どうも、いつもご支援誠にありがとうございます。
本日はイラストではなく、3Dアニメーターとしてお仕事の話を少し。
有料プランのうち、まだこれに関してはお話してこられなかったので、
丁度良い機会に少しお話したいと思います。
もしかしたら興味のない話、もしくは、期待していた内容とは違うものになっているかも知れませんが、その辺がご容赦頂ければ幸いです。
そもそも3Dアニメーターの仕事って?
手書きのアニメーターの仕事は何やってるか大体分かるけど、3DCGのアニメーターって具体的にどんな仕事をしているのか、分からない人が大多数だと思います。
なのでまず、具体的にどんなことをやっているのか、というのをざっと説明したいと思います。また、3Dアニメーターと一口に言っても色々な職種があるので、あくまで一例と捉えて頂いて構いません。
今、ゲームやスマホのアプリ、一部のTVアニメーション作品でもフル3DCGで表現されているものが増えてきていると思います。
そして、そういった3DCGを用いた作品の大部分で、用いられている技術として「モーションキャプチャー」というものがあります。
名前ぐらいは聞いた事がある方も居るかと思いますが・・・簡単に言うと、役者さんが実際に演じた動きを、コンピューター内に取り込んで再現する技術です。
ざっと説明すると・・・
役者さんは全身黒いタイツのような衣装を着て、その上から主に関節が稼働する箇所に位置情報を記録するマーカーを取りつけ、その状態で動いてもらい、上から複数台のカメラで撮影する。カメラで撮影した動きはコンピューター上に表示されますが、そこにはマーカーの位置情報のみ表示されます。そしてマーカーがどこからどこまで移動したか、その移動値によって演者の動きをコンピューター上で再現するのです。
後はマーカーの位置情報に変換した撮影済みモーションをキャラクターの3Dモデルに流し込み、キャラクターに収録したモーションを再現させる。ただ、そのままだと現実の人間とキャラクターとの体型の違いにより生じるズレ…
例えば、アニメ調のキャラクターモデルは現実の人間と比較すると頭が大きい、腰が高い、腕が短いといった体型の違いがあります。
なので収録したモーションをそのままキャラのモデルに流し込んでも、体型のズレによって収録時と動きが変わってしまう事があるのです。
腰に手を当てるポーズであれば腰から手が浮いてしまったり、両腕を上げる動きであったら腕が頭を突き抜けてしまったり。そういったズレを修正し、可能な限り収録したモーションに動きを近づけていくのが、3Dアニメーターの主な仕事となります。
分かりやすい例で言うと、今はやりのVtuberですが・・・
3DCGモデルで生配信を行うVtuberが今増えていると思いますが、
あれはリアルタイムで撮影している演者の生の動きをキャラの3Dモデルに流し込んでいるので、見ているとあちこちにズレがあることが分かると思います。
あれは生配信で行う都合上、収録しているモーションをキャラの体型に合わせて修正することが出来ないので、仕方なく生じているエラーなのですね。
ゲームなどで使用するモーションではそういったエラーが残るのは許されないので、リアルタイムで収録したモーションはそのまま使われる事はまずありません。
必ずアニメーターの手を通して、キャラクターに合うようにモーションが修正されて世に出ております。
求められる精度はタイトルによって変わり、普通は収録した通りの動きをキャラに再現させられればOKですが・・ものによってはアニメ的な動きの切れを表現するためにあえて収録したモーションから動きを削ったり。止めるところはピタッと止めて、動きのタイミングを変えて速さを強調したり。
そういった溜め、詰めの表現を求められるものもあります。
FF7Rのようにフォトリアル調の3Dであれば基本リアルな動きを求められるので、収録したモーションを再現するのが基本となりますが、ドラゴンクエスト11のようにキャラがアニメチックである場合は収録時の生っぽい動きは敢えて削られる傾向がありますね。
7リメイクでやった事
※具体的なネタバレはしていませんが、FF7Rプレイ済みのほうが話が分かりやすいと思います
さて、3Dアニメーターの仕事についてざっと説明したうえで本題。「FF7R」で僕が(僕らが)主に担当した仕事はカットシーンのレイアウト作業となります。
はい、用語ばかりで何ぞやって感じですね・・・
カットシーンというのはゲーム内のイベントシーンの事ですね。トレーラー映像とかでよく出るヤツです。カメラでカット割りされた中でキャラクターが動いているところなので業務上ではカットシーンと呼ぶことが多いです。
レイアウト作業は言葉で何となく連想できると思いますが、カットごとのキャラや背景の構図を決めていく作業になります。
基本的にはカメラやキャラを動かしながら背景との兼ね合いも考えつつ「カッコいい映り」を探っていく作業で、アニメーション作業の前段階みたいな工程ですね。
僕らはこの案件ではアニメーション作業を担当していないので、最終的な工程に関わっていません。なので納品したカットシーンが製品段階で変わっていたところも少しありました。
レイアウトではまだモーションの詰めはしないのでキャラやプロップ(小物)の動きは仮の状態で作業するのですが、後のアニメーションの工程をスムーズにするためか、レイアウトの段階でもある程度のモーションの詰めを先方から要求されるのですが…
その指定が細かい!他の案件ではアニメーション工程に相当するようなフィードバックをレイアウトの段階でもらうわけですね。
僕らが受けていたカットシーンはあくまで一部ですが、すべての工程であのようなやり取りが行われているとなると、時間が掛かるのも納得というものです。
言ってみれば漫画のネームは出来てるけど、下書き段階でミリ単位の細かいをリテイクを喰らっているような状況です。
更にそこから先、キャラクターのモーションやフェイシャルアニメーション(顔の表情の動き)と言った仕上げの工程が待っているわけですからね。
ちなみに僕らがレイアウトの作業をしていたのが去年の3月から4月ごろ。発売からちょうど1年前くらいですね。その時点でまだ複数のカットがレイアウトの段階だったのですから…後述しますが、没イベントなどが出てきても仕方がない気がしますね。
クリエーターの視点でこういうのもアレなのですが、こういうのって基本的にはクリエーターのエゴだと思っています。僕らだっていいものを作りたい気持ちはあるし、メーカー側としては細部まで作り込んだ作品を世に出したい気持ちも分かる。
でも、レイアウトの段階って前述したようにモーションは仮の段階のはずで、アニメーションの工程に入ればどうせ変わるのに小物の動き一つ一つにまでレイアウトの段階で細かく詰める必要があるのか…そういうのって、今のクリエーター業界には割と蔓延している病のような気がします。それで結局納期が延び、制作期間が延び、発売時期が延び…とどんどんスケジュールのお尻がずれていくわけです。
FF7Rの案件に関わったことは実績としてはそれなりにステータスとなりましたが、事スケジュール進行に関しては久々に業界の闇を見た案件でした。
没イベント?
レイアウト作業で僕らが担当したのは主にチャプター15から16のカットシーンとなります。複数のカットシーンを分担して作業したので幾つかのイベントの1、2カットだったりと手掛けたカットは分散しているのですが、一つのイベントシーンを全編通して作業したところもあります。
神羅ビル潜入後の、ハイデッカーとプレジデントがエレベーターで会話するシーンがそれです。このシーン、実はレイアウトの段階ではエレベーターの中でハイデッカーとプレジデントが会話しており、カット数自体ももう少しありました。
「情報統制はどうなっている」というプレジデントの台詞がエレベーターに乗り込んでからの台詞で、その前にエレベーターに乗り込むまで数カットあった感じですね。
実際の製品だとエレベーターの前でプレジデントとハイデッカーが会話する形になっていましたね。エレベーター内で二人を映すカメラワークに結構手が掛かった記憶があるので、製品で削除されていたのを見ると「あ、アニメーション作業間に合わなかったんだな」と寂しい気持ちになりましたね…
あともうひとつ、全カット通しで作業したイベントがありますが…どうやらこちらは没イベントとなったようです。
覚えてる範囲でどんなシーンだったかを説明しますと、
恐らくプレート断面と思われる場所でクラウドが神羅の通信機?を拾う。何やら神羅兵が会話しているのが聞こえ、バレットがその通信機をクラウドから奪い取って何やら怒鳴りつける(その台詞内容も最初収録したものと変わる予定だったようです)。しかし通信はとっくに切れており、バレットはブチ切れて通信機を床に投げつけて更に蹴っ飛ばす…
というような内容で、チャプター15のどこかに差し込まれる予定だったイベントだと思います。
結局このシーンは丸々カットされたようなので、これも間に合わなかったんだな~
というか、このイベントシーン自体どういう意図があって入れられていたのかよく分からないシーンでもあるので(バレットがブチ切れるのも良くわからん)、単純に不要なカットと思われた可能性もありますね。
とまあ、FF7Rでのお仕事についてはこんなところです。
あくまでカットシーンの、最終工程に入る前段階のようなお仕事なので語れるところは多くなかったですね。担当するお仕事内容も案件によってまちまちなので、今回のように製品段階で変わってしまうものもあれば、僕らが納品したものがほぼそのまま製品に使われるものもあったり…
今度機会があれば、そのような作品も紹介してみたいと思っております。
それではまた、次の更新でお会いしましょう。