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江戸山乱理
江戸山乱理

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『昼下がりの全裸身体測定』(1)

◆題名と著者 『昼下がりの全裸身体測定』 江戸山乱理 ◆主な登場人物 智史……主人公の男子 伊緒……隣の席の女子 杏梨……保健委員の女子 佐井先生……女教師 ◆あらすじ  身体測定の時は、男子はブリーフ一枚になるのが、中央学園の決まりだった。しかし、遅刻してしまった智史は、罰として、そのたった一枚のブリーフを剥ぎとられ、しばらく立たされてしまった。  その後、全裸での測定を余儀なくされ、教師には体を弄られたり、お尻を叩かれたりと、散々な目に遭った。しかも、保健委員の杏梨にもお仕置きを手伝わせるという徹底ぶりだった。  測定の後は、保健委員の杏梨に連れられ、保健室でブリーフを替えてもらった。杏梨とちょっといい感じになるが、それも束の間、年甲斐もなく、おもらしをしてしまった。  体育館で覗きまがいの行為をしたこともあって、同級生の杏梨に、たっぷりとしたお仕置きを受け、とことんまで精を搾られる智史だった。文字数、約77000字。 ◆目次 一章 教室のブルマ女子とブリーフ男子(1ー9) 二章 教室から体育館への往復路(10-17) 三章 隙間からの女子の覗き見(18-24) 四章 智史の全裸身体測定(25-33) 五章 杏梨と先生からの教鞭(34-41) 六章 替えの下着選び(42-48) 七章 塗ったり拭いたり(49-54) 八章 後輩からの乳首責め(55-63) 九章 廊下の真ん中で粗相(64-67) 十章 再度の教鞭(68-76) 十一章 前と後ろから(77-84) 『昼下がりの全裸身体測定』 江戸山乱理 一章 教室のブルマ女子とブリーフ男子(1ー9) 1  古い学校には、昔の習慣が根強く残っている。  中央学園も、地元で随一の伝統校で、田舎ということも相まって、普通に考えれば不合理としか言いようのない校則がいくつもあった。身体測定の時に男子をブリーフ一枚にさせるのも、その一つだった。  もちろん当の男子達もそんなことを望んでいなかったが、「学校の決まりだ」と言われれば、反発を覚えながらも、諦めて受け入れざるを得なかった。もっとも、教師や女子の中には、それを見せ物のように愉快がっている連中も少なからずいたようだが。 2  二学期の身体測定は、夏休みが終わってすぐの九月第二週の月曜に行われた。  時間はクラス毎に指定され、智史のいる三組の割り当ては四限目だった。  当然、その授業は潰れる。それは特に不人気の数学の授業だったので、クラス全体は暗黙の喜びに包まれた。また、学校行事という非日常性につきものの高揚感も合わさって、クラスの雰囲気はいつになく賑わていた。  四限目の開始時刻ちょうどに、担任の教師が教室に入ってきて、皆は私語をやめた。担任は教壇に立って、話を始めた。 「各クラス、順番に身体測定を行っていくので、時間通り、体育館に向かうように。それまで各自で自習して、待機していなさい」  担任は色々と説明や注意をしたが、わざわざ言われなくても、毎年のことなので、智史を含めて、聞き流していた。また担任は、黒板に一人ずつの生徒の分刻みの予定時刻を書くと、保健委員の杏梨に何かを指示して、二人一緒に教室から出て行った。 3  担任の歩く足音が廊下の向こうに消えると、教室は再びガヤガヤと騒がしくなった。本当は黙って自習をしながら、各自の順番を待っていなければいけないのだが、自習など誰も真面目にやらず、皆おしゃべりに興じていた。  しばらくすると、保健委員の杏梨が教室に戻ってきて、教壇の上に立って、 「えー、では、もうそろそろ着替え始めて下さい。男子が先ですので、男子で出席番号の始めの方は人は、すぐに体育館に向かって下さい」  と指示した。それをきっかけに皆は着替え始めた。  杏梨は着替えと言ったが、厳密にはその表現は正しくない。なぜなら、女子は皆、制服の下にすでに体操服を着こんでいるので、脱ぐだけで済んだ。また、男子の方は、ブリーフ一枚になることが強制されているので、やはり制服を脱ぐだけだった。  智史は周りの様子をうかがいながら、脱ぐのをためらっていた。 (ブリーフ姿になるのなんて、いやだなぁ……)  というのが本音だった。しかし、周りは男子も女子も制服を脱ぎ出したので、智史も上着のボタンに手を掛けた。 (伊緒はどうしてるかな?)  智史は隣の席の伊緒の様子を見た。伊緒と智史は、今月の席替えで隣同士になった。伊緒はクラスの中でも一、二を争う可愛い女子だったが、口数の少ない子で、仲良くなりたいと思いつつも、今までその機会がなかった。それが今回、運良く隣の席になれたので、智史は内心歓喜していた。  ただ、その矢先に今日の身体測定だった。まだまだ二人の関係は初々しいのに、そんな状態の相手に、ブリーフ姿を見せるのは抵抗があった。 (伊緒だって、僕のブリーフ姿を見るの、恥ずかしいんじゃないかな……)  智史が脱ぐのをためらっていたのは、そいう事情もあった。  ただ、伊緒の方は、智史のそんな気持ちを知ってか知らずか、すでに上着は脱いでいて、スカートに手を掛けていた。もちろん、その下はパンツではなく、ブルマをはいているはずだが、好きな女子が制服を脱ぐのを見て、智史ぐらいの年齢の男子が平静でいられるはずはなかった。  智史はドキドキしながら、横目でチラチラ見ていると、伊緒は気付いた。 「智史君、早く脱いだ方がいいよ。測定、男子の方が先でしょ?」 「わかってるよ」 「あっ、でも、智史君は男子の最後だから、そんなに焦らなくてもいいか」  智史は和田という苗字のために、出席番号は毎年いつも最後だった。 「伊緒って、その下に体操服を着てるんだよね」 「そうだよ。だって、その方が楽だから」 「なるほどね」 (伊緒のやつ、『男子は脱ぐだけだから、もっと楽だよね』とか何とか、思ってるのかな?)  智史は伊緒の顔を見て、その心を読み取ろうとしたが、伊緒は普段と変わらない様子で、スカートを足から抜いて、ブルマ姿になった。間近に見る生の太ももはとても眩しかった。ただし、あまりジロジロ見るわけにもいかないし、周りの男子達がすでにブリーフ姿になっているのに気付いて、智史も慌てて制服を脱ぎ始めた。 4  皆に遅れを取らないようにと、智史はサッと上着とワイシャツを脱いで、上半身は裸になった。次にズボンのベルトに手をかけたが、 (ズボンを脱いだら、ブリーフだけの格好になってしまうな……)  と当たり前のことを考えて、そこで少し躊躇した。しかし、すでにほとんどの男子がブリーフ姿になっていたので、自分だけ服を着ているわけにもいかず、オズオズとズボンを下ろした。ズボンを脱ぎ捨てて、ブリーフ一枚の姿になった。 (お風呂の入るわけでもないのに、こんな格好になるって、なんか変な気分だな……)  智史は恥ずかしいような心細いような、何とも言えない感覚に襲われた。体育の着替えの時に、女子のいる教室で服を脱ぐこともあったが、その時はブリーフが見えるのは一瞬だけだし、それに上半身は服を着ている。しかし、今日は長時間ずっとブリーフだけの姿を晒すことになる。  智史は毎年、身体測定の日には、かつての幼稚園児の頃の情景を思い出すのが常だっだ。昔、通っていた幼稚園は裸教育なるものを採用していて、男女ともにパンツ一枚にされて、お遊戯や体操などをさせられた。その体験と今日の身体測定を重ね合わせた。 (すぐに裸にされるという点では、今も園児と同じ扱いだな)  それ以来、いくつも年を重ねて、なりも随分大きくなったというのに、いまだにブリーフ一枚にされている自分を、智史は我ながら情けなく思った。  そんなことを考えながら、俯き加減になって、脱いだ制服をたたんで、カバンにしまっていると、横から伊緒が話かけてきた。伊緒はすでにブルマの体操服姿で席に座っていて、どうやら智史が制服を脱ぐ様子をずっと注目していたようだった。 「お、智史君も、脱いだね」 「うん」 「寒い?なんかモジモジしてるけど」 「いや、そんなことないよ。全然、平気」  ブリーフ一枚が心細いという本心はバレたくなかったので、智史は強がりで、わざとらしく背筋を伸ばした。しかし、伊緒はそれを見透かしているのか、あるいは、ブリーフ一枚になって智史を憐れんでいるのか、顔をニヤニヤさせていた。 5  伊緒は智史の全身を上から下まで眺めた。中肉中背の薄い胸やお腹から、剥き出しの太ももやふくらはぎまで、舐めるように視線を這わせた。 「智史君て、意外に色白なんだね」  相変わらず、伊緒は半笑いの表情で言った。 (それって、からかっている?)  智史は思ったが、特に鍛えているわけでもなく、自慢できる肉体ではなかったので、反論するわけにはいなかった。  さらに伊緒は身を乗り出すようにして、智史が身に付けているブリーフに顔を近付けて、 「ちゃんと、白のブリーフはいてるね。靴下も白だし」  とつぶやいた。 「そりゃあ、そういう決まりだもん」  智史は自分で自分のブリーフを見下ろしながら、答えた。それは純白で何の絵柄の無いブリーフで、ファッションに敏感な都会の学校の男子なら、ダサいと言って、絶対にはかない代物のはずだ。  しかし、中央学園の校則では下着の色まで白と指定されていた。ワンポイントのロゴ位ならともかく、派手な柄ブリーフを穿いているのがバレたら、脱がされることさえあった。そこまで厳しくされるのは希だったが、下着検査をする教師のさじ加減一つでは、没収されてフルチンにされる可能性も無いではなかった。 (そんなにあからさまに、ブリーフを見つめないでくれよ……)  智史はさっきからブリーフの前の膨らんでいる部分に、伊緒の視線が突き刺さっているのを感じていた。綿の布地一枚だけを隔てて、伊緒におちんちんを直視されていると思うと、変に興奮してしまい、そこがさらに膨らみそうになった。 (それにしても、伊緒のやつ、普段は大人しいのに、今日はやけに口数が多いな)  普段なら、女子がブルマの体操服姿になった時には、男子からのよこしまな視線を向けられるのが常だった。しかし、今は両者の立場が逆転して、男子はブリーフ一枚で恥じらっていて、女子はそれをジロジロと観察する側に回った形になった。そういうわけで、伊緒も内心では密かに優越感を覚えていたのだろう。 6  女子は体操服姿になって、男子はブリーフ一枚になって、教室の中の雰囲気はガラリと変わった。やはり皆、気恥ずかしいのか、さっきまで騒いでいた男子も口数が少なくなって、教室は静かになった。  保健委員の杏梨は、 「自分の時間が来たら、順番に体育館へ行って下さい。遅れないようにして下さい」  と、まずは出席番号の一番から五番の男子を促して、教室から送り出した。ブリーフ姿で教室の外に出るのが恥ずかしいのか、彼らは心持ち俯きかげんだった。  智史と伊緒も、隣同士の席で自習しながら、自分の順番が来るまで待機していた。 (ブリーフ一枚の格好で椅子に座って、勉強するって、なんか変な気持ちだな)  智史だけでなく、男子全員がそう思っていただろう。  また、それとは別に、教室の中にブルマをはいた女子が勢揃いしているのも、奇妙といえば奇妙な光景だった。女子のブルマ姿は、体育の時にグランドで遠目で見るだけなので、それを目の前で見られるのは貴重な機会だった。 (これが伊緒のブルマ姿か……)  智史は好きな女子のブルマ姿を間近にして、目のやり場にこまった。いけないと思いつつも、伊緒の腰回りや太ももをチラチラと盗み見てしまった。智史が何度も見ていると、伊緒はそれに気付いたらしく、顔を上げて、こちらを見たので、二人の視線がまともに合ってしまい、智史はたじろいだ。 「何よ。人のこと、あんまりジロジロ見ないでよ」  伊緒はシャツの裾を伸ばして、ブルマを半分ぐらい隠した。もっとも、それは冗談半分で、笑顔を見せたままだったので、気分を害したわけではなさそうだった。 「ご、ごめん」  智史は一応は謝っておいた。 「気になるの?」 「え、えっと、それは……」 「女子のブルマなんて別に珍しくないでしょ。体育の時にしょっちゅう見てるわけだし」 「ま、まあ、そうだね」 「でも、男子のブリーフ姿は珍しいけどね。ふふ」 (なんか、からかってるみたいだな……) 「よそ見してないで、自習、ちゃんとしなきゃダメだよ。わかった、智史君?」 「わかってるよ」  しかし、そう言った当の伊緒が、相変わらずニコニコしながら、智史の体を無遠慮に眺めていた。相手のことが気になっていたのは智史だけではなく、伊緒の方も智史のブリーフ姿が気になっていたようだった。 (男子が女子のパンツを見たがるのは分かるけど、女子も男子のブリーフとかに興味あるのか……。ふーん、もしかして伊緒って、顔に似合わずヤラシイやつなのかも?)  智史はブリーフ一枚の自分の姿を、あんまり露骨にジロジロと見られるので、くすぐったい気持ちになった。しかし、男として、「そんなに見ないでよ」なんてセリフは恥ずかしくて、言えなかった。  また、その伊緒の目付きも、男が女の裸体を見る時のようなゲスっぽさは無くて、可憐な小動物を温かく見守るというような母性愛にあふれる笑顔だったので、その視線を黙って甘受していた。  ブリーフ姿をジロジロ見られて、それが心理にどういう風に影響を及ぼしたのかは不明だが、こまったことに、おちんちんが勃起し始めて、ブリーフの股間が膨らんできた。智史は自習の課題に余計に集中できなくなった。 7  智史は無理に精神を集中して、自習の課題を解いていると、「ねえ」と声をかけられた。顔を上げると、伊緒がニヤケ顔で、こちらを見ていた。 (なんだよ。邪魔するなよ)  と智史が言おうとすると、いきなり伊緒は横から手を伸ばしてきて、智史の太ももに手の平を置いた。 (えっ)  それは突然の出来事で、また伊緒の振る舞いがあまりに自然だったので、その手をはねのける気にならなかった。伊緒はふふと笑っていた。 (何のつもり?単なるおふざけ?) 「ここ、教えてくれない?」 「……」 「この問題、教えて。智史君、数学は得意でしょ」 「……ああ、いいよ」  智史は身を乗り出して、その問題を教え始めた。内心は伊緒の手の平の温かさにドギマギしながらも、表情だけは務めて平静を装っていた。しかし、伊緒を目の前にしていると、ついつい視線は、課題のプリントではなく、伊緒の体へ向いてしまった。  しばらく、その整った横顔を眺めていたが、やがて、胸の膨らみを見て、体操服の下のおっぱいの存在を想像した。さらに視線を下げて、紺色のブルマの食い込んだ股間に、智史の視線は釘付けになった。当たり前だが、その股間はつるりとなめらかで、自分の白ブリーフの前の膨らみとは対照的だった。 (ブリーフをこんなに近くから見られたら、僕が勃起してるの、バレるのだろうか)  そう思うと、もっと勃起してくるのだった。気を紛らわすために、そこから視線を外して、二人の露出している太ももを見比べた。 (伊緒は、太ももは結構太いな。女子ってそんなもんか。僕よりも伊緒の方が太いんじゃないかな?)  智史は課題を考えている振りをしながら、ジロジロと伊緒の体を観察していたが、それがあまりに熱心だったので、バレてしまった。 「智史君、あんまりジロジロ見ないでって言ったでしょ。恥ずかしいじゃない」  冗談めかしく、大袈裟に身を縮めて、太ももをギュッと閉じた。 「ご、ごめん」  一瞬、怒らせたかなと恐れたが、むしろ、逆に伊緒はさらに積極的になった。 「もっとこっちに来て」  伊緒は智史の椅子を引き寄せて、二人は膝が触れ合う位にまで接近した。 8  伊緒は智史の顔を覗き込むようにして、 「そっちがそうするなら、私も智史君のこと、もっと観察しちゃうよ」  と、よく分からないことを言った。 「なんだよ、それ。意味分かんないよ」 「うふふ」  伊緒は、こういうことだよと言わんばかりに、智史の体をベタベタ触りだした。  右手ではシャーペンを持って、課題を解きながら、器用に左手の手の平は智史の太ももに置いて、その場所をモミモミ揉んだり、上下させた。智史は、背筋がゾクゾクした。  伊緒の手は、智史の太ももから股間へと上ってきて、ブリーフの足回りの所まで来た。指先がブリーフ越しに股間に触れたので、智史は思わず、 「んっ」  声を漏らした。しかし伊緒は頓着せず、太ももの付け手の肌の上に、親指と人差し指で幅を計るように手を密着させた。 (何をやっているんだ……) 「やっぱり男子って筋肉あるね。鍛えてる?」 「いや、別に……」  さらに、伊緒はブリーフを指さして、 「白ブリーフ、ヨシ、合格」  と、下着検査をする教師の口真似をしたので、智史は思わず笑ってしまった。  そこを通り越して、次は人差し指でお腹をつついた。智史はくすぐったさに、体をビクッとさせた。 「ふふ、智史君て、見掛けによらず、結構、体、締まってるんだね。なんか、うらやましいな。私も、もっとやせたいんだけどね」  と言いながら、気安くお腹の薄い肉をプニプニと摘まんだ。それはちょっと痛かったが、伊緒の機嫌を損なわないように、智史はされるがままに我慢した。しかし、形ばかりの抵抗はして、さりげなく相手の手を握った。 「くすぐったいよ」 「ダメだよ、邪魔しないで」  二人でそういう傍若無人の乳繰り合いをしていると、後ろの席の女子から、 「ねえ、あなたたち二人、ちょっと騒ぎ過ぎだよ。今ここで身体測定やってんの?」  と茶々が入った。  ふと気付くと、周囲からの視線を集めていた。伊緒が智史の体をもてあそんでいるを眺めて、女子達はたいていニヤニヤしていたが、男子の中には複雑な表情を浮かべているやつもいた。それは智史に同情しつつも、羨んでいるかのようだった。  クラス中の注目を浴びながら、隣席の女子に体を触られて、智史は表面上、「やめろよ~」などと言って、いやがっていたが、内心はまんざらでもなかった。他の男子達に対して、自分が女子と仲が良いのを見せ付けるは、ちょっとした自慢になるのは分かっていた。 (もっと、伊緒とこうしていたいなぁ)  智史は思って、ブリーフ一枚の体を弄られるのを許しながら、わざとゆっくり課題を教えていた。しかし、無情にも時計の針は進んで、自分の順番が近付いてきた。 9  すでに大半の男子は体育館に向かっていて、教室に残っているのは、智史を含めて数人だった。  やがて智史のひとり前の男子も出て行った。十数人の体操服姿の女子の中に、一人ポツンとブリーフ姿で残っているというのは、変な気持ちだった。 「もうそろそろだね」 「うん」  智史は時計の針を見て、指定された時刻ぴったりに席を立った。 「じゃあ、僕、行くね」 「行ってらっしゃい」  伊緒だけでなく、クラスの全員の視線を裸の背中に浴びながら、智史は教室のドアを開けて、廊下へ出た。  廊下は空気が少しヒンヤリとしていた。ブリーフの他に智史が身に付けているものと言えば、バレエシューズの上履きと、靴下だけであり、そんな格好で廊下を歩く心細さは、たとえようも無かった。 (廊下は屋外じゃないから、ブリーフ一枚の姿で歩いてもいいはずだよな……)  智史は自分に言い聞かせたが、一人きりになると、さっきまで茶化してくれた女子達も懐かしく思えた。  廊下に出れば、どこから教師に見られているか分からないので、智史は靴下を引っぱり上げて、ふくらはぎを覆うようにはいて、背筋をピンと伸ばして歩いた。中央学園には、守らなければならない校則が実にコマゴマとあった。  智史は裸体で心細いので、唯一手に持っている記録用紙を、何となくブリーフの前にやって、オズオズとした足取りで、体育館へ歩いて行った。しかし廊下には自分以外誰もいないので、一人で恥ずかしがるのが馬鹿らしいような気もし始めた。ブリーフ一枚で歩いているうちに、徐々に慣れてきて、むしろ解放的で気持ちいいとさえ感じるようになった。 二章 教室から体育館への往復路 10 (このまま誰にも会わずに体育館に行けるかな)  智史は思っていると、その直後、廊下の向こうの曲がり角から、ある女教師が姿を表した。 (あ、先生だ)  その教師はこちらに歩いてきて、目の前まで近付いた所で、智史は一歩横によけて、ペコリと一礼した。校則では、通路で教師と出会った時には、そうする決まりだった。そのまま行き過ぎるのを待っていると、なぜかその女教師は立ち止まって、話し掛けてきた。その顔は妙にニヤニヤついていた。 「パンツ一枚で、どうしたのかと思ったら、今日は身体測定だったね」 「はい、そうです」  智史は真面目に答えたが、内心では、 (そんなの先生なんだから、分かってるだろ。わざわざ訊くなよ)  と思った。すると、女教師は智史のその無愛想な顔つきが気に入らなかったらしい。 「ちょっと、下着、調べようか」  などと言いだして、智史の裸の肩に手を置いた。 (今、この状態で服装検査するの……?)  中央学園では、頭髪検査とか服装検査が不定期的にあって、別の学年の教師からの言いつけであっても、生徒側は拒否できなかった。また、その手順は特に明確には決まっておらず、どうするかは現場の教師の裁量に任されていた。  例えば、下着を検査するために、男子達を一斉に廊下に並ばせて、脱がして裸にするという情景もあった。教師によっては、しょっちゅうやりたがるやつもいて、隣のクラスは運悪く担任が厳しくて、男子は月に一、二回は教室で脱がされて検査があるらしい。  ただ、どちらかというと、服装検査は若い教師の仕事と見なされているらしく、新任の教師が張り切ってやって、生徒が迷惑を被るという場合も多かった。 (この先生も若そうだし、積極的にやりたがる方の人なんだろう)  智史は敏感に悟って、無難に従っておこうと判断した。 「はい、わかりました」  と言って、下着検査の姿勢である気を付けをした。女教師は智史の周りをグルリと一周して、品定めでもするように、ジロジロとねめ回した。 (ちゃんと白のブリーフをはいてるんだし、他はこんな格好なんだから、文句のつけようがないだろう)  智史は高をくくっていたが、そう簡単には済まされなかった。 「もっときちんとはきなさい」 「何がですか?」 「靴下よ」 (靴下?ちゃんとはいてるじゃないか)  智史は思ったが、反抗してもしょうがないと知っていたので、 「はい、すいません」  と口とをがらせつつも、素直に謝って、靴下をさらにグッと膝まで引き上げた。 「パンツも、もっとちゃんとはかなきゃダメよ」  女教師は言うと、智史のブリーフの左右のフチを摘まんで、股に食い込むぐらいに引き上げた。 「わわっ」 「こうしておくの。分かったね」 「……」 「分かった?」 「……はい、ありがとうございました」  智史は、やめてくれと叫びたくなるのをグッと堪えて、お礼を言った。 「ほら、背筋も伸ばして」  女教師は智史の気持ちなどお構いなしで、智史のお尻を抑えて、アゴを押して顔を上げさせた。検査の時に限らず、教師は、特に女教師は、男子の体に触れるのを全く遠慮しなかった。教室で女子が男子の体を気安く触ってくるのも、それが影響しているのだろう。 「じゃあ、行ってきなさい、遅れないようにね」  最後に女教師は智史のお尻を無意味にポンポンと撫でると、智史はようやく解放された。去っていく女教師を、気を付けの姿勢で見つめながら、 「ふう」  と息をついた。 11  女教師が向こうの角を曲がったのを確認すると、智史は引き上げられたブリーフを元に戻した。 (タイミング悪く、鉢合わせしてしまったな。あいつ、ほんと、余計なことばっかりだな)  相手がいなくなると、急に強気になって、一人で呟いた。しかし、半面、あれだけで済んで良かったと、ホッと一安心したのも事実だった。  女教師でも機嫌が悪いと、ちょっとしたことでもビシバシやられるのは稀ではなく、そんな痛い目に遭った男子を何人も見てきた。つい最近の出来事でも、新任の女教師だからと、なめてかかった男子がいて、結局はこっぴどくしごかれて、女子生徒の目の前で制服を全部脱がされて、ブリーフ一枚の姿で立たされて泣かされていた。 (あれは可哀そうだったな……)  そんな情景を思い返していると、再び廊下の曲がり角から通行人が現れた。今度は教師ではなく、二人連れの女子生徒で、何かの冊子の束を運んでいた。双方が近付くにつれて、胸元のリボンの色で一つ学年下だと分かった。  向こうも智史に気付いて、二人ともギョッとした顔になって、コショコショと内緒話をしていた。小声でほとんど聞こえなかったが、彼女らの顔から、その会話の内容は大体見当がついた。 「なんであの男子パンツ一枚なの?」 「身体測定でしょ」 「ああ、そういうことか」 「何年生だろ。先輩かな」 「さあ?背はそれ程高くないね……」  やがて、接近して、お互いに無言ですれ違った。その時、彼女らは神妙な顔でまっすぐ前を向いていたが、横目でチラチラ見ているのは丸わかりだった。 (なんか気まずいな……)  後輩は先輩に挨拶するという決まりが、一応はあったが、今のブリーフ一枚の姿の智史に、それを要求する程の図太さは無かった。また、向こうの二人も、智史が年上だと分かったはずだが、ブリーフ姿の相手に挨拶する気にはならなかったのだろう。 (何も言わないけど、どう思われたんだろう。やっぱり、バカにされたかな……)  彼女らは智史と逆の方向へ進んで、廊下の曲がり角の向こうへ消えていった。智史は耳を澄ましていると、クックッという忍び笑いが響いてきた。 (そりゃ、そういう反応になるよな……)  智史はそれを他人事のように聞いて、憤る気にもならなかった。 12  智史はさっさと体育館に行こうと思って、少し足を速めて廊下を曲がると、ちょうどその向こう側に、こちらに向かっている女子がいた。二人は出合頭にぶつかりそうになった。 (おっと、危ない。体育館までもうすぐなのに、また女子と会ってしまった)  次の瞬間、「あっ」と声が出た。その女子は智史と顔見知りで、典子という後輩だった。 (なんで典子が今の時間、一人で廊下を歩いているんだ?)  智史は怪訝な顔をしたが、一方の典子も智史のブリーフ姿を見て、不思議そうな表情を浮かべた。ただ、さっきの二人連れの女子とは違って、 「あ、先輩」  と言って、一応はペコリと一礼をしてくれた。智史も、そこだけは先輩らしく、 「ああ、典子か」  とぞんざいに応じた。しかし、典子は今の状況を理解していない様子で、見てはいけないものを見てしまったと思ったらしく、智史から目をそらして、「失礼します」  と言うと、そそくさと、その場から離れていった。  智史はボンヤリとその後ろ姿を見送って、二人の距離は離れていった。ふと、智史は、 (あれ?もしかして変な誤解をされた?)  と心配になった。この学校では、男子への罰として、ブリーフ一枚で廊下で立たされるとか、校庭を走らされるとかが、珍しくなかったので、そういう誤解を受けてもおかしくはなかった。 (僕が何か悪いことをして、罰としてブリーフ一枚にされているって、典子は勘違いしてないかな?)  後輩からそういう不名誉な扱いを受けたくないと思って、智史は典子の後ろ姿へ向かって、 「おーい、典子、これはね……」  と声をかけた。 「はい、何でしょう、先輩」  典子は素早く回れ右して、ハキハキと返事した。 「僕がブリーフ姿になってるのはね、身体測定だからだよ」 「あ、そうなんですか」 「うん」 「……」 「それだけ伝えたくて」 「はい、じゃあ、もう行っていいですか」 「いいよ」 「では失礼します」  典子は智史の言ったことを素直に信じたようだった。二度目のお辞儀も丁寧にして、再び向こうへ歩き始めた。 (うーむ、まったく、運が悪いな。後輩の女子にこんな姿を見られてしまうとは……)  智史も歩き出したが、十歩も進まない内に、ふと背後に視線を感じた。クルリと振り返ると、典子が智史の方に体を向けて、ジッと見つめていた。二人の目が合うと、典子は照れ隠しのようにニヤッと笑うと、同級生にするようにバイバイと手を振った。 (それって、どういう意味なんだろう?)  智史はその女子っぽい振る舞いをイマイチ理解できなかったが、典子の可愛い笑顔にドギマギして、とりあえずは手を振り返した。典子は何をどう思ったのか、はにかんだ笑顔を隠すように伏せて、廊下を走って、曲がり角の向こうへ行ってしまった。 「おーい、廊下を走るのは禁止だぞ……」  と言う間も無く、典子の姿は消えた。智史は一人廊下に残されて、しばらくその場に佇んだ。  教室からここまでの短い道程だけで、智史はかなりの精神的な疲労を感じていた。しかし、体育館まではもうすぐの距離なので、気を取り直して、再び歩を進めた。 13  智史は体育館に向かっていると、先頭の生徒はもう身体測定が終わったらしく、教室に戻ってくる同級生男子と行き会った。お互いのブリーフ姿を見て、二人は照れ隠しのように声をかけあった。 「やあ」 「おう」 「もう終わったの?」 「うん、意外に早く済んだよ」  智史は自分と同じ姿の男子に会えて、ちょっと安心しつつも、やはり廊下をブリーフ一枚で歩くことの奇妙さを改めて感じた。 (ブリーフ一枚の裸の姿で廊下を歩く姿って、傍からはこんな風に見えるのか。いきなり出会ったら、ギョッとなるのも分かるな……)  智史は振り返って、教室に向かうその男子の背後を見た。ピタリとした体に密着したブリーフの後ろは、お尻の丸みがクッキリと浮かび上がっていた。相手は同性だが、ああいう弾力のありそうなお尻なら、さっき自分が教師にされたみたいに、ポンポン叩きたくなるのも分かるような気がした。  体育館に近付くと、校舎の廊下で行列ができていた。智史はその最後尾に並んだ。やはり同じ格好の友人たちがいると心強く、智史たちは自分たちがブリーフ一枚であることも忘れて、いつもように声高におしゃべりした。  校舎から体育館へは、渡り廊下でつながっている。そこの通路は屋根があるだけなので、智史たちはほんの十メートル程だが、ブリーフ姿で屋外を歩くことになった。  行列は少しずつ進んで、智史たちは渡り廊下の途中で立ち止まった。そこには昼間の太陽の光が降り注ぎ、智史たちの裸体を照らした。目の前の男子のブリーフに日の光が反射して、智史は眩しさに目を細めた。日差しがポカポカと温かいのは良いが、校庭のすぐ隣には住宅やマンションが見えた。 (今のぞかれたら、丸見えだな。きっと誰か見てるはず……)  智史は近隣の建物の窓やベランダをあちこち見渡したが、期待に反して、人影は見つけられなかった。 14  行列は進んで、体育館の入口まで後は数人になった。そこまで来て、智史は、周り男子たちが、記録用紙の他にもう一枚の紙を持っているのに気付いた。 「あれ、その用紙は?」 「これ?調査票だけど」 「それって、今、持ってくるんだったっけ?」 「そうだよ、先生がそう言ってたじゃないか」 「しまった。完全に忘れてた。どうしよう」 「教室まで取りに戻る?」 「しょうがないから、取ってくるよ」 「もう順番だから、急いだ方がいいぞ」 「分かってる」  智史は今来た道を急いで戻った。ブリーフ一枚で廊下を小走りで行き、ちょっと背中が汗ばんだ。幸い、今度は誰にも会わなかった。  智史が教室に戻った時には、すでに数人の男子が座っていて、彼らは制服に着替えた後だった。男子と女子の間には少し時間差が設けられていたので、女子はまだブルマ姿のままで全員待機していた。 「あれ?智史君、測定、もう終わったの?」  保健委員の杏梨が自席に戻った智史を見て、声をかけた。 「いや、まだ。忘れ物をして戻ってきた。調査票を忘れてた。えーと、これだ。記入も必要なのか」 「もうすぐ女子の順番が始まるから、急いだほうがいいよ」  隣席の伊緒が心配そうに言った (伊緒に課題を教えていたから、調査票に記入できなかったんだけどね……)  しかし、智史はその言葉は飲み込んだ。 15  智史は教室の中で、ただ一人ブリーフ姿でいたが、体育館まで往復して来た後なので、その格好でいるのにもう慣れてしまい、女子たちの注目を受けても、恥ずかしいとも何とも思わなかった。  智史は伊緒たちに手伝ってもらいながら、調査票に記入していった。調査票は、普段の生活の状況などを詳細に書かされたので、案外時間がかかって、女子の時間が始まってしまった。 「智史君、もう女子の時間だよ」 「ヤバいなあ」  智史は焦っていると、杏梨は、 「じゃあ、女子の時間を、ちょっとずつずらすね」  と調整してくれた。ようやく調査票に記入が終わった。  智史は、待機していた先発の女子三人と一緒になって、廊下へ出た。彼女たちは、本当は一人ずつ行くべきなのに、三人で連れ立っていた。 「お前らさ、そうやって集団にならず、自分の指定の時間を守れよ」 「いいじゃん、一緒に行ったって」  この学校は校則が厳しいようでいて、女子には結構甘い所があって、彼女たちもそれを知っていた。智史は三人の後から付いて行こうとしたら、 「ほら、先頭行きなよ、男子が先でしょ」  と言われ、先頭を歩かされた。ブリーフ姿の智史は、左右と後ろから体操服姿の三人の女子に挟まれる形で廊下を進んだ。 16  女子としては、目の前に裸体の男子がいれば、どうしても気になるようで、三人は三方向から智史のブリーフ一枚の裸体をジロジロ見ては、思い思いのことを口にした。 「なんか、パンツ一枚の格好って見てるだけで、こっちも寒々しくなるなぁ」 「男子の下着姿って、見慣れてるけど、正直、女子の前でそんな格好しないでほしいんだけどね」 「教室の中ならともかく、それで廊下を歩かされるのって、冷静に考えれば、やっぱヘンだよ」 「この学校って、無駄に校則厳しいよね。特に男子に対しては」 「私の弟、小学生だけど、身体測定でブリーフ一枚にされるのは低学年だけらしいよ」 (うーむ、女子の本音って、こんな感じだったのか……)  智史は女子同士のざっくばらんな会話を背中越しに聞いていると、 「智史君も、そんな格好で廊下を歩くのって、やっぱり恥ずかしい?」  と質問が来た。 「いや、そんなこと無いよ。全然平気」  智史は見栄を張って答えた。 「へぇ、男子って強いんだね」  と言って、女子たちは笑顔を見せたが、 (なんか、わざとらしい笑いだな……)  と智史はちょっと引っかかるものを感じた。  その後、三人は智史の背後でコショコショと内緒話をしていたが、少しの間をおいて、一人の女子が口を開いた。 「智史君、いきなり訊くけどね。智史君て、伊緒ちゃんのこと好きなの?」 「はっ?」  智史はだしぬけに図星を突かれて、とまどった。 「だって、あんなに仲良くしてたじゃん。着替えの時もそうだったし、さっきの調査票の記入の時だって」 「いや、あれは、伊緒の方が勝手にしてきただけだから」 「ふーん、じゃあ、智史君の方は、伊緒ちゃんのこと、何とも思ってないんだ?」 「そ、そうだよ」 「じゃあ、伊緒ちゃんにそう伝えてもいい?」 「いや、それは……」 「なんか、困ることでもあるの?」 「うっ……」  言葉に詰まった智史を見て、三人は一様にクスクス笑った。智史ぐらいの年齢の男子にとっては、クラスの女子が好きだというのは、恥ずかしい秘密だった。あまり触れて欲しくない話題なのに、女子たちは喜々として追及した。 「告白してみれば?うんって言ってくれるよ、きっと」 「伊緒ちゃんも智史君のこと、好きなんじゃないかな」 「お似合いのカップルだと思うよ」  智史は弱みを握られて、さらにそれをからかわれて、ちょっとムッとなった。この女子たちとこれ以上一緒にいるのは嫌になった。 「もう僕、先に行くよ」  智史は早足になって、女子たちから逃げようとした。しかし、女子たちは智史の腕をつかんだ。 「あ、ダメだよ。私たちと一緒に行くんだよ。どうせ遅れたんだから、焦ってもしょうがないでしょ。それに廊下を走るのは禁止だよ」 「それはそうだけど……」 「逃げないように、こうしておこう」 左右から二人に腕を取られた。 (なんだか、連行される犯人みたいにだな……) 17  智史は逃げるのは諦めて、大人しく歩いていると、突然、後ろからお尻にブリーフ越しに何かが当たった。 「わっ、なんだ?誰が触った?」  智史は右の女子をにらんだが、その女子は人差し指を見せながらも、 「私じゃないよ」  などと言ってトボけた。 「じゃあ、誰がやった?」 「さあね~」  そんなやり取りをしているうちに、左右からペタペタとお尻を突かれたり、脇腹を摘ままれた。 「お前ら、もうやめろって」  智史は、普段は出さない大き目の声で言ったが、それは女子たちを喜ばせただけだった。 「男子なんだから、女子に触られるのぐらい、気にしないでよ」 「そうだよ。それに、さっき伊緒ちゃんに体を触られている時は、何も言わなかったじゃん」 「智史君の好きな伊緒ちゃんにされるのはいいんだよね。でも、私たちにされるのはお気に召さない?」 (なんだよ、こいつら、伊緒に嫉妬してるのか……)  相手の弱みを握った女子は強気だった。特に集団になると、それは顕著になった。智史は左右から腕を取られているので、触られ放題にされても、 逃げることもできず、 (早く体育館についてくれ……)  と祈るしかなかった。 三章 隙間からの女子の覗き見 18  智史は女子たちに連行されるようにして、校舎の廊下を歩いて、体育館につながる渡り廊下の所まで来た。 「男子って、こんな外みたいな場所も、ブリーフだけで歩かされるんだね」 「ここって、学校の外からでも丸見えじゃん」 「なんか、ちょっと男子が可哀そうに思えてきた」  女子たちが驚いたり、呆れたりするのを横目に、智史は昼の日差しを裸体に浴びながら、渡り廊下を行った。  再び体育館に到着して、玄関に上がった。前方に受付をしている女教師が立っているのが見えた。それは佐井先生だった。彼女はこの学校に赴任して二年目で、まだ二十代前半の若い女性だった。佐井先生は智史の姿を一目見て、表情を変えた。 「あれ?あなたたち、三組の男子はもう全員済んだんじゃなかったの?」  遠くからでも、ブリーフ姿なのですぐに男子だと分かったのだろう。 「えっと……」  智史は佐井先生の詰問に口ごもってしまったが、女子が助け舟を出してくれた。 「実は、調査票が智史君には配られていなくて……。それで遅れてしまったんです……」  女子たちは何とか遅刻をごまかそうとしてくれた。しかし、その女教師は眉をひそめたままだった。 (あ、これは怒られるな)  智史は直感した。 「言い訳するんじゃありません。遅刻は遅刻でしょ」 「はい……、すいません」  智史はふてくされて頬を膨らませたが、佐井先生は怖い顔のままで、いきなりその智史の柔らかい頬をギュッと摘まんだ。 「うぐぐ……」  智史がうめくのを、女子たちもさすがにバツの悪そうな顔をして、うつむいてチラチラ見ていた。ただ佐井先生も受付業務で忙しいらしく、智史が小突かれるのは、それだけで終わった。 (なんだ、これでおしまいか。大げさに痛がって見せたのが効いたかな)  結局、智史は順番を後回しにされて、女子たちの後で身体測定を受けるという処置になった。すでに女子を受け入れる準備が整っていて、それに遅刻の罰として立たせるのを兼ねて、それがちょうど都合の良い処置のようだった。 「遅れるなんて、しょうのない子ね。しばらくそこの壁際で立ってなさい」 「はい、わかりました」  智史は小腰を屈めて神妙に答えたが、内心は、 (ちぇっ、また待機か。やれやれ。まあでも、しょうがないか)  とつぶやいた。この学校の生徒の感覚としては、遅刻すれば、それ相応の罰を受けるというのは当然の成り行きだった。  教師たちの目があるので、もう私語は慎まなければならなかった。女子たちは、壁際で立たされている智史に向かって、「じゃあ私達、先に行くね」と表情で伝えて、さっきの振る舞いとは打って変わって、おしとやかに体育館の中へ進んでいった。 19  体育館の内部は、さっき垣間見た景色とは違って、カーテンの衝立がいくつもに並べてあった。女子を周りの視線から守るための配慮だった。 (男子は周囲から丸見えでやらされたのに、女子だけは優遇されているな……)  智史は一人立たされて、手持無沙汰だったので、目の前の女子たちの行列を眺めていた。女子は一人ずつ衝立の向こう側へ消えていった。  その中から、佐井先生の声が聞こえてきた。それは「先頭の子は、早く脱ぎなさい」と言っているように聞こえた。 (今、脱ぎなさいって言った?)  衝立との距離は十メートルぐらいしかない。そこへ耳を澄ませていると、やはり「脱ぎなさい」と言っていた。 (脱ぐって体操服を脱ぐってことだよな。へぇ、そうなのか、女子も測定の時、体操服を脱がされるのか……。ということは、あの衝立の向こう側には、裸の女子がいるってことか……)  この学校のそういう習慣の存在を智史は初めて知った。上半身裸の女子を想像すると、胸がドキドキと高鳴った。さらにジッと聞いていると、衝立の向こうで、佐井先生は、「ブルマはシャツの上にたたんで置きなさい」と言った。 (ブルマも脱ぐの!?マジで?ということは、女子たちはパンツ姿にされてるってことだよな……)  女子たちが今の自分と同じように、パンツ一枚の格好にされていると知ると、ジッとしていられなくなった。その事実をどうしても自分の眼で確認したくなった。  しかし、いくら衝立を見つめても、透けて見えるわけではなく、しばらくもどかしい気持ちでいたが、ふと、右の角の所で、二枚の衝立に隙間が開いているのを発見した。 (おっ、あそこに隙間があるぞ。もしかして、のぞけるんじゃないかな?)  智史はよこしまな好奇心に負けて、フラフラと足がそちらに向かった。だたし、目立たないように横歩きで少しずつ進んだ。誰も智史の動きに注目しておらず、バレずにのぞける位置にまで移動できた。その二枚の衝立の隙間を凝視していると、先頭の女子がそこへ通りかかった。 (あっ!)  思わず智史は声を上げそうになった。その女子は体操服を上下ともに脱いでいて、身に付けてるのは薄紫色のパンツだけだった。智史の視界には、パンツだけでなく、二つの小振りなおっぱいも飛び込んできた。 (じょ、女子の裸だ……。やはり体操服を脱がされたのか……)  クラスの女子たちがおっぱいとパンツを丸出しにして、恥じらいつつ裸の姿で歩いている光景に圧倒され、智史は、 (わあ、すごい、これはすごいぞ)  と心の中で驚嘆の声を上げた。 20  同級生の女子たちの裸体を目にして、智史は興奮して、もっと見やすい場所を探して、大胆に壁際を横歩きで移動した。  衝立の隙間の奥の方では、教師に言い立てられて、オドオドしながら体操服を脱ぐ女子たちがいた。彼女たちの恥らような嫌がるような表情には何とも言えない魅力があった。智史はゴクリと生唾を飲んで、目を皿のようにして、その姿を眺めた。 (これじゃあ、立たされるのは罰じゃなくて、ご褒美みたいだな……)  智史はこの思わぬ展開に最初はとまどったが、こんな機会はもう二度と訪れないと気付くと、少しは余裕も出てきて、じっくり観察しようと思った。  女子の体は華奢だった。裸になったらそれがよくわかった。肩幅などは可憐な程に細かった。しかし、智史の目はすぐに膨らんだ乳房に向かった。意外にも、体格とおっぱいの大きさは比例しなかった。小柄だけどお椀みたいなおっぱいの女子もいれば、逆に背丈はスラリと高いのに胸は男子のように真っ平な女子もいた。だだ、そんな女子でも、乳首だけは小豆を一粒乗せたように、ツンと尖っていた。 (もうちょっと視力が良ければ、もっとよく見えるんだがな……)  また、男子は一様に白のブリーフ強制だが、それとは対照的に、女子たちは水色とか黄色とかピンク色とか、色とりどりのパンツをはいていた。女子のパンツはデザインも様々で、小学生用みたいな野暮ったいダブダブのもあったし、体に密着した大人っぽいスリムなのもあった。リボンやフリルのついたパンツをはいている女子もいて、智史は見ているだけでも楽しめた。 (男子は白ブリーフばっかりだけど、女子はいろんなのはいてるんだな)  一人の女子などは、アニメキャラクターのプリントされた派手なパンツをはいていて、さすがにそれには佐井先生も苦笑して、「学校なんだから、もうすこし地味なのをはいてきなさい」と注意していた。 (女子はそれぐらいで許されるのか……。なんかずるいな)  仲の良い女子同士は、先生の目を盗んで、こっそりパンツの見せ合いなんかをしていた。 「私、こんなのはいてるんだよ」 「へえ、可愛いじゃん」  とでも言っているようだった。 21  女子たちのおっぱいとパンツを見ていると、気持ちが高ぶるのは当然として、体の方も平静でいられるはずはなかった。智史のおちんちんは最大限まで勃起していた。外見からも、ブリーフの前は突出するように盛り上がって、自分で見下ろしても、前が膨らんでいるのは丸わかりだった。 (うう、こんなところで勃起しちゃった。バレたらどうしよう……)  ブリーフの内側では、少し包皮が剝けていて、敏感な亀頭の先が布地に擦れて痛いほどだった。しかし、あからさまに手を突っ込んで直すというわけにはいかなかった。 (こまったな)  どうしても腰が引けてしまうが、背筋を伸ばして立ってないと、先生のお小言が飛んでくるのは分かっていたので、できるだけ耐えていた。しかし勃起して、ブリーフの内側で圧迫されて、さらに勃起してしまうという悪循環に陥った。やむえず、ブリーフをはきなおす振りをして、すばやく指を中に入れて、そこがしっくりくるように直した。  ふと顔を上げると、衝立の隙間の向こうの女子と目があった。 (しまった。のぞいているのが、相手にバレた……)  その女子はとっさに胸を手で隠そうとした。しかし、そうすると、すぐさま佐井先生に 「気を付けをしなさい」  と注意を受けたので、やむえず手を下ろして、元の姿勢に戻った。その女子はおっぱいとパンツを智史の目に晒したまま、唇を噛みしめて、恥ずかしそうに下を向いてしまった。  その女子が小声で伝えたのか、その周囲の女子たちも、智史がのぞいていることに気づいたようだった。皆、動揺して、裸体を隠そうとしたが、佐井先生に、 「いい?皆、ちゃんと気を付けをしているのよ。それと、私語もしないように」  と一喝され、気を付けの姿勢を取らされた。  女子たちは自身の未発達な乳房や可愛いパンツを智史に見られているのを知りつつも、佐井先生の言いつけに逆らうことはできなかったので、モジモジと困惑していた。しかし、智史に対しては、露骨にイヤそうに顔をしかめたり、キッと怒って見せた。  智史は女子たちに一斉に睨まれて、ちょっとたじろいだが、 (いや、これって、僕が見てるんじゃなくて、自然に見えているだけだからな……)  と自らの行為を正当化した。


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