※こちらは既に公開されておりました『アプリでバトろ!』の前編と中編を統合した記事になります。押絵を追加したり文章を一部修正しています。
この物語は3つの視点から話が展開していきます。
◇◇◇=神川茜視点
◆◆◆=八城基視点
◆◇◆=神様視点
◇◇◇
私の名前は神川茜(かみかわ あかね)
どこにでもいるような16歳の女子高生
人見知りで内気な性格の私は、クラスの男子からも『地味子』と呼ばれ、少し馬鹿にされていた。そんな私を変えたくて、私はこの『バトルマッチングアプリ』を始めた。
◆◆◆
俺の名前は八城基(やしろ はじめ)
27歳、独身。
2年前迄は引っ越し業で働いていたが、慢性的な持病の腰痛が悪化し、続けられなくなり退社、その後は通院しながらフリーターを続けている。腰の状態は完治まではいかないものの、定期的に病院へ通う必要もなくなったので、暇つぶしに何か出来ないかと考えた。
やはり体を動かすような事がしたかったので、そんな時ダチに勧められてこの『バトルマッチングアプリ』を始めた。
◆◇◆
そして、彼女と彼はバトルマッチングアプリで繋がる。
この『バトルマッチングアプリ』というアプリとは、『戦い愛(会い)』というフレーズをコンセプトに、このSNSサービスを介して他人同士が知り合い、お互いが出会って勝負し、戦いあって…そこから『愛』だけでなく『友情』や『(ビジネス)パートナー』など…”もう他人ではなくなる”…その形態は様々だけど、人と人とが知り合うキッカケの場を提供するSNSサービスとして、メジャーではないものの、知る人ぞ知るSNSアプリとして人気を博している。
そして、他の出会い系アプリと決定的に違う点は、『バトル』的要素が組み込まれていることだった。『マッチング成立』した男女は、お互い対決する事になる。
◆◆◆
正直、最初は何がなんだかわからずびびっていた。とりあえずプロフを公開したが全く反応なし。てかこんなのでホントにマッチングするのと諦めてアプリを消そうとした時、一件の通知が届いた。
『あるユーザーがあなたに興味を持っています』という通知で、えぇっ、マジかよ!!とテンションが上がりながら必死にアプリ内を悪戦苦闘しながら、興味を持ってくれた方に接触する。
『私は初心者なので、出来れば初心者の方とマッチングしたかった』という彼女に『俺のもです。何がなんだかわかりませんよね!初心者同士だと落ち着きます。』と呼びかけてその後色々とやり取りするようになった。
一番驚いたのは、やり取りしていた相手が、16歳の女子高生だった事だ。おいおいマジかよ!!と思いつつも、初心者同士やり取りするようになったこのチャンスを絶対に手放したくは無かった。
そして両人合意の元『マッチング成立』を報告申請した。
俺は16歳の女子高生と対決することになるのか・・・
マッチング申請の受領後には、申請者同士の男女はズームでお互いやり取り出来るようになる。画面の向こうに映る女子高生…ええっと確か神川茜さんか…マジで女子高生だ。見るからに若い!!これヤバ過ぎだろ!!と思いながらも俺は紳士的に振る舞おうと努力する。
まずは、どのルールで対戦するかを決め、『プロレス』を選択した。
次に日時と場所だ。お互いのプロフィールを見合っていた為、水曜日の夕方だなという事になり、会場はお互いに都合の良い場所に決めた。この会場となるのは、このバトルマッチングアプリと提携しているスポーツジムやホール、ホテルや宿泊施設などから最適な場所を予約する事が出来る。そして、〇〇月△△日18:00貸しビルのワンフロアを予約出来た。
次に、会場となる貸しビルワンフロアにギャラリーを呼び込むかどうかの選択だったが、まだ初めてなのでギャラリー解放はキャンセルした。その代わり映像記録係を2名募集する事にした。このバトルマッチングアプリに登録するユーザーは、それぞれに属性がある。まずはバトルするファイター。それを映像記録するレコードパーソン。さらにはバトルをジャッジする専門レフェリー。そしてバトルを盛り上げるギャラリー。このような登録者の中には属性が存在する。
俺達の次のバトルについては、このレコードパーソンという属性を持つユーザーにだけ公開出来るように定員2名で設定した。
公開して10分も経たないうちに、〇〇月△△日18:00行けますよ〜!!という応募があり、すぐに映像記録係が決定した。
それからは、対決相手、記録係の2名、そして俺を含めた4人でズームを通して打ち合わせする。俺や対戦相手の女子高生は何がなんだかという感じだったが、記録係の2名は手慣れた感じで、「私レフェリーも出来るので当日は任せてください!」との事だ。ライブ配信も出来ますがどうしますかと聞かれたが、お互い初めてのバトルという事だったので、後日バトル動画を投稿するという形式で進める事にした。「良い試合を配信しましょう!」と記録係の彼が言うように、このバトルマッチングアプリの肝となるのは、マッチングバトルの配信である。
バトルを配信し、その再生回数やコメント、いいね欄などから換算される反響度が、ユーザーポイントとして還元される仕組みとなっている。反響度はクラス判定され、投稿した動画が反響度B判定を越えると、マッチングバトルで使用した会場の利用料がタダになる。そして、さらに反響度が高くなれば、ユーザーポイントとして、そのバトルを配信した記録係、そのバトルに参加したファイターそれぞれにユーザーポイントが配布され、そのポイントは換金する事が出来るのだった。実際これを利用して、荒稼ぎしているユーザーもいた。アプリ内フォロアー数ナンバーワンの女性ユーザーは月々に◯千万に到達するとも噂されている。
こうして、3週間後の〇〇月△△日18:00に貸しビルのワンフロアで俺は女子高生とプロレスで対決する事になった。
◆◆◆
16歳の女子高生との試合が3週間後に行われる。
このアプリのマッチングバトルは運営から絶対的なルールというものは出されていない。
大まかなカテゴリーとして、プロレスルールで行く事を決めたが、それはあくまでユーザー同士の取り決めルールなのである。
つまりは、ルールは対戦する両者が合意すればどんなルールを適用しても構わないのだ。
八百長、演出・・・つまりはバトル動画の出来が良ければ何をやっても構わないという事。女子高生相手に本気で相手するとか、少しまずいのではないかと俺は考えていたが、対戦相手の彼女…神川さんは『初めてだし、とりあえず全力でやってみるという事で今回はガチバトルでいきましょう!』と言う。
いや、女子高生相手に手加減なしとか、やる方のこっちが心苦しくなる。それでも構わないと彼女は言うので、まぁ仕方がないと俺は折れるが、中途半端な知識で臨み相手を怪我させてしまう…みたいな事にならないように知り合いのツテで、俺はもう格闘家ジムへ通う事にした。
残り3週間行ける時にジムに行って身体を仕上げようと考えている。それに、腰の状態も確認しながら進めようと思う。腰痛が再発でもしたら元も子もない。試合を棄権する事になりかねない。だからこうして俺はジムに通う。
◇◇◇
「失礼します。先生さよなら!」
と私は図書館の鍵を先生に渡して学校をあとにする。
図書委員の仕事も終わり、帰路につくがまだまだ部活動の生徒は、校内やグランドを駆けまわっている。
活気ある風景にすごいなぁと感心しながらが、私もあんな風に青春を謳歌出来るかな…とグッと拳に力を入れた。
◆◆◆
ジムに通い始めてから5日目。
最初の3日目ぐらいまではかなりきつかった。今まで使った事のない筋肉を使い激しく運動したので、翌日の筋肉痛が酷かった。今はその痛みをこえてようやく身体が仕上がりはじめたと言った所だ。
「いいじゃないか!」
とジムのトレーナーにも声を掛けられた。
俺は細かい技は苦手だったが、瞬発力を生かした強烈なタックル…これで相手に結構なダメージを与えられるはずだと考えている。
とは言え、女子高生相手にこのタックルをかますのはちょっとまずいのではないかと思うが、いざという時に備える事は肝心だ。「シャオラーーーッ!!」と闘争心を高めるためにのこのサンドバッグ目掛けてタックルするトレーニングは俺のお気に入りである。
◇◇◇
試合もだんだん近づいてきたが、今回の試合に差し当たり、その為に必要な準備についてオンラインで話し合ったりもしていた。対戦相手の八城さんや試合に立ち会う記録班の「サジャさん」と「川村さん」等と一体何を準備すればいいのか?と色々聞いていた。
「それで、試合の時は当然眼鏡は外すよね!視力とか大丈夫!?」と聞かれ、私は「はっ!!」とする事になる。
全く考えていなかった!!体育の授業時も眼鏡をしたまま乗り切ってきたし…どうしよう??とアタフタしている私に、記録班のサジャさんが「コンタクトにすればいいよ!ソフトタイプ!」と助言してくれた。それからは色々聞いて、使い捨て用のコンタクトレンズを付ける事で決め、今日は眼科&眼鏡屋さんへと伺いコンタクトレンズを購入した。少し怖かったので、お母さんにも付き添いしてもらいながら、なんとかソフトコンタクトレンズの購入までこぎつけた。どうせなら眼鏡からコンタクトに変えたらとも言われたが、あくまで必要な時のみコンタクトレンズを使うという方向で進める事に決めた。何故ならその前の日に日にレンズが眼球の裏に入り込んでいく恐怖の夢を見てしまったからだ・・・
◆◆◆
今日も順調にトレーニングメニューをこなし、身体の痛みや腰の状態も問題なさそうて、練習を切り上げるところだったが、「一回スパーリングしてみるか?」とジムのレスラーさんに声をかけられ、軽く1ラウンドだけ対戦する事になった。結果としては惨敗で、自分の実力の無さを痛感する事になったが、「光るものはあったよ!」と対戦したレスラーさんが労ってくれたように、自分でも少しはやれた部分があったように思う。低い体勢から一気に加速してタックルとともに相手をリングに叩きつける…これが俺の必殺技かなという事が見えてきたような気がした!
◇◇◇
先日無事コンタクトレンズも購入し、いよいよ試合に向けての準備も整ってきたであろうと私は考えていたが・・・
「リングコスチュームはどうするの?」と記録班のサジャさんからまた問いかけられ、私はどうすればいいのかわからず、またアタフタしていた。
「このアプリの携帯サイトじゃなく、パソコンサイトからログインしてみるといいよ!リンコスのレンタルもしてるから!」という朗報を聞き、早速バトルマッチングアプリのパソコンサイトの方からリングコスチュームレンタルのページを開けた。
すごいね!色々なコスチュームが一覧で並んでいる。エッチなのもあれば、エッチなのもある…アレっ?エッチなのしかないのでは・・・?と思ったがよく調べるともっと色々なコスチュームが用意されていた。
しかも、コスチュームのセットだではなく、このサイトには…マスク、手袋、上着、ボトムス、靴下、シューズなどなど、一つ一つを部類から選べるようになっており、組み合わせによって自分だけのリングコスチュームをカスタマイズ出来るようになっていた。
これにはすごくテンションが上がってしまい「よしっ!いっちょやってみっか!!」とレンタルコスチュームの設定に一晩かかってしまった。
そして、2日後レンタル発注したコスチュームが自宅に届いた。ドキドキしながら箱を開けるが、この衣装レンタル代も対戦動画の評価をB判定以上取ると無料になるのだ。すごい優遇を受けられるのだだったが、もし、B判定以下だったらと思うと打ち震えてくる。何がなんでも成功させなければと、いつの間にか四面楚歌状態となっている私に恐怖した。
とは言え、もうやるしかないと言い聞かせ、早速リングコスチュームに着替えてみる事にした。眼鏡からコンタクトに替え、ちょっとメイクもした上で着替える。
・・・ええっと・・・こんな感じかなぁ?写真を撮ってみようという事で、スマホをセットして、撮影のタイマーボタンを押す・・・
ピローンッ!!とシャッターの音がなり、写真の出来はどうか確認する。
少しぎこちない感じがするけど・・・結構・・・いけるんじゃないだろうか?
これは私のスレンダー体型にあった衣装をセレクトしたつもりだ。
加えて知的でエレガントなイメージを意識して選んだつもりだけど・・・果たしてどうだろうか?
胸元の部分がパックリと開いている。
てか、何故に!!??
この衣装を選ぶ時、どうして胸元が開いているのかという問い合わせがアプリの運営にあったらしいがその質問の答えが書かれていた。
『必要だから』それ以上でもそれ以下でもないとキレ気味のアンサーだった。
それにこの辺りもすごく・・・エッチだ。
ちょっと露出度が高すぎないかなぁ?
でも他の衣装もこんな感じだったし…普通なのかなぁと感覚が麻痺している自分がいた。
とは言え、ようやく衣装も揃えて準備は万端!試合当日を迎えるだけとなった。
◆◆◆
とうとう試合まで数日という所まで来た。
二週間ほど前までとは、俺の身体のつくりは明らかに変わっている。
また、腰の状態も大丈夫そうだ。
もはや何もいうこともない。コンディション調整はバッチリだ。
ただ、心配に思うのは対戦相手が歳も離れた女子高生なことだ。
本当にちゃんとした対戦になるのか?実のところ、今も懐疑的だ。
それでも試合はやってくる。だからやるしかないのだ。
迷ってなんかいられない。
◇◇◇
いよいよ明日、試合が行われる。
そんな状況だったが、今日も普通に学校へと通い。いつも通り授業後には図書館の新古本の入れ替えをしていた。
そんな時、私と同じクラスの澤崎くんから声を掛けられる。
「あ、あの・・・神川さん。ちょっといいかなぁ?」
「うん。何ですか?」
「その・・・ちょっと伝えたいことがあって・・・図書委員の仕事終わるまで待ってていい?」
「うん。」
そうして澤崎くんは私が図書委員の仕事を終わるまで待ってくれ、図書室の鍵を職員室へ戻しにいった後、ようやく澤崎くんと二人っきりになった。
「あの・・・か、神川さん。俺は神川さんのことがずっと好きでした。」
単刀直入に言うとズバリ愛の告白である。私は人生で初めて男の子から告白されたのだ。そこまで男子とよく話す機会はない私だったが、澤崎くんは時々優しく声を掛けてくれていた。
そんな彼から生まれて初めて告白される私。
普通なら有頂天になるところだったが・・・
「ごめんなさい、澤崎くん!あのね・・・今は・・・とてもタイミングが悪いの!!」
そう、明日八城さんとの試合を控えている私にメンタルを揺さぶるような事象は本当に勘弁してほしい。だから、澤崎くんには明日の試合のことや、私がこれまでとは違う自分に生まれ変わろうとしていることを伝えた。そして、せっかくの愛の告白を私は断ってしまった。心苦しい気持ちでいっぱいだった。
「わかったよ、神川さん。・・・でもさ、そんな男性慣れしていない君が、まともに試合なんてできるの!?もしよければ、俺が今からでも練習台になるよ!男性と組み合ったりスムーズに出来るように俺を使って練習してよ!!」
と、澤崎くんから提案された。確かにそれは重要なことだと理解できる。私自身も必要なことだと感じている。
「ありがとう、澤崎くん!でもいいの?私なんかの練習台になってくれて?・・・ちょっと痛いかもしれないよ。」
そう言いながら、私は眼鏡を外してコンタクトに付け替える準備をする…。
◆◇◆
・・・そして、いよいよバトルマッチングアプリで繋がった男女は試合当日をむかえる。
・・・とは言え平日の18時からの試合開始なので、いつも通り神川茜は学校へ通い、放課後には試合会場となる貸しビルへと向かった。
貸しビルの一階フロアには既に彼女以外のメンバーは集合していた。機材関係などの荷物が台車の上に置かれ、それぞれの準備が行われている。
「遅くなりました。初めまして今日は宜しくお願いします!」
「こちらこそ宜しくお願いします!おおっ!学校帰りなんですね!!」
神川茜の制服姿に男性陣のテンションは上がってしまう。
そして、一同は本日試合が行われるフロアに移動する。
フロアは閑散としていたが、中央に四方をロープで覆われたリングが異彩を放つ。
それからは、オープニングの撮影と開始からエンディング迄の軽いリハーサルやルールのおさらい、カメラアングルの調整等…一通りの準備を行った後、本日対戦する両者はリングコスチュームに着替える事になった・・・。
「き、着替えてきました〜!」
セクシーなリングコスチュームに一同の視線が注目するが、当の彼女はやる気満々で
「今日は絶対にいい試合にしましょうね!」
と、やる気をアピールしているが、男性陣からしてみれば彼女のコスチュームのパックリと開いた胸元から見える…まだ16歳とは思えない発育の良い胸の谷間にどうしても前屈みになってしまう。
そして、いよいよ試合の撮影が始まり、開始を告げるゴングが鳴り響く。記録班であるサジャさんが審判を務め、川村さんがカメラを担当する。
時間は30分一本勝負のシングルマッチ。
いよいよ・・・試合が開始される・・・。
後編へ続く↓
