「これでお終いです!」
赤い女神が両手を胸の前でクロスさせると、そこから赤いビームが真っすぐ放たれる。それは怪獣に向かって真っすぐ伸びていって、
「うぎゃぁああああああああ!!!!」
ビームを食らった怪獣が断末魔の咆哮をあげ、怪獣が灰になって消えていった。
激しい戦いで街は破壊されていた。傷ついた者も多数いた。だが、
「ありがとう!赤い女神!!」
「ありがとう!!」
「ありがとう!!!」
避難所から出てきた人々は、正義の女神を見上げて歓声をあげた。
誰もが赤い女神が起こした奇跡に感謝し、安堵と喜びを享受していた。
ルシアは、少し恥ずかしそうな笑みを浮かべて、赤い流星となり飛び去っていった。
・・・・・・・・・
その様子を、何者かがモニター越しに見つめていた。
この星の遥か上空、宇宙空間に浮かぶUFOの中に彼らはいた。
無数のモニターが闇に浮かんでいる。それら全てに、怪獣と戦う赤い女神・・・ルシアの姿が映っていた。一番大きいモニターにはルシアの全体図が表示されていて、様々な数字のような文字列がその周囲に記されていた。
「最後のピースがこれで埋まりましたな・・・」
「えぇぇ・・・これで彼女は完全に丸裸・・・我々の手の打ちということですよね。」
彼らはここ数年・・・ルシアを観察し、分析し続けた。彼女の強さ、弱さ、ありとあらゆる全てのデーターを収集し、分析しつくしていた。
「そろそろ最後の仕上げといこうか・・・」
そう言って一人が見上げた先には、培養液に浸かった生物の姿。
「『エンジェルイーター』・・・あの守護神を倒す為だけに作られた最高傑作・・・ふふふふ・・・ははははははは・・・あははははははははははははは!!!!」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「ババゴンヌ・・・はどうかな?」
特殊自衛隊基地内の食堂で、雨宮イノリ隊員は目の前の少女、ルシアに言った。
「あ・・・うん・・・そうね・・・とても素敵だと思うわ。」
ルシアは少し困ったような顔を一瞬見せながら、必死に笑顔を取り繕ってこたえた。そう答えながら、無意識のうちに手元にあるカレーのルーとご飯をこねるように混ぜていた。
「でしょ?強さの中に優雅さがある感じじゃない?」
「えっと・・・そうね・・・うん・・・でも・・・あの・・・そうね・・・素敵な名前だと思うわ・・・うん。」
「でしょ?・・・よかったぁ・・・気に入ってもらえなかったら、どうしようと思ってたの。それじゃぁ、ルシアちゃんが変身した時の名前はババゴ・・・」
「先輩、何言ってるんすか。よりによってババゴンヌは無いでしょ。ババゴンヌは。」
今年入隊したばかりの新人の男が、味噌ラーメンとミニかつ丼のセットを載せたお盆を持って会話に入って来た。
「でも、まぁ、イノリちゃんが一生懸命私の為に考えて来てくれた名前だし・・・」
ルシアはそう言いながらも、心の中では彼に感謝をしていた。
窓の向こうでは小鳥たちが春を謳歌するように鳴いていた。柔らかい日差しが新緑を透かして、木目調の床にぼんやりとまだらの影を落としていた。
―――最悪の怪獣・ギガントクルスの襲撃で、特殊自衛隊は大きな被害を被った。死傷者数・破壊された設備・武器・機動力・それらの数字では表せないほど、深い傷を彼らは負ってしまった。
だが、あの時、特殊自衛隊は、いや、人類は、大きな希望を得た。
どんなに傷ついても諦めずに戦う赤い女神・・・ルシアの姿は、テレビによって世界中に中継され、その雄姿は人々の胸に大きな希望の炎を灯した。
それから5年、ルシアは特殊自衛隊の正式な隊員となり、怪獣と戦い続けた。信頼と協力を得ながら、人類を守り続けた。
「あの・・・みんな私の事を『赤い女神』と呼んでくれるんだけど・・・」
ある時、ルシアがおずおずと口を開いた。
「その・・・『女神』とか・・・あの・・・仰々しくて・・・その・・・出来れば別の・・・か・・・ゕゎぃぃ・・・名前がいいかなって・・・その・・・」
その発言に、ルシアの親友、雨宮イノリは、
「そうなの!分かった!!それならこのイノリちゃんにドンと任せなさい!!超カッコいい名前を考えてあげるね!!!!」
「え?・・・あの・・・その・・・でも・・・出来ればゕゎぃぃ・・・」
「遠慮することないわよ。私に任せて頂戴!ね?」
「あ・・・うん・・・お願いね・・・イノリちゃん・・・」
そんなやり取りがあってから、雨宮イノリはずっと変身後の、戦闘時のルシアの名前をずっと考えていた・・・・・・・・・
―――ソースをドバドバとメンチカツにかけながら、イノリは
「じゃぁ君は何かいい案があるわけ?」
と、つっけんどんに後輩に言った。
「もちろん!めっちゃ可愛い名前がありますよ!」
それを受けた後輩の男は、自信満々だった。
「けっ・・・可愛い名前なんて・・・あのね・・・私達が求めているのは「何て名前?聞かせて?」
イノリの言葉を遮って食らいついて来たルシアに、新人隊員は得意気に、
「セイラ!」
と答えた。
「何それ。あんたの妹の名前じゃん。」
ビュビ・・・ビュビ・・・ソースが切れた容器が情けない音を出す。
「でも可愛い名前でしょ?名前だけじゃなくて、実際に可愛いんですけどね。」
「あ・・・あはははは・・・流石にあなたの妹さんの名前を名乗るのは・・・」
そう言いつつも、最悪ババゴンヌになるよりは・・・ルシアは密かにそう思っていた。
「あ、そう言えばそうっすね。」
「片桐、あんた頭悪いでしょ。」
「でもハートは熱いですよ。」
「片桐君の妹さんなら、きっと楽しい子なんだろうなぁ。いつかお会いしたいなぁ。」
「マジっすか?それなら・・・」
ブーブーブー
突如けたたましいアラームが鳴り響く。
三人は目と目を合わせて走り出す。
後に残されたのは、こねくり回されたカレーライスと、ソースでビショビショになったメンチカツ定食。そしてほとんど手つかずの味噌ラーメンとミニかつ丼のセット。
怪獣は食事中だろうが構わずやって来る。こんなことは、ごくありふれた日常の一コマだった・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
海辺の再開発地域。ゴミを埋め立てて作っただだっ広いそこは、これから新たな臨海都市が出来るその予定地だという。
現れたのは、頭が魚の人型怪獣。全体をヌメヌメとしたウロコで覆われている。強烈な腐臭を放ち、だらしなく開かれた口や、ウロコとウロコの隙間からは、細い触手のようなモノが見え隠れしている。
対峙した時、ルシアは不快感に思わず眉を寄せた。
・・・だめよ・・・見た目で相手を否定するのは・・・どんな相手でもまずは友好的に・・・
「ゲゲゲゲゲゲゲ・・・てめぇ乳が小さいから、前向いてるのか後ろ向いてるのか分からねぇな!」
「バーーニングフレイル!!!」
前に突き出したルシアの手の前方に巨大な火の玉が現れ、怪獣を呑み込んでいく。
何の前触れもない突然の攻撃。これをもし狙ってやったのだったら、ルシアは相当な戦闘力の持ち主といえよう。
「ぐぁああああああああ!!!!」
紅蓮の炎の中で苦し気な声をあげる怪獣。
だが、ルシアは警戒を緩めない。むしろその表情は緊張に強張っていく。
「分かっています。戯れはやめて下さい。」
ルシアの言葉に、
「ゲゲゲゲゲゲ・・・そうかいそうかい?少しは希望を持たせてやろうと思ったのだが、余計なお世話だったかな?」
炎の球は、怪獣に吸収されるようにかき消えていった。
『ルシアちゃん!!!』
特殊自衛隊の戦闘機が、戦車がやって来る。
だが、
怪獣に迫った戦闘機の目の前から急に怪獣が消える。レーダーを確認するとルシアや怪獣は後方に・・・いつの間にか通り抜けてしまっている。
それは戦車も同様で、ルシア達のいる空間をすり抜けてしまう。砲撃の球も、機関銃の弾丸もすり抜けてしまう。まるで赤い女神と怪獣を見えない異次元のドームが覆っているかのようだ。
「どうなってるんっすか!!!」
新人隊員、片桐シュンが戦闘機の中で叫んだ。
「落ち着いてシュン君!私達に出来ることを探るの!!!」
先輩隊員、雨宮イノリはそう言ったが・・・人知を超えたこの結界に対して、人類が成す術などあるはずも無かった。
仲間の援護を当てにできない・・・ルシアは、一人で怪獣を相手にしなければいけない。先ほど怪獣にルシアのエナジーを込めた攻撃が通用しなかった。ならば近接線しかない・・・だが・・・
ルシアは清らかな天使・・・そのカラダを汚されることは、それだけで彼女を苦しめてしまう。
ならばどうすればいい・・・どうすれば勝てる・・・いや・・・戦いになるのか・・・
目の前の怪獣は、対峙すれば自然にそれが伝わってくるほどに強い。
だけど・・・
ルシアは
「えぇ、余計なお世話です。希望は与えられるものじゃなくて、自分で掴むモノですから。」
そう言ってニコリと微笑んだ。
勿論なんの希望も見えてはいなかった。
奇跡にすがるしかなかった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
ルシアが苦しげに息をする一方で、怪獣は
「ゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・どうした?俺はまだ何もしちゃいないんだが?」
そう言って両手を広げた。
事実、怪獣はまだ何一つしていなかった。ルシアのパンチやキックを涼しい顔で受けきって、不敵に笑っていた。
一方のルシアは・・・腐臭を放つベトベトの汁にカラダ中を汚されながら苦しんでいた。近距離攻撃を仕掛ける度に、怪獣の体から汁が噴き出し、それがルシアをジワジワと汚し追い詰めていった。
そんな苦しい思いをしても、怪獣には打撃が通用している様子がまるでない。実際殴っていても、ブヨブヨとした感触を受けるだけで、一切の手ごたえも無いのだ。
だからと言って、遠距離攻撃・・・エナジーを使って攻撃しようにも・・・
「ファイヤーカッター!!!」
エナジーを刃にして向かって放つ!だが怪獣は避けることも防ぐことも出来ずに、赤い刃を胴に受ける。
スー――っと、スポンジに水が染み込むように赤い刃は怪獣に吸収されていった。
・・・あぁぁ・・・やっぱり・・・
分かってはいた・・・エナジーが通じないことは。分かってはいたのだ。だが、それが何かの間違いだという可能性、ほとんど存在するはずの無い可能性に賭けてしまった。賭けることしか出来なかった。
「ゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・無駄だ無駄無駄・・・俺はお前を倒す為だけに造られた。お前を苦しめる為だけに生まれた。俺の体はお前のエナジーの周波数と同調している。だから一切の攻撃は無駄なのだぁ!!!」
・・・私を倒すために造られた?
ルシアは、自分に向けられた得体の知れない悪意に背筋が凍った。
・・・私のエナジーの周波数と同調?・・・そんな・・・いったいどれほど私の事を調べたの?どれほど私を研究しつくしたというの?・・・あぁぁああ・・・そんなの・・・
考えれば考えるほど、絶望の沼にズブズブと沈んでしまいそうになる。
「そう言えば、自己紹介がまだだったな。俺の名前はエンジェルイーター。お前を汚し、辱め、そして喰らう為にここに来たのだぁ!!!」
エンジェルイーターと名乗った怪獣は叫ぶと、口からドロドロのヘドロのようなモノを噴き出した。
「くっ・・・オーラバリア!!!」
両手を水平に伸ばし、、前方に四角いバリアを張る。今までどんな攻撃も通したことの無い、最強の盾。
だけど・・・
ブシュウウ―――!!!
放たれたヘドロはまるでバリアなど無いかのように擦り抜けていく。
・・・しまった・・・私のエナジーと同調しているという事は・・・バリアも通用しないというの?
そう思った時にはもう遅かった。バリアを解除して腕でガードする暇なんてあるわけがない。ドロドロのヘドロが、ルシアの無防備な胸に・・・ささやかな双丘にへばり付いた。
「んぁああああああああああ!!!!」
カラダをのけ反らせてルシアは悶えた。脚がガクガクして今にも倒れそうになってしまう・・・
「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・知ってるんだよ。俺はもう知ってるんだよ。お前の弱点は胸・・・そして汚されること・・・胸を汚されるのは・・・苦しいよなぁ。」
「うぅうう・・・くぅう・・・ぁぁぁぁ・・・」
胸をヘドロが汚し侵食していく・・・細胞の一つ一つが犯されていく様な苦しみに弱点が襲われ続ける。
「んぅぅぅ・・・くっ・・・これくらいで・・・勝ったと思わないで・・・」
「ゲゲゲゲゲゲ・・・勝ったとか負けたとか勘違いするんじゃねぇぞ・・・もともと勝負になってねぇんだよ!!!」
エンジェルイーターが手をワキワキさせながら突っ込んでくる。その両手の指の一本一本のさきから細い触手がウネウネと蠢いている。
セイラはその悍ましさに怯みそうになる。瞬間、脚にエナジーを込めて背後に跳びのいた。
とりあえず距離をとって様子を見る・・・そう言う判断だった。
だが、
ガシっ!
何者かに背後から抱きつかれた。
「ゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・逃げらると思ったのか?」
むわっと腐臭を漂わせながら、ルシアの耳元でエンジェルイーターは囁いた。
背後に飛びのいて、距離をとったはずなのに・・・なぜか後ろにそれはいたのだ。
「な・・・うぁぁ・・・ど・・・どうして・・・」
問いかけながらルシアは、特殊自衛隊の戦闘機や戦車が通り抜けた光景を思い出していた。
外からは空間をすり抜けるようにして入れない・・・それなら・・・
「くっ!!」
ルシアはエナジーで赤いナイフを数本作り、前方へと投げた。
ナイフは空中のある部分で消滅し、ルシアを捕らえているエンジェルイーターの後頭部目掛けて真っすぐ飛んでいく。
・・・こう言う事よね・・・
だが、それらは怪獣の頭部に当たるとスー―――っと吸い込まれるように消えてしまう。
「ゲゲゲゲゲゲゲ・・・無駄だって言うのが、分からないかなぁ!!!!」
背後から小さな胸をもみくちゃにされて、耳にむしゃぶり付かれる。
「はぁああ・・・んぁ・・・あぁぁあああああ・・・」
ぐちゅりぐちゅりと、音を立てながら耳が犯される。手から分泌される液をネットリグッチョリと塗り込まれながら、ウロコの間から顔を出した触手に胸をいじくられる。
望まぬ愛撫に乳首はいきり立ち、それが一層凌辱者の嗜虐心をたかぶらせ、責めが激しくなっていく。
「ひぁ・・・んぁああ・・・やめ・・・あぁぁ・・・」
脚がガクガクするほどの悦虐に立っていることも出来ずになり、エンジェルイーターのヌメヌメした胴体にカラダを預けるようにもたれかかってしまう。粘液と触手に背中やお尻を嬲られてしまう。
「んくぅぅ・・・あぁぁ・・・ん・・・」
エンジェルイーターは、ルシアの感触を愉しむようにグイグイと体を押し付けてくる。触手がお尻を撫でまわし、割れ目と秘豆へ伸びていく。
「ひぁ・・・やめ・・・くぁぁ・・・」
成すすべなく辱められながら、正義のヒロインはピクンピクンとカラダを震わせ、艶めかしい声をあげていく。
「これもお前の弱点なんだろう?知ってるんだよ・・・ゲゲゲゲゲゲゲ・・・性感を苦しみに感じるらしいな。可哀そうだなぁ・・・ゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・」
「こ・・・こんな拙い愛撫・・・私じゃなくっても不快なだけよ・・・っ!」
「ゲゲゲゲゲ・・・そういう生意気なところ嫌いじゃないぜ!」
ヌルヌルジュルジュル・・・ルシアを嬲る手つきが、触手の動きが変わった。激しく、そして的確な責めで、ルシアを苦しめていく。
「んぁぁあああ・・・ゃ・・・んぁあああああ・・・」
「お前のカラダは把握済みなんだよ。どこをどう弄ったら、どう鳴くかもなぁ・・・」
ドロドロに汚される苦しみと、性感帯を的確に責められる苦しみ・・・そして屈辱感と羞恥心と・・・必死に無視しようとしているが、確実に自らの身の内で燃え上がっているマゾヒスティックな昂りに突き上げられ蕩けそうになり、どうしようもなく艶めかしいダンスを舞ってしまう。
まるでもっと虐めて欲しいとオネダリするかのような妖艶なその姿に、怪獣の嗜虐心は一層燃え上がり、淫らな天使を責め立てていく。
「んく・・・ぁぁ・・・やめ・・・いゃ・・・これ以上は・・・もう・・・ぁぁあああ・・・」
もはや、ルシアはエンジェルイーターにとってただの玩具に過ぎなかった。辱め汚し蹂躪し喘がせるだけの、生きた性具に過ぎなかった。
「いあぁ・・・うぅう・・・こ・・・このぉ!!!」
ルシアが赤い刃を前方に放った。それは空間を歪める結解によってワープして、怪獣の後頭部へと向かって行く。
悪あがきをしやがって・・・エンジェルイーターは思った。そうやって悪あがきをするしか無い哀れな獲物を、愛おしくすら思った。
もう、この美しい天使は俺のモノなのだ。時間をかけてたっぷりジックリ楽しんでやる・・・
そう思っていた怪獣の後頭部に、
グサリ!!!
赤い刃が刺さった。
それはあり得ない事だった。
エナジーを使った攻撃が刺さるなど、どんな奇跡が起きても生じ得ないハズだった。
「ギィイイイイイヤァアアアアアアアアア!!!!!!!痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!!!なぜだなぜだ!!!!こんなことあり得ないはずなのにぃいいいい!!!!」
ルシアのカラダを突き飛ばし、自らの後頭部に手をやるエンジェルイーター。そこに刺さっていたのは鋭く削られた石。エナジーによって構成された刃ではなく、実際に物理的に存在する石。それはエナジーでコーティングされていて、ルシアが何度も無駄に投げた赤い刃と同じような見た目に加工されていた石だった。
ルシアは、激しい責めに悶え喘ぎながら、密かに拾った石を少しづつ、エナジーを利用して研いでいたのだ。
無駄に思われた攻撃も、全てこの一撃への布石。相手を油断させて、確実にこの一撃を決める為の伏線だったのだ。
「小癪な真似を!!!貴様は俺の玩具なんd・・・」
怒りと屈辱に興奮するエンジェルイーターの喉を、ルシアの手が掻っ切った。いや、正確には、鋭く尖らせた石を手のひらに隠して、それで傲慢な愚か者の首を切ったのだ。
「ぐはぁああああああああああ!!!!!」
壮絶な断末魔をあげて、怪獣は灰になり消えていった。
「ぜはぁ・・・ぜはぁ・・・ぜはぁ・・・」
ルシアは、膝をついて苦しげに喘いでいた。
・・・あぁぁ・・・相手の油断を誘って・・・なんとか勝てたわ・・・早く基地に帰って・・・シャワーを浴びたい・・・あ・・・あと片桐君にお礼を言わなきゃ・・・片桐君がいなかったら私・・・ババゴンヌだったから・・・それからイノリちゃんと・・・お茶をして・・・
戦いは終わった・・・勝利に安堵するルシアの顔が、すぐに曇った。
ピシピシっ・・・ピシピシ・・・
ルシアを取り囲むように、突如空間の断裂が・・・縦に長く裂けた断裂が5本現れて・・・
「「「「「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・・・」」」」」
その一つ一つから声がする。悍ましい指が、手が、断裂の奥から現れて、メリメリメリと空間を引き裂いていく。
「そ・・・そんな・・・嘘・・・」
異臭がルシアを包んだ。ポタリポタリと、液体が音を立てて垂れている。先ほどと同じ・・・いや、先ほどの個体よりも異臭が酷く、体から腐った汁がとめどなく溢れ垂れ続けている。ウロコの隙間から顔を出している触手はより激しく蠢いている。
「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・出来損ないを倒したくらいでいい気になってんじゃねぇよ。」
明らかに先のエンジェルイーターよりも悍ましく、凄まじい力を感じる。それが、5体も・・・
「あぁぁ・・・うぅ・・・くっ・・・何人来ようが・・・負けません・・・」
必死に自分を鼓舞して、立ち上がろうとするけれど・・・
ピコーーーンピコーーーンピコーーーンピコーーーン・・・
胸元のオーブが警告音を響かせながら点滅を始める。
「あぁあああああ・・・」
苦しげに身をくねらせ、地面に手を付いてしまう。
「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・エナジー不足で苦しそうだな。」
「このまま何もせずに、お前が苦しむ様を眺めるのもいいかもな。」
「ば・・・馬鹿にしないで・・・あんっ!」
ルシアの両腕を左右のエンジェルイーターに掴まれて、無理矢理バンザイの姿勢を取らされてしまう。
チュル・・・チュルグジュル・・・
エンジェルイーターが、ルシアの可憐な手を口に咥え、指の一本一本を触手で舐り、腐水を丹念にすり込んでくる。
「んぁぁ・・・く・・・うぅ・・・」
「ゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・指しゃぶられただけで感じてるんじゃねぇぞ。」
エンジェルイーターは、ルシアの前方に二体、後方に一体いる。それらが、頬を膨らませて、ナニカを吐き出そうとした。
「や・・・やめて・・・それは・・・あぁああああ!!!!!」
ヘドロが・・・先ほど受けたソレとは比べ物にならないくらいの濃厚なヘドロが・・・ルシアを前後から汚していく。
ベチャぁあああ!!!!
「ぃぁああああああああああ・・・・・・」
首筋をのけ反らせ、ルシアは喘いだ。
滑らかな背中をベットリ汚し、ツー――と伝いながら柔らかなお尻を蹂躪していく。前方は左右それぞれの小さな胸を狙い撃ちにされ、ネットリとした濃さを持って胸に絡みつき、少女の弱点を舐り嬲っていく。
「んあぁああああああああ・・・」
勝てる見込みの無い相手を倒したと思ったら・・・それがすぐに五体も現れて・・・
少女に、もう一度奇跡を起こせと言うのはあまりにも酷な話である。ならば、正義のヒロインは、されるがままに汚され悶え喘ぐしかないのだろうか。
ピコンピコンピコンピコン・・・
オーブの警告音が激しくなり、ルシアをさらに追い詰めていく。
運命が、丁寧に丁寧に逆転の芽をむしり取っていく。
・・・あぁぁ・・・だめ・・・このままじゃ・・・あぁぁ・・・
このままじゃ、良いように弄ばれて玩具にされてしまう・・・だけど・・・ルシアには何も成す術はないのだ。
ジュルジュルジュル・・・
「うぁああああああああ・・・」
指をしゃぶっていたエンジェルイーターがかがみ込み腋にしゃぶりついた。
「んぁぁあああああ・・・」
腋と、小さな乳房の境目をデロデロと触手で散々味わってから、
デロォオオオ・・・
ヘドロを直接吐きかけた。
「ひぐぅ・・・ぁぁあああ・・・」
ピクンとカラダを震わせ身悶えるルシアのうなじに、ささやかな双丘に、エンジェルイーター達が口をつけた。
「や・・・やだ・・・やめ・・・あぁぁ・・・」
すぐ後に襲ってくる最悪な未来に、ルシアは怯え震えた。
・・・あぁぁ・・・そ・・・そんなことされたら・・・私・・・
デロデロデロォオオオオオ
ルシアの弱点に口をつけたエンジェルイーターが、ヘドロを吐き出した。直に清らかなカラダが汚らわしい汚物に穢されていく。犯されていく。貶められていく・・・
「あくっ・・・んぁ・・・あぁぁ・・・だ・・・だめぇ・・・」
ピコンピコンピコン・・・ピ・・・ピ・・・
「ぅぁ・・・ぁぁ・・・あぁぁ・・・」
激しく鳴り響いていたオーブが沈黙し、一切の輝きを失った。
項垂れたルシアは今、戦う力を全て失い、責め嬲られ苦しみ悶える為だけの存在となってしまった。
「あぁぁぁ・・・いやぁあああ・・・」
・・・あぁぁあ・・・私・・・もう・・・
ブジュウウウウ・・・・
そんなルシアをさらに苦しめようと、エンジェルイーターが再びヘドロをゼロ距離で吐き出した。
「ひぐぅうううううう・・・ぁああああああああ・・・」
先ほどまでとは比べ物にならない・・・まるで地肌を直接責められているかのような苦しみにがルシアを襲う・・・
「んンぁ・・・ま・・・負ける・・・わけには・・・」
ルシアはそう言いながら・・・自分でも分かっていた・・・もう勝ち目なんかないと・・・諦めない限り・・・無駄に苦しむ時間は長くなるのだと・・・
でも・・・それでも・・・
「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・そう言いながら・・・敗北のヒロインごっこを愉しんでるんだろ?・・・自分自身を高めて・・・堕とされて・・・そう言うのがいいんだろ?」
耳元でそう囁かれて・・・
「ち・・ちがぅ・・・そんなこと・・・あぁぁああ・・・」
耳の中を・・・カラダ中を・・・ヘドロだけではない・・・触手も這いずり回って・・・
希望の光なんて一筋も見えない泥の中で、ルシアの口からはエロチックな声が漏れつづけていた・・・
● ● ● ● ● ● ● ● ●
まるで深い泥沼の中に沈み込んでいるように感じた・・・ルシアは、息をするだけで苦しい・・・心臓が鼓動するだけで苦しい・・・生きているだけで、壮絶な拷問を受けているかのような生き地獄の中で、その身を汚され続けていた・・・
・・・あぁぁ・・・いぁぁ・・・も・・・もういっそ・・・楽になれたら・・・
『だめ!!!』
誰かの声がした。
『ルシアちゃん・・・諦めないで・・・』
その声は、まるで血の池地獄に垂らされた蜘蛛の糸のように思えた。
『負けないで!!!』
ハッキリと・・・声がルシアの心に響いた。
・・・あぁぁ・・・これは・・・イノリちゃんの声だ・・・
『お願いだ!立ち上がってくれ!!』
『あんな怪獣やっつけてくれ!!』
『カッコいい姿を見せてくれ!!』
・・・・・・・・・
雨宮イノリだけではない。様々な人の願いがルシアの耳に届いた。
それは、ずっと・・・ルシアが責められている間ずっと発せられていた声だった。
一つ一つはか細い声だった。長い時間、絶え間なく、何度も何度も諦めることなく声を出して・・・そして・・・今やっと、深い苦しみの泥沼の中で悶えているルシアに届いたのだ。
魂に、届いたのだ!!!
ぼぅ・・・
輝きを失ったオーブに光が灯る。
・・・みんな・・・ありがとう・・・私は・・・私は・・・
「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・無駄だ・・・お前のエナジーは解析済みなんだよ!!」
だが、彼女の事を研究しつくした結果生み出された凌辱者は、なんの慈悲も持ち合わせていなかった。エンジェルイーターが汚い手で、ルシアのオーブを掴み握り潰そうとすした。
だが・・・
「痛たたたたたたたたたたたたたた・・・な・・・なんだコレハ・・・」
オーブを掴んだ手が真っ白に凍り付いている。
ルシアのエナジーと同調したハズのその手が、パキンパキンと砕けていく。
「何をしてるんだ貴様は!!!!」
「はぁ?・・・それはこっちのセリフよ・・・あんた達・・・よくもやってくれたわね!!!」
ルシアの様子が変わった・・・それはエナジーが回復したからではない。明らかに別人の顔つき、別人の声色。
真っ赤だった模様は青くなり、模様の形も変化している。青くなったのは模様だけではない。髪の色も綺麗な青に染められている。
どこか儚げだった雰囲気が、活発で溌溂としたものに変わった。
胸の大きさ以外全てが別人のようになっている!!!!
エンジェルイーターに囲まれているため、外からはその変化の様子が全く見えない。だが、その変化を目の当たりにしている凌辱者達は、あまりの出来事に身動きすら出来ずにいる。
「な・・・あ・・・お前は誰なんだ・・・」
「何言ってるの!?私は私よ!!あんた達に私の力が効かないから、気合で色々変えたの・・・あぁああもう面倒くさい!まとめて全部凍り付いて砕けちゃえ!ギガフリー―――ズ!!!!」
その元気な声と共に、
ボンっ!
人々は青い火柱のようなモノがあがるのを見た。
その次の瞬間に、五つの氷の彫像と、その中央にいる赤い女神。
ミシミシ・・・ミシミシ・・・パキ―――ン・・・
趣味の悪い氷の像が砕け散り、夕日を反射させながらキラキラ輝き消えていった。
「はぁ・・・はぁ・・・あれ?・・・私・・・一体何を・・・」
ルシアは戸惑い周囲を見渡した。さっきまで自分を責め立てていた異形がすっかり姿を消している。
・・・私・・・勝ったの・・・いえ・・・多分まだ・・・終わっていない・・・
何か嫌な予感がする。まだ油断はできない。全身の細胞が、警告を発し続けている。
『俺はお前を倒す為だけに造られた。』
エンジェルイーターと名乗った怪獣はそう言った。造られたのならば・・・誰に?
凄まじい悪意を持ってあんなに恐ろしい怪獣達を造ったモノがいる・・・怪獣をけしかけて弱らせて・・・
・・・もし私が悪意を持ったモノだったならば・・・この隙を逃すはずがない・・・
突然、黒い稲妻のようなモノが走った。それは真っすぐにルシアのオーブに向かって来て・・・
ばちっ!!!
ルシアはそれを咄嗟に右手でガードした。
「くぅ・・・」
『ふふふふ・・・思った通りだ・・・君は実に素晴らしい・・・』
何者かの声が響いた。
続いて、
何もない空中にブオンと幾つものモニターが現れた。大きいモニター。小さいモニター。縦長のモニター横長のモニター・・・それぞれのモニターの向こうに、赤ちゃんの様な・・・一番似ているのは、某マヨネーズ会社の赤ちゃんみたいな天使のマスコット。違うところと言えば、目が昆虫の複眼のようで、額から二本の長い触角が伸びている所と、背中にハエの様な大きな羽が四枚付いている所。
「エンジェルイーターを六体も破壊してくれるとは思わなかったよ。これはデータの書き換えが必要だな。」
そんな事を言いながら、モニターの向こう側にいたソレらが、いつの間にかシームレスにこちら側に現れていた。
モニターはいつの間にか無くなっていたが、大きいモニターから出てきた個体はそのまま大きく、小さなモニターから出てきた個体はそのまま小さく、縦長のモノ、横長物の、サ大きさがバラバラなソレラが、ざっと十体以上・・・ルシアを囲んでいた。
「初めまして・・・『赤い女神』・・・だったかな?我々はギーア星人・・・宇宙の均衡を守る者でありたい・・・そんなモットーを掲げている頑張り屋さんだよ。」
一番小さい・・・人間と同じくらいのサイズの個体が偉そうに胸を張りながらそう言い放った。
「その頑張り屋さんが・・・一体何の用?」
「君の力を・・・そのカラダを・・・我々のモノにしにきた。あとは仕上げの作業が残るのみだよ。」
「そう・・・やれるものならやってみなさい!!」
「そう言って君は、先ほど攻撃を受けた右手にエナジーを纏わせて、私を薙ぎ払おうとする。」
スカっ!エナジーを纏った右手が空を切る。小さなギーア星人は最小限の動きで、避けたのだ。
「そのまま右手を地面に置き、左脚を踏み出して立ちあがろうとするよね。」
別のギーア星人がそう言って、軽い電流を放った。
「つぁ・・・」
右手に電流を受け、体勢を立て直そうとするのを邪魔されてしまう。
・・・な・・・なんなの・・・まるで私のこk・・・
「違う違う・・・心を読んでいるのではないよ。全てデータから導きだされているのだよ。数学と物理・・・偉大なる科学の力じゃよ。」
その言葉に続いて、二体のギーア星人に左右の腕を捕られてしまう。力は弱いのだが・・・
「不思議でしょ?どうあがいても振りほどけない。」
「簡単な話さ。君の力の使い方は解析されているんだ。あとはソレを阻害するように頑張ればいいって話さ。ボクたちは頑張り屋さんだからね。」
「うくっ・・・そんな・・・くっ・・・」
そんなに強く抑えられているわけでは無いのに、捕らわれた腕はピクリとも動いてくれない。押せば同じ力とタイミングで押し返され、引けば同じ力とタイミングで引っ張られる。力を力で打ち消されて霧散していくかのような、そんな風に感じてしまう。
「どうだね・・・これがデータの力だよ。」
一番小さいギーア星人が得意気に言い放った。
「はぁ・・・はぁ・・・こんなの・・・すぐに振りほどいて・・・ぅく・・・」
「君は戦う前から既に敗北していたのだよ・・・君が我々に勝つ可能性は0.001%にも満たなかった・・・それでも多く見積もった方さ・・・そしてこれで・・・完全に0になる。」
最小のギーア星人の手のひらの上で、黒い光球・・・黒く光るというといささか奇妙だが、そう表現せざるを得ない光球が現れた。
ルシアの心臓がバクンバクンと高鳴る。
なんだかとても嫌な気がする・・・これはとても危険なモノだ・・・彼女の魂が全力で警報を鳴らしている。
だけど左右の腕を捕らえられていて動きを封じられている。膝立ちのまま無防備に胸を晒しながら、脅威を前に何も出来ない。
「これで君の物語はお終いだ。」
その言葉と共に、ギーア星人は黒い光球をルシアに向けて放った。
それは胸元のオーブに当たって・・・
「うぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
最初まるでエナジーを吸われていくかのような、激しい性感を伴った脱力感のような感覚だった。だがそれは次第に内側から焼かれるような、それでいて凍てつくような苦しみに変わり・・・ザワザワと何かが中で蠢いてるような感覚と・・・
形状しがたいのだが、ルシアは自分の存在が根本から否定されるような、そんな苦しみに襲われた。最初はこれが死の苦しみなのかと思った・・・だが、これが死の苦しみなのならば・・・生あるものが必ずこの苦しみを味あわなければならないのだとしたら・・・あまりにも過酷に過ぎる・・・こんな苦しみを受けるのは・・・私だけで十分・・・激しい苦しみの中で喘ぎながら、ルシアはそう感じていた。
「ああぁぁっ・・・んくぅう・・・ぁぁああああああああ!!!!」
今すぐカラダが砕けてしまえたら、どんなに楽だろうか・・・ルシアにとっては無限に感じるほどの時間・・・だが、実際の時間は3分程度だったか・・・ルシアは、もがき苦しみ続けた。
そして・・・それが終った時・・・
「んぁ・・・あぁぁ・・・あぁぁ・・・」
ルシアは、まだ身をくねらせながら苦しんでいた。オーブの輝きは完全に消え失せていた。
突然現れた異形のモノに囲まれて、成すすべなく敗れた赤い女神を前にして、人々はそれでも願った。奇跡を信じた。女神が何度も起こしてきた奇跡に、すがるしかなかった。
「ルシアちゃん!!!」
雨宮イノリは叫んだ。喉が潰れんばかりに叫んだ・・・
だが・・・
「君にも聞こえるだろう?人々の叫びが・・・願いが・・・そして今ハッキリと分かるだろう?その願いが・・・届かないことに・・・君に力を与えないことに。」
人々の願いが聞こえているのに、ルシアには何の力も湧いてこなかった。まるでどこまでも深い空洞に小石が投げ込まれているような、不快な空虚感しかなかった。
「ぅぁ・・・みんなが・・・あんなに心配そうに・・・負けちゃ・・・私が・・・負けたら・・・」
それでも、ルシアは戦おうとしていた。
「まだ分からないのかね?君のオーブに願いが届かなくなるよう、その機能を破壊したのだ・・・いや、そうじゃない・・・我々が破壊したのは奇跡だ。奇跡という名の不確かな変数だ。これからの宇宙は、完全な数式のもと、ただ必然にのみよって運営されていくのだよ。美しいとは思わないか!!」
そう演説した最小のギーア星人が、次の瞬間目にしたのは・・・
「はぁ・・・はぁ・・・泣いている声が・・・聞こえる・・・怯えている人がいる・・・私が・・・私が・・・戦わないと・・・負ける・・・わけには・・・」
膝立ちの状態で、両腕を捕らわれていたハズのルシアが・・・立ち上がって、こちらに向かって手を伸ばしてくる姿。
両腕を捕まえていたモノ達は、振りほどかれたのか、尻もちをついて、信じられないモノを見ているような、驚愕の表情を浮かべている。
・・・なんだ?何が起こっているのだ?・・・
最小のギーア星人は、伸びてくる手を躱しながら、無力化したハズの獲物を観察した。
・・・エナジーは完全に枯渇している・・・そして、願いの力は完全に届かないようになっている。ならばこれは何だ?なんだというのだ?
ガシっ!!
ルシアの手が、“彼”を掴んだ。だが、その瞬間、彼は安堵した。
あまりに力が弱いのだ。
・・・必死に起きるはずの無い奇跡を巻き起こして・・・それでもこんな弱い力しか出せないとは・・・とるに足らない・・・何も怯えることはない・・・今起きている事象は気になるが、考察する時間はたっぷりある。むしろ今は自分の知らないことがまだあること・・・まだ知の探究心をくすぐられる余地があることを喜ぼうじゃないか・・・
「うん・・・君はいい。実に素晴らしい・・・最大の敬意を表して、君に壮絶な責め苦を与えよう。」
そう言って、彼が手をあげた。
周囲のギーア星人たちが一斉に、黒いビームをルシアに向かって放った。
「あぁあああああああああああああああああ!!!!!!」
先ほど味わった壮絶な責め苦が・・・ビームが・・・ルシアの全身を襲う。
身をくねらせながら苦しみ喘ぐルシアのシルエットが夕日に浮かんでいた。それはまるで一つの完成された絵画のように、息を呑むほどに美しかった。
その残酷な美を前にして、人々は思い知った。もう奇跡など起きないことを。
その圧倒的な現実を前にして、雨宮イノリは自らの無力さを呪うと同時に・・・あの陽だまりのような時間が二度と戻らないのだと悟った。
一番星が現れ、月が輝き出す頃になって、女神を責め続けた黒いビームは止んだ。
だが、ルシアへの責めはまだ終わっていなかった。
「あぁ・・・ぅあ・・・あぁああああ・・・」
ルシアのカラダは、どす黒い十字架に磔にされていた。それは散々彼女を責め嬲ったビームと同じ素材でできていた。触れるだけで激しい痛苦に苛まれる素材で出来た十字架に、ルシアはかけられていた。
「この星で過ごす最後の夜だ。せいぜい楽しんでくれたまえ。」
ギーア星人たちはそうルシアに告げると、空中に現れたモニターの向こうへと消えていった。
残されたルシアの周囲に・・・
「「「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ・・・」」」
あぁぁぁ・・・またエンジェルイーターが・・・・今度はおびただしい数現れて・・・
「うぁ・・・いや・・・やめ・・・やめて・・・」
哀れに懇願する無力な少女に向かって殺到していって・・・
ドロドロドロドロ・・・
「んぁああああ・・・いやぁ・・・あぁああああああ・・・」
特に薄い胸を集中的に嬲られて・・・汚されて・・・いたぶられて・・・
夜通し敗北の女神は、十字にかかった身をくねらせて、艶やかな声を出しながら悶え喘ぎ続けた。
その永遠とも思われる地獄の夜が過ぎ、朝日によって汚され尽くした彼女の姿が暴かれようとした時、
ブォン・・・大きなモニターが彼女の背後に現れ、群がるエンジェルイーター諸共、向こう側へと連れ去ってしまった。
あとにはただただ、何もない土地だけが、それまでと何も変わらずに残っているだけだった。
今回の戦いで、破壊された建物も無く、死者はおろか、軽症者すら出なかった。
得体の知れないインベーダーが多数出現したにもかかわらず、その被害の少なさは奇跡と呼んでも差し支えなかった。
だが、その“奇跡”を喜ぶ者は誰もいなかった。
柔らかい日差しが新緑を透かして、だだっ広い空き地の隅にぼんやりとまだらの影を落としていた・・・
アヤワスカ
2020-07-19 11:38:06 +0000 UTCさとや
2020-07-19 10:52:00 +0000 UTCアヤワスカ
2020-07-18 01:35:30 +0000 UTCTWO
2020-07-18 00:45:48 +0000 UTC