私は普段は市内の大病院で看護師を務める24歳。
それは一つの顔でしかなく、もう一つの顔が私には存在する。
『秘密のコロシアム』と呼ばれる上位階級の娯楽闘技場。
ここでは週末になると大会が開かれ、様々な種類の格闘技が行われる。
但し、このコロシアム(闘技場)の前に”秘密の”という枕詞が付いているように、分け隔てなく万人が娯楽施設として利用できるものではなく、限られた少数の人達の為の闘技場となっている。
上位階級のみの娯楽…それは、競技スポーツの枠を越えた格闘技…人と人が戦い、相手を生死を問わず戦闘不能にさせた者が勝者となるルールだった。つまりは相手を殺しても構わない。そんな殺し合いの格闘が極上の娯楽として成立する狂気の舞台…それがこの『秘密のコロシアム』だった。
そんな闘技場で私はファイターとして、今宵も戦いの場に身を置く。
『赤目(アカメ)』と周りからは呼ばれ、現在まで無敗である。
もちろん、これまでに人を何人も殺めた事がある。普段は看護師という人の命を守る医療の場に居ながら、ここでは真逆の事をしてしまっている。
そして・・・戦いが始まる。
ルールは打撃格闘…脚を使う事も可能だが、私は己の拳だけで戦うボクシングスタイルのファイターだ。正確には”相手を殺すには拳だけで十分。相手を殺す方法は拳を使った方法しか知らない”…という事だ。
試合開始から、的確なダメージを与え続け、相手の攻撃を徹底的に回避する。腕は攻撃の為に…脚は回避の為に…そうやって役割分担させながら試合は経過する。
この試合の対戦相手は、私よりも八つ上の男性だったが、私の素早いパンチによるダメージの蓄積が響き、呼吸や動きもかなり落ちてきているように思えた。
・・・そろそろ、かな?・・・
試合開始から時間が経過するに連れ、私の体も軽くなり、神経が研ぎ澄まされたような”ゾーンに入る”ような状態になっていた私は「スパァァァーーーーン」と相手の腹部に拳を打ち込むと、思わず彼は顔をこわばらせてしまう。
・・・まずは、第一段階・・・
私はフィニッシュまでには二つの工程をこなさなければならない。
その一つがまず相手にボディブローを打ち込むことであり、これによって相手の体の中に振動を溜めさせることである。
ある特定の力加減で放たれた私のボディブロー。それを受けた彼の体内では、減衰振動が残響のように残る。それは約20秒程で完全に無くなってしまうのだが、その振動が続いている間に、同じような打撃による振動を打ち込む事で、それぞれの振動を共鳴(共振)させる攻撃である。
つまり、一回目のボディブローを打った後、それから20秒以内に同じようなボディブローを再び打ち込む事が第二段階だ。
あいにく、対戦相手の彼は体力も限界寸前で、もう満身創痍といった所。
・・・ごめんなさい・・・
二回目のボディブローが打ち込まれ、私の攻撃は完遂する。これは文字どおり必殺であり、2回目が要注意という意味を込めて、この攻撃の事を私は『アナフィラキシーブロー』と呼んでいる。
一回目に打ち込んだアナフィラキシーブローの振動が残った状態に、二回目の振動が重なると、それぞれが共鳴するかのように大きな力となり、その力は行き場を失いその場で暴発する。
圧倒的な内部破壊技・・・それがアナフィラキシーブローであり、その使い手である私は『赤目』と呼ばれ、周りからは恐れられる無敗のファイターである。
それをこの試合でも見せつけられる事が出来た。
・・・カンカンカンカンカンカン!!!!・・・
4回 3:29
今日の試合も勝利する事が出来た。
試合開始前は「女を痛ぶるのが好きなんだよ俺はっ!!」と息巻いていた彼。
もう今は色々な部分が膨れたり、陥没したりする”人だったモノ”として、目の前に転がっている。
・・・・・イっちゃった・・・・・
私は色々な感情が重なり、下着はビチョビチョになっていた。
言葉では言い表せられないこの感情を解明する為に私はまた再びこの闘技場に集うだろう。しかし、それは建前で、実のところ私はこの感情に魅せられた中毒者なのだ。
<エピローグ>
それはそれは恐ろしい光景だった・・・。
目の前の舞台上で殺し合いをする男女・・・その片側の女性が、峯崎くんだったからだ。
私は医師で、今度の理事会で院長に就任する予定だった。市内の大病院、全国でも権威の高い病院の院長就任を控えていたが、ある伝からこのコロシアムの事を知り、色々な条件をクリアした上で観戦しに来たのだが、この試合の舞台に立つ彼女が、私の勤める大病院の看護師だったのだ。
確かに病院関係者は多く、ナースの一人の顔まで把握しているのかと聞かれるとはいとは言えないが、彼女は特別だったからだ。
なぜなら、私は彼女に対して日常的にセクハラをしていたからだ。しかもその度合いも軽いものではなかった。見た目の容姿も彼女は良かったのもあって、院内で会う度に胸やお尻を触り、さらには彼女の上司を使って強行的に食事に参加させたり、数え切れない程のセクハラを繰り返した相手が、目の前の舞台で戦っているファイターだったのだ。
そして・・・彼女は、対戦相手の男を殺してしまった。
信じられない光景に私は恐怖する。・・・なのに、何故か私は酷く勃起し、射精していた。
・・・あっ?・・・
リングから立ち去る彼女と一瞬目があったような気がした。
まさか・・・そんなはずはない・・・そんな事あるはずはない・・・
次の日、院内を見回りしていた際、後ろから声を掛けられる。
・・・こんにちは、前島良明次期院長・・・
そう言って声を掛けて来たのが、あのファイターの彼女、私がいつもセクハラを繰り返していた彼女、峯崎くんだった。
彼女の姿を見た瞬間、恐怖に慄き腰を抜かしてしまった。
・・・昨日以来ですね!声を掛けて下さればよかったのに。でも、あの時もし声を掛けられれば私は何するかわからなかったから、結果的にはよかったかもですね!・・・
それからは、何を話したのかわからない程、私は弁明を繰り返し、彼女に許しを請おうと謝罪する。
・・・いつでも、今ここでも私は昨日の対戦相手の彼のようにする事が出来ますからね!次の対戦相手は前島良明次期院長にしようかなと思っています・・・
それからの私は院長の就任を辞退し、大病院も辞め、全てを捨てて逃亡した。
今での夢を見るのが怖い。よく見る夢は、リング上で向かい合い男女・・・一方が私で、もう一方の彼女が峯崎くんの夢。夢の中で私は彼女にぼろ雑巾のようにボコボコにされ、泣きながら許しを請いながら殺される夢だった。そんな恐ろしい夢を見ながら夢精を繰り返す日々が続いていたが、ようやく落ち着き、私は辺境の地とも言えるくらいの山村で診療所を開設した。
やり直そうと、ようやく前向きになった頃だった。
診察日、スタッフから患者のカルテを受け取る・・・
・・・そこには・・・彼女の名前が書かれていた・・・
【あとがき】
本作品をご覧頂き、ありがとうございます。逆リョナ注意喚起はしたから、普段の甘々だったりソフト志向の作品をpixiv一般で投稿している作品とは違うものをこちらで吐き出させて頂きました。
ズバリ言いますが、本作の着想の原点はだいぶ昔のプレステ2のソフト「デスバイディグリース」という、主人公(20歳の女性※少しゴリラ気味だけど許容出来る範囲)が、とある組織の船の上で暴れ回る作品です。
そのゲームに内部破壊システムというのがあって、敵の骨とか心臓とかブシャーと出来るのですが、私はゲームクリアを目指すのではなく、序盤で雑魚敵(組織の男達)に対して無双する事しかしてませんでした。ザコ敵の一人の男に自分を重ね、ただ雇われただけなのに、なんでこんな年下の女の子に殺されなきゃならないだー!?とか思いながら内部破壊される様をはぁはぁしながらゲームプレイしていた思い出があります。そのようなもの自分なりにカスタムした作品が本作となります。
Sage2000
2025-03-04 19:07:55 +0000 UTC8mg(ハチミリグラム)
2023-09-18 02:01:19 +0000 UTCGirlpunchlover
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2023-09-06 16:42:33 +0000 UTC