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フェム系バリタチお姉さんの同一CPレズバトル、執筆中!

「みんなお疲れ様〜」 「コノハはどうだった?」 「ウフ、どうかしら♡」 ふんわり、ほんわかとした声色と雰囲気。優しいウェーブのかかった長い茶髪。コノハと呼ばれた女は、学生たちの中でもわずかに目を引く妖艶さと、柔らかなオーラを醸し出していた。 「コノハっち〜あてぃしダメかも〜慰めで〜」 「あらあら……ごめんなさいね、今日は予定があるの。また今度カフェにでも行きましょう?」 崩れた顔で甘えてくる友人の様子に、コノハの癒され系な包容力が確かなものだと見て取れる。 ーー期末も終わったし、ちょっと遊ぼうかしら♡ コノハは21歳、大学三年生。彼女にとってこの夏休みは、時間があり余り、何をしてもいいパラダイスだ。 帰り道だが早速スマホを取り出し、見慣れないサイトを開き、手慣れた様子で操作するコノハ。『レズバトル専用マッチングアプリ』と題しているそのサイトは、恐らく裏サイトと呼ばれるカテゴリのものだろう。癒され系で人気者な女子大生が慣れ親しんでいてはいけないサイトに見えるが、コノハはそのことに気後れするどころか、もう背徳感を抱きもしない。 ーーあ⋯♡ 同い年⋯♡ 文章の書き方もワタシと似てるわね♡ そんなコノハが見つけたのは、自分とよく似た雰囲気の女性のページだ。ウェーブのかかった長い茶髪はもちろん、年齢も、どうやら3サイズも同じらしい。 さて、そんなコノハの背面、そこに立っている乗客の女もまた、コノハとそっくりなウェーブの茶髪で、コノハと同じサイトを見ていた。 二人、それぞれに標的の女のページを読み進める。 『女の子を堕とすのが大好き♡ バリタチです♡ お姉さんにいじめられたい子も、お姉さんをわからせたいって子も誘ってね♡ 自分のことをバリタチだと思ってる子を犯し潰してマゾネコだって自覚させるのが大好きなので♡♡♡ 敗北回数:0 勝利回数:664 試合回数:664』 ーー名前は⋯コノハ⋯!?♡♡♡ーー 電車の揺れで気づかなかったが、コノハも、その背後の女も同時に動揺して飛び跳ねていた。 自分と全く同じプロフィール、全く同じ名前。まるで自分のページを見ているかのようだったが、メッセージボタンが表示されていることからこれが『標的』であることがわかる。 ーー暴れ過ぎたかしら⋯ワタシの偽物⋯? ーーそれとも都市伝説は本当だったの⋯? 二人は知らない。自分の見ているページの女が、すぐ真後ろにいることを。そして、奇しくもその女が自分のページを見ていることを。 コノハの背後に立っているのは、コノハ。通学の電車ゆえに当然だが、ニアミスをしていた二人の運命は、すぐに交差することとなる。 ーーもう一人の自分とレズバトルできたという投稿⋯嘘松やコラ画像では無かったのね⋯ーー スマホ画面に見える、もう一人の自分のページ。二人のコノハは、揃って不気味さに青ざめていた。 それなのに、震える指がメッセージボタンに向かっていく。 ーードッペルゲンガーなら、会えば死ぬという噂だけれど⋯ ーーもう一人の自分とレズバトルをした人の投稿は見たし⋯ ーーどうしてこんなにゾクゾクが止まらないの♡♡ ワタシと全く同じ年齢♡カラダ♡試合回数♡そして無敗⋯♡♡♡ーー コノハとコノハは、お互いにメッセージを開いていた。挑戦状だ。 高速でフリックする指が、一瞬にして妖艶で挑発的な挑戦状を書き上げる。指の動きは全く同じで、背中合わせの二人の女が同一人物であることを証明していた。 送信ボタンの上の空間で、指を止めるコノハとコノハ。電車の走行音に紛れて深呼吸をしながら、胸を抑えてドキドキを抑えていた。うつむき、手入れのされた茶髪で表情を隠すようにしていた二人だが、数秒の深呼吸のあと顔を上げる。 眉が困ったように下がり、口角が上がるのを抑えられない。車窓に反射したコノハの顔は、嗜虐的で悪魔的で、けれど赤らんで艶やかな、捕食者の笑みを浮かべていた。 ーー送るの我慢できない⋯♡ この偽物、レズレイプして立場わからせたくてたまらないわぁ♡♡♡ーー 二人は同時に送信ボタンを押した。数秒の読み込みを待って、二人のスマホが同時に震える。 「「あっ⋯♡」」 すぐさま開き、期待に目を細めて届いた通知を凝視する二人。 ほとんどのユーザーが自分と近いプロフィールのユーザーにライバル視するため、時折ほとんど同時に挑戦状を送り合うこともある。サイト側も草創期にそれを把握し、全く同時に挑戦状を送った場合に自動でマッチされる仕様となっているんだ。それは相互に送信、相互に承認する二重マッチを避けるためでもあり、こんな奇跡をよりロマンティックにしてユーザー体験を高めるためでもある。 『マッチ成立❤︎ 挑戦したユーザーから挑戦状が届きました。』 右側には、コノハが送った文面。左側には、同時にコノハが受け取った文面。 『プロフィール見ました♡ ワタシのなりすましですか?それとも本当にもう一人のワタシ?どっちでも良いから、試合をしない?♡ アナタみたいな無敗のバリタチの敗北処女をもらって、マゾネコに調教するのが大好きなのだけれど⋯♡♡♡』 VS 『プロフィール見ました♡ ワタシのなりすましですか?それとも本当にもう一人のワタシ?どっちでも良いから、試合をしない?♡ アナタみたいな無敗のバリタチの敗北処女をもらって、マゾネコに調教するのが大好きなのだけれど⋯♡♡♡』 左右に並ぶメッセージの間に、派手なVSの文字が輝く。コノハの表情は期待に耐えられず、いよいよ完全な雌の顔となった。ミステリアスで妖艶で、同時に本能と欲望を隠さない表情。例えるなら、吸血鬼⋯いや、淫魔の女王。 ーーやっぱり本当にもう一人のワタシだわ♡ なりすましがこんなことできるわけないもの♡ 最ッッッ高⋯⋯♡♡♡ 絶対犯す♡♡♡♡ーー 今日から夏休み。コノハにはたっぷり時間がある。それはもう、何日でもこの最高のライバルと壊し合えるくらい。 電車が最寄り駅についた。一方のコノハはそのまま歩き出し、もう一方のコノハは振り返って同じく続く。どちらもマッチ成立画面を幸せそうに凝視して、ろくに前も見ていないようだ。 「「ああっ⋯ごめんなさ⋯え⋯?」」 同じ改札を通ろうとしてぶつかり、互いにふんわりとした声色で謝罪し合うコノハたちだったが、すぐに互いのウェーブがかった茶髪に気づく。 「そうよね⋯同じワタシなんだから⋯♡♡♡」 「帰り道でバッタリ会って当然よね⋯♡♡♡」 二人はお互いがもう一人の自分、先ほどロックオンした標的だと気づいた。 ぺろり⋯♡同時に舌舐めずりをして、 「「うふ⋯♡ 自分が食べられる側だって気づいてないのね⋯♡♡ 可愛い⋯♡♡♡」」 互いの様子に苛立ちながら嘲笑し合う。 並んで改札を通り、近場のラブホテルへ向かうコノハとコノハ。どちらも登録している近所のラブホテルが同じゆえ、アプリ上でも当然自動的にそこに決まった。 恋人繋ぎで手を繋ぎ、肩を寄せ合って、髪を絡ませて歩く二人。夜の街に足を踏み入れれば、彼女らがこれから女同士で犯し合うレズバトラーなのは誰の目にも明らか。それでも奇異の目で見られないのは、やはりコノハのような女が少なくないゆえだろうか。 「ねぇ、本当にワタシなの⋯?♡ それとも⋯ワタシが好きすぎるから、そんな格好をしてるだけ?♡♡」 「整形してなりすましたそっくりさんだと思った?♡ ふふ⋯ワタシはアナタをそれだと思ってるけど♡♡」 「まさか⋯♡ でもそう思うのも当然よね♡ まさかあの都市伝説が本当だなんて思わないもの♡♡♡」 「ええ♡ 本当に♡ ワタシのガチ恋勢のモノマネだと思った方がよっぽど自然だものね♡♡♡」 お互いに共感し合うような声色だが、真意は挑発だ。二人のコノハはお互いを『偽物』扱いし合い、静かに怒って偽物扱いし返しているのだ。 「一番可愛かった相手は覚えてる?♡」 「ええ♡ あのシスターちゃん♡ 確か女医か看護師だったかしら⋯あの愛情深い手つきが大好きで大嫌いだったわ♡♡♡」 一方のコノハが試しに質問し、もう一方のコノハも動揺せず答える。質問したコノハがほのかに息を浅くし、特に訂正もないあたり、正解だったようだ。 「アナタは?一番強かった子は覚えてる?♡」 「当然♡ 関西の子よね♡ 喋り方もチャーミングで、小柄に見えて筋肉もあって、負けても良いと思える子だったわ♡♡♡」 聞き返すが、こちらも言い止まることなく答える。聞き返したコノハがわずかに呼吸を乱し、特に異論を上げなかったことで、正解だったことがわかる。 「「まだ信じ切れるわけではないけれど⋯」」 顔を見合わせるコノハとコノハ。目の前の相手が偽物などではないことを悟りながらも、だからといって認める気も、負ける気もない。 「「だからこそお互いに証明しましょう♡ 自分が無敗のコノハお姉さんだって♡♡♡」」 それは言外に、こう言っていた。 ーーそして、アナタは本物に負けてマゾネコ堕ちするモノマネさんだってことをね♡♡♡ーー 包容力を感じさせるウェーブのかかった長い茶髪。そっくりな二人の女が、ラブホテルの店内へ消えた。


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