色々案件を抱えておりました(まだ抱えてる)。 対“青治機構”連盟エンディミオン・プログラムの副産物として結成された、人が遠隔操縦する特殊なネクロテックで構成される極秘の特殊部隊部隊――エンディミオン・アストラル。 〈白錆疫〉は金属を操る魔術に長けたクス王国が滅亡した原因であり、外界から持ち込まれたウィルスまたはナノマシンと彼らの研究する秘儀が意図せぬ反応を起こして生み出されたとされる治療手段無し・致死率ほぼ100%の伝染病だが、罹患者に一定の割合で肉体の大半を失いながらも死亡するより前に中枢神経が金属化に適応する者が出る。 彼らにゾス人からもたらされた特殊な神経腫を移植することで「どんなに距離が離れていても、対になった神経腫を組み込まれた第二の身体を遠隔操縦する」能力が得られることが分かり、「手術費用」「丸ごとの代替身体の用意」「元の身体の生命を維持し続ける設備」すべてを自力で用意できるような極めて裕福な人々は、これをある種の゛治療”とみなした。 もちろんそうできる者はごくごく一部に過ぎない。 クス王国が滅亡しても白錆疫の脅威は完全に過ぎ去った訳ではなく、散発的に地球圏で小規模な発生を繰り返し、また生物兵器として用いられることもある。 エンディミオン・アストラルの隊員とは、この悪疫の犠牲者の内、中枢神経が適応しなおかつ軍などに携わった経験のある者を選別した人々から構成され、専用のネクロテックの機体をコントロールし戦闘任務に従事することを強制される代わりに地球で生活する別の肉体と月面での本来の身体の生命維持を提供する契約を結んだ者である。 当然操縦する身体のスイッチング権限は司令部が掌握しており、また遠隔操縦とはいえ機体の破壊は脳に不可逆の損傷を与えることになる。 前置きが長くなったが、眩月の番龍は月の裏側にある〈中枢〉、隊員たちの恒常性装置である"棺桶"を集積した拠点を防衛するネクロテックである。 一般的なネクロテック同様の自律行動と”操縦状態”とを瞬時に切り替え可能な二系並列制御系を持ち、いざというときには棺桶から緊急脱出した隊員をボディーの下部に収容し短時間の生命維持を行うこともできる。 その用途と所在故、このネクロテックは秘匿された資料の中にしか存在を記されておらず、目撃した上で生き延びた者もごく少ない。