親方は目を閉じてセンズリに没頭していたが、俺が掌に唾を吐いたのを音で察知したのか、ごっつい掌に勢いよく唾を吐きつけ、一呼吸置いてから再び猛烈にマラをしごき始めた。
風は凪いで、この山奥の谷間は驚くほど静かだった。
無音の中、親方と俺の喘ぎ声、マラを刷る音だけが響いていた。
ハァ、ハァ、ハァ…。親方の野太い喘ぎ声が、次第に高まっていくのが分かる。腹の底から絞り出すような低いそれは、獣の唸りのように響いた。ああ、たまんねえ…。 たまんねっすよ、親方…。
青空の下、下界を見下ろしながら、俺たちは夢中でマラをしごき続ける。
二人で小便をした時、俺は親方のことを王様にでもなった気分でいるんだろうと、ちょっと上からの目線で見ていたが、今は違った。俺と親方は、いま、この世界の頂点にどっしりと立っている…。
ふと一迅の風が吹き抜け、額に伝う汗を蒸発させていく。
センズリにはどこか後ろめたい感情がつきまとうものだが、親方と一緒のセンズリは違った。ただただ、爽快だった。
「テツよお……一緒にぶっ放すぞ。競争ってこと、忘れちゃいねえだろうな」
親方は俺に顔を向け、不器用にウインクする。猛々しい獣と、 悪戯なガキの表情が入り交じる表情で。
「うっす…俺、負けねえっすから…!」
俺も精一杯の笑顔で返す。
「ふん、おまえが勝ったら言うこと一つきいてやるよ」
そう言うと親方は再び目を閉じ、絶頂に向かって全力でマラを扱き始めた。
(続く)
あんどん丸
2022-08-09 11:01:08 +0000 UTC