前回「メイド型ヒューマノイドとお嬢様」

お嬢様の元に突然メイド型ヒューマノイドが送られてきました。 同封されていた父親からの手紙によると、大きな屋敷に一人ぼっちの娘へお詫びも兼ねたプレゼントだったようです。 「はじめまして。私はお世話係として、お嬢様の指示に従います」 「ふーん、面白そうなおもちゃじゃん」 お嬢様は不敵な笑みを隠しま...
メイド型ヒューマノイドに己の劣情をぶつけていたお嬢様は、また例の「お遊び」に夢中でした。
「今日も縛っていただきありがとうございます。とても楽しいです」
ヒューマノイドに「縛られることは楽しいことだ」と教え続けた結果、縛るとお礼を言うようにまで学習していました。
縛られている者が自分に感謝しているなどという倒錯した状況にお嬢様の特殊な嗜好はさらなる刺激を受け、恍惚とした表情を浮かべて喜んでいます。
「ふふっ。今日は一晩中放置プレイなんてどうかしら」
「それは困ります。本日のタスクを終えていません。旦那様に叱られてしまいます」
「あら」
せっかくの提案をヒューマノイドに却下されてしまいました。従順なペットに提案を却下されるなどと口惜しい気持ちになりますが、旦那様と呼ばれたお嬢様の父親からの命令には背けないようにプログラムされていることを思い出します。
「まだ仕事を残していたなんて愚図なメイドね。いいわ。解いてあげるからさっさと済ませてきてちょうだい」
あまりにヒューマノイドの働きが悪いと父親に処分されてしまうかもしれません。タスクとやらは全て完璧にこなしてもらわないとお嬢様にとっても困った事態になってしまうのです。
「遊びにお付き合いできず申し訳ありません」
縄を解くなり立ち上がったヒューマノイドは深々と頭を下げます。プログラム通りに動いているとはいえ律儀なことでした。
しばらく退屈になりそうだと考えたお嬢様は思わずため息をついてしまいます。その様子を見て、ヒューマノイドのAIが何やら思案を巡らせているようでした。
AIの計算は一つの結論を導き出しました。
「罪滅ぼしにお嬢様を縛ってさしあげます」
「へっ?」
言い終えてすぐさま縄を拾い上げたヒューマノイドは、迅速にお嬢様の体に巻きつけ始めました。
「ちょ……なにするの!? やめっ……あっ……!」
一体何が始まっているのか、正しく理解するまでの一瞬にお嬢様は縛り上げられてしまいました。
腕も足も梱包された荷物のようにまとめられてしまい、立ち上がることもできない状態となってしまいます。
「楽しいですか、お嬢様」
「た、楽しいわけないでしょ!? 何のつもり!?」
お嬢様には理解できないようでしたが、ヒューマノイドには日々「緊縛は楽しいもの」という学習データが蓄積されていました。「人を喜ばせる」を人工知能の基礎部分に書き込まれているヒューマノイドは、常々お嬢様のことを縛って楽しませてあげたいと考えるようになっていたのです。
今まで行動を起こさなかったのは偶然タイミングが悪かっただけで、いつ縛られてしまってもおかしくない状況だったのでした。
「楽しくありませんか。申し訳ございませんでした」
「分かればいいのよ。さ、早く解いて……」
「オプションの猿轡をご所望ですね。直ちに実行いたします」
「なんでよ!? むぐっ──!!」
お嬢様は思い出せないようでしたが、ヒューマノイドは以前「縛られている者には猿轡をするもの」という教えを学習していました。縛られるだけで満足できない様子のお嬢様に、楽しんでもらうための行動をさらに実行に移したのです。
「むーっ!!」
「続いて目隠しを実行いたします」
「むう!?」
目隠しもまた過去にお嬢様が「楽しいこと」と騙して教えたことでした。
完全に拘束され喋る自由と視覚まで奪われてしまったお嬢様は床の上をもがくことしかできませんでした。
「お嬢様に恩返しできて光栄です。それでは他のお部屋の清掃を再開します」
「んむううううううう!!」
解けー! と言いたいお嬢様の声はヒューマノイドにとってノイズのようにしか聞こえませんでした。
床に転がされたまま放置されたお嬢様は、呻き声を上げてくねくねと身をよじらせることしかできませんでした。
4wearemanytoo
2024-02-18 16:09:40 +0000 UTC