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魔法少女ミラクル・コトハの物語 第二話 嵐の海賊船!壮絶鞭責めナイフ責め!!

  ガキン!


 ボクの剣と魔物のサーベルが激しくぶつかる。

 

「ガハハハハハハハハハ!!!!やるじゃねぇか嬢ちゃん!」


 左手がかぎ爪になっている海賊の魔物がニヤリと笑うと、周囲を取り囲む彼の子分たちが、


「おーーーーー!!!」


 と声を上げた。


 大きな髑髏が掲げられたマスト。あちこちに転がる酒樽。まるで絵本の中から飛び出してきたかのような海賊船が、大波に煽られてグワングワンと揺れて真っすぐ立っているだけでも精一杯になってしまう。

 嵐の中の船上での戦い。ただでさえ慣れないフィールドなのに、敵は一人じゃない。目の前の船長らしき魔物だけに集中していたら、周囲を取り囲む子分の魔物達に何されるか分からない。


「周りが気になるかよ。安心しな。子分どもには手出しはさせねぇ。」


 魔物はニヤリと嗤うとサーベルを真っすぐについてきた。


 ガキン!


 ボクはそれを剣で受け、後ろに飛びのく。


「イキがいいねぇ~~~元気な子供は大好きだぜ。」


 海賊の船長はそう言うと、懐からピストルを取り出した。


 パンパンパン!!!


 乾いた銃声が響く。


「無駄だよ。」


 ボクはそれを最小限の動きで回避しながら突っ込んでいく。


 背後で、


「ぐあぁああ!!!」


「あがぁああああ!!!」


 流れ弾に当たった子分たちの悲鳴に続いて、


「ゲラゲラゲラ!!!流れ弾に当たってやんの!」


「ゲハハハハハハ!!こいつは面白れぇや!」


 それを見た子分たちの爆笑が巻き起こる。


「狂ってる・・・」


 ボクは口の中でそう呟いて、


 相手の懐に飛び込んだ。


「いいねぇ~~~♪」


 海賊船長は後ろに後ずさって距離をとる。


 その瞬間、ボクは勝ちを確信した。


 この魔物は戦いを楽しんでいる。部下の前でより戦いをスリリングにするために、避ける範囲は最小限。

 その証拠に、ギリギリ剣が届かない間合いで攻撃をよけようとしている。


 でも・・・


 ボクは攻撃を放つ一瞬で剣を変化させた・・・ボクの武器は魔法のスティック。イメージをすることでどんな武器にも変形するそのスティックを、今度はリーチの長い槍にして、


 一気に突き刺す!!


 刺そうとした・・・けど・・・


 その時、


「キャァアアアアア!!!」


 背後から悲鳴が聞こえて、瞬間・・・ボクの動きが止まってしまった。


 その一瞬で、


 ズブリ!


 魔物のサーベルが・・・ボクの胸に突き刺さって・・・


「あぐっ・・・あぁ・・・う“ぁ・・・」


 カラン・・・槍から元の姿に戻ったスティッキが音を立てて手から零れ落ちた。


 武器が・・・戦う術が・・・あぁぁ・・・勝利の可能性が・・・零れ落ちてしまった・・・


「おいおい、ダメじゃねぇか。ちゃんと集中しないとよぉ~~~」


 魔物はサーベルをグリグリと回して・・・ボクをいたぶり愉しんでいる。


 あぁぁ・・・反撃をしなきゃいけないのに・・・ボクに見せつけるようにして、子分魔物達が・・・縄でくくられた子供や女性を引き連れてきて・・・


「やだ・・・助けて!!」


「うぅぅ・・・もうぶたないで・・・」


 怯える彼女達を甲板に引き釣り倒した。


「やめろ・・・うぁ・・・話が・・・あぁぁっ・・・違うじゃないか・・・」


「はぁ?何を言ってるんだ嬢ちゃん。奴らが俺らの戦いに手出ししたか?あれは子分どもが勝手にやってることだ。俺らには関係ねぇ。」


 そう言って笑う魔物の後ろで、その子分がナイフを囚われた子供の首筋にあてがった。


「や・・・止めろ・・・」


「おいおい、どうして嬢ちゃんが俺様の子分に命令してんだ?あ?」


 私の胸に深く突き刺さったサーベルが激しくかき回される。


「ん“ぁ“っ・・・あぁぁぁあああああ・・・」


「子分どもがよぉ~~~自分たちで一生懸命捕まえた人質でよぉ~~~どう遊ぼうが勝手だろうがよぉ~~~!!それともなにか?お前が代わりにあいつらの玩具になってくれんのかよ。なぁ?」


 その言葉に、心臓がドキンと高鳴る。


 あ・・・うぁぁ・・・そんな・・・ボクにはもう・・・魔物達の思うがままに責められる事しか出来ない・・・なんて・・・


「オレたちゃぁ別にどっちだっていいんだぜ~~~」


 子分の一人がそう言って、人質の首筋に押し当てたナイフを振り上げた。

 

「待って!ボクに・・・ボクに何をしてもいいから・・・他の人には手を出さないで・・・」


 ボクがそう口にすると、魔物はプツリと胸に刺さっていたサーベルを抜いた。


「んあぁぁ・・・」


 膝から崩れ落ちたボクの顎を、魔物のかぎ爪が持ち上げる。


「うぁ・・・」


「何へたってんだ?そんなんじゃ俺達海賊の玩具にはなれねぇなぁ?」


「くっ・・・」


 ボクは震える足に鞭うって、必死に立ち上がる。


 あぁぁ・・・このカラダを・・・海賊達の責めに晒すために・・・


 その時、


 ズキン!


 心臓に激しい痛みが走った。心臓を茨で締め上げられる痛みが・・・


 ボクは正義の魔法少女・・・だから・・・性感に悦ぶことなんて許されない・・・だから・・・性的に感じてしまうと罰として、心臓を茨で締め上げられる痛みに襲われてしまう。


 それが・・・なんで今・・・ボクは罰せられているの・・・


 まさか・・・この状況で・・・海賊たちの玩具にされることに期待して・・・感じているとでも・・・


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


 立ち上がり、無防備にさらされたボクのカラダに海賊達の視線が突き刺さる。ピッチリレオタードというエロティックな姿のボクの・・・あぁぁ・・・薄い胸に特に視線が舐めるように注がれて・・・


「んはぁ・・・ぅぁ・・・あぁぁ・・・」


 乳首が痛いくらいに立って、ぷっくりとレオタードを押し上げる・・・そこに・・・集中的に視線が・・・


「いやぁぁ・・・」


 胸を腕で隠したボクに、


「嫌なのか?そうかそうか。なら無理強いはするわけにはいかないな。おい、お前ら!」


「ま・・・まって・・・イヤじゃない・・・イヤじゃないから・・・」


「イヤじゃないから・・・なんだ?」


「ボクの・・・ボクのカラダよければ・・・あぁぁ・・・好きにして・・・くだ・・・さい・・・」


「そんな事言われてもねぇ~~~嬢ちゃんが俺達海賊を満足させられるかねぇ~~~」


 魔物はそう言いながらボクのスティックを拾い上げて、


「俺達も鬼じゃないからよぉ~~~責めに耐えられないような子供を玩具に出来ないんだわ。」


 魔法少女の・・・魔物を倒す為の聖なるスティックで・・・ボクの乳首をグリグリと押しつぶす。


「はぁん・・・あぁ・・・んぁぁぁ・・・」


 周囲をかこむ子分たちが興奮して、ギラギラした目でボクを責め苛める・・・あぁぁ・・・だけど・・・それよりももっと苦しいのは・・・人質になった人達の蔑むような視線・・・正義の魔法少女なのに・・・んあぁぁあ・・・自分の武器で責められてアンアン喘ぐボクを貫く・・・ゴミを見るような冷たい視線・・・


「嬢ちゃんよぉ~~~この棒を自由に変形させていたよなぁ~~~」


「んくっ・・・はぁ・・・うぁっ・・・そ・・・それが・・・なに・・・あぁぁあああん・・・」


「俺達の玩具になりたいんだったら試験してやるよ。嬢ちゃん、これをお前が好きな責め具に変えてみろよ。」


 そう言って、魔物はボクの鼻先に魔法のスティックを突き出した。


 あ・・・そんな・・・ボクを・・・ボクをいたぶる責め具を・・・自分で作らなければいけないなんて・・・


「半端な責め具だった時は・・・分かってるな?」


 魔物はそう言って子分の方をチラリと見やる。子分は手にしたナイフをこれ見よがしにベロリと舐める。


 言われなくても分かってるよ・・・思いっきりボクの胸をいたぶればいい・・・


黒々としたバラ鞭・・・強くしなって・・・びっしりと鋲が・・・肉に突き刺さる鋲が付いた鞭をイメージした。


その鞭で、ボクの胸が責められるところをイメージした・・・してしまった・・・


「あぁん・・・」


『呆れたものだね。そんなに責められたいのかい?』


 ボクの頭の中で開かれた本に、そんな一文が記される。


 ち・・・違う・・・ボクは・・・責められたくなんか・・・


『しょうがないから協力してあげるよ。鋲の一つ一つから無限に媚薬が分泌されて、叩かれるほどに、鋲を打たれるほどに淫らに、痛みすら快楽に変わるように君のカラダが作り替えられるようにしてあげるよ。』


 ボクの中の本が、冷たい言葉でボクを追い詰めていく。


 そ・・・そんな・・・いや・・・いやぁぁ・・・・


 魔物の手の中でスティックが変化していく。ボクを苦しめる為に、ボクが作り上げた禍々しい責め具に・・・


「おいおいおいおい・・・こんなゴツイ責め具を作り上げるなんてとんだどMだなぁ。責められたくてここに来たのかよ。」


 そう言いながら、魔物はボクの胸を鋲付きの鞭で軽く撫でる。


 ザリ・・・


 鋲がボクの胸を引搔いて、


「うあぁぁ・・・」


 ボクの唇の間から、漏れ出てしまう。


「嬢ちゃん、この鞭で、どこをどうして欲しいんだ?」


 弄ぶようにペチペチと胸を叩かれてる度に、カラダがピクンピクンと跳ねてしまう。


「はぁ・・・はぁ・・・んっ・・・あっ・・・ぅあ・・・ぁ・・・ボクの・・・胸を・・・その鞭で思いっきり・・・虐めて・・・下さい・・・」


 ボクは両手を広げ、胸を差しだすようにカラダを反らせた。


「そこまで頼まれたらしょうがねぇなぁ!!!」


 バシン!!!!


凄まじい力で胸を打たれて、


ザク!!!!!


鋲が胸に突き刺さり引き裂いていく・・・


「うあぁぁああ!!!」


「いい声で鳴くじゃねぇか!!!」


 ズバン!!!


 また胸を打たれて、


「んあぁあああああああ!!!」


 足がガクガクして倒れてしまいそうになる。


「膝をつくんじゃねぇぞ!人質の命が大事ならな!!!」


 バン!!!


 今度は足を打たれて鋲で裂かれて、


「んぐぁぁああ・・・!!!」


 ただでさえ立っているのがやっとなのに・・・あ・・・あがっ・・・あ・・・足が・・・


「くっ・・・」


 ボクは必死に踏ん張って、そして魔物に胸を差しだす。


 ズバーーーーン!!!


 その胸に強烈な一撃が・・・


「あぁぁああああん!!!」


 胸を打たれて身を捩り悶える度に、周囲から


「うぉおおおおお!!!!」


 歓声が上がる。


「あがっ・・・う・・・うぁ・・・あぁぁ・・・」


 痛みの余韻に苦しむ私を、船長の魔物はニヤニヤしながら舐めるように見つめる。


「んぁ・・・いあぁぁ・・・」


「傷ついたカラダもレオタードもすぐに回復しやがる・・・なるほど。『ママ』の言うとおりだぜ。」


「『ママ』?・・・それは・・・だれ・・・」


「お前の知った事じゃねぇさ!」


 ズバシ―――――――ン!!!!


 また・・・胸を・・・


「んはぁああっ・・・!!!」


「鞭うたれて感じてやがるぜ!」


「まだガキのくせにとんだ変態だな!」


 周囲を取り囲む子分たちがはやし立てる。


 スパン!!!


「はぅ・・・あぁああああ!!!」


 ち・・・違う・・・これは・・・鋲の媚薬でおかしくなってるだけで・・・胸がおかしくなってるだけだから・・・そんな・・・ボクが・・・変態だなんて・・・


「助けてくれると思ったのに・・・なんで一人気持ちよくなっているのよ。」


「おっぱい虐められて感じてしまうなんて・・・お姉ちゃんに期待したボクがバカだったよ。」


 人質になった人達が、軽蔑の言葉を投げかけてくる。


「あっ・・・ぁ・・・ぅぁ・・・」


「オラオラ!!!まだ終わってねぇぜ!!!」


 ズバシーーーーーン!!!!!


「あぁぁああん!!!!」


 胸を襲う痛み・・・鞭打たれて・・・鋲で引き裂かれて・・・あぁぁ・・・その痛みが、性感の沼にボクを引きずりこんで・・・


「はぅ・・・んぐぅ・・・ぁぁああ・・・」


 淫らに溺れるボクを罰する茨が・・・あぁぁあ・・・心臓をギュウギュウと締め上げる・・・


「見ろよ。クネクネしやがって。」


「七つの海のどこを探したってあんな淫売いやしねぇよ。」


「たまんねぇ・・・船長・・・俺らにもやらせてくれねぇかな・・・」


 ボクを嬲る脂ぎった言葉と、


「あの子は責められたくてここにきたのね。」


「まだ子供なのに、どう育ったらあんなにハレンチになるのかしら。」


「弱くてエッチな魔法少女。もうずっとアンアン喘いでいればいい!!」


 ボクを貶める蔑みの言葉に、


 責められて


 苦しくて・・・


 でもあぁぁ・・・どうして・・・感じてしまうの・・・


「はぁ・・・はぁ・・・んはぁっ・・・あぁぁああ・・・」


「まだまだ!!!あと百発は行くぜ!!!!」


 スパァアアアアアアアアアアンン!!!!


「あぁぁあああああああああ!!!!」


 嵐の中・・・ボクは自ら差し出した胸を責められ続けて・・・


 あぁぁ・・・ボクは・・・魔物をやっつけるためにここに来たのに・・・


 みんなを・・・守るために・・・魔法少女になったのに・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


 ☆


 ・・・・・・その知らせは突然だった。

嵐の晩、自室で読んでいた本の内容が突然変わった。他愛の無い青春群像劇だったのに、突如現れた海賊船に襲われて破壊される街と逃げ惑う人々の物語に変化した。


 ボクの目は文字を追っているのに、頭の中にハッキリと映像が浮かんだ。


「これはまさか・・・」


『そのまさかだよ。』


 本の中にそんな一文が浮かんだ。


 これはあの時と同じ。魔法少女にボクが変身したあの日と同じことが起きている。


『今君が読んでいる物語は、たった今起きている現実。そしてこれから起こる確かな未来さ。海賊の魔物達に沢山の人が襲われている。そして放っておけばこれから沢山の悲劇が生まれるだろうね。』


「そんな・・・なんとか出来ないの?」


『それは君次第さ。君が海賊の魔物達を倒すことが出来たら、この物語はハッピーエンドを迎えることが出来るかもしれないよ。あ、でも決して無理強いはしないけどね。』


「そんなの決まってる!」


 ボクがそう言ったあと、ふとママの顔が頭に浮かんだ。ボクにもしものことがあったら・・・パパが魔物に殺されて、そして、ボクまでいなくなってしまったら・・・ママは・・・


『それなら大丈夫さ。魔法少女になっている間、竜胆コトハの存在は最初から無かったモノになるから。君にもしもの事があっても誰も悲しんだりしないからさ。』


 ボクの存在が無かったことになる・・・その冷たい言葉に、ボクはなぜか救いを感じてしまった。


 ボクがいなくなっても悲しむ人がいないのなら、ボクはすべてを捨てて戦うことが出来る。


『準備はいいかい?』


 ボクは何も言わずに頷いた。


 瞬間、光に包まれて・・・


 カラダの中に魔力が巡っていく。それと共に全身の細胞の一つ一つが敏感になって、


「んぅぁ・・・」


 声がでてしまう。


 着ている洋服が光の粒子になって消え去ってしまった。


「あぁぁ・・・」


 どうしようもなく敏感になったカラダが外気に触れて、


「はぁ・・・」


 吐息を漏らしてしまう。


 あ・・・あぁぁ・・・誰に見られているわけでもないのに、恥ずかしくて、まるで大勢の人にジロジロ見られているような気がして・・・ドキドキしてしまう・・・


 光の帯が両手両足を包んで、ロンググローブとロングブーツに変わっていく。


 手足をキュウときつく締め上げられる痛みに、


「んつぅう・・・」


 唇をかみしめる私の胸元に、真っ赤なブローチが現われる。そのブローチから大量に魔力が流れ込んできて・・・カラダの中がさらに造り替えられていくのを感じる。


「あ・・・あぁぁ・・・うぁぁああ・・・」


 それはまるで胸の中に手を突っ込んでかき回されているみたいで・・・苦しくて・・・切なくて・・・


 キュウウウウウ!!!!


 仕上げに白のピッチリレオタードがボクのカラダを包む。胸を、お腹を、腰を・・・敏感になったカラダの、ただでさえ敏感な部分を締め上げられて、


「あぁぁあああああん・・・!!!」


 カラダを仰け反らせてしまう。


 あぁぁ・・・ブーツもグローブもレオタードも、まるで拘束具みたいにボクをきつく締め上げる。戦いの運命に縛り付けられたボクは、もう後戻りすることは許されずに突き進むしかない・・・


 あの日魔物に蹂躙されてしまった記憶が蘇ってくる。


 ボクはきっと・・・またあんな風に責められるのだろう・・・いや・・・今度はもっとひどくやられてしまうかもしれない。


 ドキドキする・・・吐息が熱くなる。


 こわい


 怖い


 でも、逃げるわけにはいかないんだ!!


 決意を決めたボクのツインテールに結った髪が桃色に染まっていく。


 戦う準備はできた。あとは、


『それじゃぁ、魔物の元に転送するよ!!』


 本から言葉が浮かんできて、そして、




 目の前の光景が一瞬で切り替わった。




 ビュオーーーーーー・・・


 肌に触れる激しい風と雨。


 ザプーーーーン・・・ザブーーーーン・・・


 グラグラ揺れる不安定な足元。


 それから、海の香りと血や火薬の匂い。


「なんだお前は!!??」


 魔物達の言葉と視線。


 海賊船の船首に降り立ったボクはこう名乗りを上げた。


「ボクは魔法少女ミラクル・コトハ!もうこれ以上君たちの好きにはさせない!!」


 ・・・そんな風にして勇ましく戦いを望んだのに・・・


 ボクは・・・負けてしまって・・・


 惨めに鞭打たれて・・・


 そして・・・


 ダン!


 投げられたナイフがボクの顔のすぐ隣に突き刺さった。


「下手くそ!どこねらってんだよ!!」


「うるせぇな!手元が少し狂っただけだろうが!!」


 海賊の部下たちが騒ぎ立てている。


 ボクは大きな樽に手足を括りつけられて、悪趣味なゲームに付き合わされている。


 乱雑に散らかった船室。床は食べこぼした跡やお酒をこぼした跡で汚れていて、あちらこちらに色んな品物・・・どこからか強奪してきただろう品々が打ち捨てられたように転がっている。


 天井からぶら下がったランタンがグラリグラリと揺れる度、海賊たちの長い影が右に左に揺れ動く。


「ルールの確認だ。アンタが声を出す度に人質を一人ずつ殺す。こっちがナイフを十本投げ終わったらアンタの勝ち。人質は海賊の誇りをかけて開放する。分かってるな?」


 ボクは黙ってうなずく。


「たはぁ~~~。ここで『分かってるわ』なんて返事をしたら一人殺せたのによぉ~~~アンタ、見た目通り利発な子だねぇ~~~」


 そう言ったノッポの海賊が投げたナイフが、


 ブスリ!


 お腹に深く突き刺さって・・・


「・・・っっ!!!」


 ボクを襲うのは痛みだけじゃない・・・ボクのカラダはもう、痛みを激しい性感に感じるようになってしまっていて・・・お腹にナイフが突き刺さったのに、まるで子宮に電撃を撃ち込まれたような激感に頭がはち切れそうになってしまう。

 そして・・・快楽を覚えるほどに心臓を締め上げられる痛みと苦しさが襲ってきて・・・


「・・・っ・・・っ・・・!!!」


 あぁぁ・・・カラダの中を痛みと苦しみと性感が行き場を失ってグルグルしている。


 だけどボクは必死に唇を嚙みしめて、海賊たちを睨みつけた。


「いいねぇ~~~その目。おじちゃんそんな目だ~~~~い好き♪」


 ひげ面の海賊が投げたナイフが・・・


 ザク!!!


 二の腕に深く突き刺さった。


「っっ!!!」


 お腹や二の腕でこんなにも苦しいのなら・・・もっと弱い部分を責められたらどうなってしまうんだろう・・・


 想像しただけでも、声が漏れてしまいそうになる。


「ほほほーーーい!アソコをつらぬいちゃうよ~~~~!!!」


 太った海賊が投げたナイフが、


 ズム!


 股のすぐ近く・・・太ももに突き刺さる。


「んっ・・・・はぁ・・・はぁ・・・ぜはぁ・・・ぜはぁ・・・」


「ん~~~~~♪なかなか堪えますねぇ~~~~でもこれを耐えられますかな?」


 メガネをかけた海賊が投げたナイフが・・・


 ドス!!


 あ


 あぁぁ・・・


 ボクの股間に・・・突き刺さって・・・


「~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」


 きつく縛り付けられたカラダを突っ張らせてしまう。


 目の前がチカチカする。食いしばった歯が震えて、ガチガチと音を立てる・・・


「次はオイラの番だねぇい!」


 あ・・・あぁぁ・・・まって・・・そんな矢継ぎ早に・・・


 ドン!


 衝撃が股間を襲った。


 さっき突き刺さったナイフの上・・・寸分たがわず同じところにナイフが飛んできて・・・深く・・・深く沈んで・・・子宮を串刺しにされたような衝撃が・・・


「っ!!!!!!!!!!~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」


 身動きも出来ない。声も出せない。激感を逃がすことが一切許されないのに、通常ではありえない痛みと快楽が、どうしようもない被虐感をまとってカラダの中で暴れ回る。


「~~~~~!!!!!~~~~~!!!!」


 激しく身悶えるボクの前に、無邪気そうな双子の海賊が現われた。


「お前ら分かってないなぁ~~~」


「全然分かって無いねぇ~~~」


「この子はさぁ~~~」


「この女はさぁ~~~」


「「胸が(おっぱいが)エロイんだよ~~~!!!」」


 彼らが投げたナイフが・・・


 ザクザク・・・


 同時に・・・両の胸に・・・


「       !!            」


 カラダが・・・魂が爆発してしまったようになって・・・ボクの意識は真っ白になってしまう。


 それもほんの一瞬の事。痛みと快楽・・・そう表現するのも生ぬるい感覚にすぐに現実という名の地獄に引き戻されてしまう。


「・・・っ・・・っ・・・!!!!」


 壊れたようにカラダがピクンピクンと痙攣する。


 もう・・・ボク・・・壊れて・・・


「イヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・よく堪えるねぇ~~~感動しちゃったよぅ~~~」


 チビの海賊の声にハッとする。


 そうだ・・・ボク・・・負けちゃダメだ・・・堪えなくちゃ・・・みんなを・・・助けるため・・・に・・・


「お前さん死なないんだって?イヒヒヒヒヒヒ・・・本当かどうか確かめさせてもらうよッと!」


 放たれたナイフが・・・ボクの胸の真ん中・・・


 心臓を突き刺して・・・


「ん・・・っ・・・っ~~~~~~~~~~!!!」


 も・・・もう・・・ボク・・・あぁぁぁ・・・


「ガハハハハハハハ!!!嬢ちゃんやるじゃねぇか!!これで最後の一本だぜ!!!」


 そう言ってボクの前に立ったのは・・・散々鞭で胸をいたぶった船長だった。


「最後の一振りはどこへ投げようかなぁ~~~?そのヒクヒク濡れそぼるドMマンコをズブリとやろうか?それとも、たっぷり鞭で可愛がった変態おっぱいに深く突き刺してやろうか?なんなら、心臓をもう一突き・・・死の痛みをもう一度味合わせてやろうかぁ??」


 船長はなかなかナイフを投げない・・・ボクは今も苦しくて・・・必死に声を堪えているというのに・・・あ・・・あぁぁ・・・そうか・・・わざとたっぷり時間をかけて・・・ボクを苛んでいるんだ・・・


 悔しい・・・こんな魔物達の好き勝手にされるしかないなんて・・・


「よし!決めたぞ!!狙うはその宝石だ!!」


 ビュン!


 投げられたナイフが、


 カツン!!!


 胸元のブローチに激しく当たった


 その瞬間・・・


「ふっ・・・・んっ・・・!!!!!!!!!!!!」


 全身の全ての細胞を鋭い針で突き刺されたような痛みが走って・・・


 ボクは首を反らせて、大きく口を開けた。


 喉が動いて音を作ろうとする。


 それはもう耐えるとか耐えないとかじゃなくて・・・床に落ちたグラスが粉々になるのと同じ・・・止めようのない現象・・・


 ダメ!ダメだ!!ボクが声を上げたら・・・誰かが殺される!!!


 ボクは魔力を練り上げて、見えない手で自分の首を締め上げた。


「ん・・・・ん・・・・」


 無理矢理声を止めた代償は安くはなかった。とっさに練り上げた魔法は力の加減がうまく行かずに、必要以上にボク自身を責めあげ、行き場のなくなった痛みがカラダの中で暴走する。


 でも・・・これで・・・人質の皆は・・・


「へぇ~~~やるじゃん。」


 縛られていた赤毛の女性が、自分でするりと縄をほどきながらニヤリと嗤った。


「この賭けは僕の一人勝ちだね。」


 捕らえられていた子供がそう言って、


「にしてもアンタ、いくら何でも強く締めすぎだよ!」


 別の女性・・・体躯の大きな中年女性が、近くにいた海賊子分の頭を殴った。


「な・・・そ・・・そんな・・・」


「キャハハハハハハハ!!!その顔ウケる!マジウケる!!!」


 女の子が笑い声をあげた。


「ガハハハハハハハハハ!!!分かったかな嬢ちゃん。こいつらは人質でもな~~~~んでもない。俺達の仲間の海賊だったってわけだ!!」


「そ・・・そんな・・・あぁぁ・・・」


 あ・・・あんなに必死に・・・苦しい思いをして声を出さないようにしたのに・・・そんな・・・そんな・・・


 赤毛の女性が、右胸に刺さったナイフを握って・・・グリグリと動かした。


「ああぁああ・・・うあぁぁああああああああ!!!!」


「いい声出すねぇ~~~アタシらずっとお預け喰らってたからさ、うずうずしてんだ。」


「今度は僕たちと遊んでよ!」


 人質のふりをしていた人達・・・あぁぁ・・・ちがう・・・正体を現した魔物達が・・・ボクのカラダ中に刺さったナイフを手にして・・・


 ボクを・・・


 引き裂いて


 突き刺して


 滅茶苦茶に


 弄んで・・・


「あぁぁああ・・・うあぁぁああ・・・っぁ・・・・あぁぁあああああああああ!!!」


 堪える必要のない声が上がるほどに、魔物達を興奮させてしまって・・・責めが激しくなっていく・・・


 海賊たちの言うとおりに、どんなに切られても裂かれても刺されても・・・コスチュームもカラダももとに戻ってしまう。


 それは・・・ボクが延々と責めを受け続けることを意味していて・・・


「ホラ、ホラホラ・・・もっと苦しんで・・・屈辱と恥辱に満ちた顔を見せておくれ。」


 中年女性の魔物が・・・あぁぁ・・・ボクの魔法のスティックを手にして・・・それを口の中に突っ込んできた。


「ふむぅ・・・おぉう・・・」


 自分の武器で口の中を犯されて、情けない声を出してしまう。


「そのまま喉を破っちゃえ!」


「馬鹿ね。こういうのはマ〇コにぶっこむのが定石なのよ。」


 ナイフがツー――ッとボクの股の割れ目をなぞって、


「んぁぁん・・・」


 カラダがピクンと跳ねてしまう。


「アタシさっき船長がしてたみたいに鞭打ちしてみたい!」


「アンタはどうされたいんだい?」


 中年女性がボクの口からスティックを引き抜いて、たっぷりついた唾液を塗り込むように・・・胸をグリグリと甚振ってくる・・・


「あんっ・・・あぁぁ・・・」


「アンアン喘いでんじゃないよ。ほら、このアンタの武器で、どうされたいんだい?」


「ぼ・・・ボクは・・・ボクの武器で・・・君達魔物を倒す為に来たんだ!!!」


 屈辱を怒りに変えて、怒りを魔力に変えて、ボクはスティックに念じた。


 ボウ!


 スティックは燃え上がり、そしてそばにいた魔物達を巻き込んで激しく燃え上がった。


「ひあぁああああ!!!なんだこれは!!!」


「てめぇ!!なにしやがる・・・うあぁああああ!!!」


「熱い!熱い熱い!!!」


 魔物達と一緒に、ボクを戒めていた縄も樽も燃えていく。さらに船室中に火は燃え移り、辺りは一面の火の海になる。


 でも・・・


「かぁーーーー!!!こいつはすごいぜ!!!」


「ゲラゲラゲラ!!!燃えていくやつらの間抜けっつらを見たかよおい。」


「なんだなんだ~~~~盛り上がってきたじゃねぇか!!!」


 仲間が燃えたというのに、船が燃えているというのに、海賊たちは楽しそうにはしゃいでいる。


「ガハハハハハハハハハ!!!いいねぇ!!!久しぶりに滾って来たぜ!!!おい野郎ども!!戦争だ!!!」


 船長の掛け声と同時に、ボクをずらりと取り囲むようにいくつもの砲台が現われた。


 まさか・・・ここで・・・ここで大砲を放つ気なのか・・・


「撃て!!!!」


 ドゴン!!!!


 四方八方から一斉に大砲が放たれる。


 「くっ!!」


 ボクは飛び上がり、船室の屋根を突き破り甲板へと躍り出た!!


・・・・・・・・・


・・・・・・


・・・


 自分のカラダを抱くようにして膝をつくボクのすぐ下で、


 ドゴン!バゴン!!!


 無茶苦茶に爆発が起こる。


「おい!どうして俺を撃つんだ!!」


「それはこっちのセリフだ!!」


「何をーーー!!!」


 激しく言い争う声と、


 ズドン!ドカン!!


 爆発音が絶え間なく続く。


 ビュウビュウと激しい風が責めに火照ったカラダを冷やしていく。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・んぁっ」


 だけどボクのカラダは、激しい雨に打たれる刺激ですらも感じてしまうみたいで・・・


「くっ・・・こんなカラダで・・・どう戦えば・・・」


 気が付けば船室から聞こえる音はずっかり止んで静かになっていた。


 このまま終わってしまえばいいのに・・・


 ボクは半ば願うような思いを抱いたけれど。


「ガハハハハハハハハハ!!!お嬢ちゃんのせいで可愛い子分どもが全滅しちまったじゃねぇか!!」


 船長が甲板に降り立って愉快そうに笑った。


「狭い部屋で考えなしに大砲を撃つから・・・」


 よろよろと立ち上がったボクの言葉に、


「ガハハハハハハハハハハハ!!!そりゃそうだ。でもなぁ嬢ちゃん・・・考える頭があったら、端から海賊になんかなってねぇんだよ!!」


 船長はそう答えて、ブン!かぎ爪の左手で攻撃してきた。


「くつ!!」


 それを受けた魔法スティックが


 カキーーーン!


 はじけ飛ばされて、


 ドボン・・・


 暗い海の中へと落ちてしまった。


「あぁぁ・・・そんな・・・」


 身も心もボロボロに蹂躙されつくして・・・あ・・・あぁぁ・・・魔法のスティックまで失うなんて・・・


「おやおや、武器を失って正真正銘の絶対絶命という奴だな。」


「くつ・・・武器が無くったってボクは・・・」


 『負けない』・・・そう言おうとしたその時、


 チクタクチクタク・・・


 嵐の向こうから時計の音が近づいてきて。


「ひっ・・・ひぃい・・・!!!」


 船長が突然青ざめて何かに怯えだした。


「なんてこった!こんなところにも奴がきやがった!おい野郎ども帆を張れ!こんなところにこれ以上いられるか!!!」


 船長のその言葉に、あちこちから骸骨がゾロゾロと現れて、


「船長、悪いけどアタシら死んでるんで何もできませんぜ。」


「あっはっはっは!ちげぇねぇちげぇねぇ!!」


「それにこの船ももうお終いですぜ。」


「ゲハハハハハハ!!!こいつは傑作でやんすなぁ~~~」


 口々にそんな場に合わないことを言った。


「うるさいうるさいうるさーーーーいい!!!とにかく船長の俺様の言うことは絶対なんだ!!!今すぐ言うことを聞かないと・・・」


 グラリ!!!


 その時船が大きく揺れて、荒れる海面から大きなワニが甲板によじ登って来た。


 チックタック・・・


 時計の音はそのワニのお腹から聞こえてきているようだった。


「ひぃいいいいい!!!!」


 船長は情けない声で広くない甲板を逃げ回る。


 でもボクには分かる。ワニは魔物なんかよりボクに狙いを定めたみたいだ。


 ギラリと視線が突き刺さる。


 分かってる・・・戦わないと・・・でも・・・


 一体どうやって・・・


「がぁああああああ!!!!」


 ワニは大きな咆哮を上げて、そして大きく鋭い爪で


 ザシュ!


 ボクの胸を引き裂いた!


「あぁああああああ!!!」


 ザシュザシュザシュ!!!


 続けて二撃三撃四撃・・・


 ボクの胸を引き裂いていく。


「うあぁ・・・あぁぁ・・・あぁぁあああああ!!!!」


 避けることも防ぐことも出来ずに、胸に爪を受けてしまう。


 あ・・・あぁぁ・・・このままでは・・・嬲られるだけ・・・


 反撃しない・・・と・・・ボクは・・・魔法少女なんだから・・・


 斬撃に責められながら、ボクは必死に戦う術を導きだそうとする。


 だけど現実は無常で、


 爪での責めに飽きたのか、今度はワニがその大きな口で・・・


 ガブリ!!!


 あぁぁ・・・胸に噛みついてきた!!!


「うぁ・・・あぁぁ・・・あぁぁ・・・・」


 ワニの鋭い牙が刺さった胸を・・・ギリギリと締め上げられる・・・


「ガハハハハハハハハハ!!!!なんだなんだ!!怯えて損した。時計ワニの野郎、すっかり嬢ちゃんの虜じゃねぇかよ!おい、よかったな!ワニにも可愛がってもらってよぉ!!」


 一転して陽気になった船長の声が響く。


どうして・・・こんなに胸ばかり・・・あぁぁああ・・・


ワニは頭をユッサユッサと激しく揺らす。


その度にカラダがミシミシと悲鳴を上げていく。


「あ・・・あぁぁ・・・うあぁぁああ・・・」


視界の隅で、子分たちだった骸骨たちが船長に詰め寄っている。


「あの・・・船長・・・アタシらはいったいどうすれば?」


「知るかうるさい!お前らはもう用済みだ!勝手に死んでいろ!!」


「そんな~~~とほほほ・・・」


 骸骨たちはそう言って、カランカランと音をたてて崩れていった。


 一方のボクは・・・もうなんの抵抗も出来ずに・・・されるがままになるしかなくて・・・


「くっ・・・うぁ・・・あぁぁ・・・」


 ギリギリギリ・・・バキン!!!


 万力のような力に締め上げられたボクのカラダが・・・骨が折れていく・・・


「あがっ・・・うあぁ・・・」


 力なく悶えるボクを、


 ブォン!


 ワニは放り投げた。


「あぁぁあああ・・・」


 その先には船長が棍棒を手にしていて・・・


 ドゴォオオオオ!!!!


 フルスイングした棍棒がボクのお腹を・・・


 メキメキメキ!!!


 破壊して、


「おごぅ!!!」


 そのまま吹き飛ばされたボクの背中を


 ズバン!!!


 ワニの大きな前足が叩いて、


「うぐぁああああ!!!」


 吹き飛ばされて、


 また、船長の棍棒に、


「あがぁっっ!!!」


 吹き飛ばされて・・・


 ボクのカラダは、ワニと船長の間を何度も何度もボールみたいに跳ね飛ばされてしまう。


「あっ・・・」


「うぁ・・・」


「うくあぁ・・・」


 何度も強い衝撃を受けながら・・・何度も骨を粉々にされて・・・その度に元に戻って・・・また粉々にされて・・・


 絶望的な激痛の中、呻くことしか出来なかった・・・


 ・・・ズダン!!!


 ワニの大きな前足に叩きつ落とされて、ボクは甲板に強く背を打った。


「かはっ・・・うあ・・・あぁぁああああ・・・」


 そのまま胸を踏みにじられて、ボクは弱弱しく顔を振りながら悶え喘ぐ。


「ガハハハハハハハハハハハハ!!!『ママの言いつけ』を守って正解だったぜ!最高の玩具を手にすることが出来たぜ!!おいワニ公!適当な穴倉にこいつを閉じ込めてよう、俺様とお前さんとで永遠に玩具にしようじゃねぇか。」


 船長が言うと、ワニが満足そうにうなずいた。


「そ・・・そんな・・・うあぁぁあああ・・・!!!」


 あ・・・あぁぁ・・・ボクは・・・このまま・・・負けてしまうのか・・・


 でも・・・ボクは・・・竜胆コトハは最初からいなかったことになるから・・・


 ママは・・・悲しまなくてすむから・・・あぁぁ・・・


「魔法少女が諦めてどうしますの!?」


 突然凛とした声が響いた。


 さっきまであんなに荒れていた海が、今この瞬間・・・嘘のように凪いでいた。


 厚い雲の間から差し込んだ月明かりが、船首にたたずむ一人の少女を照らしていた。


 儚げに白い・・・ボクがその子に抱いた第一印象がそれだった。


 キラキラと輝く銀髪の縦ロール。髪と同じ銀色の綺麗な瞳。透き通るような肌。手足には青いロンググローブとロングブーツ。そしてボクと同じように小さなカラダを包む黒のピッチリレオタード。その股の部分は青いヒラヒラで装飾されている。


「魔物を追いかけていたらわたくのような魔法少女に出会うなんて・・・まぁ、たまにはこんな夜もいいですわね。」


「ぅ・・・ぁ・・・で・・・でも・・・魔法のスティックが・・・海に・・・」


「馬鹿ね。貴女も魔法少女なのでしょう?魔法はね、思いの力で何でもできますのよ。だから魔法なんじゃなくて?」


「おい!お前はなんだ!!俺様を邪魔しようってのか!?」


「うるさいですわね!このわたくし・白百合ネオンは、魔物に名乗る名なんて持ち合わせておりませんの!」


「お・・・そうか・・・」


「ぐぎゃぁああああ!!!」


 ワニが咆哮を上げて、少女の方へ振り向いた。胸を押しつぶしていた足から解放されたボクがその時思ったのは、


『あの子がワニに襲われる!助けないと!!!』


 だった。


 でも・・・どうやって?


 あの子は言った。思いを力にするのが魔法なんだって・・・


 ふと、ボクは気が付いた。


 ボクが最初に魔法スティックを持っていたのは、魔法少女はスティックを持っているものだからと思ったからだ。


 魔法スティックが想像したような武器になったのは、そう出来るに違いないとボクが思ったからだ。


 だから・・・ボクが・・・今ボクがすべきことは・・・


 ボクがあのワニをやっつけることが出来ると『思う』ことなんだ・・・


 ボクは仰向けになったまま手を天にかざした。


 雲の隙間から星が見える。


 星・星・☆・☆彡・・・


 厚い雲を突き破る無数の流れ星!


「降り注げ!シャイニングスター――!!!」


 ボクは叫んだ。


 その瞬間、嵐を呼んでいた雲は嘘みたいに掻き消えて、金平糖みたいな星が無数に降り注いだ。


「ぐあぁああああああああ!!!」


「痛い痛い!!!なんだこれは!!!」


「うん。とりあえず及第点ってところですわね。それじゃぁこのわたくしが、百点満点のお手本を見せて差し上げますわよ!!」


 そう言って少女が手を天にかざすと、その上空に巨大な・・・禍々しい・・・丸い丸い丸ぁ~~~~~るい岩石が現われて、それが星だと気が付くのに少し時間を要してしまった。


「全て押しつぶしなさい!!スーパーシャイニングスター―――!!!」


 瞬間周囲が真っ暗になって・・・全然シャイニングじゃない!そう思った次の瞬間、


 ドゴーーーーン!!!


 衝撃が襲って・・・


 ボクは・・・


・・・コトハ


・・・・・・コトハ


・・・・・・・・・コトハ!起きなさい!いくら休日だからって言ってもお寝坊が過ぎるわよ!」


 揺り起こされたボクの目の前には、いつもと同じようなママの顔があった。


「ほら、嵐が嘘みたいにいい天気よ。コトハも本ばかり読んでないで、たまには外で遊んで来たら?」


 ママがそう言いながらカーテンを開くと、眩い朝日が部屋に差し込んできた。


 いつもみたいに、『うるさいなぁ~~~』と言おうとして、


「じゃぁ・・・ママ・・・一緒にピクニックに行こうよ。」


 ボクはそう口にした。


 少しだけびっくりしたような顔をして、それからニッコリ笑って


「コトハからそんなこと言われるなんて・・・ふふふ・・・良いわね。それじゃぁ、お弁当作らなきゃね。」


 そう言っていそいそと階段を降りていくママの後姿をボクはまぶしい思いで見ていた。


 ボクはいつか、魔物との戦いで負けてしまうだろう。


 その時、ボクは最初からいなかったことになるから


 その時は、いつか必ず来るから


 その時まで、たとえボクが忘れられたとしても、ボクは忘れないように、


 思い出を沢山作ろうって、


 ボクはそう思ったんだ。


魔法少女ミラクル・コトハの物語 第二話 嵐の海賊船!壮絶鞭責めナイフ責め!!

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