小学4年生になる4月1日のこと。
今日は朝起きてからワクワクとした気分に満ち溢れていた。
母が"くすぐり拷問師"の職に就いていることから、我が家では昔から「嘘をつく」ことは厳禁だ。
ほんの少し些細な嘘をつこうものなら、お姉ちゃんや母にお仕置き部屋へ連行されて徹底的にくすぐられて泣いて反省するまでやめてもらえない……
だけど、今日だけはまだ嘘をついても許される可能性がある。エイプリルフールだし、きっとお姉ちゃんも笑って許してくれる!
顔を洗い、食卓に行くと中学の制服に着替えたお姉ちゃんが席に座っていた。
「おはよう、お姉ちゃん!」
「…?おはよう。どうしたの?ニヤニヤして?私の顔に何かついてる?」
「実は…くすぐり効かなくなったんだ!だからお姉ちゃんのこちょこちょなんて効かないよーだっ!」
「……そう。ほら、早く朝ごはん食べなよ?冷めるよ?」
「え……あ、はい………」
思いの外そっけない態度で流され、逆にどうしようかと戸惑ってしまう。もう少しびっくりするかと思っていたけれど…もしかして、嘘の内容が悪かったのだろうか…
そうだ!今日学校に行ったら幼なじみにも同じ事を言って試してみよう。朝ごはんを食べて身支度を整え、街道の桜を見ながら小学校へと登校していた。
**
4年生になっても幼なじみと同じクラスで隣の席。
基本的にクラス替えもペア替えも無く、新しい学年になって教室が変わっても見慣れた光景に見える。
「おはよーー!!今日から4年生だよ!私がビシバシこちょこちょして躾してあげるから、覚悟してね♡」
「あの…その話なんだけどさ…」
「ん?どうしたのー?」
隣の席にいる幼なじみに、ひとまずお姉ちゃんについたのと同じ嘘を話してみることに。
「実は…こちょこちょが全く効かなくなった!」
「へ~??そうなんだぁ?じゃあ試してみないとねぇ?」
「え、あ、あれ……いやっ、ちがっ、ほ、ほんとだから…」
ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら、指をワキワキさせてゆっくりとこちらに近づいてくる幼なじみ。
思わず尻餅をついて後退りするも、あっさりと壁際に追い込まれて馬乗りされてマウントポジションを取られて上から見下ろされてしまう。
「はい、捕まえた~♪で?何だっけ?こちょこちょ効かないって言ったよね?じゃあどうして逃げようとしたのかな?おかしいよね?効かないんだったら平気なはずだよね?」
「いや…そ、それはその……」
理詰めで問われると何も言い返せなくなり、思わず顔を背けてしまう。
しかし、その態度がよくないと言わんばかりに首筋に指を添えられ…
「ほぉら、こちょこちょこちょこちょ~♪」
「っっひゃっっ!?ぁぁぁっあははっっちょっ、や、やめてっっっぁぁぁぁっっあははははははだめっっぁぁぁぁっひゃらぁぁぁっくひゅぐっひゃぃぃっぁぁぁぁぁぁっあはははははははははははははは!!!!」
「あれ~?こちょこちょ効かないんだよね?それなのに情けなく笑っちゃってはずかちいね~♪子供の遊びなのに我慢できないんだもんね?」
「ぁぁぁっう、うるひゃぃぃっぁぁぁぁっぁぁぁぁっあははははははははは!!!こ、こんなの余裕だしっっ!!ぁぁぁぁぁぁっへ、下手なこちょこちょなんて効かないぃぃっぁぁぁぁぁぁっあはははははやめてぇぇっっ!!!」
「へぇ~…そっかぁ?そんなこと言うんだぁ?じゃあこのままずーっとおかしくなっちゃうまで徹底的にこちょこちょしてあげるんだからね!後で泣いて謝ってもしらないから!」
両腕は身体の側面にピタリとつけた「気を付け」の状態で胸の上に乗られて脚で腕ごと挟み込まれる人力拘束をされて、10本の指で首筋をねちねちと包み込むようにこちょこちょされてひぃひぃ笑い悶えさせられる。
かろうじて自由な足をジタバタと暴れさせることしかできず、されるがままにこちょこちょされて上から顔をニヤニヤと覗き込まれてしまう。
くすぐったくて悔しくて、言い返すことも許されない。
今日はいつもより早めに学校に来ていた為、始業のチャイムが鳴るまで後20分以上……
もしかしたらこのまま教室で延々と教室でくすぐられ続けるのかもしれないと考えると背筋がゾクッと震えてしまう。
気付けば周りにクラスメイトの女子が数人集まってきて、ニヤニヤとこちらを見下ろしていた。
「皆もこちょこちょしてお仕置きするの手伝って!」
「うん♪もちろんいいよ~♪」
「じゃあ私足の裏こちょばしてあげるね~♪」
「両手押さえつけとくね!」
「うぐっ…や、やめてぇ!ごめんって謝るからぁ…!」
両手は万歳させられて背が高い女子に腕の上に乗られて押さえつけられ、足下では片足ずつ上に乗られて上履きを脱がされて土踏まずに指をセットされる。
幼なじみは腰の上辺りに馬乗りして、服の中に指を滑り込ませて脇腹をさわさわと撫で始める。
「ふふっ、皆準備できた~?」
「うん!いつでもいいよ~♪」
「じゃあこちょこちょの刑スタート♪ほぉら、こちょこちょこちょこちょ~♪」
「っっひゃっっっ!?ぁぁぁぁぁっや、やめてぇぇぇっぁぁぁぁぁぁぁっあはははははははは!!!!んぁぁぁぁぁっいゃぁぁぁっごめっっっんぁぁぁぁぁっあははははははははははは!!ごめんなさぃぃぃっぁぁぁぁっだめぇぇぇんぁぁぁぁぁぁぁっや、やめっっっんぁぁぁっくひゅぐっひゃぃぃぃっぁぁぁぁぁぁぁっあはははははははははは!!!!」
首筋や腋の下、脇腹、足の裏を一斉に情け容赦なくこちょこちょされて本気で笑い狂ってひぃひぃごめんなさいしてしまう。
自信満々に「くすぐり効かない!」とエイプリルフールのくだらない嘘をついてしまったことを心の底から後悔してももう遅い…
ドSで加減を知らない年頃の女の子4人がかりで弱いところをねちねちとこちょこちょされて、目にはうっすらと涙を浮かべて口の端から涎を垂らして何度も何度もごめんなさいしてしまう。
「ふふっ♪こちょこちょくしゅぐったいよね?よわよわぐらぐらざこざこだよね?それなのにどうして嘘ついちゃったのかなぁ?あ、もしかして私にくすぐられてお仕置きされたいからわざと嘘ついたの??ふふっ、それならそうと正直に言ってくれればいいのに~♪」
「ひぎゃぁぁぁぁっあはっっち、ちがっっっちがうからぁぁぁぁぁぁぁっあはははははは!!!ごめんなさぃぃっっう、嘘だからぁぁぁっこちょこちょ効くからやめてぇぇ!!」
「え?嘘なのは最初っからバレバレだよ?私はどうしてそんな嘘をついちゃったの?って言ってるんだけど?理解できる?」
「ごめんなざぃぃぃっぁぁぁぁぁっも、もう許してよぉぉっぁぁぁぁぁっあははははははは!!!!」
まるでお姉ちゃんにお仕置きされているかのような錯覚すら感じてしまうほど、幼なじみに何も言い返せずひたすら笑わされてしまう。
服の中で素肌をこちょこちょ~♪とくすぐられ、腋の窪みを直接爪先でカリカリと激しくくすぐられると息ができなくなるほど笑い狂って泣かされる。
いつの間にか靴下まで脱がされ、敏感な土踏まずをこちょこちょと細かくくすぐられて目の前が真っ白になる…
あまりのくすぐったさに発狂寸前。
教室に登校してきた他のクラスメイト達も、気付けば遠巻きに囲んで野次馬ができていた。
気付けば何人かの女子達は指をワキワキと動かして、くすぐりに加勢しようかと迷っている素振りだったが…
キーンコーンカーンコーン…キーンコーン…
「あ、もうこんな時間!よかったね?お仕置きはこの辺で勘弁しといてあげる♪」
「っはぁっ…はぁっ、んぁぁっ、た、助かったぁ……」
始業のチャイムが鳴ると、皆自分の席へと戻って人が捌けていく。幼なじみによしよしと頭を撫でられて起こされ、フラフラになりながらも新しい学年での生活をスタートしていった。
いくらエイプリルフールとはいえ、下手な嘘はつかない方がいいのだと、身を持って思い知らされたのだった。
**
「ただいま~」
今日は午前中で学校が終わり、お昼過ぎに家へと帰ってきた。どうやらお姉ちゃんはまだ帰っていないらしい。
家政婦の麗さんが作ってくれたお昼ご飯を食べて、特にすることもなく部屋のベッドで漫画を読んでいた。
少しお昼寝でもしようかと思っていると、玄関から物音が聞こえる。どうやらお姉ちゃんが帰ってきたようだ…
何となく嫌な予感がして、早く眠ろうと思い布団にくるまってしばらく経った頃…
コンコンコン、とノックの音がして扉が開けられる。
「あれ…寝てるの?起きてるよね?」
「………すぅ…すぅ………」
お姉ちゃんはベッドの上にきてそのまま身体の上に寝そべるように馬乗りされ、耳元で囁かれて必死に寝たフリを試みるも…
「こちょこちょこちょこちょ…」
「ひゃっっ!?あはっっっんぁぁぁっやめてっっんぁぁぁぁぁっくひゅぐっひゃぃぃっぁぁぁぁぁっあはははは!」
「ふふっ♪どう?起きた~?」
「ぁぁぁっお、起きたぁぁぁっ起きたからぁぁっな、何でくひゅぐるのぉぉぉっぁぁぁね、姉ちゃんやめろよぉぉ!!」
不意打ちで首筋をこちょこちょされて、思わずひぃひぃ笑い悶えて起こされる。
せっかく寝ようと思ってたのに……
「な、なに!?」
「ねぇ、今日の朝自分が言った言葉覚えてる?」
「今日の朝………?えっと~…あっ…こちょこちょ効かない…」
「うん、そう言ったよね?それなのにどうしてさっき私にこちょこちょされて笑っちゃったのかな?嘘ついたってことだよね?この私に。」
「ひっ……え、えっと…だ、だってそれはエイプリルフールだから…!」
「エイプリルフールだったら私に嘘をついても許されると思った?人生そんなに甘くないんだよ?」
「ぅぅっ…い、いや…その…ごめんなさぃ…」
お姉ちゃんに顔を覗き込まれながらお説教され、素直にごめんなさいして反省した態度を示す。
もしかしたらこのまま許してくれるかと微かな期待を抱いていたが、お姉ちゃんの言うようにそう甘くはないらしい。
「う~ん…反省してるみたいだから、お仕置き部屋に連行は勘弁してあげる。」
「ほっ……助かった…」
「その代わり、馬乗りで30分こちょこちょ地獄の刑ね。ほら、こちょこちょこちょこちょ~」
「な、なんでそうなっっひゃっっんぁぁぁぁぁっいひゃぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっあははははははは!!!?ご、ごめんなしゃぃぃぃっぁぁぁぁぁっあはははははははは!!!!」
既視感を覚えるくすぐったさと状況…
両腕は布団の中で身体の側面に付けたまま、その上からお姉ちゃんに馬乗りされて半簀巻きのような形で拘束されてねちねちと首筋をこちょこちょされてしまう。
布団がからまって足をバタつかせることもままならず、顔を見下ろされながら10本の指で首筋を包み込まれ、耳元で「こちょこちょ」囁かれながらくすぐられてひぃひぃごめんなさいして笑い悶えてしまう。
「ひゃぁぁぁっんぁぁぁっごめんなひゃぃぃっぁぁぁっあははははははは!!!!も、もう二度と嘘つかないからぁぁぁぁぁっぁぁぁゆるしてぇぇぇっぁぁぁぁっあははははは!!」
「嘘つかないのは当たり前のことだよ?まぁ、エイプリルフールの午前中ならいいけど、もうちょっとマシな嘘つけないの?誘い受けにしか聞こえなかったよ?」
「ち、ちがっっっんぁぁぁぁっそんなんじゃないからぁぁぁぁぁぁぁっあはっっぁぁぁぁぁっあははははははは!!ばかぁぁぁぁっお、お姉ちゃんのバカぁぁぁっい、意地悪ぅぅっっっっ~~!!」
「言ったそばから…そんなに私にこちょこちょされたかったんだね…逆にごめんね?お仕置き、後1時間延長して徹底的にくすぐってあげるから。」
「ひぃぃぃっっな、なんでそうなるのぉぉぉぉ!!?」
顔は涙や涎でぐしゃぐしゃになり、全身汗だくで息絶え絶えになるまでお姉ちゃんにこちょこちょされてしっかりとお仕置きされる羽目に。
来年のエイプリルフールは絶対にもっとマシな嘘にしよう…そう心に誓いながら気絶したように眠りに落ちたのだった。