その刑務所では自ら望んで体罰刑を受けることにより、刑期がいくらか短縮されるという破格の制度がありました。
しかしその体罰刑は並みの精神では耐えることも叶わないとても厳しいものです。したがって制度を利用する受刑者は限られていました。
囚人少女の結衣は積極的に刑期を短縮していく者の1人でした。
そんな彼女は今、黒髪のサイドテールを揺らしながら必死に声を抑えています。
「んんっ! んんん~~~!!」
「ほらほら、さっさとそのハンカチ落としちゃいなよ。こちょこちょ~!」
今日の体罰刑は緊縛状態で自由時間を過ごすことでした。しかし一つだけ、条件を満たさなければ刑期短縮されないというルールが追加されたものです。
縛り自体は上半身だけという過去の刑に比べれば比較的簡単なものでした。しかし次に看守が来るまで、結衣はハンカチを咥えていなければなりません。
「んんんんんっ!!!」
「あははははっ、おもしろ~い!」
看守が現れる時にハンカチを咥えていなければ、ずっと縛られていたにも関わらず刑期は短縮してもらえないという約束です。
じっとしていれば問題なくクリアできる課題でしたが、他の囚人はそれを黙って放置してくれるほど優しくはありませんでした。
同年代の囚人仲間である麗華は面白いおもちゃを見つけたとばかりに、結衣の脇腹をくすぐってハンカチを落とさせようとしてきます。
「んんッ!! んッ! んん~~~!!」
──やめて! こら! お願いだから!
という訴えはハンカチによって封じ込められて、うめき声を上げることしか許されませんでした。
ついに我慢の限界を超え、結衣は大口を開けて笑い出してしまいます。
「あっはははははっ! だめっ、ああっ!! ゆるしてはははははっ!!」
「やったー! 私の勝ちー!」
喜ぶ麗華を尻目に、結衣は慌てて床に落ちたハンカチに向かって身を屈ませます。
途中でハンカチを落とすことがあっても、看守が来る時にさえ咥えていれば良いということは確認済みです。まだ希望は残されています。
しかし上半身を縛られていると、床のハンカチの元まで顔を近づけることもなかなか難しいものでした。バランスを崩すと顔から床に突っ込んで倒れてしまいそうだったからです。下手をすると床にキスすることになってしまいかねません。
「あんっ、やだ、届かない……!」
その姿が麗華にとっては面白いらしく、近くで笑いながらその様子を見ています。
「あはは、がんばれー!」
憎き麗華の前でひたすら床のハンカチを咥えようとする無様を見せることは屈辱以外の何ものでもありません。
しかしこの体罰刑を無駄にしないためにも、結衣は頑張って床に口を近づけるのでした。