こんにちは!
まずはこの音源を聴いて下さい
かなりクリーンな音に聴こえませんか?
この音源には、Kick, Snare, Hat Loop, そしてBassの4つのトラックを使用していますが、どの音も相互にぶつかり合わず完璧に鳴っているように聴こえます。
なにか良いリミッターを使った、もしくはコンプレッサーで全体的にいい感じに慣らしたのでしょうか?
いずれも違います。マスターやグループには何も挿していません。
これはpre-master (2mix)です。
そして、これが証拠です。マスターにリミッターやクリッパー等は一切使わず、鳴っている音をそのまま書き出した波形データです。
キックやスネアのときだけ急激に飛び出したりしていません。干渉の結果大きなピークが出現したりもしていません。
サウンドは潰れたりせず活き活きと鳴っているにも関わらず、この音量制御が出来ています。
つまり、マスタリングでクリーンでラウドな音にしたいと思っているなら、理論値レベルで実現できます。
一体何が起こっているのでしょうか?
早速ネタバラしをすると、これはサイドチェインダッキングの恩恵によるものです。
サイドチェインダッキング…もう常識のように皆さん知っていると思いますが、
あるサウンド(たいていの場合キックやスネア)が鳴った瞬間だけ他のサウンドの音量を一気に下げることで、音量バランスを保ち、また曲全体にグルーヴを付与させることができるテクニックです。
…というところまではダンスミュージックのプロデューサーは全員やってることだと思います。
クラシックなやり方としてコンプレッサーのサイドチェイン機能を使ったり、
またVolumeShaper, LFO Tools, Duckなどのプラグインを使ってキックのタイミングだけ他のサウンドのボリュームが下がるようにプログラミングしたり、
または手作業でUtilityを使ってボリュームオートメーションを書いたりして皆さんこれをやっています。
しかし近年、主にダブステップコミュニティが発端だと認識していますが、画期的な方法でダッキングを行う人々が出現しました。
リングモジュレーターです!
リングモジュレーター…名前は聴いたことがあっても、あまり使わないエフェクトかもしれません。
このエフェクトがダッキングの常識を覆したということで、数年前に結構話題になりました。
普通のダッキングと何が違うのでしょうか?
ところで、リングモジュレーターとは簡単にいうと、「音を掛け算して和音と差音を生成して変調させる」プラグインです。
…。
え???
一応原理は書いておいた方がいいと思いましたが、普通に説明しようとするとどうしても専門用語が出てきてしまいますし、ネットで検索しても全部のページで上のような説明が表示されます。
ということで、実際にやってみましょう。結局音を聴くのが一番早いです。
先ほどの音源に、200hzのサイン波を掛け算させます。
200hzのサイン波とはこの音です。
掛け算させると、この音になります。
音自体が変わっているのがわかると思います。変な音になりましたね。
原音に、サイン波っぽい要素が合わさった不思議な音に変化しています。
同時に鳴らしたときと違い、音を掛け合わせて変化させているだけなので、音量に大きな変化はないのです。2つの音が、掛け算によって合体して新しい音になるイメージです。
さらに、このサイン波を1hzのような全く人間には聴こえない音波にして掛け算させるとどうなるでしょうか?
すごく面白いですね。1hzとはつまり1秒間に1回振動する波なので、1秒間隔で元の音も同時に上がったり下がったりしています。結果的に、1hzのサイン波という波がどんな音波なのかを擬似的に体感することができます。
このようにRing Modulatorのエフェクトプラグインはほとんどの場合、サイン波や三角波など基本的な波形を組み合わせることによる効果を前提に作られています。
では、サイン波ではなく、キックやスネアをかけ合わせたら?
という発想で生まれたのがRing Modulatorを使ったサイドチェインダッキングです。
Ring Modulatorの原理を使って、キックが鳴った瞬間、ベースの音を変調させ、キックと完璧に合う音にすることができれば、それは完璧なダッキングと呼べるでしょう。
まあ、厳密に言えば、それをやるためにはキックの音に別途処理を行った後に変調させないといけないですが、ここでは省略します。
とにかく、ダブステップコミュニティでは色々な方法でこのRing Modulatorプラグインを利用したダッキングチェーンが考案されましたが、そもそもRing Modulatorの本来想定された使い方ではないので、複雑なルーティングが必要でした。
しかし、ここ最近でそういった複雑なルーティングを全部すっ飛ばして使用することができる「ダッキング専用」のRing Modulatorプラグインが出現しました!
それがKiloheartsのCompactorです。
ということで先ほどの音源は、このCompactorを使ってダッキングさせていたのです!
このCompactor, 無料でダウンロードすることができます。無料でいいんですか?
早速ダウンロードして試してみてください。
使い方は簡単です。
今回の曲の場合、Bassにインサートして、Sidechainの項目でKickを選びます。
そして、Compactorのプラグインを起動して、Sidechainメニューを開いて選択(今回の場合INPUT 3+4)にします。
それだけでOKです。
すると、実際にキックのタイミングでダッキングが起こっているのを確認することができます。
今、ATTACK, HOLD, RELEASEの全てが最速の0になっていますが、この状態だとチリチリしたノイズが発生しています。
そこで、この3つの項目を調整して完璧なダッキングにしていきましょう。
ATTACK - このATTACKは正確には入力を先読みして先行して早くダッキングを行う値のようです。この値を上げるほど、チリチリしたノイズが消えてキックのアタックがクリアに聴こえます。あえて0にしてチリチリした感じを出すのもアリです。
HOLD - ダッキングの維持の強さを変えることができます。この値を上げると、リリースのタイミングまでしっかりダッキングされるようになります。
RELEASE - 音量がもとに戻るまでの時間です。この値を上げると、BASSの音量の戻りがゆっくりになり、ダッキング感が強調されます。
こうして最適な調整を行うことで、Kickに対して最適なBassのサイドチェインをかけることができました。
これと同じ要領で、Snareに対してもCompactorを使用してダッキングさせていきます。
Compactorを使ったダッキングはすごく精密なので、色々な干渉を防止させることができます。
たとえば、BassにCompactorを挿してHatloopにも作動させることで、HatloopとBassの周波数のぶつかりを避けることができます。
実際に今回の音源でBassに挿したCompactor。左から順に、Kick, Snare, Hatloopに対してダッキングを行っている。
この状態でBassのソロの音を聴くとこうなっています。
キックとスネアに加えて、Hat loopのタイミングにおいてもチリチリと音が変化しているのがわかると思います。
この変化によって、大きなBassが鳴っていてもHat loopは音が埋もれずにハッキリと聴こえるようになるのです。
また、このHat loopも、KickとSnareに対してCompactorを作動させています。
これによって、 Hat loopの音量を大きくしてもKickとSnareに影響はほぼ無くなるのです。
他にも、SynthとVocal, PercussionとBass、FXとDrumなど、色々な組み合わせてCompactorは干渉を防いでくれるでしょう。
せっかく無料なので、みなさんもぜひ一度試してみてください!
ではまた〜〜
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2025-09-16 09:14:21 +0000 UTCAlicemetix
2025-09-16 09:10:49 +0000 UTC