二人のアオイ 人間としての矛盾 1
Added 2020-06-30 08:24:47 +0000 UTC周囲に空間の切れ目も通気口も見られない、不気味な程に明るく真っ白な部屋に立てられている、二体の全裸姿の女性。 一体は水樹葵。自分の意志に関係なく機械化され、スレイブドールとして生まれ変わった。 自身が人間で無くなった自覚なく、それを基本設定として快楽信号に襲われ続け、何度も壊れては修理され続けている。 もう一体は水樹碧。碧の全てをコピーされた上で、人格データのみを一部改竄された、自身が機械だという自覚のあるスレイブドール。 碧はオリジナルである葵を管理し、外部から与えられた命令に従って肉体的にも機械的にも幾度となく乱れている。 そんな彼女は葵をひたすら愛するように設定されており、そこが葵との僅かに違う、意図的に手を加えられたオリジナルとの差だった。 バッテリーによって稼働する生身の無い彼女達には、呼吸も何も、生命活動らしい動作は必要ない。 時折息をしているようなモーションや呼気があっても、それは性的興奮を煽るための作られた動作に過ぎない。 そんな二体は今回も、外部から与えられた命令によって互いをプログラム通りに愛し合い、快楽信号を処理しながら機能不全に陥るまで壊れ合う。 しかし今回は、それまでの行為の時とは違い、無数の小道具がぞろりと予め取り揃えられていた。 肉穴に挿入するバイブや、体液タンク、乳液タンク硬く大きなディルドのような、肉体的性行為に必要なアイテム。 スタンガンやドライバー、ナイフや硫酸のような、到底人体に使用するものではない代物と、多種多様な物品が揃えられていた。 それを眺めるような視点で、今回の彼女達は設置されていた、 葵も碧も、両機体の瞳は光が失われているが、作られた微笑みを浮かべ、まるで同サイズの大きな乳房をと股間の膨らみを強調するようなポーズを取って停止している。 外部からの起動命令を受信した二体は、瞳の奥の灯りを点滅させ、はっきりと点灯すると、ポーズや表情をそのままに口だけで喋り始めた。 「外部からの命令を受信しました。水樹葵の起動を開始します。システムチェック、異常無し。バッテリー残量98%。各部センサー、及びボディに異常無し。システムは正常に稼働中。人格データを確認。人格エミュレートを開始します」 「外部からの命令を受信しました。水樹碧の起動を開始します。システムチェック、異常無し。バッテリー残量91%。各部センサー、及びボディに異常無し。システムは正常に稼働中。所有権を有する接続機体、水樹葵を確認。外部より与えられたメッセージを更新。行動ルーティンへの組み込みが完了しました。人格データを確認。人格エミュレートを開始します」 殆ど同じメッセージを、同じ顔の同じ口で、同じ声で淡々と喋り続ける二体。 設定事項が多い分、内容は碧の方が自然と多くなってくる。 発声機構から鳴らされる音声に、口の動きがぱくぱくと合わされる。 抑揚がはっきりしていながらも、そこに個人的な感情は一切存在していない。元が人間とは思えない程に無機質な喋り。 視界の中にいる何かに向けたわけでもない、どこか空気にでも発しているようなメッセージを垂れ流す姿は、見た目の人間らしさとは裏腹な人形らしさを強く強調した。 システムメッセージを喋り終えた二体。瞳にまるで生きているかのような輝きが戻ると、蠱惑的なポーズが解かれ、まるで人間の女性のように動き出した。 「おはよう葵。どこかおかしい所は無いかしら?」 「おはよう碧。別に身体の不調はないわね。至って健康よ」 全裸姿の不自然さを除けば、彼女達の振る舞いにはなんら機械人形らしさは感じられない。どうみてもただの人間の美人女性である。 だが葵は、自身を人間認識で捉えている為、所々にまるで生身の女性かのような反応や言動も見られた。 二体は他愛の無い会話を交わした後、同時に視線を無数の道具類へと移動させた。 「あら、珍しいわね。こんなに色んな道具が最初から揃えられてるなんて。どれも良さそう……」 「でも、どういう基準でこれがあるのかわからないわ。アダルトグッズとか、そういうのはわかるんだけど……なんで工具やバーナーみたいなのまであるのよ。もしかして、身体に使うつもり? 怪我どころじゃ済まないじゃない」 自身を人間認識で喋る葵に、横目で相変わらず設定された自己認識に従って可愛いと見つめる碧。 これからオリジナルは、その人間に向けるようなものではない道具を使って、どうしようもないくらい、死んでしまいそうなくらいに乱れるのだからと、子宮ユニットを震わせながら思考する。 「いいじゃないそういうことは。それじゃ、ちょっと歩いてから話をしましょうよ」 「そうね。碧と一緒にいられるだけでも、私はとっても嬉しいもの」 腕の人工皮膚がたわみ密着するくらいに身体を寄せ、恋人繋ぎで手を重ね、二体は無数の道具類へと近づいていく。 まるでとにかくなんでも取り揃えたホームセンターのような並び。手を伸ばせばなんでも手に入りそうな気すらする。 葵はそんなことを思いながら見つめていると、本題に入ろうと言わんばかりに碧が身体ごと横を向き、全身を密着させた。 太ももや恥丘、腹部、柔らかな乳房がくっつきあい、人間ならば息も感じられそうなくらいに距離が縮まる。 「ねえ葵、そろそろしよっか。私、葵と気持ちよくなりたくて仕方ないの」 「いいわ。私もそう思ってたところなの。さっきから疼いて仕方なくて……」 葵の性欲値を軽く操作し、人格データへ反映させて肉欲を煽り立てる。 今にも熱い吐息が感じられそうな声色と、紅潮した頬へと変化したが、葵からは呼吸一つ感じられない。 ゆっくりと葵を押し倒すような形で床へ崩れ、その女体の上に覆い被さる碧。 早くキスがしたくて仕方がない。全身で碧のことを感じたくて仕方がない。 そう思考していた矢先、葵は碧から、唐突に質問をぶつけられた。 「……ねえ葵、葵は自分のことを人間だと思ってる?」 「何を言ってるのよ、私は人間に決まってるじゃない。変な碧」 「それじゃあ私は?」 「碧はスレイブドールよ。スレイブドールで、私の双子の妹。もう、何を聞いてるのよ碧」 組み込まれた設定通りの内容を平然と口にして、何の疑問も抱く様子は無い葵。 自分が人間なのに、無から生まれた双子の妹が機械人形だと認識していながら矛盾に気づかないその姿。 碧の嬉しそうな笑みがいっそう強くなる。 「じゃあ、今の歳は?」 「私は二歳よ。もう、碧ったら双子なんだから私の歳くらいわかるでしょ?」 人間としての年齢ではなく、機械人形として生まれ変わってからの経過時間から算出された年齢を口にした葵。 自身の人間時代の記憶データやかつての戸籍情報を無視し、そうであると参照、設定された情報をなんの迷いもなく口に出した。 「ふふ、そうね、そうよね……」 今回、葵と碧に与えられた命令は、『葵に対して無数の設定矛盾を発生させ、自由に様々な道具を使用して壊れあう』というものだった。 意図的に組み込まれた、ちょっと触れれば解れてしまいそうな矛盾や、明らかにおかしい設定を組み込みつつ、人間ではありえないような行為や、人体に向けるものではない道具を使用して乱れあう。 それが今回のコンセプトとなっていた。 そんな倒錯的な目的を象徴するかのように、揃えられた道具の中には、予備として無数の子宮ユニット付き女性器ユニットや、張替え用の人工皮膚も用意されている。 それが自分達に適用されるものだとは微塵も思わず、葵はそれら全てを性玩具だと、ひとくくりに認識していた。 「じゃあ葵、こうされたらどんな感じ?」 碧は続けて、左腕の人工皮膚を、人間が確実に痛いと感じる程度の強さで抓った。 力を加えた部分の皮膚は大きく引き上がり、圧迫された跡が作られる。 「ああっ…………もう碧、くすぐったいわ……そうやって焦らしてくるの?」 しかし葵は、ちっともそれに痛がる素振りすら見せなかった。 碧が指を離した後には、人間の皮膚よりもやや遅い速度で下の形へと戻っていく人工皮膚の姿があった。 本来は傷つくと痛いはずだと、当然の認識が組み込まれているが、スレイブドールである葵には痛みが存在せず、それらは全て痛覚として認識される前に快楽信号に変換され処理される。 稚拙な土台の上に積み上がっていく、脆い人間性。 それをいつ崩して誤作動を起こしてあげようかと考えながら、碧は改めて顔を近づけた。 「ごめんなさい碧。ちょっと意地悪したかっただけだから……」 「もう……んん……ぅ…………」 同じ顔、同じ声同士でしばらく見つめあい、引き寄せられるように、同じ素材の同じ唇を重ね合った。 外部から補充された、全く同じ液体の人工唾液を纏った樹脂製の舌を絡ませ、センサーから柔らかな感触を感じ取りながら、お互いの人格データを活性化させる。 人間の体温に温められた口内の感覚を気持ちよく感じ取り、愛する互いの体液をおいしそうにごくごくと体内へ流し込む。 「うう……ぅ…………んむ……ぅ…………葵の舌……ぁ…………きもちいい……あっ…………ん…………」 「ふぁ…………あ……ぅ…………んむ…………んん…………碧も…………は……ぅ…………やわらかい…………ぃ…………」 空気が混ざった水音が、静かな室内に響き合う。 人工皮膚同士が触れ、擦れ、その度に快楽信号が発生する。 ピンク色の乳首同士が擦れ、徐々に勃ち上がり、固くなった先端がぶつかりあい、新たな快楽信号の源泉となる。 二体の絡み合いはエスカレートし、脚も二度と離れたくないと言うように絡み合い、女性器ユニットから人工愛液がじわじわと分泌されていく。 人格データはどんどん快楽信号に染まり始め、愛する相手ともっとこのまま気持ちよくなっていたいと思考し始める。 碧は、そんな人格データの反応をさらに激しくさせ、愛情が止まらなくなり始めた所で矛盾を突き崩してあげたいと思考し、名残惜しく思いながらも一旦、口を離した。 違う機体から排出された、同じ中身の唾液が混ざった液の糸が、いやらしく伸びていく。 「ふぁ……ぅ…………碧……ぃ……もっとキスしましょうよ……また……足りないわ……あっ…………」 「私もよ葵……でもね、もっと一緒に気持ちよくなりたいから……あっ…………ん…………だからね、私がもっと葵で遊んであげるの…………」 甘えるような表情を見せる葵を見て、CPU使用率が急上昇し、バッテリーが強く発熱する。 感情値を激しく変動させながら、碧は自身の右手を、己の股間から分泌された人工愛液を纏わせる ぺろりと、唾液と同じ無味無臭の液体を舐めとり、人格データを昂ぶらせ、葵の陰核に指を当てて軽くいじり始めた。 「あああっ……! あっ、は……あっ…………碧……ぃぃ……はっ……あっ、ああんっ……!」 センサーがより集められた敏感な箇所を攻められ、喘ぎ声を発しながら樹脂製のひだをひくひくを蠢かせた、 それまで情欲に煽られ、じわじわと流していた愛液がさらに流れ、ピンク色の肉がより一層淫猥さを強めていった。 碧は容赦無く、続けて固くなった左乳房の先端を咥え、ぺろぺろと優しく舌で刺激し、吸いつきながら軽く甘噛みした。 「あああっっ!! あっ、碧いっ…………あ、はあっ! あんっ! あっ、あっ、あああっ!!」 二つの性感帯から、肉感的な快感が絶え間なく襲ってくる。 葵はそれに抵抗することなく、碧から与えられた最高の快感として、強い愛情も同時に感じながら嬉しそうに嬌声を上げた。 刺激に煽られた葵の乳は、碧の口の中でぴくぴくと揺れ動き、先端からは真っ白な乳液を噴き出した。 体液と違って味の存在するそれを、碧は美味しそうに味わい飲み込んだ。 「んん……ぅ…………ふぁ……あっ…………んん…………葵の乳……とってもおいしい……ん……っ…………」 「あんっ! あっ、ああっ! は、ああっ……ん……きもちいい…………ひああっ!! 碧ぃぃ……私の乳液ぃ……あんっ! あっ、あっ、あああ…………はああっっ! 嬉しいわ……ああぁ…………ひゃううっ!」 妊娠してないのに母乳が噴き出ることにも何ら疑問すら抱かない。葵の電子頭脳は既に、碧から与えられる快楽信号と、彼女に対するいっぱいの愛情で満たされていた。 碧がしてくれる快楽行為を邪魔しないようにしながら、身体を右に左に揺れ動かし、足をピンと張って小刻みに全身を震わせる。 あまりの気持ちよさに、起動前の無機質な笑みの面影もない蕩けた表情を浮かべていた。 「あぁ…………こんなに乱れてる葵……とってもかわいぃ…………でもまだ前戯だから……ぁ……もっと気持ちよくしてあげるから……ぁ…………」 同じ姿のオリジナルが佳がる姿が、碧の電子頭脳を激しく痺れさせる。 碧はさらに、本番に向けてのエンジンとしてさらに気持ちよくしてあげたいと、一旦乳房から口を離し、身体の位置を調節する。 そして、右手を女性器ユニットの前に当て、親指をクリトリスに、二本指を膣内に挿入して、造り物の膣肉を爪で軽く引っ掻いた。 同時に咥える乳房を右から左に移し、今度は痕が出来そうな程の力で、綺麗な乳首を噛んだ。 それに加え、左手を右乳房の上に乗せ、乳首を潰すように摘みながら、大きく形が変わる程にその柔らかく大きな胸を揉みしだいた。 「あはあああっっ!! あっ、あっ! ああっ! は、ああっ! 碧ぃっ! きもちいい! きもちいいわあっ! あ゛あっ! あんっ! あっ、あっ、あっああ、ああ、あ、ああんっ!!」 本来なら痛みの伴うような行為にさえ、人間らしくそのような反応も示さず、ただ純粋に性感に浸るだけの反応を見せる葵。 敏感な膣肉や乳首への攻撃にすら、痛いの一言すら発しない。碧から与えられるもの全てをきもちいいと感じている。 人間的な官能感を覚えながら、人間らしくない様を見せている葵は、これから迎える本番前の呼び水とも知らないままに人間的な絶頂を全身に感じようとしていた。 「ああっ!! 碧の、ああっ! あんっ! あっ、あっ、あぁっ! きもちいい! 身体中がきもちよくてええっ! あああんっ! 大好きな碧が、あんっ! ああっ、は、ああっ! あんっ! 身体中が熱いの! 胸が、ひいいっ!! いいっ!! ああんっ! イクうっ! 碧いい! イッちゃううう!!」 全ての仕様を把握している碧からの肉体的性戯によって、葵は快楽信号のままに天にも昇る心地に流されていった。 人工涙液を流すほどの快感に包まれながら、電子頭脳からの処理によってそれに適格な人格データの反応を呼び起こし、全身の動作や表情に反映させる。 無味無臭の潮を女性器ユニットから噴き出しながら、クリトリスを嬉しそうにぴくぴくと揺らし、両乳から真っ白な乳液をぴゅっ、と何度が噴き出してはとろとろと溢れさせる。 身体中から、外部の手によって補充された擬似体液を垂れ流しながら、葵は力が抜けたようにぐったりと床に沈み込んだ。 「あっ、ああ…………ん…………碧……ぃ…………きもちいい……わ…………あぁ………う…………だいすきよ…………うれしい…………あっ…………あぁ…………」 呼吸もないままに肩を揺らし、急激に変動した碧へ感情値と、最初から最大値に達している好感度を基準に、甘い愛情に満ちた言葉を垂らす葵。 周囲の床は擬似体液まみれになり、白い液と透明な液の小さな水たまりが出来始めている。 彼女達の人工皮膚は、水分を弾く素材で作られているため、全て床へとこぼれ落ちていく。 行為そのものは人間らしくないが、人間的な淫欲を満たした葵を見て、碧は恍惚の笑みを浮かべながら、じんわりと女性器ユニットを濡らした。 「あは…………とっても気持ちよさそうで、私も嬉しいわ葵……でも、まだまだこれからなんだから、今からもっともっと気持ちよくしてあげるから…………」 「あは……嬉し……い……わ…………あんっ…………私……碧……大好き……もっと…………一緒になりたいわ…………あっ…………あぁ…………」 まるで犯された後のラブドールのように、濡れに濡れた身体で愛情だらけの言葉を紡ぐ葵。 だがここからは、今の彼女が想像できないくらいの快楽信号を発生させてあげる番。 正確には、葵のメモリー内にはこれまでの行為の記録は全て保存されているが、自身が人間認識である間はそれらに対してのアクセス権限が与えられていない。 自身の本来の過去が把握できないも同然となっている。 一方で制限なく全てを把握できている碧は、愛する葵の機械らしい面、可愛らしく乱れおかしくなる姿を露わにしてあげようと、手始めに加熱済みのはんだごてを手にとった。 人間だと思いこんでいた葵が、機械である姿に誤作動を起こし始める姿は、いつ再生しても興奮が収まらないくらいに淫靡で可愛らしく、色気に満ちている。 ひくひくと痴情のままに、大きくなった陰核を動かしながら、碧は改めて葵の上に覆い被さる。 お互いに快楽信号の処理によってセンサーの感度が上昇したのか、より一層人工皮膚が触れ合う感触が伝わってくる。 「さあ葵、ここからが本番よ。一緒にもっと、壊れて動けなくなっても気持ちよくなりましょ……」 もしまた何か必要な道具が演算結果に上がれば、改めて取りに行けばいい。 葵と碧の生産性の無い機械同士の愛欲に満ちた時間はまだ始まったばかりなのだから。 碧は、持ち出したはんだごてを葵の肩に当て、直接人工皮膚を焼き始めた。