大きすぎたヒーロー(先行配信)
Added 2020-08-18 13:02:16 +0000 UTCこの世は不定期に3m近くのものから50mにも達する巨大怪獣に襲われていた。 巨大なものでは今まで使用していたミサイルなどの攻撃では効果がなく、長らく甚大な被害をもたらしていた。 世界政府はこれを打破するために新たな兵器を開発すべく人体実験を繰り返した。 生物兵器を利用して怪獣に対抗しようとしたのだ。12、13歳の少年を中心に研究は行われていた。 そしてついに完成した。 みんなが待ち望んだヒーローの誕生である。 世界はこの成功に大喜びした。・・・・わけではなかった。 なぜ対抗策ができるようになったにも拘わらずそれが歓迎されなかったのかは、これから説明しよう。 巨大な怪獣に対しては巨大なヒーロー、すなわちウルトラマンのようなものが効果的であろう。そう考えて、巨大化させる研究がされてきたのだが、巨大化という分野の操作はそう簡単なものではなかった。 完成されたヒーロー少年。それが被検体10395、名前はサツキと名付けられてた少年であった。 目鼻の通った爽やかな少年である。ヒーローにふさわしく十分な筋肉が備わっており、無駄な贅肉はなくスマートな体つきをしていた。 しかし、その大きさが問題だった。敵の大きさが50m程度なのだから、それくらいになるのが理想だった。だが、完成したのはなんと1500mを超える大巨人だったのだ。 なぜここまでデカくなってしまったのかは不明だが、とにかくとてつもない大きさだった。 ここまで巨大な洋服を作ることはできず、彼の姿は競パン一丁の姿であった。 失敗した者は全て処分してきた。正直これだって失敗である。なのだが、この被検体を処分することはできなかった。 そのため政府はこれを完成体として世に送り出したわけである。 このサツキが誕生してからというもの、怪獣におびえることはなくなった。その代わり、人類はすさまじい負担を強いられるようになったうえ、より強い恐怖におびえる日々を過ごすこととなった。 まず食事である。身長1500mもある身体を維持するには10億人分を超える食料が必要となった。育ちざかりの少年である。いつもおなかを空かせて与えられた食料をあっという間に平らげてしまう。 ある日を境に突然10億人も人口が増えてしまった状態であり、国民は食糧難となってしまた。 さらに問題なのはそこから吐き出される汚物。すなわちうんちであった。 彼専用のトイレが設置されたが、おしっこは自然に流れるように作られたが、彼の出す巨大な糞便を流すほどの機能は作ることができず、毎日巨大なダンプカーを1日中走らせて糞便を運ばなければならなくなった。 廃棄の量も半端なく、彼の糞便の専用の処理場も建設された。 固形の糞便の場合はまだ良かったが、下痢気味の場合は悲惨だった。 とにかく彼の糞便運びなどやりたがる人もおらず、高給な仕事となっていた。 そんなわけで人類は彼の誕生は怪獣に対抗できる手段が確立されたと同時に多大なる負担を強いられるようになったのだった。 むしろ、怪獣が野放しにされていた時のほうが良かったのではないかと思えるほどだったが、政府は失策を認めるわけにもいかず、唯一の怪獣対策として使われていた。 そんな中、ベルが鳴った。 怪獣が現れたという知らせである。 サツキは面倒くさそうにぐわっと起き上がると怪獣の居場所を端末で確認した。 サツキの視界を遮るものなど何もない。雲が目線上に飛んでいるほかには遥か地平線まで眺められる。足元はごちゃごちゃとしているが、彼の目には映らなかった。 怪獣さえ現れなければ仕事をせずに過ごしていられる。食べ物も勝手に運びだされてくるし、特に不自由もない生活なのだ。 「東に100kmか、そんなに遠くはないな」 サツキは怪獣までの進路を確認する、と言っても怪獣の方角へと一直線だ。 特に彼が通る道があるわけでもないし、迂回するだけ無駄なのだ。 そしてサツキが進路を確認したと同時に国中にけたたましい音量で警戒警報が鳴り響いた。 避難勧告である。それは怪獣からではない。このサツキから逃げろという合図だった。 人々は途端にどよめき慌てふためいた。なんといっても命に係わる警報である。冷静にいられる方が珍しい。 人々はそれぞれの端末で怪獣の居場所とサツキの進路について確認した。 外れていた者は喜び、進路上にいたものは絶望した。 避難勧告といっても進路方向だと宣告された人たちはどうすることもできない。 どんなに頑丈なシェルターに逃げたとしてもそれらごと踏み抜かれて、潰されてしまうのだ。 もはや自分のいる場所が足の置き場ではないことを祈ることしかできなかった。 サツキは場所の確認を終えると街のほうへと歩みを始めた。 だが、1500mもの巨人である。足の大きさも250m近くもあった。 すなわち、街中に彼の足の置き場などないのである。 どんな建物だって、彼の足首あたりまでしかない。彼にとっては人間の建物など霜柱同然だった。 サツキは当たり前のように建物を踏みつけにしながら前進した。 ズシーン・・・・ たった一歩ですさまじい衝撃があたりを襲った。 今まで立派に建っていた建築物は瞬時にサツキの足の下へと消えて行った。 避難勧告がなされてから30秒後のことである。当然人々は避難などできているはずもなく、踏み潰れてしまった。 各テレビ局では緊急放送が流れ始めた。テレビ局はいつでも報道できるように常にサツキの居住地に人を派遣しているのだ。 緊急放送が国中に流れる。サツキが歩いている姿がヘリコプターからの映像が映し出された。 かなり距離の離れたところから録られているが1,500mもあるサツキの姿ははっきりと映っていた。 ズシーンという地響きとともに地面からは黙々と煙が立ち込めていた。 足元の様子は分からなかったが、相当数の建物や人間が踏みつぶされてしまったであろう。 ヘリコプターで空から撮影しているにも関わらず一歩歩くごとに画面は揺れて、びりびりと振動が伝わってきた。 5千万tほどもある体重が地面につくのだから当たり前だ。それほどまでに巨大なものがのしかかることなど想定されていなかった。 サツキの足取りは変わらなかった。彼の任務は怪獣を一刻でも早く倒すこと。彼の任務はただそれだけなのだ。 それ以外特に指示はない。というよりも、指示できるような状態でもないのだ。 実験によって巨大化されたサツキにとって少しばかりの人間の命が失われることに抵抗がなかった。 実験の影響もあるが、それ以上に彼にとって人間は砂粒のような存在でしかなく、特に感情移入もしなかったのだ。 それどころか、この行為に対して少しばかり楽しいとも思っていた。 なにせ何をするにも自分の自由だ。自分を抑制できるものは何もないし、この世で一番強い存在なのだから、何をしても誰も何も文句を言わない。 そんな弱小な種族の者がこの一歩で助けるはずの人間が何百人も被害が出ているだなんて考えただけでゾクゾクするではないか。優越感以外の何物でもない。 デカい怪獣は彼にしか倒すことができない。文句を言おうならば世界が崩壊しかねないのだ。 サツキが一歩二歩と街の上を歩いていく。たった一歩で何十棟もの建物や数百人の人々が犠牲となった。何もかもがそこに何もなかったかのように潰れて大きなクレーターを作っていた。 これを100kmも歩かれるのである。たまったものではない。 サツキの進路方向には毎回避難勧告がなされるが、その避難勧告はすなわち死を意味していた。 たまたまサツキの進路方向にいたから。たまたまそこにサツキが足を置いたから。 そんなたまたまな理由で人々は殺されていったのだった。 定点カメラから映し出されている映像は悲惨なものだった。人々は大パニックになって逃げまどう。その上から彼の足がのしかかるのだ。 周りの建物も衝撃でガラスは割れて、崩れ去り、瓦礫の下に消えていく。 そこで映像は停止した。そのカメラが壊れてしまったことを示していた。 そうして大勢いた人は一瞬にして彼の足の下に消えていくのだった。 サツキは歩みを止めない。人が集まるドームがあろうと、オフィス街があろうとサツキにとっては関係のないことだった。そもそも、どこがどんな場所であるかだなんて興味すらなかった。 ただ、怪獣の方向に向けて歩みを進めるのみだった。 「みんなちゃんと逃げたよね~?」 サツキは形式的に人間に対して確認を取ってみた。 回答を期待してのことではない。ただなんとなく聞いてみただけである。 人々が逃げ切れておらず、踏みつぶされていることは、ヒーローになったときの特殊能力で分かっていた。 彼は人々の気持ちや状況を感じ取ることができていた。 今もまさに一歩歩いた瞬間に、多数の人が絶望感に浸ってそれが消えていく感覚が伝わっていた。 本来人を救うヒーローに絶望させられるだなんてどんな漫画や特撮でもないだろう。 そんなダークヒーロー的な立ち位置がサツキは好きだった。 とはいえ、あくまで仕事の一環である。 怪獣を倒すのには必要な犠牲なのだ。 だから、感謝こそされても恨まれる筋合いはない。 まぁ、恨まれたところでサツキを殺せるものなどないのだけれど。 少し進んでいくと、大都市が見えてきた。50万人は軽くいそうなほどの大都市だ。 そこを通りでもしたら、被害は尋常ではなくなるだろう。 「ごめんね~。ここが近道なんだ♪」 サツキが歩みをやめることはなかった。少し回り込めば人の被害は大分少なくすることができるだろう。 回り込んだところで数歩多く歩くだけなのだから時間もそんなに変わらない。 それでもなお、大都市に向かっていくのはヒーローの嵯峨というものだろうか。 大都市に対してドシーンとひときわ大きく踏み込んだ。他の場所と比較して大きくて高いビル群が一瞬にしてサツキの足の下へと消えて行った。 しかし、サツキは笑みを浮かべながら下を眺めていた。 わぁ、きゃあ、という悲鳴が足を振りかざすと同時に大きくなり、地面につけると同時に消えた。 自分だけは助かるんじゃないか、自分は死なずに済むんじゃないか。自分だけは踏まれることはなく済むんじゃないか。 そんな風に希望を持っている人もたくさんいる。 そんな人の上に足をかざすこともサツキは好きだった。 必死に希望を持って精神を保とうとする人に最後の絶望を与えるのだ。 あえて歩幅を狭くして踏み残しがないように大都市を蹂躙していく。 50万都市が半壊したところでいったん歩みを止めた。 「すみませんね~。たくさん建物建てていたみたいだけど、また頑張って建ててね♪」 笑み混じりにそう語りかけたが、何万人が被害にあったのか、もはや誰にもわからなかった。 そうして都市都市を蹂躙しながら歩行してようやく怪獣のいる地域へと到着した。 今回の敵は30mほどの怪獣である。サツキから見たら3cmほどの指先で摘まめるほど小さな生物だ。 こんな小さな生き物すら対処できないだなんて人間ってなんて弱い生き物なんだろう。 そんなことを思いながらサツキは怪獣を見下ろすために屈んだ。 怪獣は突然現れた超巨大なサツキに驚き、逃走を開始した。 周りの建物を破壊しながらサツキのもとを離れようとしている。 が、サツキにとって数センチ程度逃げられたところで何の意味もない。 右手を伸ばして怪獣を摘まんでみた。 ちょっと力を入れれば潰れてしまいそうだ。 「潰しちゃっても良いんだけどさ、ちょっとおなか減っているんだよね」 サツキは右手を顔の高さまで持ち上げて、舌を出した。 もわっとした熱気と口臭が怪獣を襲った。這い出そうとクネクネとするもサツキの圧倒的な力の前では無意味だった。 「あーん♪」 バリ、グチャ、ネチャ・・・ 今まで街を襲っていた怪獣はサツキの口の中に入れられて噛み砕かれた。 「あんまりおいしくないな」 ちょっと不服そうにしつつも、サツキの仕事はこれにて終了となった。 なんともあっけない幕引きである。あまりにも力の差がありすぎたのだ。 今回怪獣に襲われた人は数千人にも及んだが、それ以上に彼による被害者は数十万人を超えたのだった。 しかし、本番はこれからだった。 サツキの帰還である。 実は出動よりもこの帰還のほうが人類にとって深刻だった。 なぜなら、帰還するまでの道のりはサツキの気まぐれで動かれるからだ。 出動した時にはあくまで怪獣まで最短で向かうという名目がある。 だから、被害はその直線状にしか及ばない。 しかし、帰りは違った。仕事が終わって自由になったサツキがあちこち寄り道をしはじめるのだ。 本来ではすみやかな帰還が望ましいが、この彼の自由行動を制限できる能力は今の人類には存在しない。 むしろ、怪獣が出るたびにきちんと出動してくれることすら奇跡なのだから。 ここからはどこを通るかが分からない運命の時がやってきた。 避難勧告は出ているものの、どこに逃げれば良いのかわからないのだから逃げようがない。 「さーて、どうやって帰ろうかな♪」 サツキの帰還時には大都市がよく襲われる。サツキには人々の心が読み取れるのだから、たくさんの人がいる場所が想像つくのだ。 「もうみんな逃げ切っているよね?」 にやつきながらまだ被害にあっていない街を見下ろす。 この街の住人が逃げられていないということはすでに了承ずみだ。 ズズズと右足を持ち上げる。小さな小さな街の中で人々が右往左往としているのが感じられた。 どこに逃げようとしたって彼の巨大な足から逃れることなどできないが、どの人間も必死なのだ。 ドッスーーン・・・・・ サツキの素足が街の中心へと振り下ろされた。建物は崩れ、電車や車が吹き飛び、すさまじい振動が街を襲った。 地面についた足をグリグリと動かすと、地面が盛り上がり、さらに被害が増えていく。 家々は押し流され、人々は磨り潰された。あたり一帯が一気に土が剥げた荒地へと変貌してしまったのである。 「ほらほら、早く逃げないと踏んじゃうよ♪」 爽やかな笑顔で足元に向かって笑いかける。人を踏み潰すことなどなんとも思っていないが故の笑顔である。 その笑顔のまま歩みを始めた。高層ビルですら彼の足の下に埋もれてしまう。 一歩ごとにビル群が崩れさり、土煙が充満した。 ヘリコプターから映された映像を見ながら、人々はただ祈った。自分のところにだけは来ないでと。 「こっちにしようかな?それともあっちにしようかな?」 サツキの一言一言をみんなが聞き入っている。その気まぐれの結果で自分の命が失われるかもしれないのだから。 怪獣と違ってこればかりは焦って逃げても無駄である。逃げようとする方がかえって様々な危険にさらされることになる。 「あっちにしよう」 そう道順が決まった瞬間、進路方向に緊急アラートが鳴り響いた。 逃げようにも逃げ切れるものではないのだから、何のためのアラートなのかはわからない。 しかし、政府として対応している旨を伝えるためにきちんとアラートを流すのだ。 数キロはある距離を数歩で歩いて、別の大都市へとやってきた。 当然途中の道でも多数のものを潰しているのは言わずもがなである。 「この辺はごちゃごちゃしているね。ちょっときれいにしてあげるよ」 サツキは250mもある足を持ち上げて、人の集まるターミナル駅へと振り下ろした。 駅では最後まであがこうと電車で逃げようとしていた人が集結していたが、電車にはそんな人がぎゅうぎゅうに詰まっていた。そんな電車を駅舎ごと踏みしめた。 何両にもわたって連なっている電車はたった一踏みで全てが潰されてしまったのだった。 あたりでもグラグラと振動がゆれて、周りの建物が倒壊した。 「電車で逃げようだなんて、失敗だったね♪これじゃあ怪獣が現れても逃げ切れないよ」 踏み潰したサツキは楽しげな表情で足元にいたすでに潰されて存在しない人々に語りかける。まるでほかの人に対して脅すような声質で。 周りの建物が崩れたことで逃げようとしていない人たちも被害が出ていたが、そんなことは彼にとっては些細なことであった。 こうしたサツキの気まぐれには政府は頭を抱えていた。 どうにかこうにか理由をつけて正当性を主張しているが、正直限界がある。 そんなときだった。 怪獣出現のベルが鳴った。 「お、今日は多いな。今度はどこに出たのかな?」 タブレット端末を確認して怪獣の位置を確認する。すると、その場所は3000kmも離れた位置だった。 ここから行くには少々時間がかかる。 それならばと、サツキは屈んで、クラウチングスタートの格好になった。 ここから走って行くつもりであった。彼の体格でも3km程度も離れたところだ。早く到着して多くの人々を救うには走ったほうが早い。 だが、人類は驚愕していた。5千万tもの体重の者が走ったらどうなるか知っているからだ。 しかし、止めることはできぬままサツキは走り出した。 ズガガガガガガガ!!!! 歩行先にあったビル群は蹴り飛ばされて、足が地面につく度に地割れが起きる。 そして衝撃破で車や電車、建物が消し飛ぶように吹き飛ばされた。もはや止められる者は誰もいない。 人間たちは無力だった。サツキが引き起こす大災害に巻き込まれるほかなかった。 ドシンドシンと一歩踏み出すごとに地形が変化して何もかもが舞い散った。 だが、政府はあることに気が付いた。 今回出現した怪獣はせいぜい2m程度のとても小さな怪獣であったことを。 この大きさであれば、軍隊を出動させれば十分に対処できたということを。 それが、誤報で彼のもとにベルが鳴ってしまったのだ。 彼の走りで何千万人が犠牲になったろうか。もはや調べることすらためらわれた。 「怪獣はどこだ~?このあたりのはずなんだけどな」 サツキはあたりを確認する。しかし、怪獣の姿は見当たらない。 「ん~こっちの方かな?」 高層ビルを数棟踏みつぶしながら屈んで怪獣を探した。それでも怪獣は見つからない。 姿を消すタイプの怪獣なのだろうか。このままではらちが明かない。 「このままじゃ、世界の平和が守れないな。仕方ない。このあたりは俺が全部破壊してやる!」 サツキによる破壊活動が始まった。正直被害に関しては今更感があるものの、再び無被害の場所がサツキの手によって破壊され始めた。 「ここか?ここに隠れているんだな?」 一際大きなドーム状のシェルターに手をかけた。ちょっと力を入れて持ち上げると簡単に天井がめくれ上がり中の様子が見えるようになる。中には砂粒のような人々がひしめくように集まっていた。 「怪獣がこの中にいるかもしれないんだ。正義のためだからな、我慢してくれ!」 人さし指をシェルターの中に入れると、シェルターの端っこから円を描く用に擦り付けた。 中にいる人間は何が起こったかもわからないままに指先に磨り潰される。あまりにも小さく、潰れる感覚も神経を集中させていないとわからないくらいだ。 プチプチプチっと何千人もの人が潰れていく。 指で磨り潰される感覚が気持ちが良い。みんなが悪の大魔王でも見るようなおびえた目で見てくるのだ。そう思うと自尊心が満たされる。もっといたずらしたくなってしまう。 「ここにはいなかったかぁ、それならこっちか?」 別のところにあったシェルターへと赴くと、再び天井をひん剥いた。 おびえ切った人々。にやにやが止まらない。 実際こんなところに怪獣がいないことくらいサツキにはわかっていた。 あくまで遊びのための行動である。 「今度はどんなことしようかなぁ。そうだ!」 なんだかおならが出そうな気がしてきた。このシェルター内におならをしたらどうなるか、ちょっと試したくなってきた。 「悪い怪獣を倒すためなんだ。みんな頑張ってくれ!」 サツキはシェルターをまたぐようにして屈んだ。いわゆるうんこ座りの状態になったのだ。 「正義のガス発射!!」 ブブゥ~ブブブブウー!! 大きな音とともに発射されたサツキのおなら。シェルター内の空気がサツキのおならで充満した。人々が息絶え絶えになった。呼吸が苦しくなり新鮮な空気を求めて外に逃げようとする人々をサツキは手で妨害した。シェルター内では呼吸ができずにバタバタと人が倒れ始めた。 「そんなに臭いかな?ちょっと恥ずかしいかも」 自分のおならで倒れていく人を見てゾクゾクしていた。ただの生理現象ですら彼らにとっては脅威なのだ。 「今度は、おしっこしたくなってきたな」 サツキは競パンからペニスを取り出した。 なんとなく膨れ上がって盛り上がっていた。 「ふふふ、悪い怪獣め、成敗してやる!」 街中への放尿が始まった。すさまじい量のおしっこが大都市を襲う。このおしっこを街が処理し切れるはずもなかった。 おしっこは街中にあふれ出て、大洪水となった。とてつもない水量で消滅するシェルター、流される車や電車、人々もおしっこの激流に飲み込まれてしまった。 数万を超える人々がおしっこの中で溺死する。それでもなお大洪水は終わらなかった。 怪獣がいるという情報があった街の外にまであふれ出ていってしまった。 ちょっとやりすぎた感があるが、大事なのは仕事を遂行することだ。 とにかくここに隠れている怪獣を倒さなければ任務が完遂できないわけだ。 とはいえ、すでに街はサツキのおしっこで崩壊していた。もはや怪獣がやっつけられていたのは明らかだった。 しかし、今回長期にわたる任務で興奮していたサツキは、ムラムラしていた。 年ごろの少年である。性欲にも忠実なのだ。 さっきまで膨れ上がっていた彼の肉棒はさらに膨れて、剃り立っていた。 「怪獣は絶対に倒さないといけないよな?」 隣町のシェルター前へと移動した。一際大きくて頑丈な作りをしたシェルターである。 サツキはそのシェルターに覆いかぶさるように四つん這いになった。 剃り立つ肉棒をシェルターの天井につけてみた。 シェルターの天井がギシギシと音を立てる。今にも崩れてしまいそうだ。 中に避難している人々の悲鳴が聞こえてくるようだ。 人々の恐怖を想像してみたサツキの肉棒はさらに一回り大きく太く成長していた。 そして、とうとうシェルターの天井がサツキの肉棒によってぶち抜かれた。 天井の隙間から現れたピンク色の巨大な物体。それがペニスだなんて想像できる人などいるだろうか。 中にいた人々は大パニックになっていた。上から迫りくるピンク色の巨大な物体。 入り口もひしゃげて外に逃げることすら叶わなかった。 ズンと腰を下に下げる。シェルターにいた人々がプチプチと亀頭に磨り潰された。 ビリビリと脳に刺激が来る。たった数千人を磨り潰しただけでこの快感。 サツキはもう我慢できないでいた。 うつぶせになる様に街の上に倒れこんだ。脚と腕を使って肉棒を街になぞるように擦り付ける。 ザリザリと崩れ去るビル群、そしてプチプチとはじける小人の感触がサツキの亀頭を刺激する。 超高層ビルよりもはるかに長く太い彼の肉棒がさらに膨らんだ。サツキは我慢の限界だった。 「悪い怪獣め!俺の必殺ビームを喰らえ!」 ドピュドピュドピュルルル・・・・ サツキの白くて粘度のあるビームがまだ被害の出ていなかった街へと着弾した。 あるものはタワーマンションに直撃し建物を貫く。またあるものは駅舎を崩壊させ、そしてまたあるものは大衆を飲み込んだ。 「はぁ、はぁ、今日の敵は強かったな。これくらいやれば十分だろう」 サツキはビルを数棟取り上げて、肉棒の先っぽをふき取って頬り投げた。 競パンを履きなおして居住地へと赴いた。途中の街を踏みつぶしながら。 今日も街の平和を守っているサツキ。世界の人口はたった数年で1/100へと減っていた。 出動のベルが鳴る度に人類は恐怖した。サツキの気まぐれが世界を滅ぼすのであった。