巨星人の遊び2(先行配信)
Added 2020-08-18 13:01:04 +0000 UTC遠い昔、はるかかなたの銀河系で・・・・ ヒガンデ星人が購入した原始時代の小さな人類が生息する星で、二人の少年が好き勝手遊んだ。その星では二人の少年に対抗すべく軍隊を結成し抵抗するも適わず、核兵器という最終手段を用いた。しかし未来の技術を持った少年二人を打ち倒すことは出来ず、その星は二人の少年のものと化した。 一旦は少年を満足させて帰星させることに成功するものの、再び少年らがこの星にやってきてしまったのだった・・・・・・・ ドカーン! 清閑としたとある街で突如として起こった大地震に人々は震撼した。 とある記憶が蘇ってくる。人々を襲った大災害と言っても良い。多くの人が犠牲になったあの大事件の記憶だ。 人々は爆発音が聞こえた方向を振り返って見た。 そこには人々の予想通り、巨大な二人の少年が立っていた。 やっぱりそうだとばかりに人々の顔が引きつる。今回もただでは済まないだろうと誰しもが感じていた。そう人たちが絶望しているさなか。 「よう、またやってきてやったよ」 この少年の名前はレイク。茶髪のやんちゃな少年だ。この時を待っていたかのように爽やかな笑顔で現地の小人たちを見下ろしていた。怯える人々の姿を確認すると優越感に浸ったかのように満足げな表情を見せた。現地の小人とはまるで真逆な反応だ。 「また遊ぼうね♪」 こちらは金髪のパティ。友達思いの優しい心穏やかな少年だ。にこやかにあいさつを済ませると小人たちに向かって手を振った。パティは純粋で天然なドSところがある。恐怖でひきつっている小人たちを見ながら楽しそうにしていた。小人が自分らを恐怖の対象としている頃なんてまるで気づいているにもかかわらず、小人が自分の友達とでもいった表情で接していた。 二人はぴっちりとしたヒーロースーツのようなものを着ていて、いかにも宇宙人らしい格好をしていた。 このヒーロースーツは未来的な作りになっており、この世界のどんな武器でも傷一つつかない頑丈な作りをしていた。 二人の少年の姿かたちはこの星の住人と似ていて、人間の形をしていた。二人とも12、13歳程度のまだまだ若く幼さの残る少年だった。 しかし、この星の人たちからすると体格は100倍も大きく、体重に至っては100万倍も重かったのだ。 以前にもこの星に遊びに来ては人々を踏み潰したり建物を壊したり好き勝手遊んで帰ったのだった。 その記憶はまだ新しく、数週間前の話であった。前回の惨劇の復旧はまだ進んでおらず、被害を受けた地域では人が住むことができなくなっていた。 また、星を代表する大統領も前回の事件でいなくなっており、臨時で副大統領が指揮をしているが、この星の混乱は続いていた。 そんな中での少年らの来星である。誰しもが絶望感に浸っていた。 今回も瞬間移動でやってきたのだが、すでにとある建物を踏みつぶしていた。 そしてその建物というのがなんと大統領府だった。頑丈に、さらには芸術的に造られていた大統領府だったが、ずっしりとたたずむ二人の少年の足の下で、瓦礫となってしまっていた。 この星の技術でいくら頑丈に造ったとしても、彼らの体重を支えることなど不可能だった。何せ5万tを超える体躯である。そこまでの重量がのしかかるだなんて非現実的な想定は去れていない。 まるで霜柱でも踏み潰したかの如く建物は敷き潰されていた。 中に居たものは当然の如く瓦礫の下敷きにされており、おそらく臨時で大統領となっていた副大統領も巻き込まれたことであろう。 この少年たちは何もかもが規格外なのである。 そんな彼らとまともに遊ぶことなど不可能に近い。それはこの星の人すべてわかっていた。 少年二人はこの星の人を簡単に殺してしまうことができる。しかも、殺すことに躊躇がないのだ。 二人がただ歩いただけでもこの星の人にとっては蹂躙同様であった。 当然、少年らとまともに遊ぶことなんてできないし、遊びたいと思う人なんていない。誰しもが何が何でも消えてほしい、そんな気持ちでいた。 しかし、遊ぼうと言われて断ることはできない。なぜなら絶対的な力の差があるからだ。 正直言えば植民地と言ってよい。 この星の人々は少年二人に従う奴隷であり、彼らが主人なのだ。 奴隷の中でも最悪な主従関係である。命という最低限の権利でさえ守られることはないのだ。何か悪いことをして拷問や処刑をさせられるわけではない。彼らの気まぐれにて、もしくは無意味に人を踏み潰していくのだ。 それがこの星の住人の運命なのだ。人々の命は彼らの手にかかっていた。 実際、少年二人がこの星の住人を殺すことに罪悪感を持つことはない。今まさに大統領府を踏み潰してたくさんの人を犠牲にしたことにすら気にもしていなかった。 「さて、今日はお前らの遊びに付き合ってやるぞ。前回は俺らに振り回しちゃったら申し訳ないからな」 レイクはそう謝罪の言葉を発しているものの、全く悪いとは思ってなどいない。顔はにやにやとしており、びくびくと震えて待機している小人たちを見下ろして楽しげだ。 今回は小人をどうおもちゃとして使ってやろうか、そんなことを考えているただのいたずら少年の顔だ。 彼にとって、小人たちはそこらへんを這っているアリと同じなのだ。 命の重さなど感じることもなく、弄ぶのだ。 「なんだかこっちにコートみたいなのがあるよ。とても小さいけど・・・」 あたりを確認していたパティが何かを見つけたようだった。自分の星では見たこともない白い線で囲われた地帯。何かのスポーツをするための場所のように思えた。 「この星のみなさん、これは何かな?」 パティはこの星の住人が自分らのことを化け物だと思っているだろう。しかし、それをあえて気づかぬふりをして明るく接するのだ。あくまでちょっとした遊びのつもりで。にこやかな表情で足元の小人に対して問いに対した。そんな明るいパティとは対照的にビクビクとしている星の住人が恐る恐る答えた。 「バスケットボールというスポーツのコートです・・・」 バスケットボール、そんなスポーツは初めて聞いた。この星特有のスポーツであるようだ。 ルールもわからないが、この星の遊びに付き合うといった以上、付き合ってやろうとレイクとパティは話して、星対抗でバスケットボールを行うこととなった。 そうと決まれば情報収集だ。 屈んだレイクは足元にいた青年の小人を一人指先で摘まむと、顔の目の前まで持ち上げた。 突然捕まって遥か上空まで持ち上げられた青年はジャバジャバと失禁しながらもなんとか気を保っていた。 「お前はバスケットボールのルールを知っているよね?俺に教えてよ」 そうして大まかなルールを青年に説明してもらった。なんでも、小さなボールをこれまた小さなゴールネットに入れれば良いというのだ。 他にもルールを説明してもらったが、細かいことは良いだろう。 さっそくバスケットボールをやってみようとレイクは小人の青年をポイと頬り投げた。そして二人がコートに入ろうとすると、そのコートの狭さが浮き彫りになった。 二人は向き合うようにコートに入ったが、コートはあまりにも狭く二人の足でいっぱいになってしまった。 これではなかなか身動きすら取れない。しかし、やるといった以上はやってやるのが筋である。 「お前らは小さいからな。このあたりの人全員で参加しろよ。逃げ出そうとしたら踏み潰すからな」 当然みんな強制参加である。逃げたら踏み潰すだなんて言われて逃げようとする人はいない。 彼らとゲームをすることで救われるのであれば、そうせざるを得ないわけだ。 あたりにいた人々はおずおずとコートの中に集まっていく。とにもかくにも死にたくない。そんな思いで。 この星の住人は二人の足の隙間に敷き詰められるように集まった。大体50人といったところか。 普通のバスケットボールではあり得ない人数である。コート内には人であふれかえっていた。 場所がなくて少年の足の指の間に追いやられた人もいた。小さな人間のそんな姿を見るとなんだか可愛らしくも見える。 本来人数制限があるものだが、そんなことは関係なかった。 さて、ゲームが始まった。 ボールが上に投げられたのである。 少年二人にとってゴマほど小さなボールだ。 パティはそのボールを救い上げるようにして手にした。 巨大少年に取られたボールを小人が取り返すことなんてできない。 ボールははるか上空の巨大少年の手の中にあるのだ。小人はただ茫然と見つめることしかできなかった。 「これをこの輪っかの中に入れれば良いんだよね?」 ここで事件が起こった。パティが相手のゴールの方を向くために足の置き場を変えたのだ。 ドシーン・・・ブチュブチュ・・・・ 瞬く間に30人余りが踏み潰された。当然である。彼の足の周りには強制的に参加させられたこの星の住人が敷き詰められていたのだから。 パティが動けば、誰かしらが潰される運命にあるのは明らかだった。 そんなことは当たり前なのだが特に気にするほどの事でもなかった。 パティにとってはそれよりもこの星のスポーツを楽しむこと、それのほうが何百倍も重要だったからだ。 瞬く間に何十人もが巨人の足の下敷きにされた。それを見た小人たちは恐怖に慄いた。 奴ら巨人は自分らの命など何とも思っていないということを改めて確認できたからである。 ドリブルなんていう概念すらない。ただ向きを変えるために一歩動いただけでゴールの目の前についてしまうのだから。 とにかく、ゲームは続けられる。 審判も中止宣言をする勇気もない。選手として参加した者たちもその場から動くことはなかった。逃げようとしたら踏み潰すと脅されている以上逃げることも叶わないのだ。 それにしても、ゴマのように小さなボールをこれまたゴマ粒のような輪っかに入れるのはそう簡単ではない。 パティは屈み込みながら指先でボールを摘まんでゴールを狙う。 あまりにも小さなそれをパティは真剣なまなざしで狙いを定める。 パッと指を離すとなんと無事ボールはゴールへと入ったのだった。 「これの何が面白いんだろう?」 純粋な疑問だった。小さなボールを小さな輪っかに入れるだけ、それの面白さがパティには分からなかった。 ただ、身体が大きすぎるせいでこうなってしまっているのだが、天然なパティからしたらそれは当たり前のことすぎてわからなかった。 身体の大きさがあまりにも違って勝負にすらなっていないことにも気が付いていないのである。 彼はただ、小さなボールを小さなゴールに入れるだけの遊びだと思った。 次はボールの所有権が相手チームのものとなった。既に20人程度となった相手チームの一人は、チーム内のメンバーにボールをパスした。 こうなると体格差が逆に作用する。足元でちょろちょろとされてパスを繰り返される状態で、ボールを取り返すことは難しい。 あっという間に巨大少年側のゴール付近まで近づかれてしまった。 そんなときである。レイクはあることに気が付いた。 ゴールを手でふさいでしまえば良いということに。 レイクは十数人を踏みつぶしながら足の置き場を変えた。 ボールだけは踏み潰さないように注意しながらの方向転換だ。彼らにとって、この星の住人の命よりもボールの行方のほうが重要なのだ。 屈んだ状態で掌をゴールをふさぐようなポーズをとった。 小人が必死に放ったシュートはゴールが決まることもなく、ボールは当然のようにレイクの掌に乗った。 正直反則ではあるが、通常現実ではあり得ない作戦である。審判もそれをどう判断して良いかもわからずに呆然と立っていた。それに、反則を取って少年に恨まれてしまうのも怖い。とにかく目立たぬようにするのが最も良い作戦である。 「今度は俺が自分でゴールするぞ。パティちょっと交代しろ」 足元の小人たちは慌てた。今までの流れからすると自分らを踏みつぶすことなどなんとも思わない。二人の位置を入れ替えるには彼らが何歩か歩くことを示しているのだ。 人々は慌てて二人の足元から離れようと走り出したが遅かった。 レイクとパティはコート内を走る小人数人を踏みつぶしながら場所を移動したのだった。 二人がコート内を歩く度に体重で地面が陥没する。残っていた小人たちもこの段差を超えることもできず、コート内に閉じ込められてしまった。 と言っても生き残っている小人はすでにたった数人となっていた。 勝負から逃げずに勇敢にも少年たちとの遊びに付き合った人々は結局ほとんどが特に気にされることもなく踏み潰されてしまっていた。 「よーし、ゴールを決めるぞ」 レイクは爪の先でボールを摘まむとゴールネットに狙いを定めた。よーく狙ってしばらくの間をあけた後、指を離した。 しかし小さなボールである。レイクの指に引っかかって、結局はゴールには入らなかった。 レイクはボールを摘まみなおして再度挑戦する。しかし、うまくゴールが決まらない。 「くそ!イライラするな!」 レイクは何度も挑戦したが、ゴールが決まる様子はない。パティのゴールは奇跡的だったようだ。 「もういいや、面白くない!」 レイクはそうつぶやくと立ち上がり、コート内を1周見渡した。既にコート内は二人の足跡でぼこぼこになってしまっていた。そして未だ数人の小人がコート内であたふたしているのが見える。 「ゲームも終わったし、お前らは用済みだな」 レイクは数人の小人に向けてゆっくりと足をかざした。数人の小人がレイクの足の陰に隠れた。 必死に足跡から抜け出そうとするも、あまりの段差で上ることができないでいた。 「付き合ってくれてありがとな。じゃあな」 生き残った数人の人の命の行く先が決まった。皆、力が抜けたようにうなだれる。ここまで生き残ったことができたのに、彼らの言うとおりに逃げもせずに頑張ったのにこの仕打ちかと。 ドスーン・・・・ 最後の小人たちとの別れを済ませて二人は歩き始めたのだった。