「精神体になった貴女はあまりにも無防備。その無防備な状態で、悪魔に挑む気ですか?」
でっぷりと太った悪魔、メフィストフェレスがニタニタ嗤いながら私に尋ねた。
「それに悪魔、『ドグラマグラ』に襲われているのは罪を犯して刑務所に入りながら、その罪に耐えきれず精神を壊してしまった男・・・貴女が身を呈してまで救う価値があるのですか?」
「そんな事興味ないわ。私は悪魔を封じるだけよ。」
私の返答にメフィストは声を出さずに笑った。
「アナタならそう言うと、そう言ってくれると信じていましたよ。それでは、目を閉じてください。私が三つ数えたら、貴女の精神体は男の、悪魔の夢の中に飛んでいきます。いいですね・・・1・・・2・・・3・・・」
瞬間、私の精神は異空間に引き込まれた。最初に感じたのは
バチバチ・・・バチバチ・・・
という音。
見ると大きな蛾が、裸電球に何度も体当たりをしていた。
棚の中にいくつもの薬品が入っていると思しき数多くの瓶。目の前には、初老の男性が座っていて、白衣を着て、肩に聴診器をかけている。
そこは狭い病院の診察室のようだった。誰もが想像する、ありきたりの診察室だった。舞台の書割みたい・・・と言った方が的を射ているかしら。
私は目の前の男性に声をかけた。
「先生、大丈夫ですか?」
多分この人は、自分の事を医者だと思っているのだろう。きっと私は患者ってワケね。私は彼の世界にあわせることにした。
悪魔の気配が空間に満ちていた。自分の存在を隠す気すらないらしい。私達は悪魔の手のひらの上・・・ううん、ここは悪魔の胃袋の中。後はゆっくり消化していくだけ。
スタート時点で大ピンチ。でも私は自分のなすべきことをなすだけだわ。
「先生は、悪夢に悩まされたりしますか?」
私の問いに、
「えっと・・・悪夢?ハハハ・・・疲れているようで、最近はあんまり夢を見ないかな。」
と男は答えた。自分がまさにその悪夢の中にいることに気づいていないのね。
「ドグラマグラ・・・九州の言葉で、『妖術使い』という意味の言葉です。」
私は囁くようにそう告げた。
怪奇小説のタイトルにもなっている正体不明の悪魔。人を幻想の中に引き釣り込み、少しづつ、魂をまるで飴玉のようにしゃぶり尽くす悪魔。
恐怖や悲しみ、それに罪悪感を植え付けて、魂を地獄へと引きずり込んでいく。
「先生、これから何が起っても、それは全部『ドグラマグラ』という悪魔のせいです。だから、アナタは何も悪くない。これだけは忘れないで下さい。」
私がそう言った次の瞬間、
パリン!
何かが割れる音がした。
棚から落ちた瓶が割れて、ホルマリン漬けにされていた胎児が、
「おぎゃ!おぎゃ!」
と泣き声をあげながらハイハイしてきた。
いつの間にか辺りは闇に包まれていた。ズラリとホルマリン漬けにされた胎児の標本が並んでいる。
いよいよ始まるのね。
パリン!パリンパリン!
次々と瓶が割れて、
「「「おぎゃぁ!おぎゃぁ!おぎゃぁ!」」」
沢山の胎児が、まるで赤ちゃんみたいにハイハイしながら近づいてくる。
胎児はにじり寄りながらその姿を変えていく。魚みたいな子、カエルみたいな子、トカゲみたいな子・・・まだ人の姿になり切れてない子達が、人ならざる者に変化していく。
もう既に人の姿をとっていた子達も、腕を何本も生やしたり顔中に沢山の口が開いたり体中が吸盤のようなモノに覆われたり・・・私は命そのものを冒涜するような光景に、怒りを覚えずにはいられなかった。
「「「おぎゃぁ!おぎゃぁ!おぎゃぁ!」」」
泣きながら、赤ちゃんになれなかった子達が近づいてくる。その子達の気持を思うと、深い悲しみに呑まれそうになってしまう。だけどそれは悪魔の思うつぼ。それにこれは、幻想に過ぎない。
私は、私のなすべきことをなすだけ。
「大丈夫。私が引きつけます。」
聖水の剣を作り出し、私は胎児と向かい合った。
ゾクリ・・・
背筋に冷たいモノが走る。この子達一人一人が、名前を持つ上級の悪魔と同じくらいの強さを持っている。それが・・・こんなに沢山・・・
私は分かってしまった。ここで私が出来ることは、この子達の気が済むまで責められることくらい。
「出来れば、その・・・これから起こることを見ないで・・・耳も塞いでもらえると助かります。」
私はそう言って、胎児たちへと向かって行った。
「たぁ!」
一閃・・・聖水の剣で胎児たちを薙ぎ払おうとする。
だけど剣はむなしく空を切り、それ所か、剣に胎児がまとわりついて・・・
「くぅ・・・」
腕に向かって、どんどん登って来る。
「こ・・・このぉ・・・」
私はメドゥーサの力で胎児を石にしようとした。だけど何も起こらない。メドゥーサだけじゃない、ベヘモットも、ジャバーウォックも、ハーメルンも、誰も応えてくれない。
この悪夢の世界では、私は悪魔たちの力を一切使えないというの?
そんな・・・それじゃぁ・・・
私
もう・・・
ヌルリ・・・
胎児が私の手に触れた。
その時、
「あぁあああああ・・・」
私は声をあげてしまった。
ダメ・・・こんな声を聞かれたら、男の人の魂が嗜虐心で汚れてしまう・・・それに・・・恥ずかしい・・・
ぬたぁ・・・
胎児から染み出る粘液が、セーラー服越しに私の腕を汚していく。それだけなのに・・・その・・・まるで胸を責められた時みたいに・・・あぁぁ・・・苦しくて・・・
『精神体になった貴女はあまりにも無防備』
メフィストフェレスの言葉を聞いて、覚悟はしていたハズなのに・・・それでも・・・あぁぁ・・・こんなにも苦しいなんて・・・
ズルリ・・・トカゲみたいな子が・・・あぁぁ・・・私の足から登って来て、
「んッ・・・」
私は声を殺すのに必死だった。ぬるりと太ももに這いずる感触に・・・うぁぁああ・・・立っているのもやっとなくらいに、足がガクガク震えてしまう。
ジュル・・・
腕を登っていた子が・・・あぁぁ・・・腋を・・・セーラー服越しに吸って・・・
「あッ・・・」
あぁぁ・・・責めに耐え切れずに、私の手から聖水の剣が落ちてしまう。コロコロと転がりながら、聖水が全て零れ落ちてしまって・・・私は・・・あぁぁ・・・戦う術を失って・・・
ガブリッ!!
「つッぅ・・・」
股に激痛が・・・ぅぁ・・・股間を・・・噛まれて・・・あぁぁ・・・毒が注入されていく・・・
私はもう立っていられなくなって、膝をついてしまった。
両膝立ちになった私に、胎児たちがヌタヌタと登って来る。
ザク!
「くぁ・・・」
登って来た胎児は爪を立てたり、
ヌトォ~
「ぅん“・・・」
舐めまわしたり、
ドス・・・
「うぁ・・・」
何かを刺したりして、
好き放題に私のカラダ中を責め立てる。
私にはもう、責めに声を殺して耐えることしか出来ない。
ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・
あぁぁ・・・沢山の胎児が・・・セーラー服の中に入って来て・・・胸を・・・直に・・・
「ぁぁっ・・・」
チュパチュパと・・・ち・・・乳首・・・を吸って・・・
「んくっ・・・っぁ・・・あはぁぁ・・・ひあぁぁん・・・」
クネクネと悶える私の恥ずかしい姿を・・・あぁぁ・・・男の人が見ている・・・あぁぁ・・・だめ・・・見ないで・・・見ない・・・で・・・
パリンパリンパリン!
あちこちで瓶が割れる音がする。
「「「おぎゃぁ!おぎゃぁ!おぎゃぁ!」」」
私を苦しめる為に、また沢山の胎児が、
ズルリ・・・
ベトリ・・・
水音のようなモノを立てながら、這いずり寄って来る。
そして・・・
ぬたぁ~~
べちゃ~~
私のカラダに・・・よじ登って来る・・・
「あぅ・・・そんな・・・うぁあああああ・・・」
仰け反った拍子にセーラー服が破けて、あぁぁ・・・胸がはだけてしまう。ウゾウゾと蠢く沢山の子達が・・・
コリッ・・・クチュ・・・ザシュ・・・ジュクッ・・・
嫌らしい音を立てながら・・・私の胸を責め立てている。しゃぶって吸って噛んで刺して切って・・・
「はぁん・・・はぅ・・・うぁ・・・」
胎児達はネバネバする液体を私に擦り付ける。
「いや・・・ぁぁ・・・う・・・あぁぁっ・・・」
それは・・・あぁぁぁ・・・カラダに纏わりついて、無防備な精神体となった私を侵食していく・・・
グチュグチュグチュグチュ・・・・
耳に・・・あぁぁ両耳に・・・長い舌が入って来て、イヤらしい音を立てながら犯されて・・・
「はぁぁん・・・」
カラダが痛いくらいに仰け反ってしまって、高く突き出された胸から振り下ろされまいと、胎児達が爪を立てる。
「くぅうう・・・あぁああああ・・・うむっ・・・うぅうう・・・」
唇も奪われて、口の中を長い舌で貪られてしまう。
グチュグチュグチュグチュ・・・
耳が犯される音・・・口の中が犯される音が頭の中で響いて・・・あぁぁ・・・もう無茶苦茶になってしまう・・・
「うぁ・・・ああぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・」
ドロリ・・・一人の胎児が、ドロリと溶けた。
「はぁん・・・」
溶けていなくなったあとでも、責めはまだ続いているように感じてしまう。あぁぁ・・・お尻を・・・イヤらしく撫でられ続ける感覚が・・・
ドロリ・・・
ドロリ・・・
次から次に、胎児が溶けていって・・・あぁぁ・・・ネバネバする液体が、私を呑み込んで・・・
ゴポゴポゴポ・・・
口から泡がこぼれ出て、液体の中に消えていく。気が付いたら私は、液体で満たされた瓶の中に囚われていた。
んくっ・・・ぁああ・・・溶けて液体になっても、胎児達は私をまだ責めている。私を苦しめている。
トプン・・・
瓶の中に手の平より大きいゴキブリが入ってきた。
その時、私は自分が小さくなってしまっていることに気が付いた。瓶の向こうで、若い男の人が私を見ている。さっきまでお爺さんだったあの人だ。
ゴキブリを入れたのがこの人なら、なんて悪趣味な・・・
カサカサ・・・大きなゴキブリは瓶の中でもがくように暴れ回り、そして私の胸に貼り付いた。
『いやぁ・・・』
悲鳴の代わりに、泡がコポコポと浮き上がっていく。
それを合図に、私の地獄は始まった。
ガブリ!
ゴキブリが、私の胸に噛みついた。
『うぐぁああ・・・』
まるで私を苦しめる意志を持ったみたいに、胸を・・・ガジガジと齧って・・・振り払いたいけれど腕が抑えられているみたいに動いてくれない。イヤイヤと首を振りながら、苦しみ悶える事しかできない。
ドぼドボドボドボ・・・
嘘・・・ゴキブリが何匹も何匹も瓶の中に入って来て・・・
『あぁぁあああ・・・』
私の胸にゴキブリが集って来る。ガジガジと齧られ、いたぶられてしまう。
苦しむ私に見せつけるように、男の人は瓶の前に大きなムカデを差し出した。
やめて・・・あぁぁ・・・そんなモノを入れられたら・・・そんな大きなムカデに責められたら・・・私は・・・
男の人はニヤリと残忍な笑みを浮かべて、
ドボン!
ムカデを瓶に落とした。
『うぁああああ・・・』
ワサワサと無数の足を蠢かしながら、ムカデが私に巻き付いてくる。私を、ギリギリと締め上げる。
『んくあぁああ・・・』
仰け反った首筋に、
ガブリ
ムカデが噛みついて、
『あぁ・・・ぅぁ・・・んぁぁぁ・・・』
毒が・・・ムカデの毒が・・・私を犯すの・・・
ドロリ・・・
胎児達と同じように、ゴキブリもムカデも溶けていく。
『うあ・・・あぁぁん・・・』
だけど胎児の子達と同じように・・・溶けて見えなくなっても・・・あぁぁ・・・私を苦しめ続けるの。
『あぁああああ・・・』
身をくねらせ悶える私に、男の人のいやらしい視線が絡みつく。
見ないで・・・
あぁぁ・・・視線で私を責めないで・・・
ドボン!
突然大きなスズメバチが瓶の中に飛び込んできて、
ズブリ・・・
太い毒針が・・・あ・・・あぁぁ・・・私の・・・ちく・・・乳首・・・に・・・
『んぁぁあああああ・・・』
ズクズクと毒を注ぎながら、まるで私の胸を犯すみたいにスズメバチの胴体が前後に動く。激しく抜き差しされる度に、私はいやらしく身をくねらせてしまう。
更にポタリポタリとナメクジが落ちて来て、
『ひぁ・・・んくぅぅぅ・・・』
襟首からセーラー服に潜り込んで、背中を・・・お尻を・・・ヌルヌルと這いずりながら私を責め立てるの。
ズブリ・・・あぁぁ・・・もう片方のちく・・・胸の先端にも・・・スズメバチの毒針が・・・
『あぐぅ・・・うあぁあああ・・・』
悶える私のカラダ中を・・・沢山のアリがワサワサと集って・・・噛みつき・・・蟻酸でいたぶって・・・
『はぅ・・・あぁああああ・・・うあぁああああ・・・』
ドボン!
『あぁあああああっ・・・』
太ったネズミが私の腰にしがみ付いて・・・あぁぁ・・・嘘でしょ・・・硬く太いおちん・・・ぺ・・・ペニスで・・・私の大事なところを貫いて・・・
『あん・・・あぁあああ・・・や・・・あん・・・あぁああん・・・あぁああああ・・・』
私が悶えれば悶えるほど、興奮したネズミはますます激しく私を犯す。
『はぁん・・・あんっ・・・んあぁあ・・・んく・・・あぁあ・・・』
それに呼応して、他の虫達の責めも激しくなっていく。
『いあ!うぁあ!んぁっ!はぁああああああああん・・・』
私はもう・・・ありとあらゆる生き物に責められる、最底辺の存在に貶められてしまった。沸き上がる屈辱感と恥辱が、さらに私を責め立てる。
蛾や、カエルや、ミミズからすらも責め嬲られる。
ありとあらゆる生き物が、私のカラダを味わいつくすみたいに・・・
『ぁあああああああああああああああ・・・!!!!』
私のカラダがピンと突っ張ったその時、
パリン!
私を捕えている瓶が割れて、
そして・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
暗くジメジメした空間で、私は小さな男の子・・・子供に戻った男の人に、されるがままに責められていた。
胸を揉まれ、お腹を踏まれ、お尻を叩かれ、そして今は・・・
「いや・・・あぁぁ・・・」
私の胸を散々痛めつけた鞭で、サワサワと撫でるように弄ばれて・・・あぁぁあ・・・
苦しむ私に興奮したのか、男の子がズボンを脱いだ。
子供には似合わない、凶悪なモノがそそり立っていた。
きっと私を苦しめようという意志が具現化されているのね。何とかしないと、この人を救えなくなってしまう。欲望に呑まれてしまえば、悪魔の思うつぼになってしまう。何とかしないと・・・何とかしないといけないのに・・・
「んぁっ・・・やん・・・ぅンっ・・・」
私は、禍々しいモノを胸に押し付けられて、それだけでイヤらしく身悶えてしまう。
無防備な精神体の私は、私を襲う欲望に対してあまりに無力で、相手の思うままに苦しみを受けてしまう。
「あぅ・・・あぁ・・・んあぁあああああ・・・・」
男の子は私の上に負いかぶさって、グリグリとモノを私の胸に擦りつける。それは、どんどん激しさを増していく。
「あんっ・・・んはぁっ・・・はぁん・・・あぁあああああああ・・・」
純粋な性衝動をぶつけられて、私の胸は狂ったように性感を生み出し続ける。私はその悦虐の渦に呑み込まれて、もう何も考えることも出来なくなって・・・
「あ“ん・・・んぁあああ・・・はぁああああああああああああああん・・・」
カラダが震えて・・・絶頂の苦しみに襲われた。
その私の目が、
男の子のモノから放たれた無数の精子が・・・オタマジャクシくらいの大きさの精子が、高く放たれるのを見た。
「あ・・・あぁぁ・・・ま・・・まさか・・・」
この精子が・・・私を・・・私を犯すというの?
そんな・・・なんて悍ましい責め・・・
チュルチュル・・・
私の想像した通りに・・・私が恐れた通りに・・・一つ一つの精子が、私の胸に吸い込まれていく。
「あぁああん・・・うあぁああ・・・あぁあああああああああ・・・」
精子が、私の胸を汚していく。どろどろに穢して、そして
「はぁう・・・んあぁあああ・・・ゃ・・・んはぁああああ・・・」
私の魂にヌルヌルと入り込んでいく。まるで魂に着床するみたいに・・・あぁぁ・・・魂が・・・集団レイプされているみたいで・・・あぁぁあっ・・・数億の精子による終わりの見えない輪姦が、私を苦しめ続ける。
「うぁあ・・・あぁん・・・んくあぁあああ・・・」
悶え喘ぐ私の姿を見ながら、男の子はイチモツをしごき始める。そして・・・また精子を放って・・・
「あぁぁ・・・そんな・・・あぁああああああああ・・・」
う・・・あぁぁ・・・さらにまた・・・数億の精子が放たれて・・・私は絶望の中、クネクネと悶え続ける。
「んうっ・・・あぅ・・・あぁぁん・・・いやぁああ・・・」
精を放ったばかりだというのに・・・男の子のソレは、ムクムクと硬く大きくなって・・・
やめて・・・そんな・・・あぁぁ・・・もう・・・放たないで・・・
私の願いも虚しく・・・ううん、きっと私がやめて欲しいと思ったから、男の子は無情にもまた精を放った。
「いあ・・・あぁぁ・・・・やめ・・・はんっ・・・ひぅ・・・ふぁあああん・・・」
私が声を出すから・・・クネクネと身悶えるから・・・男の子のソレはまた大きくなってしまう・・・でも、あぁぁ・・・こんな責め苦・・・どうやったって耐えられない・・・
「くぁあ・・・うくっ・・・あぁん・・・はぁん・・・んあぁああ・・・」
精を放つほどに、少しづつ男の子が幼くなっていることに気づいた。
欲望に塗れた男の子の魂が・・・どんどん退化していって、胎児になって・・・悪魔に食べられてしまう・・・最悪の未来が浮かんだ。
あぁぁ・・・でも・・・ただ苦しむ事しか出来ない私には・・・もう・・・救う事は出来ない・・・
絶望に心が覆われてしまいそうになったその時、
ふと、三人目の『養父』黒薔薇漱石との思い出が胸をよぎった。
・・・・・・・・
今までの養父達とは違って、暖かい愛情を真っすぐ向けてくれる彼が、私は怖くて仕方が無かった。全ての事情を知りながら、何人もの人の人生を壊してきた私達兄弟を受け入れる彼が、私は怖かった。
だって、いつしかこの人の人生も壊してしまうから。かつての養父達と同じように彼もまた、カインにそそのかされて私を犯し、そして全てを失ってしまうと思っていたから。
だから、彼の愛を受け入れることが、彼を愛することが、私は怖かった。
ある嵐の晩、その思いをぶつけた私に黒薔薇漱石は、いつものように声を出さずに笑ってこう言った。
「僕の人生がこれからどうなろうとマリア、私はね、今目の前にいる、いてくれている君とカインを愛するよ。」
私はどんな顔をしていたのだろうか。彼は私の目を真っすぐ見つめながら続けた。
「あのねマリア、愛に理由はいらないんだよ。たとえ君たちが何万人という人を虐殺した過去があったとしても、これから君たちのせいで人類全てが未曽有の大惨事に巻き込まれる未来があったとしても、今、私の目の前にいる君たちを私は心の底から愛するよ。それが何か問題かな?」
・・・・・・・・・
ヌプリ・・・
男の人のソレが、私の胸の中に入ってきた。
「あ“ぁ“ぁ“ん・・・」
もう幼児くらいにまで幼くなった男の、グロテスクなまでに大きいイチモツが・・・あぁぁ・・・散々精子に嬲られた私の胸に・・・
パン!パン!
激しく打ちつけられていく。
「はぐぅっ・・・う“ぁ“っ・・・あ“ぁぁん・・・」
性欲というよりもむしろ破壊衝動に近い、荒々しい性暴力。一突きごとにカラダがバラバラになりそうになる。
「あぐっ・・・んぁっ・・・うく・・・ぐぁ・・・あぁん・・・」
私の胸の中で、男のモノが脈を打つ。
あぁぁ・・・そんな・・・胸の中に直接・・・放たれたら・・・
「ぅぁ・・・や・・・やめて・・・あぁあああああああああああああ・・・」
ドクドクドク・・・私を散々苦しめた精子が・・・一気に胸の中で放たれて・・・精子の濁流に、全てが呑み込まれていく。
「あ“ぁ“・・・んあぁあ・・・ぁ・・・ぁ・・・ぁぁ・・・」
私はもう声を出すことも出来なくなって、口をパクパクさせてカラダを突っ張らせた。
「・・・!・・・っ・・・!!・・・!・・・!」
あぁぁ・・・もう私は・・・グズグズのドロドロになってしまって・・・だけど、意識を手放すことも許されずに・・・地獄というのも生温い責めを、覚醒した意識の元で味わってしまう。叩き込まれてしまう。
でも・・・あぁぁ・・・だからこそ・・・私にはできることがあるの・・・
「おぎゃ!おぎゃ!」
全て精を放った男の人は赤ちゃんになって、
「おぎゃ!おぎゃ!」
私の胸の上で鳴き声をあげている。
赤ちゃんはすぐに胎児の姿に戻って、どんどん形がひとから離れていく。人になる前の姿に戻っていく。
その魂から、深い後悔や悲しみ、そして悲痛なまでの罪悪感が伝わってくる。
私を欲望のままにいたぶり責めたことに対する罪悪感。
「言ったでしょう。アナタは悪くない。」
私は彼にそう言葉をかけた。
「アナタはただ、悪い夢を見ていただけ。」
そして私は小さくなった彼を手のひらでそっと包んで、お腹の下の方へ押し付けた。
「んくっ・・・はぅ・・・んぁぁ・・・」
ヌプリ・・・子宮に彼が入っていく。小さな命が入っていく。
「こうすることでしか・・・あぁん・・・アナタを・・・守れそうにない・・・から・・・んぁ・・・ごめんね・・・」
私は私の子宮で、彼を守ることにした。そうすることしか、今の私にはできないから。
―――なぜ・・・なぜここまでしてくれるのか・・・私は・・・あんなにも・・・欲望のままにアナタを・・・―――
男の人の声が聞こえる。
「それが・・・私の・・・使命・・・だか・・ら・・・んぁああああああああ・・・」
カラダがピクンと跳ねあがった。着床したばかりの彼の命が、私の子宮で脈打っている。
守ってあげる・・・だから、私の子宮で安心しておやすみなさい・・・
「クックックック・・・」
暗闇の中から笑い声がした。
「いやぁ失礼。小生、ドグラマグラという悪魔であります。いやぁ、自己紹介は不必要でしたかな。」
闇の中からボウッと赤黒く光る巨大な胎児。それが心の中に直接語り掛けて来た。
やっと姿を現した悪魔。でも、私はもう戦う力がなくて・・・
「いやぁ、それにしても自分を散々凌辱し、汚し、苦しめた相手を、そんなにしてまで守るなんて・・・そもそもソイツは何人もの人を殺めておきながら、精神を病んでのうのうと生きている人間の屑ですよ。知らないわけではありますまい。」
「この人が・・・この人が何をしたとか・・・今は全く興味ないわ・・・私はただ・・・」
私はただ・・・『養父』のように・・・漱石のようにありたいだけ・・・そうすることに・・・理由は・・・
「はぐぅうう!!!」
突然胸を何かに責められて、私はカラダを弓なりに反らせる・・・あぁぁ・・・見えない胎児が・・・ゴキブリが・・・精子が・・・私をこの悪夢で責め嬲った全てが・・・また・・・私を・・・
「安心してください。ちゃんと子宮には手をつけないで差し上げますから。いやぁ、これでも小生、アナタの献身に心を打たれたモノでありまして・・・」
悪魔はそう言って、私を知らない名前で呼んだ。
「う・・・ぁぁ・・・何を言ってるの・・・私の名前は・・・」
「いやぁ失礼。今はマリア殿でしたね。小生、マリア殿と同じで、幾つもの世界線を生きているものでして。」
「幾つもの世界線・・・?・・・んあぁぁあっ・・・う・・・な・・・何を言って・・・いる・・・の?」
「ほう?覚えてないのですか?それなら、思い出させてあげますよ。」
パチン。
指を鳴らすような音がした後に、
私の脳に、ありえない記憶が津波のように押し寄せてくる。
ビキニアーマーの私が、ゲームのような世界で戦う記憶。
千年の時代を超えて、ピンクのレオタードを着て妖魔と戦う記憶。
宇宙船で星々を回りながら、最強のアタシが悪い宇宙人と戦う記憶。
シスターのボクが、吸血鬼と戦う記憶。
猫耳にブルマ、胸にプロテクターを付けた幼い私が、怪人さんと戦う記憶。
半分機械になったアタシが、不毛の荒野でクソ野郎どもと戦う記憶。
そして、青い女神、赤い女神の私が、お兄ちゃんや他の仲間たちと一緒に巨大な怪獣と戦う記憶。
・
・
・
・
・
・
その他にも・・・無数の私が・・・無数の物語の中で何かと戦っている。
どの記憶の私も・・・あぁぁ・・・壮絶な責めを受けながら戦って・・・戦い抜いて・・・その先に待つのは・・・
―――永遠の苦しみ―――
「はぐぅ・・・うぁああああああああ・・・・」
カラダ中に・・・何かに責められている感覚が・・・でも、何に何をされているのか分からない、正体不明の感覚に苦しめられて・・・私は身悶えてしまう。
「これらは今までと、そしてこれからのアナタの記憶です。いやぁ、分かりますか?アナタという存在は、苦しめられる為だけにあるのですよ。」
「そ・・・そんな・・・あぁああああ・・・・」
「いやぁ、でも安心してください。今アナタに見せた記憶は、綺麗さっぱり忘れさせてあげますから。それとこれはアナタが望むのならばですが・・・」
ドグラマグラは、思わせぶりな間をとった後にこう続けた。
「アナタを襲う無限の苦しみ、永遠の凌辱を今ここで終わらせてあげることも出来ますよ。」
悪魔の言葉に耳を傾けちゃダメ・・・そう警告する自分と共に、この魂に課せられた呪縛から解放されるかもしれない・・・その救いに、心が揺らいだ。
「あ・・・うあぁ・・・もし・・・もし私が・・・こ・・・ここで終わったら・・・この世界は・・・どうなるの?」
「いやぁ、これから先の運命について語るのはご法度ですがねぇ、どうせアナタはこの会話を忘れるんだ。構いやしないでしょう。」
そこから語られる悪魔の話に、私は震撼した。
嘘であって欲しかった。
そんな・・・それじゃぁあまりにも・・・
「というわけで、この世界は新しい世紀を迎えることが出来なくなってしまいます。でも、アナタが永遠の責め苦を受け続ける・・・その事に比べたら些細なことじゃぁ無いですか。」
悪魔から告げられた衝撃の結末。
あまりにも残酷な事実。
でも私は
私は・・・
「私のこと・・・知っているなら・・・分かるでしょ。馬鹿なこと聞かないで・・・」
「クックックック・・・いやぁ失礼失礼。愚問でしたな。アナタならそう答えてくれると思っていましたよ。さて、この世界での小生の役目を果たしましょうかね。」
ドグラマグラがそう言った瞬間、子宮の中から“彼”の気配が消えた。
「心配いりません。奴は自分のあるべき場所へと戻りました。だってそこは小生の指定席ですからね。」
そう言葉を発して、巨大な胎児がその身を小さくしながら・・・私の子宮へ・・・
「はぐっ・・・んぁあああああ・・・うあぁあああああああああああ・・・」
「それでは、小生、特等席で愉しませてもらいますよ。西暦1999年7の月、この世界の終末をね。」
ドグラマグラの言葉を聞きながら、私の意識は悪夢から解放されて現実へと引き戻されていく。
この先に待つ、悪夢よりも悍ましい運命を知りながら、
それでも私は・・・