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回想録「リリー vs. 海星丸」

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この記事では、冬眠中のWEB小説『画面の向こうのプロレスラー』の

登場人物看板ヒロインの【リリー(LILLY)】の過去対戦の回想をするにあたり

対戦相手の情報を募集しようという企画です!

↓詳しくはこちら

【コメ欄にて募集】彼女と勝負しませんか?

こちらで募集いただいた対戦相手

【海星丸(29歳/飲食業)】さんの物語です!

※ちなみに、このシリーズは過去回想ですが各話ごとの時系列はバラバラです。

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「助けてくれ!!かっちゃん!!」

始まりは一本の電話だった。


電話を親身に聞く彼の名前は『箕輪海星(みのわかいせい)』

飲食業界で働く大柄な29歳の男性。


電話の主は彼の友人の早瀬という男。

広告代理店の営業をしている海星の学生時代からの同級生だった。


「今度、水島ワールドがオープンすること知ってるよな?」

「ああっ、隣町だからな!結構噂になってるよ!」

水島ワールドというのは、街の一等地に再開発事業として、新しく建設された複合施設のことだった。大きな建物の中にはテナント店舗やスポーツジムなどが入る予定だが、その目玉は一年中稼働し続ける『屋内プール』だった。


「オープン前の告知に大きなイベントをするんだけど、そのイベント手がけるのが俺の勤めている会社で、俺や他の何人かでチームを組んで担当してるんだよ!」

「そうだったんだ!?すごいな!!」

「ここからなんだけど、聞いてくれかっちゃん!!その屋内プールで開催されるイベントで演者の一人がさっき交通事故にあったらしく、命には別状はないそうなんだけど入院するそうなんだ。それで代役の人も用意してたんだけど、その人も病気で入院したそうなんだ。」

「エエッッ!!ヤバイじゃん!!」

「そうッ!!だからかっちゃんにこうして電話したんだ!!」

「・・・ちょっと、待て!!まさか、俺が代役・・・」

「頼む!!かっちゃん!!適任なのはもうかっちゃんしかいないんだよ!!」

友人の早瀬からの電話を要約すると、ピンチヒッターの依頼だった。


・・・現在、水島ワールドのメインである屋内プールは既に完成しており、スポーツジムエリアを残すのみの状況。

そして、屋内プールの水面上に特設されたステージで告知イベントを開催する。

イベント内容は『水面ステージプロレス対決』である。

そのイベントの対決に参加する選手が急な欠場となったため、担当営業の早瀬は友人の海星を頼るしかない状況だったのだ。


「かっちゃんは元相撲部で学生相撲の大会で優勝経験もあるんだから、絶対対戦相手として適任だよ!!ちゃんと報酬もバッチリだすから!!頼む!!」

「ちょっと待ってよ!!その対戦相手って誰?」

「リリーって知らない?」

「え〜、よくわかんないなぁ〜」

「最近、動画配信でめちゃくちゃ人気が出てきてる女の子でさぁ・・・」

「ちょっ、女の子が相手かよ!!??」

「めちゃくちゃ強い女子レスラーだよ!!一回動画見見たらわかるから!!」

「う〜ん・・・」

「その女子レスラーのリリーと対戦してそれを動画配信するんだ。動画を見る視聴者も多いから、舞台となる水島ワールドも宣伝できる最高のチャンスなんだよ!!この一大プロジェクトを成功させるためにはもうかっちゃんの協力しかないんだよ!!」

あまりに必死で猛烈な早瀬からの依頼に、海星は断ることができなかった。


こうして海星は、水島ワールド屋内プールで開催される水面ステージプロレス対決に参加することになった。



グランドオープンを迎える水島ワールド屋内プール場…

明るく開放感のあるデザイン設計で、天井は高く、ガラス張りで自然光がたっぷりと差し込み、プール全体が柔らかな光に包まれており、水面は清らかで澄み渡り、照明の反射が美しく揺らめいている。


さらに、プールの一角には子供向けの浅いエリアや、ウォータースライダーが備わっていて、家族連れや子供たちも楽しめるように設計されている。リラクゼーションエリアやカフェスペースも併設されており、利用者が軽食やドリンクを楽しむことも可能なこの『水島ワールド』は訪れる人々に特別な一日を過ごしてもらう準備が既にできていた。


「ファイトネームは”海星丸”でいいんですね?」

「はいっ!大学相撲部時代のしこ名なんですよ。」

「わかりました!ではそれでいきましょう。」

海星はスタッフや関係者とも打ち合わせして万全の状態で既に会場入りしている。

いよいよ、この後、この場所で女子レスラーとの対決がおこなわれる。

突然の依頼だったが、普段から体を動かしていた彼はブランクはあったが、この短期間で準備できる限りのことはした。自分の体は分厚い脂肪で覆われいるが、幾分かは筋肉がまだ残っているのだと実感し、本日対戦するリリーのことも調べあげた。


「リリーさん、入られます!!」

スタッフや関係者から拍手され、屋内プールの会場入りをした彼女…

その美しく妖艶な容姿に周りからは歓声が上がる。


「今日はよろしくお願いします!」

礼儀正しく元気な声で挨拶するリリー…その様子に海星は少し驚いた。

リリーの動画を何本か見たが、しばしば傍若無人な姿が散見されていたので、直に本人と会うとそのギャップにあ危うく魅了されるところだ。


対決の本番を迎える前…

リリーの配信サイト『リリーチャンネル』のライブ配信のオープニングに差し込むイメージムービーを先に撮影することになった。この水島ワールド屋内プールを舞台に、リリーのグラビアイメージムービー撮影が開始される。


彼女はリラックスした表情でカメラに微笑みかけたり、プールサイドでポーズを取ったりする…彼女が水に入ると、さざ波が立ち、自然な美しさが一層引き立つ…カメラは彼女の姿を追いかけ、変化する彼女の仕草や笑顔を丁寧に捉えていく…

リリーとこの水島ワールド屋内プール場の魅力がたっぷりと詰まったイメージムービーとなった。


グラビアムービーを撮り終えたリリーはプールサイドの待機場所へと帰ってきた。


「さっきのは何なんですか!?」

休憩するため椅子に腰掛けたリリーにスタッフ(リリーチャンネルの撮影スタッフの一人)が詰め寄ってくる。


「アイドルのつもりなのかもしれませんが、隠しきれない野生のゴリラ(笑)〜!!はっ、はっはっはっは!!今年一番笑わせてもらいましたよ〜〜〜鼻でね!!」

そのスタッフの軽率な挑発に、完全にブチギレたリリーは「何ダァーーー!!!」とスタッフの胸ぐらを掴み、しばきまわすと強烈な蹴りでスタッフをそのまま水の中に蹴り込んだ。


・・・バシャァァァァーーーーーーーーーンンンッッッッ!!!・・・


「おい、どうした!?」

「ええっっっ!!」

「大丈夫かーーー!!??」

「穏やかじゃねーなー!?」

突然のことで周りの皆は驚いたが…

「大丈夫です!いつもの日常です!」

と、リリーチャンネルスタッフから説明があり、場は治った。



そんな一悶着もありながら、いよいよ対決本番を迎える。

ライブ配信もスタートし、先ほどのイメージムービーも配信画面に差し込みながら、水島ワールドのことも紹介した。この対決は全世界でライブ配信されており、同接視聴者数も桁違いだ。多くの視聴者に水島ワールドの存在を認知させることができ、その販促効果は絶大である。今日という日に命を懸けるほど頑張ってきた友人の早瀬の思いは無下にできないと海星も決意を固める。



〜舞台はプールの水面上に特設されたステージ〜



周囲には波紋が広がり、試合が始まるのを待ちわびる関係者やスタッフの視線が集まる…そして、カメラの向こうで観戦する数多くの視聴者…


このステージにはコーナーポストやサイドロープは存在しない。ステージの隣は水面だ。今回のルールでは、水面に落ちた場合は、リングアウト失格ではなく、10カウント以内にステージに戻れば失格にはならないというルールが設定されていた。


「カーーーンッッッ!!」


試合開始のゴングが鳴ると、リリーはすぐさま距離を取り、俊敏な動きでステージの周囲を駆け巡る。


(彼女はここまで負けなし・・・かもしれない・・・今日は代役の代役である素人の俺が相手だということも彼女は知っている・・・そこで生まれる油断を突いて、いと泡吹かせてやる!!!)

”海星丸(ファイトネーム)”はその場で構えを取りながら、じっとリリーの動きを見極めるような表情で待ち構える。今日の対決は本気できてくれというリリーチャンネルからのオーダーも試合前に受けた彼は、リリーがスピードに頼ることを察知し、一撃で捕まえようとしていた。


「いい判断ね!」

むやみに動かず、どっしりと構える海星丸の作戦にリリーも共感する。

ステージ上の至る箇所では、既に水が濡れている状態で滑りやすい。リリーのリングコスチュームは水陸両用で、特に下半身のニーハイブーツには、滑り止めのラバーソールや伸縮性バンドなどの水対策加工も施されているため、ステージ上の環境としては有利な状況下にある。

それを踏まえての彼の立ち回りに感嘆しながらも、リリーはまず、海星丸の側面から一連のハイキックを繰り出す…


(無駄だぁー!!)

しかし、海星丸はその巨体でガッチリと防御し、ビクともしなかった。


リリーはバックステップで後退する…体格差が大きいため、一撃で倒すのは難しいと判断したリリーは、少しずつ海星丸のスタミナを削っていく作戦に切り替える。


(ここだぁーーー!!!)

リリーはこれまで無敗だと言え、所詮は華奢な体格の女の子である…自分の一撃が当たりさえすればそれが致命的なダメージなると確信した海星丸は、四股(しこ)を踏むように、腰を落として両脚を深く曲げ、力強く足を踏み出し、リリーに向かって突進する…足場の悪いステージ上をもろともせず、相撲部で鍛えたぶちかましを繰り出した。


・・・ブゥゥゥゥゥンンッッッッッッ!!!・・・


海星丸の突撃が直撃するかと思われたが、リリーはその巨体の迫力に怯むことなく、軽やかなステップで避け、相手の背後に素早く回り込む。アクロバティックな動きで相手を翻弄しつつ、彼女は海星丸の隙を狙い、低めのキックを何度か放った。


・・・バシッッ!!バンッッ!!!バシッッ!!・・・


(くッッ!!!すばしっこい!!)

海星丸は少し顔を歪めるが、まだまだ問題ないと思い直し、再び隙を狙って攻撃に転じる…。


そんな攻防を繰り返しながら、数分が経過する…しかし、徐々に試合のペースが変わり始めていた…


体格も重量も大きい海星丸の体力は消費が激しい。長期戦になると不利になるのは明白で、いい加減にそろそろ試合を決めにいかなければならない。彼はリリーの動きを読み、体を低く構えながら、両腕を使って押し込んだり、突き出したり攻撃を仕掛けた…しかし、リリーのスピードは驚異的で、次々と繰り出される攻撃をうまく回避されてしまった。


(嘘だろっ!?)

こうなると、展開は変わってくるもの…肩で息をするようになった海星丸にリリーは素早い打撃技を打ち込む。


・・・ドンッッ!!バシッッ!!バンッッ!!!ゴンッッ!!・・・


一発一発の威力は強力なものではなかったので、なんとか海星丸は耐えきって、反撃に転じ、彼は渾身の力でリリーを力強く押し出そうと試みた。


その瞬間だった。


「ゴォーーーンッッ!ゴォーーーンッッ!ゴォーーーンッッ!」


屋内プール場内の時計は15:00を指し、それに合わせた大きな鐘の音が場内に響き渡る。


「ブシュゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!」


そして、場内プールの至る場所で噴水が吹き上がった。

水島ワールド屋内プール場では噴水が吹き上がるという時報演出が設定されており、ライブ配信の対決中であっても同じように時報演出が実行されていた。


流石、屋内プール場だけあって、噴水の水量もかなりのもので、ステージ上は水浸しになる程で、ライブ配信の視界も遮られる程だった。


(・・・こんな時に!!)

突然の演出に海星丸も焦ってしまう。水浸しのステージ上では流石に態勢を維持するのも大変だ。


『!!!!!!!!!!!!????????????』


(あれッッ???・・・いない・・・???)


噴水演出も終わったが、目の前にはリリーがいない。

さっきまでそこにいた彼女の姿が何処にもない。

海星丸は辺りを見回したが、本当にリリーはそこにいなくなっていた。


(えっ・・・・???・・・水の中か・・・!!??)

慌てて海星丸は水の中を見ようとステージ端まで移動したが、リリーの姿はそこにはなさそうだった…


「そこにはいないよ♡」

無邪気な声を聞く…海星丸は状況を察したが、既に遅かった。

ステージの端…彼は水面側に向き、その背後をリリーに取られている状況だった。


(・・・さっきの噴水!?)

状況を整理してももう遅い海星丸…

先ほどの噴水演出の最中…リリーは水面に飛び込み、ステージ下をくぐり抜けるように水中を移動しながら反対側へ上がった…

そして、何が起きたのか混乱している海星丸の背後へと忍び寄ったのだった。


対決前のグラビアムービー撮影時にこのステージの構造を把握し、時報の噴水演出が設定されていることも彼女は考慮していたのだ。


・・・ダァァァァァァンンンッッッッッ!!!・・・


リリーは流れるようなフォームで、海星丸の背中にジャンプし、スリーパーホールドで締め上げる…。

こんな華奢な女の子が、これまで数々の勝負を男性と繰り広げ、未だに無敗だということの意味を、ここにきてようやく海星丸は理解する。

その格闘センスだけでなく、対決に対する準備や状況判断にも優れており、体格差を生かせば勝てるなどのような安易な考えだけで通用する相手ではないことを実感したのである。


(ぅぅぅぅ・・・・ぃぃぃぃ・・・・ひぃぃぃ・・・・)


海星丸はリリーの力強い締め技に次第に意識が薄れて、タップする暇もなく、落ちて失神してしまう。


・・・バシャァァァァーーーーーーーーーンンンッッッッ!!!・・・


そして、海星丸は倒れるように水の中にダイブした。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




とある居酒屋のカウンター席。

焼き鳥や刺身などをおかずにビールを酌み交わしながら、先日の試合をスマホ画面から振り返っているのは、海星とその友人の早瀬だった。


「ホントにめちゃくちゃ、反響あったよ!!水島ワールドのグランドオープンとんでもないことになって、大成功の悲鳴を上げたらしい。」

「・・・そうなんだ。」

「今後も定期的にイベントを開催したいそうで、それもうちの会社が担当することになったんだ。」

「よかったじゃん!!」

「・・・それと、”海星丸さん”にも今後も引き続き参加してもらいたいんだって・・・水島会長直々にお願いされたよ。」

「・・・マジ?」

「・・・マジ!」

「・・・マジかぁ〜」


人生には転機というものが存在する。


「・・・でもさ〜〜彼女みたいな人材・・・いないよ!!」

「・・・そこなんだよなぁ〜〜」


お酒を酌み交わしながら、深くため息をつく二人・・・その先のスマホ画面には、両手を上げて笑顔でポーズをとるリリーの姿が映し出されていた。

回想録「リリー vs. 海星丸」 回想録「リリー vs. 海星丸」 回想録「リリー vs. 海星丸」

Comments

登場人物の背景話も入れ込んで進行していくため、エッチ要素がどうしても薄まってしまいますが、表現がないだけで、濡れ濡れの女の子が躊躇なく密着してくれるので、絶対気持ちいハズです^^

8mg(ハチミリグラム)

物語ありがとうございます!! 体格差のある相手を女の子が仕留める物語はやはりいいですね!素早く海星丸の攻撃をよけるリリーちゃんは予想してましたが、噴水イベントも利用するリリーちゃんの頭の良さ、かっこいいです! 背中にリリーちゃんの温もりを感じながら絞め落とされる海星丸、非常にうらや、いや残念でしたね笑

トモダチ


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