年末の繁華街に警報が鳴り響いた。イルミネーションで飾られた繁華街が混乱に包まれる。気の早いクリスマス商戦を始めたアーケードに、場違いなジングルベルが流れ続けている。
雪がハラハラと舞い、少しずつ街を白に染めていく。その中で、漆黒に変色したノアの模様が燃えるように浮き上がっている。
「ノアちゃん!どうしたの?何があったの?」
ルシアの言葉にノアは何も答えてくれない。ただただ虚ろな目で虚空を見つめているだけだ。
「んふふふふ~~~~。ごめんねぇ~~~。この子の心、壊しちゃった☆」
巨大な左手・ポーラが嘲う。
「あなたの大切なノアさんを倒さないと、彼女は人々を蹂躪しこの世界を壊してしまうでしょう。うふふふ・・・アナタはどういう選択をとりますか?」
巨大な右手、パーラの言葉に、
「ふざけるのもいい加減にしなさい!」
ルシアの瞳が怒りに燃え上がる。
ボウっ!!!
巨大な炎がルシアの両の掌を包む。
「許さない!!!」
巨大な二つの火の球がパーラとポーラ、二体の異形に向けて放たれる。
だが・・・
ドンッ!!
突如として黒い壁が現れて、炎を呑み込んでしまった。その壁を張ったのはノア。彼女の黒いエナジーで作られた壁が、ルシアのエナジーで作られた火球を吸収してしまったのだ。
「うそ・・・どうして?」
「どうして?ですか・・・分かっていないですね。今アナタの目の前にいるのは、もうかつてのノアさんでは無いのですよ。」
パーラが厳しい現実を突きつける。
「そんな・・・うそ・・・うそよ・・・ノアちゃん目を覚まして!!!」
悲痛なルシアの言葉の返事の代わりに、ノアはルシアに向かって黒い稲妻を放った!
ノアが自分へ向けて攻撃を放った。その事実に、ルシアの心が揺らいでしまう。
「くっ・・・」
炎を纏った腕で稲妻を弾く。
ピコンピコンピコン・・・
オーブの警告音が鳴り響く。エナジーの枯渇に苦しむカラダに鞭打ち、ノアとの間合いを詰めていく。
“大丈夫・・・残りわずかだけどエナジーはまだ残っている・・・このまま距離を詰めて・・・そして・・・”
必死に巡らせる思考が、そこで止まってしまう。
“距離を詰めて・・・そして・・・どうするの?
・・・・・・・・・ノアちゃんを、攻撃するの?”
一瞬、ルシアの動きが止まってしまった。
すっ・・・
動きを止めてしまったルシアの胸に、ノアの小さな手があてがわれる。
バリバリバリバリズドー――――ン!!!!
黒い稲妻がゼロ距離で放たれて、
「あぁあああああああああ・・・」
胸を撃たれたセイラのカラダが吹き飛ぶ。背中からビルに叩きつけられ、
ドーン!!!ガラガラガラガラ・・・
ビルが崩壊して、ガレキが仰向けに倒れたルシアに降り注ぐ!
「うぁ・・・あぁぁぁ・・・」
「無様ですね。赤い女神と人から讃えられていますが、蓋を開ければこんなモノですか?」
ガレキと埃に塗れ、仰向けに倒れたまま立ち上がれないでいるルシア。その上空を、巨大な右手と左手がフヨフヨと浮かんでいる。指をワキワキさせ、獲物をどう苦しめようか思案しているように見える。
「あぁぁ・・・うぅぅ・・・」
“早く起き上がらないと・・・何をされるか・・・”
ルシアは大きなガレキに足を挟まれていてなかなか立ち上がれない。焦りばかりがつのる。
ピコンピコンピコンピコン・・・
そんなルシアを煽るように、胸元のオーブがうるさいくらいに鳴り響く。雪はいつの間にか吹雪になっていて、容赦なく赤い女神に吹き付けている。
ペタ・・・ペタ・・・ペタ・・・
ノアの足音が近づいてくる。
“立ち上がらないと・・・立って戦わないと・・・戦うって、ノアちゃんと?・・・でも・・・私が・・・戦わないと・・・”
ルシアの頭の中でグルグルと自問自答が止まらない。そんな状態では、戦えるハズも無く・・・
ノアの小さな足が、ルシアの薄い双丘を踏みつける。
「あぁぁああ・・・うぁぁ・・・」
薄い胸をこねるように足でグリグリとにじられる度に、ルシアのカラダがピクンピクンと震え、唇からは甘い声が漏れ出てしまう。
「んふぅ・・・あぁぁああ・・・ノアちゃん・・・やめて・・・」
胸を足で嬲られて淫らに悶えるルシア。その無様な姿に、無表情だったノアが残忍な笑顔が浮かべる。そして胸を踏んでいた足を高く掲げて・・・
ずぉおおおおおお・・・
黒いオーラが足を包み、鋭い爪の猛禽類のような足を形作っていく。
そして、その足を勢いつけてルシアの胸に振り下ろした!
ザクッ!!!
「っぁああああああああああ!!!!」
爪が深々とルシアの胸に突き刺さる。
「きゃは・・・きゃはははははは・・・きゃはははははははははははははははははははは!!!!」
黒い小悪魔の笑い声が、吹雪の中響き渡る。
「ぅぁ・・・本当に・・・どうしちゃったの・・・ノアちゃん・・・元に戻って・・・」
その言葉に答える代わりに、
ザクゥウウウ!!!!
鋭い爪がルシアの胸を引き裂く!
「っぁああああああああああああああああ!!!!!」
赤い女神の悲鳴を、まるで上質な音楽を聴くようにノアは愉しんでいる。
「はぁ・・・はぁ・・・私の事は・・・どれだけ責めてもいいから・・・だから・・・だから・・・」
ザクゥ!!!
「あぁぁあああああああ・・・」
ルシアの思いを粉々にするように、胸を何度も刺し、切り裂き、滅茶滅茶に痛めつけ続ける。
ザクッ!ザシュッ!ズシャッ!!
「っぁああ・・・あぁぁああ・・・くぁあああああ・・・の・・・ノアちゃん・・・戻って来て・・・ノアちゃん・・・」
必死に語り掛けるその声を露骨につまらなそうな表情で聞いて、ノアは天高く舞い上がった。
「はぁ・・・はぁ・・・な・・・なにを・・・」
空中でノアは両足をピタリとそろえる。その周りを黒いオーブが巻きついていき、それは巨大な鉄球のような物を作りあげた。
ニヤリ・・・
ノアがそう嗤った、次の瞬間、足先に鉄球を付けたノアが真っすぐ落ちて来て・・・
ドスン!!!!
巨大鉄球がルシアの胸に押しつぶされる!
「あがっ・・・あぁぁあああああああ・・・」
バキバキバキバキ・・・
嫌な音を立てて、肋骨が折れていく。
「うぐぁ・・・ぅぅぅぅぅ・・・」
折れた骨、傷ついた内臓の修復のためにエナジーが消費されていく。
ピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・
オーヴの輝きが、弱くなっていく・・・
「かひゅー・・・かひゅー・・・うぁぁぁ・・・」
息をするのも苦しい。そんなルシアを見下ろしながら、ノアは再び空高く舞い上がる。
「なんどだって・・・きなさい・・・わたしは・・・くだけない・・・」
必死に強がるルシアの目の前で、黒い鉄球が形を変えていく。四角錐の、大きな杭のような形に。
「な・・・あ・・・あ・・・」
ルシアの瞳が恐怖に大きく開かれる。
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
ノアの笑い声と共に、
ズドン!
巨大な杭がルシアの胸に突き刺さる。
「かはぁっ・・・ぁ・・・ぁぁ・・・ぁ・・・」
ピ・・・ピ・・・ピ・・・
オーヴの輝きが今にも消えそうになっていく。ルシアの瞳から、光が消えてしまう。
その様子を、ノアは無表情に見下ろしている。
「弱者は何も選択できず、ただただ蹂躙されるのみですか・・・」
パーラの言葉に続いて、
「それじゃぁノアちゃ~~~ん。これからいっぱいいっぱい街を壊そうね。」
ポーラがノアに語り掛ける。
黙ってうなずいた後、ノアは敗北の女神に背を向け歩き始めた。
弱弱しいオーヴの警告音が、ビュービューと唸る吹雪にかき消されようとしていた。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「ま・・・待って・・・」
ピ・・・ピ・・・ピ・・・
ノアが振り返ると、そこにはフラフラとルシアが立っていた。ちょっと押せば倒れそうなのに、その瞳には力強い意志の炎が宿っていた。
「あなたに・・・人を傷つけさせない・・・優しい・・・あなたに・・・そんな悲しい事は・・・させない・・・」
その言葉に、ノアはさしてなんの反応も示さない。壊れた玩具がどう喚こうと、ソレはもう壊れてしまっているのだ。
「だから・・・ごめんね・・・あなたは・・・私の手で・・・ここで止める!」
そう言ってノアに向かって走り出す。だが、走り寄ったところでどうなるというのだ。もうカラダもボロボロで、エナジーも残り僅か。それでも、ルシアは諦めるわけにはいかないのだ。
タッタッタッタッタ・・・
必死に走り寄ってノアに迫ったルシアは、大きく手を振りかぶる。
悲痛な表情を浮かべて、
「ノアちゃん・・・ごめんね・・・」
そう口にした彼女の手の先に、エナジーで作った小さな刃が。
今出来る精一杯の刃。それでノアの喉を掻っ切る・・・悲痛な決意を込めた一振り・・・
「ママ・・・」
そんな音が、ノアの唇から発せられた。
その瞬間・・・ルシアの動きが止まってしまう。
それで全てが終ってしまった。
ドス!
ノアの手が、ルシアの胸を貫く。
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
目にうっすら涙が滲むほど大きな口を開けて、ノアは狂ったように笑いだした。
「こほっ・・・う・・・うぁ・・・あぁ・・・」
ルシアの顔が、痛みと悔しさに歪む。
ピ・・・ピ・・・ピ・・・・・・・・・
胸元のオーヴの輝きが完全に消え失せ、
「あ・・・あぁぁ・・・あぁぁ・・・まだ・・・あきらめ・・・な・・・」
ズボッ・・・
ノアの手がルシアの胸から引き抜かれ、赤い女神が崩れ落ち・・・そうになる・・・が・・・
「あうぅ・・・」
ガクンと、そのカラダが空中で止まる。まるでナニカに引っ張られているみたいに・・・
「せっかく立ち上がったのに、もうオネンネなんてもったいないと思うな☆」
パーラとポーラの指から伸びた見えない糸がルシアに絡みつき、ルシアのカラダを操り人形のように無理矢理動かしていく。
ボキンボキンバキン!
カラダを無理矢理動かされて、カラダ中の骨が、関節が悲鳴をあげる。
「あがっ・・・うぁああああああ・・・」
「んふふふふ~~~~・・・いい声。もっともっと虐めてあげるからねぇ~~~~。」
「あぁぁ・・・うぁ・・・あがぁあああ・・・」
ボキンバキンガキン!
ボロボロのカラダを強引に動かされた結果、両手を水平に伸ばして、胸を突き出す姿勢になった。その姿は、『もっと胸を虐めて。』とおねだりをしているようである。屈辱と苦痛に眉をよせるルシアに、残酷な宣言が下される。
「ほら見て下さいよ、その子の目・・・壊れて空っぽになった彼女の中に、ギガントクルス様の力が満ちつつあるのがわかるでしょ。」
パーラの言う通り、ノアの瞳には禍々しい光が宿っていた。
「そ・・・そんな・・・いや・・・あぁぁ・・・」
ゾワ・・・その目で見られただけで、ゾクゾクとしたモノが全身に走り、心臓がバクバクと高鳴ってしまう。
「いや・・・こんなのいや・・・返して・・・ノアちゃんを返して!!」
ルシアの叫びが虚しく響く。その声を無視して、
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・
不気味な音を立てながら、ノアの右手から黒い雲のようなモノが立ち上がる。
「ひぁ・・・そ・・・それは・・・」
その雲は、どす黒いエナジーで造られた蠅の群れ。それがルシアに一斉に集って・・・
「いぁああああああああああ・・・」
お尻をお腹を腋をそして胸を・・・カラダ中のいたるところに蠅がズリズリと這いずり回る。首から下をビッシリと呑み込んだ蠅が、全身くまなく嬲り責めあげる。エナジーを失い敏感になったカラダを容赦なく甚振られる。
「ひぅ・・・はぅ・・・あぁぁあああ・・・」
ずり・・・ずりゅ・・・ずりゅり・・・
蠅の群れは漆黒のスーツのようにルシアに貼りついている。それはウネウネと蠢き、蠢くほどにルシアがクネクネと悶える。あたり一面が真っ白に染まる中、黒く染められた女神が妖艶に喘いでいる。
「ひぁぁああん・・・ぁぁぁぁ・・・んぁぁああああ・・・」
「蠅に集られてエッチな声を出して・・・んふふふふ~~~・・・無様ねぇ~~~。蠅に虐められてそんなに気持ちいいのぉ?」
「くっ・・・こんなことで・・・私は・・・あぁぁああああ・・・」
必死に口答えしようとするけれど、睨みつけた瞳は蕩け、食いしばった口はだらしなく開いてしまう。全身を責めあげる蠅の愛撫に、ルシアのカラダは完全に屈してしまっている。人々を守るハズの正義の女神が今、蠅ごときに敗北してアンアン喘いでいる。
「ひやぁんっ・・・あぁぁ・・・そんな所に入って来ないで・・・あぁぁあああ胸はだめなの・・・だめなの・・・あぁああああ・・・」
女神の清らかなカラダが蠅に貪られている。尊厳を踏みにじられて、守りたい少女の前でふしだらな姿を晒してしまっている。
「うふふふふ~~~・・・随分と愉しんでくれているみたいですね。」
「う・・・くぁぁぁぁ・・・んぅ・・・ひぅ・・・こんなの・・・なんでも・・・な・・・ぃ・・・うく・・・んむ・・・」
それでも、ルシアは必死に抵抗しようとする。カラダは完全に屈しているのに、もう勝つ可能性は無いのに、唇を噛みしめて、異形を睨みつける。
それが更なる責め苦を呼び起こしてしまうのは知っている。知っているけれど、そうするしかないのだ。
「そうですか・・・『こんなのなんでもない』・・・ですか・・・それは失礼しました。」
パーラの言葉が終ると同時に、
バリバリバリバリ!!!!!
見えない糸を通じて、どす黒いオーラがルシアに注ぎ込まれていく!
「うぁああああああああああああああああ!!!!」
ルシアのカラダがガクガクと震える。エナジーが空になったルシアのカラダは、どす黒いオーラをスポンジのようにぐんぐん吸い込んでしまう。
かつてギーア星人によって解析されたルシアのデータ。そのデータを元に練られた、ルシアを苦しめる為だけのオーラ。それが体内を蹂躪し、魂を辱める。抵抗することも出来ずに、女神の全てが犯されていく。
「いやぁあああああ・・・あぁあああああああ・・・」
ルシアの苦しむ姿に興奮したのか、肌を這いずり回る蠅たちが一斉に羽を震わせ出した。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・
一匹一匹が激しく振動し始める。まるで全身を無数のローターで責められているような性の苦しみが更にルシアを責め立てる。
「くぁああああああああああああ・・・」
目がチカチカして、意識が激しく明滅を繰り返す。声を押さえることも出来ずに、喉を反らして喘ぐことしか出来ない。凛とした顔をグズグズに蕩けさせて、性の悦びを全身で享受しているようでありながら、浅ましく快楽を貪っているようでありながら、彼女は今死よりも苦しい壮絶な拷問を受け続けているのだ。
それを知っているパーラとポーラは更にオーラを注ぎ込む量を増やして行く。ルシアのカラダが益々激しく反応し、激しく反応する度に、蠅の動きも激しさを増していく。
責めは時間を経るほどに壮絶になっていく。無力な女神は、ただただ艶めかしく喘ぐことしか出来ない。
「あぁぁ・・・見ないで・・・見ないでぇ・・・」
ノアの冷たい視線が、ルシアを更に追い詰めていく。禍々しい視線が、赤い女神を地に落としていく。
「ひん・・・うぁぁあああ・・・あぁあああああああああ・・・」
ジュルジュルジュル・・・
秘部からは嫌らしい敗北お汁が垂れて、ソレを蠅に貪られる。乳首はカリコリと齧られて、その度にヒクヒクと蠢き更なる責めをおねだりしてしまう。
「はぁん・・・あぁぁ・・・やぁぁ・・・」
甘い声が、轟々となる吹雪にかき消されていく。暴力的な白の世界に、禍々しい黒が煌々と燃える炎のように揺らぎ続けていた・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
全てが白に染まっていく。黒に責められ苦しみ喘ぐルシアが見る世界は、暴力的なまでの白に呑み込まれていた。
“あぁぁ・・・私・・・もう・・・ダメかも・・・”
カラダの内から外からオーラと蠅に全身を責められ続けたルシアの心は、もう粉々になろうとしていた。
“あぁぁ・・・ノアちゃん・・・助けてあげられなくて・・・ごめんね・・・”
もう全て手放して、心とカラダを黒に呑まれるままにしよう・・・そうしたらきっと・・・楽になれるから・・・そうルシアが思ったその時、
白を引き裂く翼があった。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダ・・・
火花が飛び散り銃弾が放たれる。
「何ですか?いいところだったのに。」
突然の邪魔に、パーラの声にいら立ちが混じる。
“そんな・・・誰?・・・こんな吹雪の中・・・嘘でしょ?”
突然現れた戦闘機・・・ほぼ視界ゼロの中、暴風に曝されながらの飛行。そのコックピットの中の人物と、ルシアは目が合った。
特殊自衛隊隊長、本間ユウダイの姿がそこにあった。
「ルシアさん、遅くなってすいません。」
吹雪にかき消されて声は聞こえないけど、彼がそう呼んだのが分かった。
「隊長・・・どうして・・・」
特殊自衛隊隊長が自ら危険を冒してルシアとノアを助けに来てくれた。本来なら基地内にいて指揮を執る立場なのに。その姿が、ルシアの心に希望の光を灯した。
「ふむ・・・大体状況はつかめました。」
二つの大きな手に責められているルシア。空虚な目をしているノア。その光景を見た隊長はそう呟くと、パーラとポーラに機関銃を浴びせ、そして威嚇するように周囲を飛び始めた。
「そんな豆鉄砲でボクたちがどうか出来ると思っているのですか?」
「パーラ、コイツやっちゃおうよ!」
不快な蠅を払うように、右手と左手が隊長の操る戦闘機を追い始める。
見えない糸がプツリと切れたのか、ルシアのカラダがガクンと崩れ落ちそうになる。
「うくっ・・・」
ダンッ!
足を前に出して、必死に倒れまいとルシアは踏ん張った。
「あぅぅ・・・んぅぅ・・・ノアちゃん・・・ノアちゃん・・・お願い・・・目を・・・覚まして・・・」
懸命にノアに声をかけるルシア。ノアは、彼女に向けてスッと手をかざすと・・・
ビビビビビビビビッ!!!!
どす黒い光線を放った!
「あぁあああああああああ・・・」
光線にカラダ中が焼かれていく。
「あぐ・・・ぁぁぁぁ・・・うあぁぁああああ・・・」
バチバチバチと火花を散らしながら、光線はルシアを責め甚振る。ガクンガクンと膝が震え、今にも倒れてしまいそうになる。だが、その光線は更なる責め苦の準備でしかなかったのだ。
どろぉ・・・
ルシアに纏わり付いていた蠅が一斉に溶けて、粘り気のあるタールの状の物質へと変化した。
「あぁぁぁぁぁ・・・いやぁぁあああああ・・・」
そのタールがカラダを汚していく。ネットリと絡みつき、清らかな肌に染み込んでいく・・・
カラダが汚される。それはルシアとノア、二人の女神にとって壮絶な苦しみを伴う責め苦となる。細胞が侵食されていくような、犯されていくような、性感にも近い苦しみに悶えてしまう。泥、汚水、体液に廃棄液・・・怪獣との戦いにおいて、様々なモノで汚されその度に悶え苦しんで来た。
その責めをまた、今度はノアの手によって受けてしまう・・・
「ふぁぁあああ・・・んぁぁ・・・ひぁああああああ・・・」
全身を汚されて、クネクネと身を捩り苦しむルシア。もう立っていることも出来ずに両膝を付いてしまう。ちょうど目線がノアと同じ高さになる。
「んふぅ・・・ぁぁああああ・・・・」
身を仰け反らして悶えるルシアに、ノアがトコトコと歩み寄って来る。
「あぁぁぁ・・・な・・・何をされても・・・・私は・・・アナタを・・・うぁぁあ・・・・」
悶えるルシアを、ノアはギュウと抱きしめた。
「ノアちゃん?」
その行為にルシアは、ノアの意識が戻って来たのだと思った。優しいノアが帰って来たのかと思った。だが、その思いはすぐに裏切られてしまう。
ぐちゅ・・・ぐちゅぐちゅ・・・
ノアのカラダが蠢く。肌と肌をこすり合わせ、タールをお互いのカラダに塗り込めるかのように、グチュグチュと卑猥な音を鳴らしながらクネクネと蠢く。
「んあぁぁあああ・・・・ふぁぁあああああ・・・ノアちゃん・・・やめて・・・あぁぁ・・・ぁぁああああ・・・」
思いもしなかった辱め・・・ノアの小さくて柔らかいカラダに責められて、汚されて、嬲られる・・・それは背徳感を伴って、背徳感は被虐心に火をつけて、被虐心はドロドロとした性感を伴い、性感は苦しみとなりグズグズとルシアを溶かしていく。
カラダを汚される苦しみをノアも感じているのだろう。小さなカラダがピクンピクンと苦しげに震え、熱を帯びていく。
ぐちゅ・・・ぐちゅ・・・ねちゃ・・・
タールが卑猥な音を立てる。その音はルシアの耳を犯し、脳内に、心に、魂にからみついていく。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
んくっ・・・はぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・
あぁぅ・・・はぁん・・・はぁ・・・はぁ・・・
二人の吐息が混ざり合い,淫靡な二重奏を奏でる。お互いの小さな胸が、乳首と乳首が触れあい、弾きあい、重なり合っていく。
ねちょ・・・ずちょ・・・ぐちょぐちょ・・・
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
ぐちゅぐちゅ・・・ぬとぬと・・・
うあぁぁ・・・あぁぁん・・・やぁぁ・・・
もうどちらの声なのか分からない程に、淫靡に溶けあっていく。
「だめ・・・あぁぁ・・・いや・・・あぁぁああああん・・・」
「あぅぅぅ・・・ぁああああああ・・・」
ノアのカラダが仰け反ると、二人の胸と胸の間にタールがねばぁと糸を引く。
“あぁぁ・・・なんてイヤらしい・・・”
自分とそっくりな少女に責められている。二人でドロドロのグチョグチョになりながら悶え喘いでいる。クラクラするほどの倒錯的なエロスに身を捩らせれば、肌と肌がこすれあい、さらに二人を追い詰めていく。
「んぁっ・・・はぁん・・・」
だらしなく開いたルシアの唇に、ノアの唇が重なる。
クチュ・・・クチュクチュ・・・
ノアの小さな舌にルシアの舌が蹂躙されていく。卑猥な音を立てながら、口内を犯されていく。
「んむっ・・・うぁ・・・」
唇から垂れた涎を丁寧になめとるように、顎から首筋をノアの舌が這う。
「んあぁぁん・・・やだ・・・やめ・・・やぁ・・・」
されるがままにビクンビクンとカラダを震わせるだけのルシアに、ノアの無表情な視線が突き刺さる。
「あぁぁ・・・んぁぁ・・・ノアちゃん・・・そんな目で・・・見ないで・・・」
そう口にした後で、ルシアはノアの目から涙が零れていることに気が付いた。
その唇が、
―――ママ・・・助けて・・・―――
と動いた。
“大丈夫・・・あなたは・・・私が・・・”
ルシアの苦悶にだらしなく開いていた口が一瞬きゅっと硬く結ばれた後、柔らかくほほ笑んだ。
凌辱に潤んでいた瞳に、優しい光が灯った。
力なく垂れ下がっていた腕を必死に動かして、ノアのカラダを抱きしめた。
その時、ルシアの脳裏に浮かんでいたのはある記憶。
5年前突然『現れた』ルシアにとってあるはずの無い、
存在しない、幼少時代の記憶・・・
・・・あらあら、怖い夢でも見たの?」
包み込むような優しい声が聞こえる。
「うん・・・あのね・・・かいじゅう・・・」
幼い声がそれに応える。
「大丈夫大丈夫。どんな怪獣が来ても、お父さんとお母さんで、あんた達を守ってあげるから。」
母のその言葉に首を振って、
「ううん、ちがくて・・・その・・・そのね・・・わたしがね・・・ばーって・・・あおくなって・・・そして・・・おおきくなって・・・かいじゅうみたいに・・・おおきくなって・・・だから・・・おにいちゃんや・・・おとうさん・・・おかあさんをね・・・ふみつぶしてしまったら・・・どうしようって・・・こわくて・・・こわくて・・・」
そう言った少女を母はギュウと抱きしめて、
「本当に、あんたは優しい子だよ。」
と、嬉しそうに笑った。
「やさしい?・・・ふみつぶしちゃうかも・・・しれないのに?」
「そうだよ。」
「ふみつぶさなくても・・・すごいちからで・・・どかーんって・・・みんなを・・・きずつけてしまうかもしれないよ・・・」
「大丈夫大丈夫。」
「だいじょうぶじゃないよ。だって・・・だって・・・わたしのなかに・・・ぐるぐるとした・・・おおきな・・・ちからが、あってね・・・だからわたし・・・ほんとうは・・・こわい、かいじゅう・・・なんじゃないかって・・・」
「大丈夫大丈夫。あんたが怪獣だったとしても、お母さんは、あんたが優しい子だって知ってるから。優しいあんたを、お母さんは愛しているから。」
そう言って、一旦言葉を区切ったあと、目と目を合わせて、母は言葉を続けた。
「本当は怪獣だろうが悪魔だろうが妖怪だろうが、知ったこっちゃあるもんか。あんたはね、私たちの天使なんだよ。何があっても、私はね、あんたを守ってあげるから・・・だから大丈夫だよ。ねぇ・・・『セイラ』・・・」
その存在するハズの無い記憶が、彼女のオーヴに微かな光を灯した。
・・・・・・・・・
「ノアちゃん・・・愛してるわ。」
ルシアの腕の中で、ノアが戸惑ったようにモゾモゾと動く。そして、ガブリ・・・ルシアの首筋に噛みついた。
「んっつぅ・・・」
ちゅぅうう・・・
血が吸われ、ルシアの顔がまた苦悶に歪みそうになる。が、
「大丈夫・・・大丈夫・・・」
ルシアは、ノアの頭を優しく撫で始めた。
“助けて・・・助けて・・・ママ・・・”
ノアの心の声がルシアには聞こえる。
「大丈夫・・・大丈夫・・・アナタは・・・私が守るから・・・何があっても・・・」
ボゥ・・・
火が灯り二人を包んだ。それは暴力的な嵐の中で、あまりにも微かな火だった。だが、それは消えることなくともりつづけた。
「ま・・・ママ・・・?」
ノアの瞳に、少しづつ光が戻っていく。
「あなたの中の悪い力は・・・私が・・・私が焼き払ってあげるから・・・」
ノアの中に、ルシアの力が・・・エナジーが染み込んでいく。
「だから・・・だから大丈夫だよ・・・大丈夫だから・・・」
「ママ・・・ごめんなさい・・・私・・・私・・・」
「大丈夫・・・大丈夫・・・何があっても・・・何が起こっても・・・
・・・私は・・・あなたを愛しているから・・・ね・・・ノアちゃん・・・」
二人を汚していたタールは少しづつ溶けていき、そして・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
一機の戦闘機が、吹雪の中飛び回っていた。
「うるさいハエですね!」
パーラの指鉄砲から、ミサイルが放たれる。戦闘機は吹雪の向こうへと消えるが、
「逃げようとしたって無駄ですよ。ボクのミサイルは、どこまでもアナタを追いかけます。」
その言葉に続いて、
ドゥン!
爆発音が響く。だが、それに続いて、
「ぐぁあああああああ!!!!」
ポーラの無様な悲鳴があがった!
ブゥウウーーーン・・・
ミサイルに撃墜されるハズだった戦闘機は、パーラとポーラを嘲笑うように飛び回る。
「このぉおおお!!!!!」
激高したポーラは戦闘機に向かって見えない糸を発射させる。
「馬鹿ポーラ止めろ!!!」
戦闘機を追いかけていた糸はパーラに絡みつき、ギュウギュウに締め上げてしまう。
「うぐぅう・・・人間のクセに・・・とるに足らない人間のクセにィィィィィィ!!!!」
パーラにいら立ちが募っていく。だが、彼らは知らない。今自分が相手している人間がどういう人物かという事を・・・
ルシアが・・・赤い女神が降臨するまで、人々は自らの力で怪獣という脅威と戦う他なかった。貧弱な装備で、得体の知れない脅威と戦い続けるしかなかった。
その激しい戦いの中で彼は生き延び続けた。幾つもの死線を潜り抜け、強大な怪獣を何体も倒してきた。
百戦錬磨の戦士。隠れた人類の英雄。それが彼なのだ。
「もう怒りました。これからは本気を出します!」
パーラとポーラが、どす黒いオーラに包まれる。
「隊長!気を付けて下さい!対象のエネルギー反応が大きくなっていきます。」
通信機からの声に隊長は、
「分かっています。まぁ、いよいよ覚悟しなければいけないようですね。」
そう応え、無理矢理口角を上げる。
どうして隊長自らが前線に向かうのか、隊員たちは誰もが異議を唱えた。だが、猛吹雪という状況で戦闘機を自在に扱えるだけの技量を持つパイロットが他にはいなかった。唯一最近入隊してきた片桐隊員にはその可能性があったが、若く、まだまだ可能性を秘めている彼をギャンブルのコマにするわけにはいかない。それに、
ルシアとノア・・・二人の救出には、自分の命をかけるほどの価値があると彼は踏んだのだ。
「隊長!背後からまた新たなエネルギー体が迫ってきています。」
通信機からの声に、彼は腹をくくった。後はどうこの命を使えば、相手に少しでもダメージを与えられるか、その計算を始めた。
「隊長・・・この反応は・・・この反応は・・・」
彼の目の前で、オーラを纏った右手と左手が更に巨大化した。そして、それぞれの手のひらの中で、
ギュウウウウウウウン・・・
どす黒いエナジーの球が練られていく。
「うふふふふふふ・・・・ボクたちを怒らせた罰です。アナタは、灰の一つまみも残りません!」
勝ち誇ったようなパーラの声が響く。
―――参ったな。これはさすがにどうしようもありませんね。―――
こうなることは分かっていた。その為に自分亡き後誰を隊長にすべきか、今後どう組織を運営していくべきか、それらはすでに伝えている。
突然巨大怪獣が現れてから始まった戦いの日々。次々に倒れていった仲間たち。守れなかった部下・・・そして多くの命・・・
様々な思いが胸に去来する。が、
―――それでも、私としてはなかなかよくやった方じゃないんでしょうか―――
隊長は、静かにほほ笑んだ。
「ノアちゃんです!」
通信機からの声に我に返ると、目の前に一瞬炎の壁がよぎり、どす黒いオーラを呑み込んで行った。
「隊長、ごめんなさい。そして、ただいま!」
燃えるような赤い髪と模様。背中にちいちゃな羽。そしてお尻から尻尾。あの元気な小悪魔が、ノアがそこにいた。
「はい。おかえりなさい。」
ノアは、パーラとポーラに向き直り、
「散々好き勝手してくれたわね・・・もう許さないから覚悟しなさい!」
指をさしてそう言い放った!
が、
「うふふふ・・・残念ですが、もう時間のようです。」
「んふふふ・・・可哀そうに・・・アンタ達もう終わりよ。」
二つの巨大な手はそう言うと、どす黒いオーラに呑まれるように消えていった。
「え?・・・どういうことなの?」
拍子抜けして茫然とするノア。
だが事態は、最悪の状況を迎えようとしていた。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
いつの間にか吹雪はおさまっていた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
ノアを救うためにありったけを注ぎ込んだルシアは仰向けになったまま、もう身動き一つ出来ないでいた。
ピシ・・・ピシピシ・・・
突然ナニカにヒビが入るような音が鳴り響いた。
「な・・・なんなの・・・」
全身がおぞけだつ。細胞の一つ一つが警告をしている。
とてもヤバいことが起きていると・・・
何もない空中がひび割れた。瘴気に満ちた腐肉空間が割れ目の向こうに見える。
バキンッ!
完全に空中が割れて、腐肉空間から何かが出て来た。ソレが出てきた後、空中のひび割れは嘘のようにスー――っと消え去った。
「やぁ、お嬢さん。久しぶりですね。お元気でしたか?」
ソレは、耳障りなザラザラした声でそう言った。形の定まらないガスやオーラの塊のようにソレは見えた。黒や紫、赤に緑と色を変えながら、そのナニカがルシアを見下ろしている。
「あ・・・あなたは・・・」
「あ、失礼。この姿では分かりませんよね。私です。ギガントクルスです。五年前にあなたに殴られた、銀のマスクのモノですよ。」
そして声を出さずにクックックと嗤った。
光が2閃、ソレに向かって飛んできた。光は形の定まらないソレと交じり合い、そして左右の手らしき形になった。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
自分の息が荒くなっていくのをルシアは感じていた。目の前にいる異形を見ていると、恐怖に呑まれそうだった。
「怖がる自分を恥じることはありませんよ。相手が悪いのです。あなた方が今まで戦ってきた怪獣たち・・・それら全ての力を合わせても私には叶わないのですから・・・なぜなら彼らは私の養分に過ぎないのですからね!」
ギガントクルスが両手を広げると、無数の光が飛んできて、それがどんどん混ざり合っていく。そして次第に、人の様な形を作り出して・・・
「ここからはこの世界の全ての恐怖は私が支配します。」
異様に手足の長い人のシルエット。ただただ黒く見えるその姿を、雲間から月が照らした時、ルシアは見てしまった。
黒じゃない・・・色んな色が混ざって黒く見えるのだ。無数の顔・・・小さく凝縮された無数の怪獣の顔がより集まって、その体は出来ていた。様々な色の怪獣達が混ざり合い、黒く見えているのだ。その一つ一つが、苦しそうに恨めしそうに呻いている。凄まじい絶望と怨嗟の念を漂わせながら、ギガントクルスはザラザラした声で言った。
「さて、手始めにこの世界の希望・・・アナタを無惨に潰すところから始めますか。」
その声は、頭部に集まった顔から発せられていた。様々な声が圧縮されて、不快なザラザラした音になっていた。
「それでは、始めましょうか。」
必死に熾した希望の灯が
今、のみ込まれようとしていた・・・
アヤワスカ
2020-11-30 10:46:49 +0000 UTCアヤワスカ
2020-11-30 10:42:40 +0000 UTCアヤワスカ
2020-11-30 10:40:26 +0000 UTCTWO
2020-11-30 08:13:45 +0000 UTCリスワン
2020-11-30 02:40:38 +0000 UTCdeszero
2020-11-29 23:29:35 +0000 UTC