前編はこちら↓

※こちらは既に公開されておりました『アプリでバトろ!』の前編と中編を統合した記事になります。押絵を追加したり文章を一部修正しています。 この物語は3つの視点から話が展開していきます。 ◇◇◇=神川茜視点 ◆◆◆=八城基視点 ◆◇◆=神様視点 ◇◇◇ 私の名前は神川茜(かみかわ あかね) どこにでもいるような16歳の女子...
◆◇◆
いよいよ試合の撮影が始まった。本日対戦する両人の紹介など簡単なオープニングをした後、開始を告げるゴングが鳴り響く。
記録班であるサジャさんが審判を務め、川村さんがカメラを担当する。
時間は30分一本勝負のシングルマッチ。
八城基(27)VS 神川茜(16)
「シャーオラーッ!!」
と八城基は雄叫びをあげながらやる気満々だ。
両者はお互いリングを旋回するように動きながら、時折フェイントで飛び掛かる素振りを見せながら煽り合うが、ある程度の距離を置きながらならの静かな立ち上がりとなった。
そして、ゆっくりと両者は距離を詰め、両手を広げ取っ組み合いのような体勢となる。
◆◆◆
「シャーオラーッ!」
と気合の掛け声を入れてから、左右それぞれの手に掴みかかり、取っ組み合いとなった。ほんのりと冷たい彼女の華奢な手だが「おおっ!!やるなっ!!」と女子高生とは思えない程の力で押し返してくるので、思わず俺は驚きの声をあげてしまう。
…とは言え、所詮は女子高生。俺は少し両足を開いて腰に踏ん張りをきかせながら
「シャーオラーッ!」
と一気に押し込むと、流石に彼女は体勢を崩しかける。寸前のところで必死に耐える彼女のこわばった顔に、俺は少し興奮してしまう。
「おぉ!強い強い!やるなぁ〜ッ!」
どうやら楽しい試合になりそうだ。
◇◇◇
八城さんは私の健闘ぶりにかなり驚いているみたい。
でも彼の表情やここまでのリアクションを見ると、明らかに私を格下に見ているようだった。もちろん力比べでは私は彼には敵わない。それでも姿勢や力の使い所を入れ替えながら、私はなんとか持ち堪えていた。
「シャーこのぉーッ!」
これで決めてやるとばかりに、彼は力任せに私をねじ伏せようとする。それでも加重を外に逃しながら私は必死に耐えた。
そして耐え切る。
試合開始から3分経過…取っ組み合いのこう着状態が続いていたが、私は少しの変化を感じていた。
ねじ伏せようとする彼の圧力が明らかに落ちていること。最初は彼のパワーに圧倒されていたが、少し余裕が出てきた。もしかしたら彼はスタミナ切れを起こしてるのでは?と感じてしまうくらいだ。
このままいくと押し返す事も出来るかも!!
◆◆◆
…おかしい。先ほど限りなく本気で押し込んだ時に、彼女を転倒させてねじ伏せられたと思っていた…
しかし、俺のイメージと現実とでは一致せず、今なお彼女は耐え続けている。
それだけではなく、むしろさっきよりも押し返す抵抗力は強くなっている。
真っ向勝負の力比べで、女子高生を相手にこのグタグタ展開・・・そんな状況に俺は焦りを感じていた。
おかしい…こんなはずじゃない!!
カメラの前で俺は一体何やってんだ!!ヤラセだと思われても仕方がない状況だ。
俺は手に力を込めるが、こんな華奢な体のどこに力があるんだと不思議になる。それほどまでに彼女の抵抗は強かった。
いやっ、力の掛け方、体勢の使い方が上手いのだろう…。
普通の女子高生だと思っていたが、これは只者じゃない。
◆◇◆
試合開始から両者の取っ組み合いは続いている…
しかし、徐々にスタミナ切れを起こしつつあるのは八城基の方だった。
「ヌォラァーーーッ!!」
と大きな声で雄叫びをあげて気を紛らわせているが、神川茜のひたむきで真っ直ぐな押し込みに、とうとう形成が逆転されようとしていた。
バシィィィィィーーーーーーッ!!!
とその時、八城基は神川茜の手を解くように振り払った。
「シャオラァーーーーッッ!!!」
そして得意の雄叫びを上げている。
しかし、彼の一連の所作は、力比べで女の子に負けそうになったから、慌てて振り払ったような言い訳じみた行動にしか見えない。
雄叫びをあげてアピールしているが、彼の行いに、現場は冷ややかな空気が流れているようだった。焦りからか彼の目は血走っている。
「オォォッ!!オゥラァァーーーッ!!」
八城基得意のラリアットを繰り出す!
周囲の雑念を振り払うかのように力強く、そこには相手が女子高生だからという手加減は微塵もなく、本気のラリアットだ。
八城基が繰り出したラリアットが神川茜を捉えたかと思った次の瞬間…
ダァァァァァァァーーーーーーーーーーーンッッッッ!!!!!
何が起きたかわからない程、あまりに一瞬の事だった。
神川茜はスウェーバックのような仰反る体勢から、ラリアットしてきた八城基の腕にしがみ付くと、駆け上がって懸垂するようにそのまま脚を彼の首元に挟み込む。
完全に体勢を崩した八城基は回転するようにリングに打ち付けられ、そのまま神川茜に締め技をキメられていた。
「グガァッ!!ァァァァァーーーーーッ!!」
打ち付けられ、締め上げられ、悲鳴を上げる八城。渾身の一撃を受け流されただけでなく、カウンターで技までキメられてしまった彼は混乱した。
そんな彼を他所に、神川茜は力強く技を決めていく。善戦、番狂せでは片付けられない彼女の攻撃に、八城はとにかく今は建て直すしかないと、ロープに逃れようと手を伸ばす。そうはさせないと彼女も技で対抗するが、体格の大きさからなんとか八城はロープブレイク出来た。
◆◆◆
『ええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????』
何が起きたのかわからないほど一瞬のことだった。
ぐるんとした彼女の動きに合わせて、俺の体は持って行かれたかと思うと…強烈な痛みが襲ってくる…完全に絞め技をキメられていた。
『おおっ〜危ねぇ危ねぇ〜!!』
俺はそんな驚いた表情を浮かべながら、汗を拭うようなジェスチャーでアピールしているが、本心は穏やかではない。16歳の女子高生相手に力くらべで負けそうになって、技も決められ、何とかロープに逃げただけで、この試合…俺のやっていることは只々雄叫びをあげているだけだ。
『早く起き上がって下さい!』と言わんばかりに、床に転がっている俺を見下ろす彼女・・・ここまでいいとこ無しの俺とは対照的に見事なパフォーマンスで俺を圧倒している彼女・・・
『調子にのるなぁ!!この娘がぁぁ!!』という怒りとは別に、発育のいい女子高生をこんな間近で且つローアングルから見れる眺めの良さに、俺の感情はぐちゃぐちゃになっていた。
◇◇◇
『残念!!』
私は絞め技を繰り出すが、ことごとく八城さんはロープブレイクで跳ね返してくる。
やはり、この特設リングは小さいので、背の大きい八城さんは少し手を伸ばせば簡単にロープに手が届いてしまう。
『ん〜??どうしたらいいんだろう・・・??』
試合再開後も私はステップを使って八城さんの脚を狙い、押し倒して技をキメる。
彼の腕に関節技をかけながら、状況を打破する方法を模索していた。
『絞め技をかけた所で簡単に逃げられちゃうだろうな・・・?』
予想通りまたロープブレイクされてしまった。
私は絞め技が得意…というかパンチもキックも貧弱で唯一の戦える点は絞め技しかない。だから何とかならないかということだったが・・・
起き上がる八城さんは、かなり体力が消耗し、肩で息をしているようだ。
確実にダメージが蓄積されている様子を見ると、私がしていることはどうやら間違いではない。
『ギブアップ!!もしくは失神KO狙いでいこう!!』
私はこのまま彼を消耗させ続ける作戦に決めると、関節技を決めた状態から彼の腕を解くと同時に大きく脚を開いて、覆いかぶさるように彼の頭を太ももで挟み込む・・・
「ゴォォォァァァァァーーーーーッ!!」
今度は三角絞め!八城さんは言葉にならない悲鳴を上げる。こうやって彼の意識を奪っちゃえばいいんだと様子を伺う…しかし、八城さんはかなり苦しそうだ。
『私の太ももとエッチな部分に密着されてるのに、そんな嫌そうな顔しないで下さい!心外ですよ!』
そう心の中で突っ込みを入れながら私は締めを強くする。
『動けなくなるまで・・・お仕置きですよ!』
◆◆◆
・・・・・・・・・ぐるっ・・・じぃ・・・・・・・・
俺は彼女に技をキメられてはロープに逃げ、締め上げられてはロープに逃げ…を繰り返していたが、反撃する体力もなくなり、もはやされるがままの状態になっていた。
”16歳の女子高生にボコボコにされているだけの試合”
今日のこの試合を一言で表現すると、それしか思い浮かばない。
そんな一部始終を撮影され、晒されてしまうのだ。いい所が一つもない。
トラウマ級の恥、黒歴史、反撃しなければという感情も少しは思い浮かんだが、今は只々『もう解放して下さい・・・』そんなフレーズだけが感情を支配している。
「フィニッシュ!!いきますよ〜〜!!」
俺の思いを察してか、彼女から最後の宣告を告げられる。床に転がっていた俺の上に仁王立ちの状態だった彼女は、両手を床につき、姿勢を屈ませ、技を繰り出す体勢に入る・・・踏ん張りを効かせていた両足の力を解くとそのまま彼女の下半身は落下してくる・・・
ダァァァァァァァーーーーーーーーーーーンッッッッ!!!!!
俺の顔面は彼女の秘部に押しつぶされてしまった。『カハァァッッッ!!』もがき苦しむ前に彼女のお尻が迫っていた・・・
ギギギギギギギィィィィィィ・・・・・・・・・・・・・・!!
お尻と太ももと足に埋もれ、挟まれ、、、もう駄目だ、、、
この時、俺は悟ってしまったのだった。
俺は確実に彼女と10戦しても10敗するだろう。もうどんなにあがいても勝てない。
そんなことを確信させるほど、彼女との実力差は明白なものと考えていると、何故か俺は抑え込んでいたものが爆発したかのように、急に勃起が止まらなくなっていた。
そして、俺を完膚なきまでにボコボコにする彼女に対しての感情も爆発する。
・・・あぁぁぁ・・・茜ちゃ・・・茜さま・・・トドメをさして・・・下さい・・・
何の意図もなく、こんな感情が湧いてくるとともに気持ちよくなってきた、、、
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・
◆◇◆
・・・カンカンカンカンカンカンカンカン!!!!!!!
室内に響き渡るゴングの音。
八城基(27)VS 神川茜(16)
勝者:神川茜 (21:46 失神KO勝ち)
リングに大の字で倒れ込む八城基の上に乗りかかりながら神川茜は喜ぶ。
そして馬乗り状態のまま、カメラに向かってVサインを送る。
そんな彼女のお尻の下では、鼻血を流し、口から泡を吹きながら失神する八城基がレフェリーに必死に介抱されている。
・・・あまりにカオスなこの試合の動画は、最速で編集され翌日投稿されることになる・・・
バトルマッチングアプリ史上…最高の再生回数を叩き出した伝説の試合と後に呼ばれるこの試合の動画投稿を18:00に控えたとある病院の一室・・・
「念のために検査しますので、今日は入院して下さい。」
そう医師に診断されたのは八城基・・・結局、彼は神川茜に”病院送り”にされたことになったのだ。
16歳の女子高生にボコボコにされる様をネットの海に晒される八城の心中は羞恥で覆われているはずだったが、何故か彼は既に達観していた。
彼の表情は何故か晴れやかだった。
そして、いよいよ動画が投稿される・・・
物凄い再生回数の伸びと共に、昨日の試合をスマホの画面で振り返る八城。
再生時間が進むにつれ、彼の息遣いもだんだんと荒くなっていく。
そんな八城がもぞもぞと寝転ぶベッドの隣・・・
同じ病室…403号室にはもう一人の患者が入院していた。
それは澤崎という高校生男子・・・例の試合が行われる前日、神川茜に愛の告白をした彼だった。もちろん神川茜に告白して見事に玉砕した彼だったが、その際、彼は神川茜に自分を明日の試合に向けての最後の練習台にしてみたらどうかと提案した。
そして・・・
「澤崎くん、男の人ってどこまで耐えきれるのか試してみるね!」
「どこまでやったら壊れちゃうんだろう?」
しっかりと彼は練習台の仕事をこなし、こうして腰を痛めて入院していたのだった。
16歳の女子高生に、前日と前々日・・・壊され病院送りにされてしまった男二人がこうして隣同士のベッドに並び、試合の動画を鑑賞している。
八城&澤崎『・・・ぁぁぁ・・・茜さま・・・ッッッ!!!!!!』
その夜、とある病院の403号室で『変な匂いがする』という異臭騒ぎが起きたのは言うまでもない・・・。
<あとがき>
完結までものすっっっっっっっっっごく時間をかけてしまい申し訳ございませんでした。文章とイラストを並行して進める工程や同じ人物を複数枚描くのが苦手でしたがようやくメンタルの面でも改善してきて、絵は雑で言わんとすることがわかればいいくらいの押絵ですが進められるようになりました。
Youtubeにマッチングアプリの広告ウザいブームも一旦落ち着いちゃってるので、一時期流行ったあの頃からだいぶ時間が経過したかと思われます。鉄は熱いうちに叩けなのに、、、申し訳ありません。
普段のクソデカ眼鏡姿から華麗に変身するギャップ。そんな茜ちゃんが何故こんなにも強いのか?という言及を構想時には考えていましたが、作中には結局入れませんでした。この試合に向けて八城は一週間前から動き出しましたが、茜ちゃんはバトルマッチングアプリのリリースよりも前…告知された時から、試合に向けて妄想しながら特訓と準備していたこと…いつか来るだろうこの試合に向けて一年前から準備していたということで、彼女が勝って当然、この試合に向けての覚悟の違いがそもそもありましたよっていう裏設定がありました。