刻一刻と陽が沈んでいく中、美少女仮面は新たな敵と対峙していた。
事の発端は、町の平和を守るはずの美少女仮面が人々に危害を加えたというニュースからだった。
破壊活動のみならず、罪の無い人を糸で縛って放置していくなど非道の限りを尽くしているらしい。当の本人はもちろん身に覚えなど無く、事態の把握を図るため町に繰り出した。
そして謎の正体は待ち構えていたかのように、美少女仮面の前に姿を現したのだ。
「あ、あなたは……私にそっくり……?」
変身スーツの色こそ違うものの、仮面を付けてても自分と同じ顔と分かるほどの生き写しがそこにいた。
黒い美少女仮面が口を開く。
「私は美少女仮面を捕えるために派遣された。大人しく捕まると言うならこれ以上一般人に危害は加えない」
どうやら悪行は美少女仮面を誘き寄せるための罠だったらしい。
「偽物なんかに屈するものですか。ここであなたを捕まえれば全部解決よ!」
戦闘体制に入る美少女仮面だったが、攻撃をしようと構えた所で偽物が姿を消した。
「は、速い──グゥ……ッ!?」
偽物は美少女仮面の背後に回り、黒い糸を首に巻き付けてくる。
「私はあなたから採取されたDNA情報を元に復元されたクローン。さらに身体能力を極限まで強化し、あなたの行動パターンを学習している」
「うぅ……!!」
DNAなどどこで採取されたと言うのか。日常生活では変身を解いており、美少女仮面の正体は誰も知らないはずだ。
「私の勝利。大人しく縛られて」
「やめ……たす……けて……」
首を絞められ息も絶え絶えとなっては抵抗する力もなく。
間も無くして美少女仮面は頭部全体に糸を巻かれ、後ろ手に縛られた姿で歩かされることになった。
「んん~~~っ!!」
「早く歩いて」
前も見えない中、腿の辺りに巻き付けられた糸が歩行を制限している。それでも首に繋がれた糸を無理やり引かれ、言われるがまま付き従うしかなかった。
「あなたに待ち受ける運命は怪人クモ女への改造手術。あなたが捕まらないと私が改造されてしまうことになっている。だから……犠牲になって」
「……ッ!」
以前も美少女仮面を怪人に改造したがっている組織に捕まったことがある。あの時はスーツの不思議な力に守られてメスの刃から守られたが、おそらく涙や唾液などからDNAを抽出されたのだろう。
再び美少女仮面を捕らえに動いたといことは、頑丈な糸を破る手立てが見つかったといことに他ならない。今度捕まってしまえば、いかに強力な変身スーツと言えど美少女仮面を守りきれるかは分からなくなってくる。
「ううぅ!! うぅぅぅ!!」
「暴れても無駄。私の糸は解けない」
抵抗も虚しく、美少女仮面は再び謎の組織のアジトへと連れて行かれることになった。
(この後、駆けつけた仲間の助けによってなんとかなった)