私は日々、世界を飛び回って未知の文明について調査を行っている。しかし最近は碌な成果も出せない状況が続き、ついには長年の付き合いであるスポンサーからの資金援助も打ち切られてしまった。
それでもとにかく冒険をしたかった私は以前から気になっていた情報に目をつけ、なけなしの貯金を旅費に投じてとある土地に赴いた。
その村では古くから鉱石採掘が盛んに行われていたが、鉱石以上に宝石が主要な特産物となっていたらしい。神秘的なその石はまるで命の脈動を思わせる輝きを放つという。
現地の調査は簡単に許可が降り、その上で採掘の手伝いまでさせてくれると言うのだ。
手に入れた宝石の一部は報酬代わりに貰ってもいいとのこと。これは腕が鳴ると気合いを入れずにはいられなかった。
現地の職員に案内されるまま辿り着いたのは古代の文明を感じさせる遺跡のような場所だった。
職員は歩きながら惜しげもなく色々と教えてくれた。
「ここでは古代人が遺した宝石の製造工場があるんですよ」
「へぇ、加工もやってるんですね。採掘だけかと思ってました」
「ああ、まあ、ここで加工はしませんけどね」
「……?」
よく理解できない話だったが、現場を見れば詳しいことは分かるだろう。
通された奥の部屋は広く、松明の炎があるものの薄暗い。特別なお香でも焚いているのか、ほのかに甘い香りで満たされていた。
そして中央には石造りの箱が置かれていた。
この形状は……箱というより、棺桶?
「ここに原料を入れることで宝石が生成されるんですよ」
「へえ! じゃあ原料さえあれば無限に作れちゃうんですね。それは画期的だ……」
しかし辺りには材料のようなものは見当たらない。私も職員もほぼ手ぶらで来たのだが、これからどうするつもりだろうか。
「あの、この箱には何を入れるんですか」
「生きた人間です。一番人気なのは若い女性のエキスですね」
何かの聞き間違いか、今とんでもないことを言われたような──
慌てて視線を向けると、職員の手が私の体を突き飛ばしてきた。
「痛っ……!!」
バランスを崩して倒れた私はそのまま箱の中に体を沈められてしまう。
「な、何を……!!」
「材料を入れると重量を感知して仕掛けが作動します。古代のものとは思えない機械ですよね」
職員の話の通り、私が入ったことでうねる様な音が鳴り始めた。地響きとも違う不思議な音と共に、何か布のような物が私の体に纏わりついてくる。
「不思議でしょう。どうやら古代人は魔術も取り入れていたようで、包帯が勝手に動き始めるんですよ」
「包帯って……イヤッ、何これ……!!」
私が纏わりつく布に抗おうとすると、途端にそれは機敏に動き始めた。私の体をグルグルと這い回り、徐々に身動きできないように縛られてしまう。
「ンンッ、う゛う゛っ!!」
口を塞がれてしまい、もはや喋ることも許されない状態になってしまった。
部屋に入った時から感じていた甘い香りが一気に鼻へと入り込む。どうやらこの包帯に染み込んだ何かが香りの正体だったようだ。
「耳を塞がれてしまう前に説明しておきますね。その包帯にはとても強力な媚薬を仕込まれていまして、材料の人間に性的な快楽を与えます。そうすると生命エネルギーがより活発になるようでして……」
確かに……この痺れるような、蕩けるような……心が屈服させられてしまう甘い感覚は、まさに快楽……っ!
「そのエネルギーを結晶化することで宝石になるんですよ~」
やがて包帯は全身を巻き上げ、私を暗闇の中に閉じ込めた。おそらくミイラのような姿にされてしまっているのだろう。
包帯は定期的に伸縮し、私の体を締め上げたり緩めたりを繰り返す。絶妙な緩急によって私の体内に媚薬を染み込ませ、どんどんエッチな気持ちを引き出されてしまう。
い、いや……こんな無理やり……でも、気持ちイイ……。
ギュッギュッと締め付けられる度に脳内がチカチカと弾けるような感覚に襲われる。
「ンッ……ンンッ……んぅ……」
次第に私の意識は朦朧とし、抗うのをやめて快楽に身を落とすようになった。
(ヤバい……これ、クセになりそう……)
やがてエキスの抽出が終わると、包帯は緩んで私の体は解放された。
「お疲れ様でした。はい、こちらが報酬の宝石になります。あなたがイッた数だけ石が作られました。約束通り一部は私共にご提供いただきますがよろしいですね」
「は、はひぃ……」
「しばらくお休みいただいて、体調が万全になりましたらまた材料としてご協力ください」
私は手渡された宝石を見てゆっくりと想いを馳せる。
これをお金に換えると言うことは、宝石が誰かの手に渡ると言うこと。性的な快楽に溺れるまま搾り取られた私の命のエキスが、誰かの物になって愛でられるんだ……。
普通ならこんなのは不気味に感じて仕方ないことのはずだった。だけど蕩け切った私の心では不思議と愉悦を感じてしまっていた。
「いやあ、綺麗にできていますよ。これはなかなかの物だ」
職員が摘み上げて石を眺めている様子に、私は自分の性感帯を無遠慮に触れられているような感覚を覚えて、思わず身悶えてしまうのだった。