正義の仮面に素顔を隠し、美少女仮面は今日も町をパトロールしていた。
主な仕事は悪党を見つけて得意の格闘でねじ伏せ、スーツに仕込んだ糸で縛り上げ警察に引き渡す。先祖代々受け継いでいる誉れ高い仕事なのだ。
「悪は絶対に許しません。成敗いたします!」
その日も悪事の現場へ駆けつけ、鍛え上げた格闘術で踊り舞うような戦いを披露する。相手は腕に覚えのありそうな巨漢だったが、身軽さを活かして翻弄することに成功していた。
しかし調子が良かったのもそこまでだった。相手の足元を攻撃して体勢を崩させようと背後に回り込んだ時、後頭部に強烈な痛みが走る。
美少女仮面は堪らず倒れ込んでしまった。歪む視界の中でもう一人の男が姿を現す。
「くっ……仲間がいたなんて……」
「ヘッヘッヘ。おい、こいつを縛り上げるぞ。おあつらえ向きに頑丈な糸を持ってやがるからな。こりゃ使えるぜ」
手足に力を入れることができず、抵抗しようにも体が動かない。奪われた糸で全身を縛り上げられてしまった美少女仮面は近くの鉄柱に括り付けられてしまった。
「自分が縛られる気分はどうだ? 俺らの仲間が何人もお前に捕まってるからな。今日は復讐に来たってわけよ」
「ひと気の無い所に誘い込まれたことにも気づかねーとはな。先代が草葉の陰で泣いてるぜ?」
「…………っ」
ようやくダメージから回復してきたものの、いくらもがいても頑丈な糸からは逃れられそうにない。鍛え上げているとは言え、合金ワイヤーより強力な糸を少女の力で引き千切ることは不可能だ。
「アニキ、こいつをどうしてやりましょうか」
「人質にして仲間を釈放させよう。用が済んだら二度と生意気な真似をする気にならないようにひん剥いてその辺に転がしておけばいい」
「おおっ、アニキも好きっすねぇ」
「馬鹿野郎、こんなガキに興味ねぇよ」
嬉々として話し合っているその計画は間もなく応援に駆けつけた警察によって失敗に終わる。しかしそれまでは救出の当てが無かった美少女仮面にとって、失敗の屈辱と待ち受ける恥辱への恐怖に心が引き裂かれそうな思いに苛まれるばかりだった。
次こそは絶対に負けない。代々受け継ぐこの仕事を必ずやり遂げるという決意は折れることなく、美少女仮面は今日も町のどこかを駆け回るのであった。
4wearemanytoo
2024-02-18 15:57:48 +0000 UTC