今回の任務は街で暴れている奇妙な怪人を捕まえること。駆けつけて間もなく相対した相手の異形に美少女仮面は息を呑んだ。
「何なの、あなた。トカゲみたいな格好して……」
「トカゲじゃないわ! ヘビだよ! ヘービー!」
とにかく捕まえようと身構える。
美少女仮面は全身から好きなだけ細い糸を出すことができる。編み合わせてネット状にした糸をヘビ女に向けて射出した。
「当たらないよーだ!」
爬虫類の鱗のような模様の全身タイツに身を包みんでいるそれは、器用に体をくねらせることで地面を這いながら高速移動を始めた。思わぬ機動力にネットが捕える寸前で回避されてしまう。
「何それ、どうなってるのその体!?」
異様な姿に美少女仮面が思わず怯んだ時だった。
「隙あり!!」
「な……ッ」
瞬く間に足元まで迫ってきた蛇女はそのまま美少女仮面の体を這い上がり、両腕両脚を巻きつけることで全身を拘束した。
「う、動けない……!」
「どうよ! 改造人間の腕力は凄いんだ!」
改造人間……? と疑問に思う間もなく、蛇女は懐から緑色の縄を取り出した。
「お前を捕まえるのがアタシの任務なんだよ! 呆気なかったな自称美少女仮面!」
「自称って何よっ! どう見ても美少女……ちょ、やめ……イヤーッ! 縛らないでぇっ!!」
両腕を後ろ手に束ねられ、丁寧に何箇所も縄で縛られてしまう。脚も腿から足首までギチギチに縛られてしまい、先ほどのヘビ女のような姿勢で地面に這いつくばることとなる。
「解いてっ! 私を捕まえてどうする気なの!?」
「ボスがあんたを改造したがってんだよ。喜びな? 優秀な糸使いであることを見込んで怪人クモ女にしてくれるってさ!」
ボスが居るということは組織立った存在が動いているということ……それも人間を改造し怪人とやらに作り替える凶悪な犯罪組織らしい。
「そ、そんなの嫌……ッ!! 誰かっ! 助けてぇっ!!」
「チッうるさいなぁ。それ」
「んあ゛っ!?」
いきなり口の中に指を突っ込まれたかと思えば、美少女仮面の舌が無理やり引きずり出されてしまった。
「これをこうして……どうだ!」
舌を棒状の物で上下から挟まれ、紐で口に固定される。
「アハハハッ! お前もまるでヘビみたいだ。アタシの仲間だな? イェーイ!」
「うっ、ううぅぅぅ……」
挟む力が強い上に、轡も滑り止めのような素材で作られていて舌を引っ込めることができない。通常の猿轡よりも数段喋りにくく、舌に響くため大きな声を出すことも耐え難い。
(私、このまま連れて行かれて……改造される……? 怪人の仲間にされるの……?)
悪人に捕まってしまうことは何度もあったが、今回は輪をかけて危機的状況に陥ってしまったようだ。
「よっこらせ」
ヘビ女の肩に担ぎ上げられる。いつものように仲間の応援が駆けつける暇も与えられず、美少女仮面はどことも知れない組織のアジトに連れて行かれてしまった。
(つづく)