SamSuka
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セリア王国記

セリア王国――

国土の9割が険しい山岳地帯に覆われた、女王を頂点とする女系国家。

外敵の侵入を拒むその自然の要塞は、他国から「鉄の霧」と恐れられる。王都や主要都市は山間の渓谷に点在し、空と風と水を信仰する独特の文化を育んできた。


そんなセリア王国への唯一の通商路・侵攻路――それがマーズ平原である。

山々の狭間に広がるその草原地帯は、王国の「玄関口」であり、同時に唯一の“急所”でもある。ゆえにこの平原は、国を賭けた戦いの舞台となることが多く、幾度も血に染まってきた。


しかし、王国軍は少数精鋭。

ヴァルキリーは千人を斬る力を持ち、アマゾネスは部族を単騎で崩すと言われる。

彼女たちは、鋼鉄のようにそびえる山と、純白の泉に象徴される国家の守護者である。


プロローグ(王国戦士の覚醒)

女系国家「セリア王国」の辺境にある静かな村が、地方豪族「カイロス一派」によって突然襲撃された。家々は焼かれ、女たちは捕らえられ、村は地図から消されるかのような暴挙だった。


――砦の大広場


酒樽が倒れ、肉が焦げ、男たちの高笑いが夜空に響いていた。地方豪族カイロスの兵、総勢五十余。女たちの悲鳴を肴に、どぶ酒で喉を潤している。


そこへ、ゆらりと現れる三つの影。長い金髪を風になびかせたヴァルキリー・イレーナ。その隣を、金と黒の戦化粧を施したアマゾネス双子姉妹、レナとリサが槍と戦斧を構える。


「お前ら…誰だ?」


グシャッ!


「天罰よ」イレーナが静かに言う。


戦端が開かれたーーー


レナの槍が一人の喉元を貫いた。

「ぎゃぼぉっ!」血が吹き上がり、男は地に沈む。


リサの戦斧が振り下ろされ、腕ごと肩を叩き斬られた男が悲鳴をあげてのたうつ。「うああああっ、うでぇ!腕がねぇえぇ!」


イレーナの大剣が空を裂き、三人を一閃。直立したままの下半身を残して転げ落ちた胴が、赤い川を作る。


「お、おい…女どもだぞ!? なんでこんな……ぎゃああああああッ!」


次々に男たちが血煙に呑まれていく……叫び、逃げ惑い、足をもがれ、背中を裂かれ、内臓をぶちまけながら絶命していく……。


「やめろッ!女がぁ、女がぁぁぁ!?戦場でこんなこと――うぎゃああッ!」

「ヒィィィッ!ごめんなさいっごめんなさ……ぐぉぇっ!」


地獄だった。


だが、地獄を作ったのはお前たちだ――彼女達の刃がそう語っていた。


残る兵は十数名、震える手で剣を構えるも、戦意などとうに潰れている。

そこへ雷のような叫びが響く。


「役立たずどもがッ!!」


砦の奥から現れたのは部隊長・ドグラ。


巨大な体躯に、顔には醜い傷跡。戦士たちを足蹴にしながら吐き捨てる。


「女にやられるなんざ、臆病者のクズだ!ったく…この俺様が手を下さなきゃいけねぇとはなあ…この前奪った伝説の剣とやらを取ってくるから、その間、お前らは時間を稼いでおけ!!」

残った兵は動揺を掻き消そうと、大きく返事をする。それを一瞥したドグラは地下牢へと向かった。


「人質を盾にして逃げるさ、最後に笑うのは…俺だッ!」


はなからドグラはこの広場に戻るつもりはなかった。


地下牢――


少女・マナは、まだ震えていた。だが剣は、手から離れなかった。亡くなった姉の剣……それは黒く光った珍しい黒剣……本当かどうかはわからないが、不思議な力が宿るという『伝説の剣』と呼ばれていた。その剣を握ったとき、熱い何かが胸の奥で灯った。


『……私が…終わらせなきゃ』


地下牢の扉が破られ、ドグラが踏み込む。


「いたか、残りカスのガキがぁ…」


「……私は逃げない!」


マナが低く呟く。その声は、明らかに先ほどまでの彼女のものではなかった。


「ガキごときが俺とやろうってのか!? 笑わせんな、そんな素人みてぇな構えで!?その剣は俺のものだ!!ぶっ殺してやる!!」


「じゃあやってみてよ」

マナの足が、滑るように踏み込む。踏み込み、振るい、斬る。

ドグラの袖が裂け、血がにじむ。


「テメェッ…ッッ、クソガキがァァアア!!」


ドグラが怒号と共に鉈を振るうが、マナはそれをかわしながら小さく、しかし鋭く斬り込む。姉の剣は軽く、鋭く、そしてマナの中に流れる怒りと悲しみが、斬撃を鋭くした。


「皆を、返してよ!!」


「誰が返すかッ!?お前の村なんざどうなろうが知ったこっちゃねえんだよ!!こっちは報酬で動いてんだよ!ガキごときがシャシャり出るなッ!!!」


「――だったら、あなたも消えて!」


そんなやり取りをしていた所、討伐し終えたイレーナ達が到着する……しかし、マナは振り返らない。


「……ここを終わらせるのは、私」


少女の瞳に宿ったのは恐怖でも、怒りでもない。覚悟だった。


マナの小さな身体が跳ね、鋭く斬り付けた剣が、ドグラの首筋を断ったーー

「がはっ……この……こんな、ガキに……!!」

彼の首元からは、もう止血できない程の血が噴き出していた。


「最後!」

マナはくるっと回転するように遠心力を活かした斬撃を繰り出し、先程と同じ場所であるドグラの首元へ放った。


ーーーブシャャァァァァッ!!!


ドグラの首が宙を舞った。


頭のない胴体部分はそのまま後ろへ倒れていった。


夜が明け、砦の炎が静かに沈む。


生き残った人々は肩を寄せ合い、マナのそばに立つイレーナが静かに言った。


「貴女の勇気が、全てを終わらせたわ!」


「……私はもっと、強くなれますか?」


「うんッ!!」


その日、ひとつの村が再生し、ひとりの少女が戦士として生まれ変わった。



マーズ平原の戦い

セリア王国の外交姿勢は、他国を侵略することはなく平和協調路線の国家だった。

しかし、ヴァルキリー、アマゾネスをはじめとするその強大な軍事力は、帝国覇権主義を掲げる大陸中央に鎮座するザレブ帝国にとって目障りな存在だった。

加えて、セリア王国内の山岳地帯には手付かずの鉱物資源が至る所に眠っていると言われており、地理学的にも重要な地域であることは明白だった。

「機は熟した。ようやく禁忌を破る時がやってきた。」皇帝はそう言い放ったらしい。


セリア王国、北境の要地マーズ平原。

ある日、斥候が告げた。ザレブ帝国が諸外国に号令し、連合軍を組織。セリア王国討伐軍として、総勢12,000の大軍が国境を越えたと。


更には、セリア国内の山間部に先のカイロス一派のような賊軍を次々と送り込み、国境付近の村々を襲撃する同時作戦も行われた。


王都は混乱し、多くの場所への対応が迫られた。しかし何より重要な戦略地点である、討伐本軍が迫っているマーズ平原には『ヴァルキリー・イレーナ』を総大将とする王国精鋭部隊250名が派遣された。


「戦端、マーズ平原」

マーズ平原にて、250名が布陣した。中心に総大将のイレーナ。左右には双子アマゾネス・レナとリサを筆頭とする遊撃部隊。


その頃、連合軍陣営では油断が蔓延していた。


「こっちは総勢12,000人、対して女どもは250人しかいないそうだぞ!話にならんな。あいつらに何ができるって言うんだよ?」

「楽な仕事だ。午前で終わるな」

そして太陽が天頂に昇った頃、戦いが始まる。


「神罰の剣、地を裂く」

連合軍は正面から1,000の騎兵を繰り出した。だが――


“ヴァルキリー・イレーナ”はたった一人で前に出た。


彼女の大剣が空を割った瞬間、騎兵の第一列がまとめて消えた。甲冑ごと両断され、血飛沫が天に舞う。


「なにをしている!囲め、潰せ!前へッ!」

2,000が動いた。だが、イレーナは止まらなかった。

踏み込み、振るい、裂き、叩き伏せる。彼女の斬撃は質量を持ち、地ごと敵を切り崩した。


一方、左右のアマゾネスたちが動いた。


レナは両手槍を旋回させ、回転する刃のように敵兵を薙ぎ倒す。1人、2人、3人――気づけば地には40人の屍。


リサは投槍を使い、百メートル先の敵将の眉間を一撃で貫いた。彼女は戦斧を投げ、引き抜き、跳躍しながら敵陣をなぎ払う。


「ぎゃああああ!」

「か、身体が真っ二つに!」

「助けて…神よォォォ!」

「こ、これは何かの夢だ!」

まさに地獄が顕現した。



「業火に沈む12,000」

昼過ぎ、連合軍の中央が壊滅。指揮系統が崩壊し、兵は蜘蛛の子のように逃げ散った。

そこへ、見晴らしのいい小高い丘に陣取っていたセリアの近衛弓兵部隊が矢の雨を降らせる。


魔法によって強化された矢が、背を向けた兵士たちに容赦なく突き刺さる。


だが、この惨状を見ながらもヴァルキリーは口を開かない。ただ静かに血に濡れた剣を構えていた。


「終わりなき死の行進」

陽が西に傾き始めた頃。

平原のあちこちで火柱が立ち、地面は肉と血で泥濘に変わっていた。人馬の区別もつかぬ屍の山。狂ったように逃げ惑う者たち、転がり、踏まれ、踏みつけてなお逃げる。誰も「勝てる」とは口にしなくなっていた。


それでも、ザレブ帝国連合軍の中核部隊――重厚な鎧で身を覆った800人の重装歩兵団が最後の望みとして進軍を開始する。


「ここで押し返せばまだ……まだ建て直せる!」

「まだ兵は残っている!負けていないッ!」


だが――


彼らの前に現れたのは、“ドグラ”を討った少女、マナだった。

かつて一介の村娘だった彼女は、今や帝国兵にとっての“死神”として語られ始めていた。


「……行かせないわ」

地を這うような低い声で、彼女は剣を握る。


ドグラを討った伝説の剣を、少女は軽々と振るう。その動きはかつての砦での動きから更に進化していた。

その一撃は風を裂き、骨を砕き、兵士たちを武器や鎧ごと切り裂いた。


「ぐああああああッ!」

「なんだこのガキはッ!?く、首がァアッ!」

「隊長ォォ!頭が…っ、顔が潰されてるッ!!」


重装歩兵達はマナの姿を追うだけで必死だった。いや、正確には姿を追えていなかった。雷のような素早い動きで駆け巡り、彼女の通った跡にはバラバラになった重装歩兵達の武器や防具、そして腕や体が散乱していた。

叫びは悲鳴へ……悲鳴は絶叫へ……そして絶叫は沈黙へ……


マナの目に涙はなかった。ただひとつ、村で殺された人々の亡骸が、彼女の全身を突き動かしていた。


「私は、もう戻れない……でも、私は進む!!あなたたちを、赦さない」


その姿に、もはや帝国の兵は剣を構えることすらできなかった。剣を捨て、盾を投げ出し、背を向ける。もはや戦意などどこにもなかった。



「帝国本陣」

マーズ平原、中央軍壊滅の報が届くと、帝国総大将ブレブは憤怒の形相で地図を叩きつけた。


「まだだ!まだ中央は崩れていない!あれは小手先の奇襲だ!全軍、前進!矛を構えろォ!!」


幕僚たちが沈黙する。だが、彼の目には現実を直視する光はなかった。


「こちらは12,000の大軍!たった数百の女どもに遅れを取るわけがないッ!!全兵を繰り出せ!この私が先頭に立つ!!」


狂気と焦りが、ブレブの理性を溶かしていた。


そこに、ひときわ重々しい足音と共に一人の老将が進み出る。


「諸王同盟」から参陣した将、

グレオス・カイレル ―― 多国に影響力を持つオルダニア王国の元帥であり、連合における政治的代表でもあった。


「……やめよ、ブレブ殿」


低く、だが鋭く通る声。幕僚たちは息をのんだ。


「お前に何がわかるッ!敗北を受け入れるというのか、グレオス!!?」


「わかるとも。私は、この目で見たのだ」


グレオスはすでに外の丘より戦場を見ていた。

血の海、兵たちの呻き、そして真紅の大剣を手に進むヴァルキリー・イレーナの姿を。


「これはもはや“戦”ではない。」


「黙れ!!貴様、敵に膝を屈する気かッ!!我がザレブ帝国はこの敗北を許さん!!」


「違う、我らが失ってはならぬのは兵ではない、“国の理”だ」


グレオスの声は、戦場の喧噪の中でも異様な静けさを帯びていた。


「生きて帰り、未来を守るのだ。今日のこの敗北は、必ず次に繋げるための礎となる。我々にはまだ“明日”がある。だが、ここで戦を続ければ、未来は焼け落ちるだけだ」


ブレブは唇を噛み、剣に手をかけかけるが――

その手を副官に押さえられる。


「総大将、これ以上は……本当に、全滅します」


やがて、ブレブは崩れるように腰を落とした。


「……なぜだ。あの敵の大将イレーナは齢20と聞いたぞ。二十歳だぞ!!敵の50倍近い戦力を持って、何故……あんな年増もいかない女どもに……」



女神の咆哮

戦後、マーズ平原には連合軍の死体が山のように積まれていた。セリア軍はわずか8名の軽傷者を出したのみ。


生き延びた連合軍兵は将校一般兵合わせても500人を下回ったらしい。彼らは口々に語った。


「ヴァルキリーは、人ではない」

「あれは戦の女神そのものだった」

「アマゾネスは黒い獣。近づけば身体が引き裂かれる」

後に、この戦はこう語り継がれる。



「あれは戦ではなかった。虐殺でもない。それは“審判”だった。

神々が我らに何をしたのかを教える、血に染まった福音だった。」



皇帝の御前に伝令が届けられる。

「こちら連合軍は1万以上の者が討ち死にとなりました。そ、そして申し上げ難いのですが、敵国方の戦死者は……ゼロです。」

その報を聞いた皇帝は手に持っていた杖を落としたそうだ。






命の泉にて ―束の間の休息、揺れる規律

マーズ平原の戦いに大勝利し、セリア王国軍は王都への帰還の途についた。


途中、水神信仰の聖域とされる「命の泉」に立ち寄った。そこは澄んだ水が広がる静謐な大池で、鏡のような水面に青空と森が映り込む、美しい地だった。戦士たちは剣を地に置き、鎧を脱ぎ、水へと足を踏み入れる。


血と汗と土の臭いが、水の音に溶けていく。


そこにいたのは、8人の軽傷者を含む全250名の英雄たち。


後悔と希望のはざまで

水辺で一人、マナは小石を拾っては水面へ投げていた。

その目は、自分が貫いた“敵”の顔を映していた。


マナ「あの人…泣いてた。怒鳴りながら、でも…泣いてた。」

イレーナ(そっと隣に)「あなたはそれを、気にも止めないんじゃなく、ちゃんと見逃さずに見ていた。なら、それでいい。」


マナ「そう思いたい。……でも、そう思い込まないと、剣を持てなくなりそうで。」



達観した魔導士

焚火の前に座るユルナは、湯気の立つ薬草茶を啜りながら、何かを見つめている。


ユルナ「正義も復讐も、時代が変われば逆になる。そんなもの、信じてたら長生きできないわ。」


クラリッサ「じゃあ、あなたは何のために戦うの?」


ユルナ「命があるうちは、命を賭ける場に立つ。それだけよ。」



戦いを愉しむ陽気な姉御肌

セルマ「敵将の顔、見た? 『なぜだ!?』って絶望した顔!アレ最高だったわぁ〜!」


リオナ「ちょっ…そういう言い方…!?」


セルマ(水をすくって)「あたしは戦うのが好きなの。勝てるからじゃない。あの瞬間、“自分が生きてる”って実感できるから!」



無言の大剣士

斧を研ぎながら、ルダは口を開かない。ただ、泉に映る自分の顔をじっと見ていた。


ティシア(そっと)「ルダ……あなたは怖くないの?ああやって、次から次へと……」


ルダ(ぽつり)「怖い。だから、斬る。」


彼女は少し、泉を撫でた。



自分の正義を疑えない新兵

メルナ「私たちが勝ったのは、正しいから…ですよね?」


サビーナ(口角を上げ)「“勝った側が正しい”ってのは歴史の定番よ!正義は、剣の長さで測られる。」


メルナ「そんな…でも、でも私……!」


イレーナ(静かに)「それでも、信じていい。今のあなたが正しいと思うなら。」



傭兵の達観

焚火の傍ら、鱗のように擦り切れた剣を眺めていたサビーナがぽつりと呟く。


サビーナ「人はね、誰かの理屈で殺されて、誰かの正義で死んでいく。でも…それでも生き残った者には“選ぶ”権利がある。」


周りの新兵達は真剣に彼女の話に耳を傾けていた。



悲しみの中の希望

手のひらの包帯を見つめながら、クラリッサは空を見上げた。


クラリッサ「私は、この戦いで、人を殺してない。でも、死の淵で恐怖する彼らの命を助けることもできなかった。……それでも、明日があると信じたいの。」


マナ「クラリッサさん……」


クラリッサ(微笑み)「だから、また誰かが傷ついたら…その人に“あなたは生きていい”って言ってあげられる私でいたいの。」



夕陽が落ち始め、泉は橙と紅の混じった光に包まれる。

その景色に魅せられて、それぞれの会話が終わっても、誰もその場を立とうとしなかった。


火はゆっくりと薪を焼き、風が髪を撫でる。

イレーナ(呟く)「この勝利が、また次の戦いの理由になるのかもしれない。……それでも、歩く。」


ユルナ「道の終わりに、答えなんてないわ。でも、歩くしかない。」


マナ「じゃあ、私はその途中で……誰かの手を取れる自分でありたい。」



やがて夜が泉を包み込み、星々がその水面に散る。


この日、命の泉にいた250人の戦士たちは、「勝者」としてではなく、「生きた者」として歴史に刻まれることとなる。



泉の端で髪を梳き、弓兵たちは矢羽根を整えながら笑い声を交わしている。


一方で、泉の外れ――

捕虜を乗せた馬車の前で、兵士たちの口論が起こっていた。



「……ねえ、いいでしょ!ちょっとくらいは……」


「そうよ!王都で王族や元老院に引き渡される前に……今のうちに……したいよね?」


その言葉に、側にいた見張りの兵が怒声を上げる。


「ダメだ!ここは戦場じゃない!イレーナ様の命により、捕虜の身は保証されている!」


「……でも、戦いの最中、ずっと気を張って戦ってきたんだよ!感情を発散する機会を作ってくれてもいいじゃない!!」


一触即発の空気が漂う。


馬車の中には、先ほどの戦いで捕虜にした男が十数人乗せられており、セリア軍の精鋭部隊と帯同していた。

そこへ、ヴァルキリー・イレーナが、静かに現れた。


「――何事?」


その一声に、全員が凍りつく。

イレーナは馬車の前に立ち、ゆっくりと口を開いた。


「……戦いの後、人は心の置き場を失う。殺し合いの余韻が、剣ではなく感情に向かうこともある……」


彼女の目は鋭く、だが責めることなく全兵を見渡した。


「だから私は命じる。今から一刻、捕虜への“接触”を許可するわ!……ただし条件がある!!」


その声は、剣よりも重かった。


「セリア王国軍の兵としての誇りと規律をもって行動できる者だけが残ること。

この者たちに、手を挙げないと誓える者だけだ!」


誰かが息を呑む音がした。


「万が一、捕虜の身を傷つけた者がいた場合、私はそれを“敵”と見なす。それほどの覚悟がある!?」


一瞬の沈黙ののち――


「……はい!」


「誓います!」


「俺たちは、セリア様の名に恥じません!」


兵たちは姿勢を正し、まるで隊列のように整列した。

緩んでいた顔に、再び精鋭としての鋭さが戻っていた。


イレーナは静かに頷く。


「よし。では、この後一刻。行動を許可する。……節度と覚悟を、忘れないように!」


兵士たちは声をあげることもなく、湧き立つように馬車へと向かっていった。

ただ、その背にはどこか少女のような軽やかさと、兵士のような静かな意志が混じっていた。


泉のほとり、マナは遠くのざわめきを眺めていた。


「……あっち、なんか騒がしいね。何か始まるのかな?」


好奇心旺盛な瞳を輝かせるマナに、隣で髪を結っていたアマゾネスのリサが眉をひそめて止める。


「ダメよマナ。あれは……まだマナにはちょっと早い話。気にしなくていいの」


「……はい、そうなんですか……?」


「理由は……そうね。大人の事情ってやつよ。まったく、あの子たち、戦い終わったばかりなのに元気なんだから……」


泉に足をつけながら、リサは少し呆れたように肩をすくめた。

だがその表情の裏には、『戦いの後に燃え残った火』を理解する、戦士としての哀しみもあった。


「……でもまあ、わからなくもないか。誰だって、心の行き場を探してるのよ」


マナはよくわからないまま「ふぅん」と頷き、泉の水に指を落とした。

戦いの残響はまだ、静かに兵たちの背中を揺らしていた。


王国最強の精鋭部隊と言っても、中身は年頃の女性である。

感情を表に出し、行動に移す者が多いのだ。


彼女達は本能をむき出しにしながら、捕虜の男達の体を求めた。



【キャラ紹介】


■ イレーナ(ヴァルキリー)

パラメータ 数値(最大100)

HP(体力) 98 並の兵士では削りきれない。強敵との長期戦も耐える。

ATK(攻撃) 100(上限突破) 1撃で複数ユニットを撃破可能。超重武器専用。

(40%の確率でクリティカルが発生、70%の確率で追加攻撃が発生)

DEF(防御) 90 魔法・物理ともに高耐久。

SPD(素早さ) 75 重装備にしては異常な速さ。反応速度と切り返しも優秀。

MND(精神/魔防) 85 精神干渉耐性、状態異常に強い。

LEAD(統率力) 100 味方の士気上昇、周囲の味方全ステ+10%のパッシブ効果あり。

LUK(運) 60 単体では低くないが、超運キャラには劣る。


ユニーククラス名:ヴァルキリー・セリア

専用装備:神銀の大剣「ラグナレイヴ」

一部の魔法を跳ね返すことが可能(剣による)





■ マナ ( 村育ちの新星)

パラメータ 数値

HP(体力) 65 平均的、やや脆い序盤型

ATK(攻撃) 72 → 成長で最大100 伸びしろ最強。後半はイレーナ級

DEF(防御) 50 序盤は打たれ弱いが、スキルで補強可能

SPD(素早さ)85 回避率と先制攻撃力に優れる

MND(精神/魔防) 60 精神的には強いが魔法防御は普通

LEAD(統率力)50 → 成長で80 初めは低い

LUK(運)90 ドロップ運・クリティカル・回避に寄与する天性の運命力


ユニーククラス名:勇気の徒

初期状態では一般兵に近い性能だが、育てるほどに飛躍する“成長型”

育成次第で“英雄”にも“凡人”にもなる

専用装備:姉の形見「断罪の黒剣クレノス」(伝説の剣)

【マーズ平原の戦い・主要人物ごとの戦果】



イレーナ:撃破数 1172人

「一人で千を斬る“神罰の剣”」

セリア軍の象徴。敵の大軍を真っ向から斬り伏せ、中央突破を果たした戦功は圧巻。敵の士気を一気に崩壊させた戦術的にも精神的にも象徴的な一撃だった。神話級の存在として兵士たちに語り継がれる。



マナ :撃破数 313人

「無垢なる獣、覚醒の雷」

初陣ながら驚異の戦果を挙げた新人戦士。恐怖や躊躇を知らない純粋さと、戦場で覚醒する「力」により、遊撃部隊の一角として、特にザレブ帝国の中核を担う重装歩兵隊を壊滅させるなど、十分すぎる戦果を見せた。



レナ :撃破数 412人

「双槍の舞、修羅の渦」

イレーナの両翼を担う双子姉妹の姉。豪快な両手槍で敵陣を文字通り薙ぎ払い、局地戦での勝利を重ねた。防御を捨てた特攻型ながら生存率も高く、部隊の信頼も厚い。



リサ :撃破数 267人

「冷徹なる跳弾の殺戮者」

イレーナの両翼を担う双子の妹。投槍による精密狙撃と、戦斧での跳躍斬撃を自在に使い分ける。冷静な判断と戦場でのバランス感覚が優れており、将クラスの敵を複数討ち取った。



ユルナ:撃破数 198人

「戦場に舞う魔力の楔」

後方支援型の魔導士ながらも、広域魔法の適切な運用で多数を一度に制圧。連携によって一気に数を削る支援戦術の要を担った。



クラリッサ:撃破数 0人

「癒やしの声、沈まぬ命」

医療班兼ヒーラーとして、前線から一歩引いた立ち位置にいたが、数十人以上の負傷兵を回復・生存させた貢献は数字では測れない。激戦中も一歩も引かぬ姿勢が仲間の支えとなる。



セルマ:撃破数 147人

「戦を楽しむ豪腕」

戦場を“遊び場”と笑いながらも、的確に敵兵を討ち取り、先陣を切る姿は味方を鼓舞した。大胆不敵な突破力と笑いを忘れぬ精神力で、戦列を維持した。



リオナ:撃破数 34人

「退路の番人、静かな支援者」

戦功としては控えめだが、撤退経路の確保と輸送部隊の防衛に徹した功績は見逃せない。戦いそのものよりも、組織全体の“帰還”を支える。



サビーナ:65人

「精密の矢、凪のような死」

遠距離から確実に仕留める孤高の弓兵。多くはないが要所で重要人物を射抜いた。弓兵としての本領発揮には至らなかったが、冷静な立ち回りで戦場を駆けた。



ティシア:撃破数 712人

「戦火の巫女、魔導の柱」

広域破壊魔法を戦術的に使用し、敵の大部隊を焼き尽くした。誤爆ゼロという精度の高さも含めて、魔導部隊の中核として最大戦果をあげる。兵士からは「魔の雨」と恐れられた。



メルナ:撃破数 83人

「蛇のごとく忍び、殺す」

後衛から前線へ、影のように動き、隙をついて撃破を積み重ねた。明確な大技こそないが、戦場における“削り”の象徴であり、敵の集中を逸らす役割を見事に果たした。



ルダ:撃破数 194人

「静なる盾、歩く要塞」

重装備と高い防御力で突破口を守り抜いた。彼女の存在があったからこそ、他の戦士たちが自由に動け、盾役として、部隊の急所を完全に補った。

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