「われわれはぁーーー、巨人のぉーーー、自慰行為に抗議するぅ!!」
市街地から、拡声器で声が鳴り始めた。山の麓には、大勢の市民が集まっている。巨人から見れば、蟻にも等しい大きさだが、みな憤怒の表情を浮かべているのは分かる。
「いや、その・・・わしのセ◯ズリでまた里のもんに迷惑かけちまって・・・すんません」
あぐらをかいていた巨人はのっそりと体を起こし、禿げた頭をかきながらしどろもどろに釈明を始める。
「きゃああーーーっ」「破廉恥!」「恥を知れぇーーー!!」
巨人が立ち上がると、市民からどよめきと怒声が起こる。
「いつもその股間の薄汚いモノを隠せって言ってるでしょ!!」
中年女性が拡声器を手にがなりたてる。
「す、すんません、つい・・・」
巨人は慌てて両手で股間を覆う。ガニ股で股間を覆って立つ姿はいかにも情けない。かつて街の守護神と讃えられた威信は、今ではもうすっかり消え失せていた。
「だども、これはわしにとっては大切な男の神器でよお・・・確かにちいと皮はかぶってるけんども、それを薄汚ねえっていうのは、言い過ぎでねえかい?」
巨人は、親指と人差し指で股間の竿をつまみ、二・三度、ぶらぁん、と振った。尿道に残った白い雫が、周囲に数滴飛び散る。
「ちょ・・・また・・・」
中年女性は言葉にならない悲鳴をあげ、言葉にもならない言葉をヒステリックに叫び始める。
(まったく、里のモンは、なんでコレをそんなに嫌がるべか。自分たちもここから生まれてきたくせによぉ・・・)
巨人は思ったが口にはせず、再び股間を手で覆った。
(続く)
あんどん丸
2022-09-04 13:07:36 +0000 UTC戌谷虎鉄
2022-09-04 07:40:53 +0000 UTC