まった結果、全ての声が雑音と化していたのだ。 「なんだぁ? 図星なのか? 答えられないって事は図星なんだな?」 破壊神の目つきが鋭くなった。 恐ろしい。 髪を怒らせてしまったのだから。 人々は一斉に逃走を計った。 小さな子供、力の弱い老人を払いのけ、踏み倒し、我先にと逃げ惑う。 そんな様子をマグは遥か上空から全てを見下ろしていた。 _____________________________ 俺……どうしちゃったんだろう…… ただ歩いていただけなのに、なぜだか股間がビキビキと反応してしまっていたのだ。 はぁはぁと息が上がる。 動悸もする。 理由もなく興奮するのだ。うずうずするのだ。 「悪い子はお仕置きしないとね…」 俺は国を囲う壁を簡単に跨ぐと、沢山の人が蠢く広場に足を振り下ろした。 大量発生していた人が足裏の下でプチプチプチと潰れていくのが分かる。 その後体重をかけると、堅牢なレンガの道に足がズブズブと沈んでいった。 「あはぁ……」 ビキビキっとさらに股間が反応した。 今の一歩で数百人は潰してしまったであろう。 呆気なさがより俺の心を刺激した。 そして、ビリビリっという音とともに履いていたパンツとズボンの股間部が破けて、巨大なイチモツがあらわになってしまった。 頑丈に作られていた着物だったけれども、股間圧がそれを上回ってしまったというわけだ。 巨大な勃起が国中に公開された。 まだ大人になりきれていないプリンと張りのある少年らしさを感じる。 しかし、どんな建物よりもデカいそれは、死を覚悟させるには十分過ぎるものだった。 はぁはぁと息を切らし、顔を赤らめながら見せられた大塔よりも高く太いブツは多くの人の腰を抜かさせた。 「破れちゃった。 この服、もういらないな」 上着もパンツもズボンもむしり取って街中に破り捨ててやった。 「戦争はね。 いけない事なんだよ。 だから俺が、俺がしっかりと指導してやるよ。戦争ってのがどんなもんかさ」 ズシーンズシーンと歩みを開始した。 建物も、乗り物も人も、何もかもを踏み潰しながら。 どんなものだって俺の体重は支えられない。 なんの抵抗感もなくムシャッと潰れていくのだ。人もプツっと軽いタッチで潰れていく。 なんて手応えがない。 それなら…… 「スライディーング♪」 ズザザァーーっと頭から倒れ込んだ。 身体の下で街がすり潰されていく。 股間にも相応の刺激が伝わってきた。 軸から先っぽまでプチプチとすり潰されていく感触が伝わってくる。 12歳の身体には理性を失うにら十分過ぎた。 「はぁはぁ、もうダメ」 手に届く範囲の人や物を荒々しく掻っ攫うと股間へと擦り付けた。 「ああわ、あぁ」 苦し紛れに声を出した次の瞬間。 ブリュブリュリューピュー…… 世界は真っ白になった。 今までの興奮が嘘のように。 力が抜ける。 頭がぼーっとする。 俺は力尽きたように仰向けに寝転がった。 背中やお尻でたくさんの人を潰してしまったのはいうまでもないが、そんなことを気に出来るほどの心の余裕なんてなかった。 そして、気がついたらクルスス王国は白い液体だけが残った更地になってしまっていた。 「あ…… もしかしてやり過ぎた?……」 「あちゃー…… こりゃポリンに怒られるな……」 俺は手土産に宮殿の破片を持って、ポリンの元へと帰宅したのだった。