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周波数の箱

こんにちは!


今回は周波数の話です。

周波数の話は久しぶりですね!

個人的に好きなトピックです。

作曲家同士でディープな作曲の話をするとき、周波数トークはあるあるネタとして鉄板です!


小学生がアプリで作った初めての曲も、Abbey Roadスタジオで収録された世界的な名曲も

結局出力されるのは音の波です。僕達は音の波をデジタルで数値として記録されたものにお金を出しています。


ですが、同じ音の波であってもアマチュアとプロのサウンドはかなり違うように感じます。この世には明確に「いいサウンド」と「悪いサウンド」があって、自分はプロに劣っているという風につい優劣の枠組みで考えてしまいがちです。


一体何が優劣があると錯覚させているのでしょうか?


僕は3つの原因に分けることができると考えます。

ただし、これは五線譜的な作曲についてではなく、サウンドデザインやミキシングについての原因の話です。


- サウンドデザイン・サンプル選びのセンスの違い (経験、大胆さ、繊細さ)

- ダイナミクス管理の違い (コンプレッサー、音の強弱オートメーションなど)

- 周波数管理の違い (EQ、ピッチ、帯域の棲み分け)


この3つです。


たいていの場合、この3つを目指すプロのサウンドに近づければ一定の成果を得られることができると確信しています!


そして、そのうち今回は最後の「周波数管理」について話していきます!



今回伝えたいことはシンプルです。

曲の周波数レンジを大きく保つことです。

もしかしたらこれがあなたが更に殻を破る鍵かもしれません。



僕がダンスミュージック制作を始めたばかりの頃の話をします。

一応僕は高校の頃にギターを録音してのバンドのDTM(いわゆる宅録)は経験していたので、EQについてはそれなりに理解していると思っていました。


しかし、ダンスミュージックに挑戦して曲を作り始めると、全然プロアーティストのサウンドに届かない大きな壁を感じてしまいました。

海外アーティストの鳴らすキックは象が思いっきり踏みつけたようにずっしりと低音を揺らしているようで、自分の鳴らしたキックは小動物のように感じました。


サンプルのせいなのか?僕の知らない秘密のプラグインを使っているのか?音圧が足りないせいなのか?


本当の原因はそうではなかったのです。

原因は、僕が認識していた「常識」の世界観にありました。



というのも、バンドサウンドのような生楽器の音楽ではサブベースも鳴らさないし、20000hzを突き刺すようなScreechも鳴らしません。

生のドラムと、生のベースと、生の歪ませたギターの音と、生のボーカルのみです。


そして、こういった録音された音というのは基本的に中音域をたっぷり含んでいます。

具体的にいうと200-4000hzくらいの帯域です。

そしてEQで処理を行うときはその200-4000hzくらいの帯域を注意深くブーストしたりカットしたりして調整していきます。


では200hz以下の超低音や10000hzのような超高音についてはどうしていたのか?

というと、もちろん低音が足りない場合はざっくりとブーストさせたりはしていました。

しかし、60hz以下のような本当の超低音については、実際のところ「認識」すらできていませんでした!なぜならそもそもバンドサウンドというのはそういった超低音をあまり必要としないので、調整するという発想がなかったのです。

(ちなみに現在のバンドサウンドはかなり進化していて、超低音も丁寧に調整された音源がたくさんあります。)


人間の「常識にとらわれた状態」というのは本当に恐ろしいもので、たしかにバンドサウンドにも確実に超低音は含まれているはずで、実際に耳で聴いているはずなのに、僕はその音を全く認識できていませんでした。

ヘッドホンや機材が安かったせい?もちろんそれも原因としてあるかもしれないですが、少なくとも僕の理想のバンドサウンドを作る際には超低音や超高音は制作には関係ないものであり、ずっと意識の外にあったのは事実でした。




ところが、ダンスミュージックを作ることになった場合は全く話が変わってきます!

これまでと同様の、バンドサウンドのミキシングと同じ脳みその思考回路でEDMをミキシングすると一体どうなるのでしょう?


低音スカスカ・中音域は過剰にモワモワ・超高音域が足りずモコモコ

というクラブで流すには最悪なサウンドになるのです!

そしてさらに最悪なことに、自分でその原因がわかりません。自分の常識の外にあるものは認識すらできないのですから。



この問題は、高価なプラグイン等では解決できません。

自分の中のミキシングの常識を、根本から変えていく勇気が必要でした。

考え方を変えるのは結構時間がかかりました。半年くらいかかりました。


やがて考え方を変えることに成功し、僕のダンスミュージックに対するミキシングは少しずつ上達していきました。


どういう考え方を行ったのか?

これについて、自分の思考を完璧に具現化するのは不可能だし長くなるのでやめますが、

短く要約して言うと、楽曲という周波数の箱のキャパシティをこれまでより1.5倍くらい大きくするようなイメージを持つようになりました。

今まで詰め込んでいた周波数の箱のサイズというのは自分が勝手に決めていただけの幻想で、本当の箱のサイズはそれよりずっと大きかったのです。



というわけで前置きが長くなりましたが、僕が伝えたかったのは、

本来masterに突っ込める低音から高音までの周波数の箱は実はあなたが想像するよりはるかに余裕を持っているかもしれないという話です。

そして、その本当のサイズを認識するためには、自分の中の常識的な箱のサイズを越えてアレンジを試みるチャレンジが必要です。



少し例をあげてみます

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これが今までの自分の常識の範囲でミックスした音源だとします。


しかし、この周波数レンジの箱は自分の常識範囲で設定しただけで、本当は更に飛び出すような音を鳴らすことができます。


キックの場合。

あなたが使っているKickのサンプルは作成者の常識の範囲内で作ったものですから、

あなたの曲のキャパシティとは違います。なのでピッチを下げ、

キックの重心をさらに下げることができます。

曲中でローミッドの帯域が重なりまくっているときは、キックの重心を下げることで、ミックスが一気にしやすくなる場合があります。



ピッチを下げると当然音の質感も変わるので注意が必要です。

適宜レイヤーしたりして調節しましょう。



ベースの場合。

さらに低音や高音を上げてみましょう。

「これで充分だ」と思ったバランスから、さらにもう少しだけ逸脱させることを試してみましょう。

たとえば、超高音を含んだホワイトノイズを足してみましょう。

これで、超高音がBassに含まれ、Bassとしての周波数レンジが一気に大きくなります。

余計な処理だと思いますか?もしそう思ったらただ外せばいいだけです。

少しでも周波数の箱を広く押し上げようとする姿勢が大事なのです。



Clapもいつものミックスバランスより少し高音を上げてみましょう。


こうして、(好みかどうかは別として)さらに周波数レンジを広げることができました。

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即興のミックスなので拙い部分もありますが、こちらは超高音から超低音までパキッと鳴ってクリアな感じになったと思います。



僕は、「もっと超低音や超高音をブーストしまくるべきだ!」と言いたいわけではありません。

ただ、自分の認識できる周波数の箱をさらに広く押し広げて欲しいと思っているのです。


10年前、Serumが誕生する以前は、ダンスミュージックの超低音のピークはだいたい50hzくらいでした。

それが今日では、Bass Musicにおける超低音のピークは40hz-30hzあたりまで下がっています。

超高音についても、体感ですが明らかに今の音楽のほうが豊かに鳴っています。

間違いなく音楽の周波数レンジの箱は拡大し続けていきます。


このミキシングの進化による周波数レンジの拡大はおそらく今後も広がり続けると思うので、

みなさんもぜひ自分の常識を疑って箱の外に飛び出してみてください!


ではまた〜〜

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