20XX年○月×日…
日本は未知の侵略者たちの襲撃を受け、首都は大混乱に陥った。
敵勢力の超科学兵器に日本政府及び自衛隊は全く歯が立たず、新宿を拠点に人々は奇妙な水着姿へと変えられていった。
私は、秘書として勤めている先生(代議士)と共に東京脱出を図ろうとしたものの、不覚にもこの恐ろしい侵略者たちに捕らえられてしまった…
数時間後
私たちは、他にも捕まった女性たちと共に1列に並べられ手足を拘束されて薄暗い廊下を進んでいた…というよりベルトコンベアのような装置に乗せられ強制的に運ばれていた。
それはまるで屠殺場に運ばれる家畜のようで……それ以上先はとても想像できなかった。
「(私たちこれからどうなっちゃうの…あんな姿なんて、死んでも嫌ぁ…お母さん……)」
「大丈夫よ…こいつらだって無闇に私たちをどうこうなんてしないはず…きっと人質として交渉のカードにでもするつもりよ」
「で、でも、先生…新宿があんな様子じゃ官邸も…」
「いいえ、仮に永田町が占領されたとしても即座に臨時政府が立ち上がって対抗策を練るはず…次のリーダーがすぐに決まるのが、この国の長所よ」
「せ、先生…」
「私たちもこんな状況だけど…なるべくこの連中の戦力や規模、そして目的を探りましょう。なんだったら私が交渉の矢面に立ってやるわ」
こんな時に…いやこんな時だからこそ先生の言葉は私の胸に強く響いた。
アナウンサーから政治家へと転身し、タレント議員と揶揄されながらもその弁舌でメキメキと頭角を表し、今では防衛副大臣も務める先生の背中はこの絶望的な状況で何より頼もしかった。
「わ、私もお手伝いしますッ…伊達に先生の秘書をしてませんからッ」
「ええ、力を合わせてなんとかこの状況を乗り切りましょう」
そう言ったのも束の間、進む先には光が見えてそれは視界の中で大きくなっていった。
どうやら何処か広い空間に出るようで、根拠と呼べるようなものはなかったけれどその先に心配や不安を打ち消してくれる何かがあるとさえ感じてきた。
「(大丈夫、きっと大丈夫…)」
そう思いながらトンネルを抜け、開放的な空間へと抜け出た私が見たものは……
阿鼻叫喚の地獄絵図…だった。
「は、離してぇ、いやッ…あひぃぃぃ(ビビビーッ)…ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「はぁ?ちょ、マジ無理無理無理ぃ、そんなんぜってぇ着…んひぃぃぃ(ビビビーッ)…ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「Please! No way! Help me plea…Ohooo(ビビビーッ)…haigure! haigure! haigure!」
…そう、そこはまさしく侵略者たちの生産(洗脳)工場ともいうべき施設だったのだ。
広い空間にはいくつものレーンが並べられ、私たちと同様に拘束された人たちの先には…あの人間を一瞬でおかしな水着姿に変えてしまう装置が待ち構えていた。
そこかしこで泣いたり叫んだり、時には罵倒したり…自分の番が近づくにつれ必死の抵抗を試みるもこんな状態ではなす術もなく、次々と“処理”され、変えられていった。
「助けて、助けて、助けて、助けて、助け…てへぇぇぇ(ビビビーッ)…ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「お願いしますッ、どうか娘だけは、娘だけは、むす…んほぉぉぉ(ビビビーッ)…ハイグレッハイグレッハイグレッ」
光線を浴びせられた人々は皆一様に、それ以外のことなど眼中になくなってしまったかのように例のポーズを繰り返す。
「ひ、酷い…」
そう呟く私にも、この処刑が近づいてきた。
私たちの列の前方から聞こえてくる声も次第に大きくなってくる。
「ちょ、ちょっと待ちなさいッ!わ、私はこの国の国会議員よ!私にこんなことして、に、日本政府が黙ってないわよッ!」
「先生…」
「アナタ、何ぼさっとしてるの!私の秘書ならなんとかしなさい!それができないならせめて私の代わりにあの変態になりなさいよッ!」
先生は急に取り乱し、私に向かってあたってきた。しかし私にはどうすることもできないし、仮にその場所を代わったとしても結局は次に同じ目に合うのだ。
そして閃光が目前に迫ると…
「な、なんで私がッ…慶桜出て、ミスコンに選ばれて、アナウンサーになって、国会議員務めて、ゆくゆくは初の女性総理といわれてるこの私が、私…あばばば(ビビビーッ)」
毒々しい光が私の顔を照らす。
「せ、先生ーッ」
それが止むと先生もあの際どい水着姿に変えられていた。
肩からお尻にかけてVの字にボディラインを強調する、年齢的には…正直キツいハイレグ姿に。
「あ、あの…?」
放心状態で立っている先生に向かって声をかけてみる。
先生ほどの精神力の持ち主ならもしかしたら…
「……はっ、ハイグレッハイグレッハイグレッ…」
最後の望みもあっさり断たれた。
先生も他の人と同様、一心不乱にあのポーズを繰り返し始めた。
同年代では間違いなく美人に入るものの、年齢的に隠せない体のたるみが水着の締め付けによって余計に強調されている。
「ハイグレッ♥ハイグレッ♥ハイグレッ♥…」
表情を読み取ることはできないが声の調子から真剣な様子が伝わってくる。
そしてそれに混じってどこか恍惚とした声色も…
そんな様子を観察する間もなく、私にも運命の時がやってきた。
私は…私は…
「あんな姿は嫌ぁぁぁ、助けて、お母さんーッ……」
(ビビビーッ)
「…ハイグレッハイグレッハイグレッ……」
私の人間としての記憶はそこで終わり、響き渡る無数のハイグレコールの一つとなった。
瀬谷(アイコンは渦巻トグロウ様)
2019-06-10 12:48:40 +0000 UTC瀬谷(アイコンは渦巻トグロウ様)
2019-06-09 08:28:14 +0000 UTC