「ゥ…グッ、ェ"ェ"ェ"ェ…ぉグッ!」
「これで大体半分ってとこやな。よぅお腹も破裂せんで頑張るなぁ!オヘソ少年君!」
エージェントNo.11の言う通り、今やその体の半分近くをヒカルの腹の中へと潜り込ませていたスライム。
初めは人の形を成していた"ソレ"も、彼の体内に容量を移していくにつれ元の形を崩していたが、それでもなおその体を拘束するように纏わりついている。
「うっブ、ぶぅぉェ"ェ"ェ"…」
既に妊婦の如く膨れ上がったヒカルの腹…
その腹を覆っていたシャツは今にも引き千切れんばかりに引き延ばされ、全ての腹部のボタンが弾け飛んでいくのももはや時間の問題であった。
大きく弧を描くその腹の頂点に位置するボタンは既にその張力に耐え切れず弾け飛び、代わりに彼のむき出しの臍…変身スイッチともいうべきボタンが大きくせり出している。
そのボタンをまるで『ここを押して欲しいか?』と言わんばかりに指で弄るスライム。
(く、くそぉ…コイツ…俺が変身出来ないのをいい事にィ…)
変身出来ればまだ打開策があるかもしれない…
だが今彼の手はスライムによって頭の後ろに拘束されてしまっている。
このままでは自分の臍のスイッチすら押すことが出来ない…
「ホンマ可哀そうやなオヘソ少年君!このまま変身出来んとお腹破裂して死んでまうなんてなッ!!ま、無事"完食"することが出来たらなんとかなるかもしれへんけどな!!ハハ!!」
腹を強制的に膨らまされ苦悶に喘ぐヒカルの姿を、心底愉快に嘲り笑うNo.11。
(ク、クソォ…こ、こんな事で……腹が破裂する前に…なんとか変身をぉ…、!!)
その時、No.11の先に位置していた"あるもの"が視界に入るヒカル。
(そ、そうか…!!ア、アレを使えば変身できるかも…)
そして改めて自分の体で自由の利く部位を確認する。
腕こそ自由は利かないが、先ほどまで纏わりついていたスライムが全て彼の体内へと浸入したことで、唯一自由が利くようになった足…
彼はその足でNo.11に向けて駆け出した。
「!!、なんや!?」
「ウブブッブブブッッッッッ!!!!!!!!」
口をスライムで塞がれ、さらには自分の腹の中に20kg近いスライムを収めた状態という苦しみにも耐えながら必死に走るヒカル。
「ウチと玉砕する気かいなッ!?甘いわ!!」
その突進をいとも容易く避けるNo.11。
だがヒカルはさらにまだ走り続けていた。
「なんやてッ!?」
「~~~~~ッッッッッ!!!!!!!」
"それ"に目掛けてヒカルは自分の腹を突き出すように飛び込んだ。
【続く】
ポロシャツ
2022-02-25 14:39:42 +0000 UTC黒魔道師2971号
2022-02-20 15:12:06 +0000 UTC