「おう、ションベンしてえから、ちょっと止めてくれや」
俺と親方は、年に数回ほど、二人で山奥の資材置場に足を運ぶ。
そしていつも、この大きなカーブにさしかかると親方は決まってションベンしてえ、と言い出す。
「またっすかあ・・・まあ、いいっすけど」
あきれたように俺は返す。けど、内心はドキドキだ。
このカーブは、急な崖にそって続いている。俺は道路とわずかな崖の間に、慎重に軽トラを止める。サイドブレーキをぎゅっと引くと、親方は上機嫌で車を降りる。
「おー、いい眺めだなあ」
親方は、熊のような体をのっそりと崖の際まで運び、おもむろに作業ズボンのチャックを開く。ずろん、と黒ずんだ太いマラがまろび出る。皮が7割ほどかぶっているのはご愛嬌だ。
皮の間からわずかにのぞく亀頭も、赤黒く貫禄たっぷり。無精髭で覆われ、厚い皮は深い皺が刻まれた男臭い顔にふわさしい、50男のマラだ。
親方は無造作に皮を剥き、でっぷりとした亀頭を空気さらす。新鮮な空気を吸うように「ふぅー」と深呼吸した後、ばっくり開いた鈴口から、黄色い尿が、ぶっとい軌跡を描きながら勢いよく飛び出す。
「あー、たまんねぁ」
どっしり腰を落として、ガニ股で下界に向かって勢いよくションベンをひり出す親方を見ていると、俺は鼻頭を撲られたようにクラクラしてしまう。その姿は、純粋な「男」そのものだ。おそらく本人は、王様にでもなった気分でいるんだろう。そういうバカで単純なところもいとおしく、俺は胸が熱く、狂おしい気持ちになる。
「おい、何してる。おまえもこっち来てションベンしろ。気持ちいいぞぉ〜」
「へいへい」。俺は顔のほてりを隠すように、いつも以上にぶっきらぼうな風を装いながら、親方の横に並んだ。
(続く)