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回想録「リリー vs. ダイキ」

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この記事では、冬眠中のWEB小説『画面の向こうのプロレスラー』の

登場人物看板ヒロインの【リリー(LILLY)】の過去対戦の回想をするにあたり

対戦相手の情報を募集しようという企画です!

↓詳しくはこちら

【コメ欄にて募集】彼女と勝負しませんか?

こちらで募集いただいた対戦相手

【ダイキ(21歳/大学生)】くんの物語です!

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青空が広がる秋の日、キャンパスは普段の静寂から一転して、人々の活気に満ち溢れていた。学園祭2日目、あちこちで笑い声と音楽が絶えず響き、色とりどりの屋台が並んでいる。甘い香りに誘われている人もいれば、友人と並んで焼きそばを頬張る学生の姿も見られる…


ここは只今学園祭中の〇〇大学キャンパス内。

立ち並ぶ屋台テントの中、とあるブースではイベント実行委員を手伝うために受付をしている学生の姿がそこにあった。

すらっとした体型と精悍な顔立ち…周りからは『ダイキ』と呼ばれる男子学生。

学園祭当日は猫の手も借りたいイベント実行委員…そこに所属する交際相手の彼女から、彼はブースの受付を言い渡されていた。

このブースでは『アンケートに答えるだけでクジが引けてプレゼントがもらえる』という訪問客データの収集のために設置された実行委員主催のイベントブースだったが、そこへ一人のお客がやってくる。

「あっ、このアンケートに記入してください!記入いただいたらクジが引けます!」

「は、はい!」

・・・・・・

「…え、えっと、名前は…月島さんですね〜じゃあ、このクジをどうぞ!!」

「は、はい!」

「おっ!!これはアタリです!!…えっと…高級スイーツ!長船(オサフネ)カステラが当たりました!」

「エエッッ!!長船カステラ!!??タネ作りや生地の混ぜ込み、卵の泡立てから焼き上げにいたるまで、あらゆる工程に熟練の職人技が光る有名ブランドのカステ〜ラ!!??」

「すっごい嬉しそうですね!!」

「はい!ここのカステラが大好きです!今日はチートデイってことにして食べようかな〜!!」

「いいですね〜!」

ダイエット中なのか、女の子の喜び方が想像以上だった為、ダイキは少し驚いたが、景品を受け取った女の子は「ありがとうございました〜!!」と深々と挨拶し立ち去ろうとする…

「あっ!そうだ!!月島さんっ!!これをどうぞ!!」

「えっ?・・・は、はい!」

ダイキは彼女を呼び止め、一枚のチラシを渡す。

「15時からメインステージで格闘技部による天覧試合が開催されます!今年はびっくりするくらいのシークレットスペシャルゲストがきますので、よかったらぜひ来てください!!俺もそこに参加するんですよ!」

そのチラシには、『シークレットスペシャルゲスト VS 〇〇大学格闘技部エースのダイキ』と大きく掲載されていた。



〇〇大学格闘技部エースのダイキは21歳の大学生で、柔術のテクニックが持ち味。

今日、文化祭メインステージで催される天覧試合のトリを務める『スペシャルマッチ』に出場する。

午前中は学園祭のお手伝いをし、午後から試合までの間は練習場で汗を流しながら、対戦相手の対策などしっかりと準備して本番に臨んだ。



「では最後の試合!!まずは挑戦者の登場です!!〇〇大学格闘技部のエース!!

D A I K I ーーー ダ イ キ ーーーーッ! ! !  」

トラップビートに和楽器を混ぜたエネルギッシュな入場音が流れ、観客席も一層盛り上がる…そして、白の道着を着たスタイルでダイキが登場する。



「ここで、今日はなんと!!スペシャルゲストの登場です!!何も言うことはありません!!見ればわかります!!スペシャルゲストーーーーカモーーンッッ!!!」

アップテンポな入場音とともに登場したのは、女子レスラー・・・彼女の動画サイトチャンネルで格闘技の配信をおこなう、配信者兼プレイアクター(レスラー)の【リリー(LILLY)】だった。

思わぬゲストの登場に観客席からは驚きの声や悲鳴にも似た大声援が沸き起こる。

「すげー!!」「マジかよ!?」「本物だー!!」「上も下もエロ過ぎる!!」


彼女のリングコスチュームは露出度が高く、思わず胸がこぼれ落ちそうになるんじゃないかと思うほどの際どい、コルセット風エレガントバージョン衣装だった。全身がムチムチで悲鳴を上げそうだ…。

その容姿に目を奪われる者が多く、純粋に格闘技を楽しもうと盛り上がり、声援を送るその心内には、とにかくエッチな彼女の姿(しかも生身の実物)を魂に刻み込もうとするエロへの探究心を爆発させている者も少なくはない。


「あの噂の動画配信者!!本物のリリーさんです!!あれっ?リリーさん・・・ご機嫌が悪かったり・・・します?」

少しむすっとした表情をしている彼女に司会者が尋ねる。

「はい!そうなんですよ〜聞いてくれますか?あの・・・さっき、頂いた高級スイーツを食べようとしたら、スタッフから”アスリートとしての自覚はあるのか?”とか言ってキレられて、私の目の前で見せつけるように食べ始めたから、こっちもその挑発行為にキレちまって・・・スタッフをボコボコにしたんです!!」

「ええぇーー!!それは災難だーー(スタッフが)ー!!」

…などと訳のわからない会話をしながら、それでもステージ前は超満員となり、飽和状態、大盛り上がりの状況だった。

それから、彼女の専門動画チャンネル『リリーチャンネル』のライブ配信を開始し、オープニングを撮り終えた。

超満員の観客席ステージ前…溢れ出た客は少し離れた場所でスマホからライブ配信を視聴する…別棟ではライブビューイングもしているそうだ。しかも、このキャンパス内だけでなく、全世界で同時配信もしており、とんでもない注目度の高い試合が、とある大学の学園祭メインステージ特設リングで始まろうとしていた。



ダイキは『リリーに対抗するには、彼女の攻撃をかわしながら、自分の柔術を活かして関節技で攻めるしかない』と戦略を練っていた。試合前からのイメージトレーニングもしっかりできている。


試合が始まり、ダイキは一気にリリーに向かって突進する。彼は得意のテイクダウンを狙い、リリーの足元を素早く突いていく。リリーも素早い動きで反応し、彼の攻撃をかわそうとする。

ダイキは瞬時に体勢を整え、リリーの腰に手を回して持ち上げようとする。

しかし、リリーは驚異的なバランス感覚と身のこなしを駆使し、ダイキの技を外す。


「おおぉぉぉぉーーーーッッッ!!」

試合開始からの怒涛の攻防に観客席はヒートアップ!!男女の戦いとは思えないほどの熱戦がリング上でおこなわれている。


ダイキが繰り出した技を外したリリーは、そのまま回転し、彼の背後に回り込む。

彼女の動きは流れるようで、柔術ファイターであるダイキも一瞬、動きを見失ってしまう程だ。

(・・・大丈夫!!)

ダイキは焦りながらも、すぐに体勢を立て直し、リリーの動きを読み取ろうとする。彼女はその隙をついて、軽やかに空中へ飛び上がり、高い打点からダイキに向かってエルボーを放つ。

(きたな!!・・・もらった!!)

ダイキは引き込むようにリリーの腕を掴んだ。そして、そのまま強力な関節技をかける。

決まったか!!??と、思ったその瞬間、彼女は鋭い反応で体を捻り、ダイキの技をかわした。

それだけではなく、逆にダイキの腕を捉え、カウンターで彼をマットに押し倒す。


(・・・まだまだ!!)

しかし、ダイキは瞬時に体勢を立て直し、リリーの動きを封じ込めようとするが、彼女は巧妙なフットワークで再び逃れる。


「すげぇぇぇーーーッッッ!!」

観客からは歓声が沸き起こり、試合の緊張感や白熱さが一層高まる。

リリーとダイキの間には、技と技が交錯する緊迫した瞬間が続いており、どちらが勝利するのか予測不能な状況だ。


「すげー!!」「これどうなるんだ!?」「ダイキいいぞ!!」「いけるいける!!」「押してるぞ!!」

観客席からはポジティブな言葉が投げかけられていたが、リング上…ダイキの心の中は穏やかではなかった。


(・・・これもダメか・・・まずいぞ・・・さっきから彼女・・・ずっと誘ってやがる!!)

攻防の最中であったが、目配せでリリーが自分に対して『かかってきな!!』とばかりに攻撃を誘っていることはダイキの目から見ても明らかだった。


(・・・おそらくは、俺が出せる手札を全部出させてから・・・反転攻勢するつもりだ・・・!!)

リリーの戦い方は『風車の理論』に沿っている…つまりは、対戦相手の力を最大限に引き出した上で、それ以上の力で倒そうとすることが彼女の信条である。


(・・・次でなんとかしないと・・・マズイことになる・・・この日の為に鍛えてきた必殺だ!)

ダイキは決定的な一撃を放つための間合いを取る。彼女が少し動いた一瞬の隙を見逃さず、強烈なスピニングバックフィストを繰り出す。力強い一撃が空気を切り裂き、まさにリリーを捉える瞬間だった。


・・・ダァァーーーンッッ!!・・・

しかし、リリーはその動きに瞬時に反応し、彼女の優れた反射神経と直感で、地面を蹴るように垂直に大きくジャンプ…彼のその一撃をかわした。

観客が息を呑む瞬間…リリーはそのまま前転し、ダイキの背後に回り込む。


ダイキの表情には驚きが広がる。彼の必殺の一撃は空振りに終わったからだ。


「では、参ります♡」

リリーがダイキの背後に回り込んだ状況で、彼女は彼の耳元でそう呟くと、彼の体に手を回す…そして、背後から抱え上げる…

(バックドロップ!!??)

体格差があるにも関わらず、リリーに持ち上げられてしまったダイキは焦ったが、肩を下げる…その瞬時の判断は正解であり、彼は背中からマットに叩きつけられたが、背中を弓なりにすることで、衝撃を和らげることができた。


(く、くそっ!!)

ダイキは衝撃に耐えながらも再び立ち上がろうとするが、リリーは一切の隙を見せず、次々と攻撃を繰り出した。


「・・・打撃は・・・得意じゃない・・・みたいね?」

パンチ、キック、キック、パンチ、回し蹴り、、、、、パンチパンチパンチ!!


彼女の言う通り、柔術主体の組み技は得意な彼であったが、打撃技は攻防ともに得意ではない。明らかに技術面で彼女と差があることは観客の目からしても明らかだった。ダイキは防戦一方となり、次第に追い込まれていく。


バシッッ!!!ボゴッッ!!ドスッッ!!ボガァァ!!


とうとうダムが決壊したかのように、ダイキはリリーの攻撃に耐えきれなくなり、もろにパンチやキックを食らってしまい、みるみるうちに体の各所が赤く腫れていった。


「耐え切って見せてよね♡」

試合が佳境に入ったころ、リリーが素早くリング上のコーナーポストに駆け上がり、反動をつけて一気に高くジャンプした!

「高い!!」「うわっ!!」「すげー!!」

鳥のように飛び立つのかと思うほど高く飛び上がるリリー…

美しく舞うように彼女は見事なムーンサルトプレスを繰り出した…。

そして、既に膝つけて倒れ込んでいたダイキの背中目掛けて、膝から華麗に着地する。


・・・グガァァァァーーーーーーッッッ!!!!・・・


観客は息を呑み、リング上に注目した。


ムーンサルトプレスでダイキのスタミナは限界に達していた。

そして間髪入れず、リリーは素早く彼の背後に回り、腕をロックしながらのチョークホールドを決めにかかる。


何とか抵抗しようとするが、もう彼の体は言うことを聞かなくなっていた。

彼女のしっかりしたホールドにより、意識を失うのに時間はかからなかった。

「カンカンカンカンカンカン!!!!」

そして、レフェリーがダイキの状態を確認し、腕を交差すると試合終了のゴングが鳴り響いた。テクニカルKOである。


『勝者はリリー!』


観客は彼女の勝利に大歓声を送り、この日一番の盛り上がりを見せた。

彼女は喜びと達成感に包まれながら、リングの中央で勝利のポーズを決めていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



学園祭3日目。実行委員主催のイベントブース…

昨日の大敗から当然立ち直れていないカズキ…そんな彼なのにも関わらず、人手不足によりブース受付役に駆り出されていた。


「よく頑張ったよ!」「相手が悪かっただけ!」等と励ましの声を多くかけられたが、一方では「情けないな〜」「恥ずかしいやつ」と中傷する声もある。

ダイキはそんな状況にメンタルが削られていたが、どんなに思い返してみても昨日の試合…『勝利するビジョンはまったく無かった』

その結論に達し、彼は自分自身の中では試合結果は消化できていた。


「・・・あの、・・またアンケート書いてクジを引きに来ました・・・」

そう言いながら、受付にやって来たのは見覚えのある彼女。昨日もここへ来て、クジで長船カステラを当てた・・・確か、名前は月島さんだったと思い出す。


「すみません。一度アンケートに答えた方はNGなんですよ。ほらっ、ここに書いてありますよね。」

「えっ?あっ、そうなんですか・・・はい・・・わかりました・・・、か、カステラ・・・」

肩をガクッと落としてトボトボと引き返していく彼女…

個人的には期待に応えてあげたい彼だったが、実行委員の手伝いの身であり、勝手な対応は出来ない。


「・・・きたのに・・・は、はは・・・私、馬鹿みたい・・・購入履歴見られるから、勝手な飲食出来ないし・・・は、ははは・・・」

まるで何かに失脚した人間であるかのように絶望感が溢れながら立ち去る彼女…その後ろ姿があまりにも哀愁感漂うもので、思わずダイキは癒されてしまった。


ダイキは心の中で彼女に『ありがとう!」と感謝した。

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