~登場人物紹介~
名前:可奈
優に誘われて緊縛同好会の一員になる。
普段は眼鏡を掛けている。
名前:優
可奈を縛りたいあまり、入学した高校で緊縛同好会を設立してしまう。
縛るのは好きだが縛られるのは苦手。
ミンミンと元気なセミの声を聞きながら、私は他校のプールまで足を運んでいた。
夏休みに入ってからも何度となく優の学校に来ているけれど、今日はなんとプールを借り切ったと言うのだ。
「可奈ちゃん、早く早く」
急かす優の声につられて更衣室に入った私は早速服を脱ぎ始める。プールで泳げると分かっていたので既に水着は着用済みだ。
「あら? 可奈ちゃんの水着小さいわね?」
薄々気づいていたが確かに水着は少し窮屈になっている。私が通う高校では水泳の授業が無いので新しいスクール水着を買ってなくて、中学時代のものをそのまま着ているのだ。
「そういう優は……」
「新調したからぴったり」
「ぐぬぬ」
こんなことなら学校だからなんてことは気にしないで、ちゃんとサイズの合う新しい水着を買ってくれば良かったと後悔する。
「さぁさぁ、早く行こうっ」
眼鏡をケースに入れて鞄にしまったところでまた優に手を引っ張られる。私たちは消毒ゾーン、冷た過ぎるシャワーゾーンという試練を経てプールサイドに辿り着いた。
きっと普段は水泳部の部員たちで賑わっているであろう広くて綺麗なプールに、今は他の生徒が一人もいない。私たちだけでこの空間を独占してるんだ……!
はやる気持ちを抑えながら二人で準備運動を済ませ、足から少しずつ水に浸けていく。水温に慣れてからはもう楽しいことばかり。広いプールで追いかけっこしたりして遊んだ。
しばらく遊んで、今はプールサイドの日陰になっている部分で休憩中。私が水を飲んでいると、優がその手に見慣れた茶色の何か……おそらく麻縄であろうそれを持って近づいてきた。
「うふふ。お待ちどおさまでした! 今から緊縛同好会の活動を開始いたしまーす!」
さっきまで思いっきり体を使って遊んでいたのに、優は疲れなど微塵も感じさせない元気な声で部活動の始まりを宣言した。眼鏡をしていないのでよく見えないが、満面の笑みをしているだろうということは容易に想像がつく。
「どうせそう来るとは思ってたけど……やっぱりやめない? ほら、クーラーの利いた部室の方が……」
「我々は緊縛同好会。縛りについて研究し、時にはその可能性を追及せねばならないのです」
「はい?」
急にご高説のようなものを並べ始めた優につい怪訝な目を向ける。私の視線が刺さった優はこほんと一つ咳をして次の言葉を並べた。
「……要するに、部活に必要って言ってプールを借りたから、プールに関連した活動をしてレポートにまとめないといけないのよ~」
奔放に好き勝手やってるように見える優でも、部長である以上は色々義務のようなものを課せられているらしい。
だけど私は他校の生徒なので知ったことではない。
「帰る!」
プールサイドから出ようとした時、突然いくつもの縄が視界に降りてきた。
「私の早縄から逃げられると思った?」
気がついた時には私の腕は背後に取られ、胴体から足首に至るまで全身をキツく縛り上げられてしまっていた。
「これでもう逃げられないわよ~?」
「ば、ばか……水着なのに、股縄までして……!」
私がもじもじしていると、優は「今さらこれくらいなんてことないでしょう」と言いながら股縄にデコピンをして衝撃を与える。
「はうんっ……!?」
「こうすると可奈ちゃんは大人しくなるのよね~」
こんなことされたら誰だって反応しちゃうわよ!
優め……後で覚えてなさいよ……!
「はい、これを着けて」
言いながら優は私の首に風船のようなものを巻きつける。それはどうやら小さな浮き輪みたいなものだった。
「これで溺れないから安心してね」
「まさか……縛った状態で泳がせる気じゃ……」
「その通りっ。ほらほら、こっちに来なさい」
ピョンピョンと跳ねて水際まで来た私はゆっくりプールサイドに腰掛け、足の先から水に入っていく。
縄が水を吸い込んで少しだけ固くなっていくようだった。より強くなった緊縛感に、たかが縄一つで自由を奪われた己の無力さを思い知らされる。
「25メートル泳げたら解いてあげる。ああ、でもこれだと足がつくから泳ぎにならないわね……逆海老にしちゃいましょう」
「なっ!? も、もうやめてぇっ!」
足首の縄に新たな縄を通されたと思ったら、グイッと持ち上げられて胴体の縄に接続される。足を浮かされ浮き輪だけが頼りの私は、もはや少しの身動きも取れない状態にされていた。
「こんなのどうやって泳げって言うのよ!」
「足首をパタパタ~ってさせれば進めるんじゃないかしら」
「む、無理~!!」
とは言うものの、縛られている私にはどう抵抗することもできない。言われるがままつま先だけで水を蹴り、なんとか前に進もうと試みる。
「はぁっ、はぁっ」
その間も縛めは私に圧迫感を与え続け、拷問のような責め苦で私を苛み続けた。
無限にも思えるような時間が過ぎ、結局5メートルも泳げなかった私を優がプールサイドに引っ張っていく。
「もうすぐ水泳部にプールを明け渡す時間だから」
どうやら優がプールを借りられたのは午前の間だけらしい。そうでもなければきっと本気で25メートル泳ぐまで解放してくれなかっただろうと思うとぞっとする。
私を縛る縄を解き、二人で水面から上がった時。
「へぇ……水泳部員がここに来るんだ」
積もり積もった思いが入り混じった私の声に、何か伝わるものがあったのだろう、優が肩をビクッと振るわせる。
私は間髪入れずに優の腕を掴み、背後に回させながら押し倒した。
「ぎゃっ! だ、ダメえっ!!」
優は手先が器用で縛りの早さは一級品だが、腕力がまるで無く一度押し倒すと全く抵抗できなくなるのだ。
後ろ手に縛ってから、次は体に菱縄縛りを施していく。体のラインや柔らかそうな肉感を際立たせるように縄を通していった。
「だ、だめ……本当にもう水泳部の人が来ちゃうからぁ……」
弱々しい声を吐く優に構いもせず、私は優の股に通された縄にピンッとデコピンをぶつけた。
「はぁんッ!?」
「これ、さっきの仕返し」
私の首に巻かれていた浮き輪を外し、すっかり大人しくなった優の首に付け直す。
そこでふと、ぼやけた視界の中で優の鞄らしきものを見つけた。きっとこれに縄を隠し持っていたのだろう。
他に何かいい道具はないかと漁ってみたら、腕に巻くタイプの浮き輪を見つけた。私はそれを優の両足首に取り付ける。
「これで準備OKね。さあ、水に入りなさい。優」
「あう……」
もじもじして動こうとしなかったので、優のお尻をパチンと引っ叩いてやった。屈辱に満ちた表情を見て心が満たされるのを感じながら、溺れてしまわないように気をつけて入水させる。
「ねえ、もう本当に時間がないのっ。悪ふざけはやめて早く解いて……!」
「いいわよ。50メートル泳いだら解放してあげる」
「ごじゅ……!? む、無理ぃ~!」
不可能と分かっていながらも一縷の望みに掛けて一生懸命足をバタつかせる優。足首の浮き輪が邪魔で思うようにバタ足できないようが、その滑稽な様子はとても見応えのあるものだった。
多くの水泳部員が現れる瞬間を待ち侘びながら、私は満足な気持ちで優の苦しむ様子を眺め続けた。
ぬ!@一次創作限定
2024-08-17 12:32:41 +0000 UTCかし
2024-08-17 11:59:16 +0000 UTC