アンパンマンマーチを口ずさんだ夜
Added 2022-08-29 22:35:05 +0000 UTC寝入り端にスマホをいじっていたら、久々に(というほどの久々でもないけど)、あいつがSNSで自撮りした動画を目にしてしまった。
動画の中のあいつは元気そうだった。一人でカメラに向かってしゃべっていた。ユーチューバーみたいに。
一人でしゃべっていたけど、あいつはさみしそうじゃなかった。オレとは違って。
もちろんそれは動画の中での話で、動画の外ではどうなのか分からない。
でも、少なくも、オレと2人でいる時よりも、あいつは楽しそうだった。
動画を見終わって、オレは何度かいいねをしたり、外したりした。でも、オレからのいいねがついていてもついてなくても、あいつにはどうでもいい事だと、オレは知っていた。
オレはスマホを置いて、おもむろにパンツを下ろしオナニーした。あいつのことを考えずに射精できたらオレの勝ちだ。
でも射精の瞬間、やっぱりあいつの顔が浮かんだ。こんな一人芝居ですら、オレは負けてしまうのだ。
飛び散った精液を拭き取りながら、オレはアンパンマンマーチを口ずさんだ。愛と勇気だけが友達。そう、愛と勇気だけが友達なんだ。
オレはその言葉を苦い思いで噛み締めて、眠りについた。
(終わり)
※このミニストーリーはフィクションです。