「上杉と武田! お前ら二人、居残り特訓な!!」
団体戦が近づいたある日、俺・上杉と武田の二人は顧問の織田先生にそう命じられた。
俺と武田はわが相撲部のエースだ。入学以来、ライバルとして争ってきた。だが、俺は武田のことが気にくわねえ。稽古は黙々とこなすが、いたって無口。俺が話しかけても、いつもうつむき加減でろくに返事もしねえ。
「おい、武田。行こうぜ」
部室を部員全員で掃除し、皆が帰った後、俺は武田に声をかけた。
「・・・」
武田は相変わらず無口なまま、目も合わせず土俵へと向かう。
(ったく、ま〜た無視かよ。なんでこいつと二人で特訓なんて・・・。気まずいったらありゃしねえっつの)
俺は心の中でぼやきながら、稽古場の引き戸を開いた。
「うっす、織田先生。よろしくお願いしま・・・」
礼の後、目を上げた俺はそのまま絶句した。
こともあろうに、織田先生は一糸まとわぬ裸だったのだ。いや、一糸まとわぬ、というのは正確じゃない。部員と一緒に土俵に立って稽古に励む織田先生は、膝やら腕やらにテープを貼っている。あと、全身、黒い糸くずをまぶしたような剛毛で覆われている。俺たちが部室を片付けている間も一人で稽古に励んでいたのか、汗で肌に貼り付いている。そのくせ、廻しはつけておらず、股間は丸出し。いずれにしても、すっぽんぽん、フリチンであることには間違いがない。
俺は武田を横目でチラリと見る。武田は口をあんぐり開けて呆然と突っ立っていた。織田先生のフリチンを見せつけられたせいか、ちょっと顔が赤い。あれっ、こいつ、こういうとこ可愛いな・・・って、そ、そんなことは絶対思わねえけどな!ホ、ホントだって。
「せ、先生・・・。着替え中だったんすか?」
どっちみち、武田は頼りにならないので俺が口火を切るしかない。俺はなんとか声にならない声を絞り出した。
「何だお前ら、鳩が豆鉄砲食らったような顔しやがって。そんなに股間のイモムシが珍しいか? お前ら力士はいつも見慣れてるだろうがよ」
尾田先生はそういって、黒い茂みの下にだらりとぶら下がるモノを軽くつまんでぷらん、と振ってみせた。小ぶりだがぷっくりとしてふてぶてしくモノは、イモムシという表現がピッタリだ。亀頭はしっかり皮に覆われているが、まったく気にする様子はない。こういうとこ、男らしいのか何のか・・・。
もっとも、皮に関しては、俺も人のことはいえない。隣りにいる武田だって皮被りだ。なぜ知ってるかって? そりゃ、同じ相撲部なら嫌でも目に入る。別に意識して見てるわけじゃねーぞ。俺のモンのよりちょっとデケえのが気に食わねえけどな。
「それより、お前らも早く廻し外せ!」
「へ・・・?」
「へ、じゃねえ! 何度も言わすな! フリチンになれっつってんだよ。とっとと外せ!!」
何だ何だ、一体どうなってんだ? 俺たちはどんな特訓を受けるってんだ?
(続く)
あんどん丸
2022-10-23 20:59:27 +0000 UTCsumooooooo
2022-10-21 00:40:12 +0000 UTC