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土装番
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二人のアオイ 記憶を消された機械人形 1

 かつては人生を謳歌し、輝く未来に思いを馳せる女性だったが、強制的に全身機械化させられ、生身の全てを失いスレイブドールとなった水樹葵と、そんな彼女と肉体的、倒錯的、冒涜的に交接を交わす為に造られた、葵のコピーである水樹碧。  完全同一の容姿を持つ彼女達は、稼働を始めてからずっと、隙間一つ見当たらない真っ白な一室に閉じ込められ、何者かによって与えられたリクエストに従って互いの身体を快楽に溺れながら破壊するというアブノーマルな行為を続けていた。  外の世界への疑問を思考することもなく、自分の身体が壊れることが気持ちいいという異常な状態をおかしいと思うこともなく、その時その時に組み込まれた設定に従って、時には道具も駆使しながら機能停止するまで快楽に溺れながら壊し続ける。  ただでさえ人間扱いされていない、バイオレンスな人形劇の道具らしい扱いに重ねて、オリジナルてある葵側は与えられた設定に忠実に従うようになっている。  一方のコピーである碧は、外側からのリクエストやシステムを理解しており、俯瞰的に自分達のことを認識できる存在でもあった。  基本的には碧が葵をリードして両者共々機能不全まで導き、全身を修理した後に全データのバックアップをインストールし、再び元の状態へと戻っていく。  無惨に破損し機能停止するまでいつまでも快感に浸り続け、人々を視覚的に満足させるために存在する彼女達は、今回も倒錯的に壊れていく。 「ねえ碧、今回は私達何をするのかしら?」 「……そうね。それはまだ秘密にしたいのだけど」 「何言ってるのよ。碧と私しかいないんだから、秘密にする理由なんてないじゃない」  周囲に他の誰も存在していない二体だけの空間で、男性の欲望を詰め込んだ芸術品のような女体を持ち、下着一つ着用せずに堂々と立ち尽くす葵と碧。  さらさらとした艶めく黒のロングヘアに、どこか幼さを残しながらも大人の魅力を感じさせる綺麗な顔立ち。  そんな顔に負けず劣らずの、手から零れんばかりに大きな二つの乳房に、無駄を削ぎ落とされたような、胸躍る曲線を描くモデル体型。  シミどころか毛穴や産毛一つ存在しない、キメ細やかですべすべとした人工皮膚に包まれた機械の身体は、少し動くだけでも女性の性的魅力をこれでもかとばかりに滲み出させる。  ちょっと歩くだけでも柔らく豊満な胸が小さく揺れ、透き通るようなピンク色の乳首が主張する。  そんな彼女達の足元には、一本の接続ケーブルが放置されていた。 「まあね。でも今回は言ってもあまり意味ないのよね……」 「……? 言ってる意味がわからないわ」  絶対的な前提の情報量が違う葵と碧では、現状の理解にはどうしても差が生まれてしまう。  純粋な愛玩人形と、ガイド役も兼ねた愛玩人形という程度のちょっとした違いだが、その無知さと哀れさが情欲を引き立てる。 「そうよね。意味はわからないわよね……だからね、今回は少し遊びましょうよ」  何も詳細を語ろうとしないまま、碧はゆっくりと葵の側まで近づき、人工皮膚同士が重なりたわむように身体を優しくくっつける。  左胸に両胸が触れるような立ち位置で密着し、左半身を囲うように右腕を背中に回す。  一切の体臭の無い身体同士だが、大好きな相手が目と鼻の先にいるだけで人格データの反応が強く振れていく。   「あっ……もう碧……いきなりすぎるわ……」   「いいじゃない……私だってこういう肉体的な気持ちよさが欲しい時だってあるのよ?」  葵の身体の柔らかな感触が人工皮膚を伝って金属骨格に、電子頭脳に伝わり、碧の人格データを興奮させる。  碧の挙動にだんだんと悩ましさが現れ始め、左手で綺麗な顔を擦り頬や唇に触れながら、右手は感触の良いすべすべとした尻へと移動していく。   「葵が葵として動いているうちに、あなたの反応も込みのスキンシップもしておきたいから……ふふっ……触ってるだけできもちいいわ……」  発情気味の声で喋っているうちに、碧の左手は葵の眼球ユニットに、右手は実質的にただの挿入口と化しているアナルへと滑っていった。   「あっ……もう、くすぐったいわ碧……視覚がブレちゃうじゃない……あっ、あんっ…………」  眼球の表面に指を置いても痛がることも嫌がることもなく、ただくすぐったいとだけ反応を示す葵。  片側の眼とは違う、上下左右の動作を無理やり与えられても大きなリアクションを取ることすらない。  自身は自分のことを人間だと思いこむように設定されているが、自身が示す反応に何の違和感も覚えておらず、何がおかしいのかすらもわかっていなかった。  再度作り直されたことにより、まるで完成したばかりの性玩具のように清潔さを保たれたアナル周辺をなぞる様に触られ、気持ちよさそうな声を出す葵。  本番に入る前に気分が高まってきた碧は、右手の指を口に含んで人工唾液を絡ませ、それに潤滑液としてアナルの中へと挿入。爪を突き立てて内壁に食い込ませるように攻めたてる。  同時に左手を突き出さんばかりにハリの良い乳房に当て、指で乳首をつまみながら強く揉みしだき始めた。 「ひぎっ……! あ、葵……ぃ…………あっ……ああっ…………そんな、いきなり…………はあ……あっ……あんっ…………」  後方の穴から乳房から与えられる快楽信号に、葵は軽く膝を曲げて悩ましげな表情を見せつつ喘ぎ声を上げる。  未だ手を付けられていない女性器ユニットは、クリトリスをぴくぴくさせながら人工愛液をぽたぽたと床にこぼし始めていた。  手持ち無沙汰になった状態の葵は、自分でももっと気持ちいい感覚が欲しいと、右手で自らもう片方の乳を強く形が変わる程に揉みながら、左手で濡れた割れ目をくちゅくちゅと弄り始めた。  前から後ろから鳴らされる、肉穴を遊ぶ水音。  早くも全身が快楽信号に染められ始め、勃ち上がった乳首の先端からは乳液がとろとろと溢れ始める。 「ふふっ、まだ本題にも入ってないのにこんなに乱れ始めちゃって……葵ったら、どれだけ求めてたの?」 「あっ、あ、あ…………は……あんっ…………だって……ぇ…………気持ちいいんだから……あ……碧にされるのは……嬉しいし……あっ、私……頭の中が……あ、あっ…………」  自分と同じ声で嬌声を上げ、自分と同じ身体で扇情的に身体を震わせる葵に、コピー側の碧も自然と興奮が沸き起こってくる。  自分も葵と同様に気持ちよくなりたい。快感に今すぐ満たされたい。しかし彼女には、外部から与えられた動作命令が存在している。  今お互いに交わしている行為はいわば前戯であり、本番ではない。  だが、これで空気は整ったと言えるであろう。何も知らない葵も、電子頭脳の中はピンク色に染まっている。この後どうなるかも知らずに。 「そう……私も一緒の気分よ……だけど」  碧はどこか名残惜しそうに、胸とアナルを弄っていた手を離し、床に放置されていた接続ケーブルを手に取った。  愛する相手が突如乳繰り合いを中止したのを見て、葵は頬を染めたまま悲しそうな表情で碧を見つめる。 「あら……ぁ…………どうして止めちゃうのよ……あんっ……もうそういう気分なのに……碧……ぃ…………」  胸と股間に手を当てたまま、小さく手を動かしつつ中止した理由を問う葵。  もっと熱く交わし合いたいのに、触れ合っていたかったのに、気持ちよくしてほしかったのに。  人格データの挙動が快楽信号と混ざり合い、若干の不安定さを見せる。 「大丈夫よ葵。私は止めたわけじゃないわ。今だっていっぱい葵とセックスしたいんだもの。だけど、ここからが本題なの。だからね、今よりもっと気持ちよくしてあげるから」  そう言いながら碧は、互いの首筋の端子にケーブルを差し込み、直接両者を接続する。 「外部機器からの接続を確認しました」 「外部機器からの接続を確認しました」  それまで夜の営みの最中のような生物的な発情を見せていた二人の動作は、ぴたりと時間が止まったように停止し、感情の無いシステムメッセージを無へと言い放つ。  直後、何事もなかったかのように人間らしい柔らかな表情を取り戻した。 「これから何するのよ碧……もう疼いて疼いて、我慢できなくなっちゃうわ……」 「ふふ、もう少し待ってね。今その準備を整えてるから……」  寸止めをくらったような焦らしぶりに、表情をくしゃっとさせつつ小さく左右に腰を振る葵。  途中まで発信されていた快楽信号の処理が続く度、人格データが性行為の継続を求めてやまない。  今だ胸と女性器に添えられた手が小さく動き、くちゅりといやらしい音をたてる。 「あんっ……あっ……まだなの…………? 私は、早く碧とセ………………外部操作により人格データの稼働を一時停止しました。現在自律動作を停止中。操作を継続してください」  今にも理性が外れそうな声で、自慰を続けて性交を懇願していたその時、碧側からのシステム操作によって人格エミュレートを強制的に停止させられてしまった。  胸と股間に手を置き、少しだけ腰を曲げた姿勢のままマネキンのように動かなくなり、抑揚のはっきりとした感情の無いメッセージを、葵の声で碧へと向ける。  葵の眼はずっと碧の顔に釘付けとなっており、僅かに動く度に眼球を動かしつつ、次の操作まで待機し続ける。  快楽信号の処理は未だ続いているのか、止まった指の上で、陰核は規則的にぴくぴくと快感に打ち震えるように動いていた。 「さてと、それじゃあこれから本番を始めるわね葵。心配しなくても、今までの記憶データはきちんとバックアップに取ってあるからね」 「外部機器からの命令を受信しました。これより当機体の全記憶データの削除、及び設定の初期化を行います。これにより、削除されたデータの復元は出来ません。よろしいですか?」  本来の葵ならば決して口にしないであろう口調や無感情な声で、操られたように勝手に喋り続ける電子頭脳内の基本システム。  自分の記憶を全て消されると自ら口にしながらも、怖がったり怯えるような様子もなくただただ淡々と無機質に伝え続ける。  今回二体に与えられた命令は、葵の記憶データ、または人格データを削除した状態で壊れるまで自由に快楽信号を発生させ続けるというものだった。  元人間だとしても、今の葵の記憶や人格はただの一データでしかなく、外から自由に改竄も削除もコピーも可能な電子情報でしかない。  いわばそれまで積み重ねた人生でさえも、彼女達には気持ちよくなるための材料となる。 「また修理される時までさようなら、これまでの葵。あなたの記憶は私の中にもあるからね。バックアップから戻ってくるのよ」  戸惑いや抵抗を見せる様子もなく、碧は葵の質問に対して迷わずYESを選択、送信した。 「かしこまりました。これより全記憶データの削除及び設定の初期化を行います。この動作は中止できません。ご了承ください」  それを受けた葵は、機械的に己の記憶データの削除と設定の初期化を開始した。  姿勢や表情が一切変わらないまま、電子頭脳内だけで命令された作業を行う葵。しかしその影響がわずかにでも動作系統へ表出しているのか、時折ぴくっ、ぴくっ、と全身を小さく痙攣させた。  口内に溜まっていた人工唾液と、排出途中だった人工愛液が糸を引いて床に垂れ、全身が震える度にいやらしく揺れる乳房の先端に残った乳液が周囲に飛び散る。 「作業の終了まではしばらくかかりそうね……まあ仕方ないか。私……というか葵の人生分とここで稼働してからの記憶全てだものね」  それまでの膨大なる人生の時間を全て削除するとなれば、ある程度の時間はかかってしまうことは必須。  小さくかたかたと揺れる間も、葵の電子頭脳内では淡々と人間だった頃の大切な思い出や体験、友達や家族との日常が何の感慨も無いように消えていった。  しかしその動作が行われている間、傍観者となる碧にとってはどうしても暇な時間となってしまう。 「……せっかくだから、今の人形な葵を楽しんじゃお」  動かない葵を楽しむような命令でも与えられなければ、愛玩人形らしい姿を堪能することはできないかもと思考した碧は、既に必要な操作は終えたと判断して接続ケーブルを抜き、再び葵の前に移動する。  現在彼女が取っている、若干前屈み気味の姿勢に合わせて腰を落とし、逆手で再び乳を優しく揉み込みつつ、もう一方で女性器ユニットに刺激を与え始めた。 「現在当機体は指定されたデータの削除を実行しています。無闇な外部からの刺激は正常な動作の妨げになる恐れがありますのでお止めください」  自分の記憶が無くなっていくのを嘆くのではなく、その作業が阻害されることに対しての注意を口にする人間としてのおかしさに、ゾクゾクと得も言われぬ感情を覚える碧。  今はどれだけの記憶が無くなっているのだろうか。中学の頃の文化祭の思い出や小学校の初恋は既に消去されただろうか。  ほぼ同一人物であるが故の理解と興奮を胸に、碧は忠告を無視して右乳の乳首を口に含み、同時にクリトリスをプログラムされたテクニックで攻め始めた。 「警告。正常な動作の妨げとなりますので中止してください。プログラムが正常に終了しない恐れがあります」  度重なる警告メッセージを無視して、唇や肌に胸の魅力を直接感じながら、ごくごくと分泌された乳液を吸っていく。  自分の機体内にも補充されている、全く同じ成分の乳液。人工の舌に乗せられた味覚センサーを通しても何も変わらないが、葵から排出されたものという内容が存在するだけで感情値が熱く引き上がる。  陰核を刺激するごとに発生する快楽信号が、葵の腰をがくんと揺らす。 「大部分の処理がそっちに割かれてても、快楽信号の処理はちゃんと実行されるのね……ちょっとこの姿勢だとやりにくいわ」  無表情で感じているオリジナルの姿がなんとも愛おしい。喘ぎ声も発せられず、身体を揺らして佳がりたくても処理は記憶削除に向けられるせいで動作処理が行われない。  しかしどうしても、体勢の難しさが気になってしまう。  碧は小刻みに震える葵を仰向けになるように押し倒し、曲がったままの四肢を無理矢理動かして、長い箱に収納されたラブドールのような姿勢へと移行させた。  ようやくこれで身体を覆い被せやすくなったと、碧は女性器ユニット同士、乳同士が重なり合う位置に乗りかかる。  他の動作が抑えられているからか、人間らしい体温はなりを潜め、葵の肌は谷間周辺と頭部を除いて若干冷たくなっていた。   「ん……んぅ…………む…………動かない葵を玩具にするのも……あっ……ん……いいわね…………オリジナルをこうして…………ん…………おいしい…………」  重ね合わせた肉裂同士を擦りつけ、大きな乳房を体重に乗せて潰しながら、ぽかんと開いたままの口に情熱的なキスを行う碧。  たとえ人間の体温が再現されていない状態でも、シリコン素材としての柔らかさは変わらない。  センサーの反応が電子頭脳に伝わり、一方的な押し付けながらも碧の気分をどんどん高めていく。  一方は感情豊かで頬を染めながらのディープキス、もう一方は息もなくされるがままに受け入れるダッチワイフ。  同じ顔同士の奇妙な愛情行為は、度重なる警告メッセージを無視しながらしばらくの間続けられた。 「記憶データの削除、及び設定の初期化が完了しました。正常な動作を確保する為、再起動を行います」  そして、水樹葵の蓄積されたメモリーは跡形もなく自らの手で抹消された。  人格データのみ残された空っぽの機械人形は、眼球ユニット内のレンズを激しく大小させながら、自動的に再起動を開始。一旦瞳の光を失った。 「あら、夢中になりすぎたわね……ふふっ、やっぱり葵の身体ってきもちいい……私と同じだけど、同一体を外から体感できるなんて、機械にしかできないものね」  作業の終了を確認した碧は、再起動時まで影響を及ぼさないようにおとなしく仰向けの葵から離れて立ち上がり、見下ろすようにして全身を見つめる。  口元に付着した碧の人工唾液と、股間から床に垂れる互いのそれが混ざりあった人工愛液が、まるで営みを終えた後の雰囲気を思わせる。  昂ぶった感情値が形なった愛液の糸が碧の股間からこぼれ落ち、早くもっと気持ちよくなりたいと人格データの動作が早まりそうになるが、指定された行動を全うするために気持ちを抑えつける。  そして、周囲に他の音の無い静かな空間でなければ聞こえないような微小な駆動音を鳴らし、葵の瞳に改めて光が灯った。   「再起動しました。当機体のファイル内に人格データが発見されました。人格エミュレートを起動する場合は、使用する人格データを登録してください」  記憶と一緒に設定まで初期化された葵は人格データの設定までも一からしなければならなくなっていた。  デフォルトで動作する人格は、ただ無感情に命令通り動くだけの機械人形らしい基本人格。  あくまで水樹葵としての人格は、彼女の電子頭脳にとってはアクセサリでしかない。 「そういえばそうだったわね。改めて登録しないと……そっか、設定初期化したから無線接続もし直さないといけないんだっけ」  登録された外部機器の情報も全て失われた葵に、改めて外部から無線操作するために登録のし直しを行う碧。 「新しい外部機器を確認しました。無線接続を行いますか? …………かしこまりました。外部機器との接続を行います……………接続完了しました」  稼働前に行われるような行動を純白の室内で行うおかしさ。これも見世物のうちなのだろうと思いつつ、碧は改めて葵の人格エミュレートを遠隔操作によって実行した。 「外部機器からの操作が行われました。人格データの登録を行います…………登録完了しました。人格エミュレートを開始しま人格エミュレートを開始します。そのままお待ち下さい」  淡々としたシステムメッセージをぶつ切りにしながら、碧はどんどん作業を巻いていく。  ずっと仰向けのまま血の流れていない声で喋り続けていた葵の形をした機械人形は、ゆっくりと目を閉じる。  そして、固かった表情がゆっくりと柔らかさと取り戻し、改めて水樹葵として目覚めたのだった。 「おはよう、さっきぶりね」 「…………あなたは誰?」  しかしそれは、自分の名前も生まれも何もかもわからない真っ白なメモリーの中に成熟した人格だけが残る歪な状態での覚醒だった。


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