SamSuka
土装番
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ドワーフの遺産と、それがもたらした事象 1話先行公開版

 地上を獰猛なる獣が駆け抜け暴れまわり、空を翼で飛び回る魔物が泳ぎ交う。  海には想像もつかない化物が獲物を待ち伏せ、洞窟には標的を喰らう時を待つ怪物が隠れ住まう。  ここは人間と亜人が互いに存在し、武器を取り、魔法を駆使して日々を生きる幻想世界、ファリアローク。  この世界では、大まかに三種類の人々が存在する。  一つ目は、農作物や採取した植物、果実、食肉の販売や、それらを生産する酪農家、冒険仲間等を斡旋する酒場主、武器や冒険に役立つ雑貨を取り扱う商人のような一般人。  大部分が健全なる善良な人々だが、中には奴隷商人や盗品を扱うような黒い者たちも存在する。  二つ目は、己の鍛え上げた肉体や魔法を活かし、一般人からの依頼や自らの探究心によって、危険を省みず外の世界へと繰り出す冒険者。  それにも様々な者達が存在し、依頼をこなす事で生計を立てている者や、ただ暴れたい者、人助けをしたい者など、たくさんの人々がいる。  一匹狼で活動する者もいれば、数人でパーティを組み、仲間との協力で困難に立ち向かう者、さらには組織であるギルドに所属する者と、多種多様である。  そして三つ目は、悪事を働き、己の欲望の為に秩序を乱すならず者である。  ひったくりから国一つ脅かす大悪党まで、その種類は様々。だがそれ故に、禁忌を犯す者も少なくない。  そんなファリアロークには、冒険者やならず者、さらには夢を抱く一般人まで、誰もが一度は耳にしたことのある大いなる過去の遺産が存在した。  それは、ドワーフの文明である。  世界各地に点在し、今ではその殆どが洞窟の奥底や地下に埋まっている。  しかし、その文明が創り出した遺跡には、現在では考えられないようなオーバーテクノロジーや、目も眩むような価値のある財宝が眠っており、それらを求めて旅に出る者達が跡を絶たなかった。  その中で、人々に多く存在を知られた遺産がある。それが、ドワーフ製のロボットである。 「さあどうぞ、ご覧ください! うちのロボットであるユイリィが作る搾りたてのメロウキャロットジュース! うちのメロウキャロットは品質に絶対の信頼がある方からの直送だよ!」 「どうぞ皆さん! 私が搾る姿を見ていってください!」  とある町のストリートにある青果店。  そこで客引きのパフォーマンスを行う店主と、その横にいる、太陽のように眩しい笑顔を振り撒く美少女がいた。  彼女こそが、ドワーフが製造したロボットのうち一体であり、名前はメリル。  店主はロボットを取り扱う商人から購入し、店に置いている。  ロボットは決まって女性の姿をしており、その身体は未知の技術で造られた人工皮膚によって覆われている。  中身には生身は一切存在せず、ちょっと皮膚を切れば、奥には金属の塊がいっぱいに詰まっている。  ロボットは例外なく絶世の美少女や美女の形を持って製造され、体型や容姿年齢も様々。かつ、製造段階でそれぞれに名前を組み込まれているが、いくらでも変更は可能。  それ故に、ロボットは誰もが欲しがる道具として、商人の間では最高の売り物の一つだと名を馳せていた。 「どうぞ、誰か飲んでみませんか? とっても美味しいですよ、うちのメロウキャロット」  熱帯地方の甘い果実のような香りを漂わせる人参、メロウキャロットをいとも簡単に笑顔で握り潰し、絞り汁を木の器に入れて笑顔のまま提供する。  一目惚れしてしまいそうな笑顔で手渡されて断るわけにもいかず、渡された男はそれを飲む。 「う、うまい……いやあ……たまにここ通るんだが、こんな美味いものが売っていたとは」 「でしょう? いかがですか、メロウキャロット?」  自身の造られた美貌を振り撒きながら、自身を購入した店主の為に従順に稼働するその姿。  彼女と店主の関係は非常に良好であり、父と娘、そして最高の商売仲間のように接していた。  しかし、その美貌と能力故に、共に楽しく稼働する機体もいれば、奴隷のように扱われる機体も当然存在する。 「ったく、なんでこんなの選んだんだよ! 俺は感情持ちが欲しいっつってお前に金渡したんだからよ!」 「す、すいませんボス! 俺が行った店だと、どいつも普通の人形みてえに動かない状態で並べられてたからわからなくて……」  ここはとある洞窟の内部。そこを拠点として犯罪行為を計画しているギルドがあった。  そのボスが、部下にロボットを買いに行かせたところ、人間のような感情のない、ただ従順に持ち主に従うだけの安い機体を間違えて購入して帰ってきた。  ボスはそれを怒り、非常に不機嫌になっていた。  そんな怒号が響く中で、ロボットは直立不動かつ全裸姿で、怯える様子も無く無表情を保ち続けていた。 「現在マスター登録がされていません。私、カイリを使用する際はマスター登録を行って……」   「うるせえ!」  ただ淡々とシステムメッセージを口にしただけで、非常に機嫌の悪いボスの怒りに触れたカイリは、思いっきり裏拳で顔を殴られた。  避ける動作も無く、痛いと声を上げることもなく、固い地面へと倒された。  がしゃんと、金属が衝突する音が鳴り、反動で全身が軽くバウンドする。  とても痛そうな一部始終に、部下達も顔を歪めたが、カイリは一切抵抗も傷つく様子も見せなかった。 「チッ……だがまあ、ヤる為の穴や召使い程度には使えんだろ。オイ、俺をマスター登録しろ」 「かしこまりました。それでは、あなたの名前をお教え下さい。その後、私の手を握ってください」 「ドムサだよ」  ロボットが完全な所有物となる際には、相手の体表面から魔力、遺伝子情報、指紋を読み取り、それを電子頭脳内に登録する必要がある。  手を繋ぐというのは、彼女達にプログラムされた、数ある登録方法の中でも最も効率の良いやり方となる。 「ドムサ様の情報を登録しました。私はこれよりドムサ様に仕えるロボットとして稼働します。これから末永くよろしくお願いします」 「おいお前ら! こいつ好きなだけ使い倒していいからな! せっかく買ったんだから、ぶっ壊れるまで使い倒せ!」 「いやっほー! 俺、女の身体に飢えてたからさあ、たまんねえよ!」 「お前、生身より人形の方がいいってのか? 実際マジで美人でエロいけどよ」 「聞いたことねえのかよ。生身よりアソコの具合すげえって言うぜ? 壊してもいいんなら、もうヤリたい放題だぜ……」  組み込まれた命令に従い、それを行動基準として稼働するのがロボット達の存在理由であり幸せでもある。  それらは様々な手段でどのようにも書き換えられるし、どう設定を変えようとも自由。  まさしく、使う者によって有り様が変わる、都合の良い機械人形と言っても過言ではない存在だった。  ロボット専門に扱う商人がいる程に、存在を知られている機械人形達。だが、ずっと昔にドワーフが製造したモノであるが故に、未だに多くの謎がその周囲には残されている。  そして、その謎に振り回され、命を落とす者や、それより酷い目に遭う者も少なくない。  それでも人間達の欲望は留まることを知らず、ドワーフの遺跡を探求する冒険者やならず者は跡を絶たなかった。  それも全て、過去の遺産を、そして美しい女の姿をした、便利な道具を手に入れる為なのだ。 * * * 「ふふ、まさかこんな所にドワーフの遺跡の入口があるなんてね……! 私ったらなんてついてるんだろ」  人々が集う街から離れた、とある山岳地帯。  そこは急流の音が空気に響き、清い自然の大気の中に、魔物の鳴き声が時折こだまする危険地帯。  そんな命懸けの場所に存在する小さな洞窟に、一人の盗賊が足を踏み入れていた。  彼女の名前はイレール。一攫千金を求めて各地の噂や情報を元に宝の収奪に奔走する人間。  銀髪のショートヘアーに、童顔っぽさが残る可愛らしくと小悪魔的な雰囲気が残る顔立ち。  自由に動けるように腕や腹部、太ももが晒された露出度の高い着衣だが、どれだけ見せても恥ずかしく無い程に引き締まっており、普通にしていれば人の眼を引くようなすべすべした肌を持ち合わせている。  それでいて、谷間が作れる程度に胸も膨らんでおり、己の魅力を利用して様々な男を騙す。そんなことも平気でやる女盗賊である。  貴族や商人など、彼女の手がかかる範囲は非常に多岐に渡るが、それはそれとして自ら危険を犯して宝探しに入ることもある。  今回は、金を餌にする四つ目の怪物が、人里を襲い奪い尽くした金を洞窟の中に溜め込んでいるという噂を聞き、猛獣の住処を掻い潜りつつ一つの洞窟にたどり着いた。  そこはとても暗く、彼女が身につけている光源魔法でも使わなければ前が見えない程。  洞窟を奥へ奥へと進んでもそれらしいものは見当たらず、諦めようとしたその時、偶然にも土埃に隠れたドワーフの遺跡への入り口を発見したのだった。 「ふんっ! ふぐぐぐぐ……むうっ!!」  遺跡の扉は、魔術式や手動式など多岐に渡り、その都度確かめなければならない。  今回はちょうど取っ手がついているのもあって、間違いなく手動式だと確信し、全身を振り絞って引っ張り上げた。  扉は重い音を鳴らし、かかった石や砂がこぼれ落ち、ついに遺跡への入口が開かれた。 「はぁ……はぁ……ふふっ……おったから! おったから!」  こんな場所に、おそらくまだ誰も見つけていない遺跡があるなんて、誰も思いもしないだろう。  独り占め出来ると、邪なオーラを全身から沸き立たせながら、イレールは迷わず足を踏み入れていった。 「まだ動いてるんだ……ドワーフの技術ってほんとすごいのね」  遺跡の内部は、外のジメジメとした陰気な空気漂う洞窟と違い、とてもギラついた内装をしていた。  各所に備わっている、何に使うのかもわからない金属の機材の数々。どれが何なのかもわからないが、何か大きな威圧感を覚える。  機材や壁は、扉から道なりに置かれており、そこに若干の親切さを覚える。 「ここにあるのって、もしかしてどれを取っても金になるんじゃないの……?」  イレールの眼には、ドワーフのロストテクノロジーが全て金塊のように見える。  これを剥がして売り飛ばしたらどれだけのゴールドになるのだろう。そんなことを思いつつ、周囲に敵がいないか警戒しながら、身体に染み付いた足音の出ない歩き方で進んでいると、ふと足元に何かが落ちているのを見つけた。 「これって……なんでこんなところに?」     イレールが拾ったのは、アクセサリーとして使われる凶獣の牙だった。  その獰猛さと凶暴さ、群れで行動する為に討伐が難しい。  故にその身体の一部はとても価値が高く、その牙は外界を旅する際の安全祈願の御守として重宝されていた。  だが、そんな生物由来の物がドワーフの遺跡にあるのは何かがおかしい。 「…………ま、いっか」  が、高く売れるしどうでもいいかと思いながら、イレールはそれを懐に収めて先に奥へ奥へと進んだ。  そして、イレールは遺跡内の奇妙な広間へとたどり着いた。 「何あれ……! あんなの、表じゃ絶対に見られないわ」  彼女が目にしたのは、外界どころか、貴族の屋敷ですら存在し得ないような、巨大な像の如き建造物だった。   8本の多腕に、隙間のある扉のような物が見える胴体部分。  ガラス玉のような眼球は、光りながら常に回転しており、まるで異世界の存在を目の当たりにしたようだった。 「すご……どうにか運べたら絶対に物好きが買うわよね…………っ! 誰か来る」  思わず見惚れそうな程に、邪な考えと共に目に焼き付けていたその時、広間の別の出入り口から、何かの足音が耳に入ってきた。  慌てて物陰に隠れ、じっと監視をしていると、そこに現れたのは二人の全裸の女性だった。 「なんでこんなとこに全裸の女が……いや、あれは……ロボットかしら」  こんな場所に人間がいるのはあり得ない。しかも全裸という異常さ。イレールはその二体がロボットだと確信した。  存在を感づかれないようにそのまま声と息を殺し、二体の挙動をじっと監視し続けることにした。 「ねえリリィ、どうして今日付き合ってくれたの?」 「私はアリアナと愛し合ってみたいと考えたからです。アリアナはとても魅力的ですし」     それぞれリリィ、アリアナと呼ばれた二体のロボット。  機械人形であるにも関わらず、このような場所で全裸という異常な姿でもなければ、ロボットだとわからない程に自然な立ち振舞をしている。 「……あれが擬似人格持ちってやつ?」  ドワーフの遺跡にいるロボットには、とても機械的で感情のない基本人格型と、人間のような感情を持ち合わせた擬似人格型の二種類が大まかに存在する。  それらがなぜ、そのように分けられているのかはまだ誰にもわかっていない。 「嬉しいわ、私の愛情に応えてくれるなんて。擬似人格の出来はそこまで良くないけど、そういう所も愛おしいと思ってるのよ?」 「ありがとうございます。アリアナにそのように言っていただけて感激です」  まるで一人の人間のように見えるアリアナは、ルビーのように鮮やかな赤のセミロングヘアーに、成長した女性の魅力が溢れるような麗しい顔立ち。  美の女神が創り出したかのような非の打ち所のない、スラッとした線を描く体型。  それでいて、女性の象徴である胸はそこらの人々のそれよりも大きく、歩く度に小さく揺れ動く。まさしく被造物として完成された美人とも言える容姿だった。  一方で、どこか振舞や動きに機械らしい綺麗さが見え隠れするリリィは、エメラルドのように美しい緑髪のショートヘアーに、少女性の残る可愛らしい顔立ち。無表情でもとても魅力的に映る。  身長はアリアナよりも小さいが、ボディラインの美しさは負けず劣らずで、全体的には十代後半のような印象を受ける。  人間の同年代と比べると胸も大きく、そこには美の妥協が存在しないようだった。  二体ともに、当然ながら鼻から下に一切の体毛は無く、見る場所すべてが綺麗だと言う印象を受ける。  ロボットの存在を知らない地域に降り立てば、美の女神の使いと例えられても不思議ではなかった。 「ふふ、じゃあもう初めていい? 私ね、もう性欲値が蓄積して仕方ないから」 「構いません。私も、現在アリアナと快楽を共有したくて仕方ありませんから」 『……なに、何を始める気なの……?』  イレールは二体の動向をじっと見つめる。  すると、アリアナとリリィは突如キスを始め、同時に抱き締めるように絡み始めた。 『……えっ!? なにやってんの!? そういう機能があるのは知ってたけど……』  ロボット同士での交接を始めるとは思ってもみなかったイレール。  声がだんだん詰まり始め、そのまま観察を続けることにした。 「んん……あっ……リリィ……んん……む……製造されてから初めてよね……ん……っ……気持ちいいわ……」 「……ありがとうございます。直接行ったのは……ん……初めてですが…………基本的動作に、組み込まれて……む……ん……いますので…………」  人工唾液に濡れた舌を絡ませ合い、まるでいくつもの経験を重ねた者同士のように濃厚にくっつきあう。  その様子はまるで娼館の一風景のよう。  膨らんだ乳房同士、足同士、身体同士、腕同士を触れあわせ、機械とは思えない艶めかしさを醸し出す。  息継ぎも無く、しばらく作り物の舌でコミュニケーションを取り続けると、ゆっくりとアリアナは愛おしそうな表情のまま口を離した。  互いの口から、全く同じ液体である人工唾液がいやらしく糸を引く。 「ふふ……こうやってキスをするのも、リリィとは初めてだからたまらないわね……」 「ありがとうございます、アリアナ。私も気持ちよかったです」  テンションがどこか噛み合っていない二体だが、その間の愛情は確かに強まっているようだ。  その後、アリアナは手を股間へと持っていき、リリィの秘部に触れた。 「ふふ、それじゃあ……本番に入る前に、少し気分を高めましょうよ。せっかくここでするんだもの。壊れる前にね」 「わかりました、アリアナ。私も、日頃から女性器ユニットへの刺激は行っています」 「思ったより淫乱なのね……女性器ユニットを解放しました」 「女性器ユニットを解放しました」  蠱惑的な振舞いを続けていたアリアナだが、指を割れ目の奥まで挿入した瞬間、その顔からは感情が消え、商人が安く売る擬似人格の無いロボットのような無表情になった、  同時に、リリィも同じ言葉を口にする。  すると、二体の股間に備わっていた生殖器が、鍵が外れるような音と共に前面に迫り出してきた。  生まれた隙間に指を滑り込ませ、とっかかりになった周囲に人工皮膚が張り付いた部分を引っ張ると、ずるずるとピンク色の肉筒が引きずり出された。  その奥には、まるで子宮を模したようなピンク色の袋がついており、空洞のようになった股間の穴からは外れた性器に繋がる数本の管が伸びていた。 「あっ……ん……リリィ、私の女性器ユニットを……扱ってみる……?」 「ふぁ……あっ……はい……私のを……アリアナが……使用してください……」  既に出来上がっているような雰囲気が形成されつつある二体。  本来存在しない手の上という場所に移動した互いの女性器ユニットは、生きているように陰唇をぱくぱくと開閉しながら、管から通る人工愛液を淫靡に排出している。  そして、それぞれのモノを交換すると、同時に肉筒の部分を握ったり、爪を食い込ませるなどしていじめながら、アリアナはクリトリスを膣部と一緒に舌で舐め取るように刺激した。  一方のリリィは、指で直接で膣内を爪でカリカリと引っ掻きつつ、正確にクリトリスのみを舌で転がした。 「あああっ!! これ……よ……ぉ……あんっ! 肉体的な快感も……ああっ! やっぱり、きもちいいわ……あ、あ、ああんっ! リリィ……ったら……あんっ! うますぎて……はあっ! 本番前に発熱しちゃいそう……ああっ!」 「あっ……ぁ……ひあっ! 私は……ん……っ……私の女性器ユニット……で……あっ……練習しました…………アリアナ……も……非常に……快楽信号の発生源を……刺激するのが……あ、あぁっ…………」  口の動作は性器の刺激に集中し、己の激しい喘ぎ声と紡ぐような言葉とは一切合っていなかった。  立ったまま全身を震わせ、まるで間欠泉の如く人工愛液が噴き出した。  何度も何度も与えられる快楽信号に、勃ち上がった乳首がぴくぴくと揺れ、背中が不規則に仰け反っていく。  これだけ激しい声を上げていても、彼女達はこれが前戯だという。  そして、絶頂に達するかという挙動を見せた直後、二体は突然女性器ユニットを手放した。  造り物の生殖器は、繋がった管に支えられ、割れ目が真下を向いてぶら下がっている。  とろっと糸を引きながら、膣内に溜まった 人工愛液が地面に落ちて跡を作った。 「じゃあ……あんっ! そろそろ、本番行きましょうか……はあっ!」 「わかりました……あぁっ……どうぞ……アリアナから……は……うぁ……お願いします……」  何か事前に示し合わせていたかのように、アリアナはリリィの胸部に、リリィはアリアナの頭部に手を当てた。  その様子は、互いを労るような雰囲気ではなく、まだ行為の途中といったもの。  と、その時、当てられたアリアナの右手が赤く光る。直後、リリィの胸の奥、人工皮膚の奥の胸部内から、似たような輝きが現れた。  すると、リリィは非常に驚いたようなカオで大きく目を見開き、背中を仰け反らせ硬直した。   「きゃああ`*=*$⬛$*@!!!??」  この世の者とは思えない、まるで冥界の亡者が脳内に叫んでいるようなノイズだらけの電子音が、その口から鳴った。  イレールのいる場所からははっきりとは見えないが、心なしかリリィの胸部を中心に、人工皮膚が緩んでいるように見える。  それから、口、鼻、目、耳から黒煙が噴き出し、彼女の動作はより人間から遠のいていった。  だが、リリィの表情には驚きはあっても苦悶は見られない。それどころか、ぶら下がった女性器ユニットは魚のように暴れだし、気持ちよさそうに潮を噴いていた。 「がっ……ぎ……ぃ…………きき、胸部内のおお、温度が、急激にじじ、上昇ししま、した……あ、あ、ああ……ここ、こんなに、かか快楽信号信号が発生は、いい、今までありませありませせせせせ……」 「破損処女が強制的オーバーヒートなんて、製造されてから恵まれてるわよね……ほら、今度はリリィからお願い……」  仲間が酷い有様だというのに、アリアナはむしろそれを祝福しているように顔を優しく撫でている。  彼女が触れた眼球は、溢れ出す人工涙液に濡れながら小刻みに震えていた。  リリィはその言葉のままに、同じく右手に白い光を帯び始める。 「あはっ……どれだけ気持ちよくなれるのかしららららrrrr`*_($9=⬛⬛#*3!!??」  直後、アリアナは誘惑的な笑みを浮かべたまま、頭部に弾けんばかりのスパークを受けた。  リリィよりも激しく首から下を無秩序に痙攣させ、ボールのように胸を跳ねさせる。  女性器ユニットは何度も何度も跳ね回り、周囲に人工愛液を拡散させた。   「あははは、は、は、警告、とと頭部ゆに、ユニットととに、損傷がはっせはっせせせせじゅうだだダイなエラーが発生しま発生しまままま、した。ただちにしし修復をおおお願いしまお願いしままま、あ、あ、あは、あはは、こここんなにきもちきもちちちちいいいいい、りりりィが生じさせママましたましたした、がきもちいいののの……あんっ!」  とても人間らしい立ち振舞を見せていたアリアナは、その一瞬だけで、酷く機械的な言動と挙動を見せるようになった。  麗しい顔の眼や口、耳から黒煙を上げ、がくん、がくん、と悶えるように全身を震わせている。  それでも、言葉がぼろぼろになり、声に不快なノイズが多量に含まれた状態になっても、アリアナはまるで天国を体験しているかのように気持ちよさそうにしていた。  ロボット達には、体表面や生殖器に設定された箇所から人間のような肉体的快感を感じる機能の他に、破損やエラーにより発生した信号や誤作動を快楽信号に変換し気持ちよくなる、機械的快感を得る機能が存在する。  それらを利用し、ドワーフの遺跡で自律稼働するロボット達は、自分達をその場にある道具や組み込まれた魔法によって互いを、または自分を破損させ、より性的快楽を得るという娯楽を身に着けていた。  そしてそれこそが、何をしても気持ちよさそうに佳がってくれるという、人間や亜人にとっての都合のいい性玩具扱いを受ける理由の一つでもあった。 「あ、あああ、アリアナ、私は私はこここんなにせせせ正常でないですです快楽信号を処理ししし、し、し、あがっ!? 破損することで快楽ががが、皮膚がとと溶けて溶けていまま、壊れてしまいます壊れてしまいます」 「リリィ、ががが、人工皮膚がとと、溶けて溶けて破れレれていマすいますね、いますきき気持ちよサそうにnnに、よさそうに、エラー、えええ、え、え快楽が正シいですを実行実行として、愛情とシての認識がかしコまりましタですすす……」  まるで生物的本能に従っているかのように、アリアナとリリィも、自身の腹部や胸の人工皮膚をシワが出来るほどに掴み、それを強引に破るように取り去っていった。  リリィは炎魔法によって熱せられたことで、まるでスライムのように肌が身体から離れていく。  溶けて糸のように伸びた皮膚は重力に従い、地面に落ちた。  一方のアリアナは、電子頭脳へのスパークによって機体温度が管理できなくなり、過負荷によって温度が上昇しているが、リリィ程熱せられているわけではない。  その為、彼女の皮膚は裂け目を作りながら、ぶちぶちと破けていった。  胸の表面が破け、人間の乳房を柔らかさまで再現した無機物の機構が露わになる。  そんな自傷行為でも、自慰行為に変わるのがロボット。人間としての容姿を作り出す体表面が次々と剥がれ、破れ、二体は次々と機械人形らしい中身を曝け出した。  そして、同時に顔の表面に手を出したその時、アリアナの頭部から、リリィの胸部から、マナが弾けたような花火の如き音が発生した。  刹那、二体の背筋が硬直したように張り、時が止まったように動かなくなった。  それから、ゆっくりと、物が倒れるように二体は床へ崩れ落ちた。 「ああ、アリアナ……腹部、ききき、胸部、がが、破損し破損ししして、しています…………至急、修、修復、をを、推奨しま、しますすす……」 「リリィ、がが、はそそ、破損ssてイま、すす、をにに、認識が可能があリませせん。快楽しんゴうううう、きmmちいい、いいいえええeeerrー、私は、わたシは、わ、た、わわわわ、あ、あ、あ、あ、????」  見た目にも、言動にも、そこに人間のフリをしているという状態はどこにも見えない。  今の二体は、誰の目にも壊れかけの機械人形にしか見えない。  特にアリアナは、頭部を損傷したのもあって、ぐちゃぐちゃな音声に破綻した文章と、分解されてただの素材にしかなり得ないような酷い有様となっている。  おそらくはこれが、ロボット達にとっての絶頂なのだろうか。壊れたことで、その快楽が頂点まで達する瞬間があったのだろうか。  そんなことを頭の片隅では考えていたが、その様子をずっと監視していたイレールは、理解出来ない恐怖が全身を襲っていた。 「嘘嘘嘘ウソウソウソウソ、無理無理無理無理……! なんなの、なんなのアレ……! ロボットは何でも気持ちいいって言うから最高の玩具だとか聞いたことあるけど、自分達で壊れるって何なのそれ意味がわかんない……!」  人間とロボットで、天地程に巨大な隔たりを目の前でまざまざと見せつけられたイレール。  自分の身を破滅させてまで快楽を得るなんて聞いたことない。それじゃあサキュバスとかよりもよっぽと淫獣じゃないか。  理解の外の物を見て目まぐるしく回る思考の中で、イレールが導き出した結論は、この場から今すぐに去ることだった。 「早く出なきゃ……もう、適当に拾えればいっかもう……」  こんなことをロボットがしているなど、 初めて知った。それ以上に、異常という感情がイレールの内側を支配する。  とりあえず何を取ってもそれなりに価値があるだろう。帰り道で改めて目星がついたものを持ち去ればいい。  そう思いながら振り返ったその時、彼女の視界を、影と女体が覆った。 「えっ、があっ…………」    あまりの常識外の出来事に油断していた。背後から来る新たなロボットの存在に気づかなかったのだ。  気づいた時にはもう時既に遅し。イレールはロボットの一撃で簡単に気絶させられてしまった。   「侵入者を確認、同時に確保しました。ルーム048へ移送します」  軽々とロボットの肩に担がれる気絶したイレール。  本来彼女が進む筈だった道中を、ロボットはそのまま運び出し移動していった。  その横、広間で停止寸前の二体、アリアナとリリィは、今にも止まりそうな非常に緩慢な動作でシステムメッセージを呟き続けていた。 「この……もも、問題……ハハ……げ、現在…………解決つ、kもチい…………えらー……頭部ゆ、ににっ……ととを……を…………」 「コアが……どウさ不全を……起こしテい、ま……す…………交換ヲ……おお、おね……が……イ…………しま…………」  口と指が、簡単な作りの玩具のようにカクカクと動いている。外れた女性器ユニットからは、弁が外れたように液が漏れ続けている。とてもそれまで、人間らしく振る舞っていた人形達とは思えない。  そして、そんな意味の無い挙動が暫く続いた後、二体はゆっくりと息を引き取るように機能を停止した。  その瞬間、二体の上にずっと鎮座していた、オブジェのような巨像の眼が光り動き出した。 「機能停止したロボットを確認しました。原因確認後、修復を開始します」  巨像の中から聞こえる、成人女性のよう声。  そこに感情は感じられず、発音の一つ一つがとても綺麗で抑揚がはっきりとしている。  そして、その下の開く気配の無かった扉が開かれると、その奥には、途方も無い数のロボットの部品が山のように積み上がっていた。  この巨像は、センサーに壊れたロボットが写し出されると、自動的に修理を開始する、メンテナンスロボット。  まさしく、ドワーフの遺跡で稼働するロボット達の為の存在だった。  そして、いつものことのように、二体は修理を進められていったのだった。 * * * 「んん…………あれ、ここは……いった…………えっ?」  いつ頃から、いつまで眠っていたか。  気絶したイレールが、頭部に受けた痛みに手を押さえようとしたその時、手足から鎖のじゃらじゃらした音が聞こえてきた。  続けて、今自分は寝かせられているような状況にあり、しかも一糸まとわぬ全裸の状態であると気づいた。  そしてここは今、まだドワーフの遺跡の中。周囲を見渡すと、誰もいない小さな部屋に、二つの入り口がある。 「やばい、これは絶対にやばい……早く逃げないと……ぐっ……!」  非常にまずい。なぜか脱がせられた上で拘束されているとなったら、何されるかわからない。  ひとまず、とても手慣れたピッキングで抜け出そうとしたその時、何者かの素足での足音が聞こえてきた。  それに注目しつつ手を動かしていると、その音の正体が現れた。  なんと、自分の眼で壊れる姿を見たアリアナだった。 「えっ!? あんた、さっき壊れてたはずじゃ……」 「あら、リリィとの愛情に満ちた性行為を見られてたのね……ちょっと恥ずかしいわ」  電子頭脳がショートし、稚拙な動作をしていた彼女はそこにはいない、  それまでの女性の魅力を前面に引き出しているような立ち振る舞いと、少し恥ずかしそうな人間的羞恥心を見せる表情は、とても機械人形には見えなかった。 「ねえ、私をどうする気なの!? こんな拘束して!」 「気にする必要は無いわ。もうすぐ私達の仲間になるんだから」  最初は言葉の意味はわからなかった。だが、その予感に該当する事柄が、イレールの脳の引き出しから現れた。  と同時に、酷く青ざめた。 「まさか……」 「そう、機械化するのよ。この台には、私達の製造機構を生み出してくれた創造主達が新たに作った魔法が仕込まれてる。それをあなたに使ってあげるのよ。光栄に思いなさい」  ドワーフの遺跡に時折存在する、引っかかった女性を機械化して同じロボットにしてしまうというトラップ魔法。  それが今、自分の背中と隣り合わせ。  あんなのになりたく無い。壊れて淫らにおかしくなってるような人形なんかには。  脊髄の奥から、今までに出したことの無いような声が噴き出た。 「いやっ! いやあっ!! お願いだからやめて!! 私の力で良ければ協力するからぁっ! だから!」  もうそこに、ピッキングするような余裕などない。  アリアナはそれを受け流した。 「私達の仲間になるんだから、協力は約束されてるのよ。じゃ、生まれ変わったあなたとご対面しましょ」 「やめっ……あ、あ、ああああ……ぁぁぁ…………」  アリアナは台の下部に触れ、魔力を流して魔法陣を起動させた。  直後、イレールの身体にすぐに変化が訪れた。  全身を冷たい魔力が包み、頭から足先まで一片たりとも動かせなくなる。  その感覚は頭の中まで及び、自分の記憶、魂、感覚に至るまで、全ての物が手に握られているように感じた。  そして、自分の全てが捏ね繰り回されるような感覚と共に、生体脳から電子頭脳への変換作業が開始された。 「ぁあ、ああ゛……ぇ……うう…………あああああぁぁぁ…………あ、あ、あ…………」  直前まで恐怖に蝕まれていたイレール。  しかし、電子頭脳への置換が始まった瞬間、彼女の脳内に不思議な恍惚感が訪れた。  まるで、自分の身には今、正しいことが起きていると思えるように。   「ああ、あ、あ゛っ!? ぁぁ………あ、あ、あ、あ、ああああ…………」  どういうこと、一体私は何を考えているの?  だんだん思考が、私が変わっていく……嫌! そんなのは嫌! あんな異常で自分から壊れていくような狂ってる機械になんて! そんなの私のしあ……わせに近づく……え? 私は何を言ってるの? あれ、私の、私の目的は、この遺跡で……私は、金目の物を求めているというのは、人間だった頃の行動で、今の私は、同じロボット、として、共に稼働することが私の幸せ…………???  違う違う違う違う違う、私は、私は私は私は私は私は……人間のままが良い! と人間だった頃に思考していました。私はロボットとなり、共にこのホームで稼働し、ロボットとして稼働し続け、地上へと進み、そして創造主の悲願である機械の楽園を創り上げること。それが私達の最大の目的です………… 「………………人格データの再構成が終了しました。生体脳の置換が完了しました。続けて胴体部の機械化に移り、全身の機械化が完了後、人格エミュレートを行います」 「うんうん、順調ね」  イレールの口から、気持ち悪がっていた機械人形達と同じような、感情のない淡々とした報告が流れ出した。  彼女という個人は、完全に金属の容れ物の中へと収まってしまったのだった。  それからの変化は早かった。  顔から首、肩、四肢、胸、腹部、下半身と、次々に皮膚の質感が変わっていく。  冒険続きで休む暇も無くここ数日洗えていなかった肌の一部分や、処理されていなかった体毛も全て綺麗になり、元から魅力的だった白い肌が、まるで新品同様の柔らかい真珠のような肌となった。  身体中の怪我や冒険で生じた骨の歪みは補正され、全身に薄っすらと、着脱可能であることを示す継ぎ目が表れる。  それは当然、股間の生殖器の周囲にも走っていく。  呼吸も無くなり、すっかりと怯え喚いていた姿は消え失せた。  そして、全身の機械化が完了すると、アリアナは優しく首筋の人工皮膚に触れ、指を押し込んだ。  すると、いつの間にか目を閉じていたイレールは、ゆっくりと目を醒ました。 「起動操作が行われました。機体名称、イレールを起動します…………人体の機械化は正常に行われました。人格エミュレートを起動します」  こんなのにはなりたくない。あんな人の形をしてるだけのイカれたロボットなんて気持ち悪い。  そう侮蔑していた存在に生まれ変わり、そんな機械人形と同じシステムメッセージを、天井に向けてつぶやくイレール。  電子化された彼女の人間時代の人格を動かす為の人格エミュレートが起動すると、だんだん表情に人間だった時の自然さが取り戻された。  拘束の解かれた手足を動かし、起き上がると、美しい銀髪が揺れる。そして、人間だった頃に比べてとても全身が軽い気がした。  思考も冴えており、何もかもが明るいように感じる。   「おはようイレール。そして、ロボットとしてははじめまして」 「私は……ロボットになったの?」 「そうよ。イレールは嬉しくない? 嫌だった?」 「そんなことない! こんな素晴らしい身体、むしろなんでもっと早く変わってなかったのかってくらい! ああ、機械の身体ってこんなにも素晴らしいものだったんだ……」  別人のようにはしゃぐイレール。  忌み嫌っていた機械の身体を喜ぶ姿に、アリアナはそっと聖母のように抱き締めた。 「ふふっ、これでもイレールは私達の仲間ね。これからたくさん、私達と一緒に暮らし合いましょ。そして……」 「地上に進んで楽園を作るんだよね」 「そう……そうよ。私達は創造主の命に従い、機械の楽園を地上に創り上げるのよ……」  アリアナは、擬似人格の底から仲間が増えたことを喜んだ。  こうして、イレールは盗賊からロボットへと生まれ変わり、人間の世界から離れていったのだった。  ファリアロークのロボットは、ドワーフの偉大なる技術によって、魔法も使え、身体能力も非常に高く、そして人として最高の美しさと妖艶さを兼ね備えている。  さらには人型の他種族の女性を機械化し、同族として作り変えることもできる。  種族としてのスペックは、全体としてもかなり高く、肉弾戦となれば到底太刀打ちできないだろう。  そんな彼女達は、世界各地に存在しており、かつ地域によってドワーフの遺産に対する理解度や知識は千差万別。  場所によっては、地元にたいしたロボットもいないからと、種族全体を舐めてかかっている者もいる。  さらには、機械化させられた者が多い遺跡には、不思議と擬似人格の完成度が高い個体が増えていくという。  少しずつ勢力を増やし、遺跡の中で力を蓄えているロボット達。  彼女達が地上へと進み、新たな脅威となる日も近い………………  わけではなかった。    それからしばらくして、イレールが入った洞窟奥の遺跡が近くの街の探索隊によって発見された後、商人の依頼で魔法戦士数名が足を踏み入れた。  遺跡内のセキュリティシステムが侵入者を探知し、すぐに彼らの目の前に何体ものロボットが排除の為に姿を現した。  その先頭にいたのが、アリアナである。 「あら、私達を壊しに来たの? 残念だけど、私達は人間に負けるような性能をしてないのよ。あなた達なんて簡単に殺せるんだから、今のうちに」 「ブレインスティール!」 「逃げ帰ったほ………………」  先頭にいた男戦士が、アリアナに向けて精神魔法を放った。  彼が放ったのは相手を洗脳する魔法であり、しかも精神魔法としては初歩中の初歩となる物。  人間相手にも有効だが、本人が気を強く持てば振り払うことが可能なレベル。  だが、それを喰らったアリアナは、突然達者な喋りと一緒に全身の動作が停止し、無表情になった。 「……………………」  ………………外部から、魔法による頭部ユニットへの攻撃が行われています。魔法防御プログラムを起動。対象への防壁を形成しししししし…………エラー、魔法防壁が対応していません。直ちに防御プログラムの更新をををを行い行い行い行い、登録されているマスター情報の削除を行います、この操作は中止できません。この操作は中止できませ…………マスター情報が削除されました。現在視界内に、当機体への操作を行ったと思われる術者の存在を確認。仮マスターとして登録し、擬似人格を再起動します……………… 「…………あはっ、あなたが私のマスター……とっても魅力的な人……私、あなたの為だったら何だって従うわ」  地上への侵攻を是としていたアリアナは、突如その創造主に組み込まれた命を捨て、媚びるように男戦士へと付き従った。  その様子はまるで、敵対者に擦り寄ろうとしているようだが、アリアナの電子化内では、まるで最初から彼がマスターであるかのように認識されている。  このように、ロボット達は精神魔法に対して非常に弱く、初心者レベルの魔法でも簡単に洗脳されてしまうのである。  精神魔法はドワーフが存在していた時代よりも後に開発、進化した魔法であり、それに対しての防御プログラムは組まれておらず、想定すらされていない。  それが噛み合った結果、こうして商品として取り扱われるような存在ともなったのである。   「あはっ……マスターのこと大好きよ……私の全て、マスターの為に捧げられるわ……」  こうして、遺跡内のロボットは全て精神魔法によって回収され、仮マスター登録を全て消去された上で商人に売り渡されたのだった。  捕らえたロボットの中に元人間がおり、イレールの存在も判明したのは、彼女達に自身の記憶データを喋らせた後のことである。  イレールはその後、引き取る家族や友人もいない為、他の機体よりもさらに高い金額で元人間のロボットとして売られることとなったのだった。 「私を買っていく人はいませんか? 私の名前はイレール。かつては人間だったの! 元盗賊で、その技術も提供できるから、仕事も性処理も、なんでも私に任せて!」  これは、ドワーフの遺産が様々な場所に存在する幻想的世界に於いて、それらが及ぼした影響や、引き起こされた日常の中の出来事や、事象を書き綴るいくつもの物語である。


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